法事の準備では、参列者の招待や、お坊さんの手配、法要や会食の会場の手配など、することがたくさんありあます。
その準備の一つが、引き出物です。
今回は、法事の引き出物について、引き出物の意味や引き出物を選ぶポイント、引き出物の費用の相場や引き出物のマナーなど、引き出物についてみていきます。
法事の引き出物の意味
法事の引き出物は、参列していただいた方に、来ていただいたことのお礼として渡します。
引き出物は香典やお供えに対するお礼の意味合いもあるので、「お返し」ということもあります。
まとめると、引き出物はひとつに参列してくれたこと、もうひとに香典やお供えのお礼の意味が込められています。
引き出物と香典返しの違い
法事の引き出物にはお香典やお供え物をいただいたことへのお礼の意味がありますが、よく耳にすることがある「香典返し」とは違うものです。
香典返しは、故人が亡くなったときに執り行われたお通夜や告別式などの葬儀、忌中の四十九日までにいただいたお香典に対するお礼になります。
香典返しは忌が明けた四十九日以降のタイミングで、いただいた金額の半額程度で品物を用意し、贈ります。
引き出物を選ぶポイント
引き出物は、以下の4つに該当するものを選ぶとベストです。
・かさばらないもの
・日持ちするもの
・消えるもの
・故人が好きだったもの
法事の引き出物は法事に参列していただいた方に持ち帰ってもらうので、かさばらなくて重たくないようなものを選ぶことが大切です。
また、好き嫌いがハッキリ分かれるような品物を選ぶと、持ち帰った方々に喜んでもらえないということにもなりますので、偏った嗜好の品物は避けるようにしてください。
法要の引き出物は、お香典の金額やお供え物の有無に関わらず参列していただいた方、全員にお渡しするのが原則になりますが、同一世帯の家族が法事に参列していただいた場合は、1家族に1つでもよいとされています。
かさばらないもの
引き出物を選ぶポイントで大切なのは、かさばらないということです。
参列していただいた方々の中には、高齢者であったり、電車で来た人がいるなど、かさばるものを持ち運ぶのが負担になることもあります。
かさばらないように小さくて軽いものがおすすめで、お饅頭などの和菓子の詰合せやおせんべいなどの詰合せ、クッキーなどの洋菓子の詰合せなどは、参列したみんなで分け合うこともできるので喜ばれます。
日持ちするもの
引き出物を選ぶポイントで次に大切なのが日持ちです。
引き出物に選ばれることが多いのは食品ですが、生に近い食品だと暑い時期に持ち帰る間に傷んでしまったり、賞味期限が短い食品だと持ち帰った後に慌てて食べる必要があります。
賞味期限が長く、日持ちするようなものを選んでおくと、真夏の暑い時期でも帰る時間を気にすることもなく、持ち帰ってから慌てて食べる必要もないので、渡された参列者の人に気遣いができるのではないでしょうか。
例えば、海苔や干し椎茸などの乾物の詰合せ、お茶やコーヒーの詰合せなどは、家庭の台所には常にあるような品物で日持ちもするので、喜ばれるのではないでしょうか。
消えるもの
引き出物を選ぶポイントで次に大切なのが、消えるものということです。
一般的には、葬儀や法事は不祝儀(めでたくないこと)とされていて、繰り返さない一度きりのものと考えられていることもあって、引き出物は消えるものが良いと言われています。
消えるものとは、食べたり使ったりすることでなくなってしまうもののことを指していて、和菓子や洋菓子などの食品や洗剤や石鹸などの消耗品を用意しましょう。
故人が好きだったもの
故人が好きだったものを引き出物に選ぶことで、故人を偲ぶきっかけにもなります。
ただ、故人が好きだったものとはいえ、法事の引き出物は、「かさばらないもの」、「日持ちするもの」、「消えるもの」という選ぶときのポイントがありますので、これらのポイントを含めた上で、引き出物を選ぶことが大切です。
もらって嬉しい引き出物
法事の引き出物は、「かさばらないもの」、「日持ちするもの」、「消えるもの」という選ぶときのポイントがありますが、これらのポイントが満たされた引き出物で、もらって嬉しいのは、カタログギフトではないでしょうか。
カタログギフトは、近年、法事の引き出物として人気が高まっていて、人気の一番の理由は、「自分の好きなものが選べる」ということです。
本来、法事の引き出物は法事の主催者が選ぶものですが、参列者すべての趣味嗜好に合わせるのは至難の業でしょう。
しかし、カタログギフトはカタログの中から自分の希望に合ったものを選ぶことができ、選んだ品物は後日、自宅に送られてくるので、品物を持ち帰る必要はなく、持ち帰るのはカタログだけになるので、軽くて、かさばらないので人気があります。
法事の引き出物の費用の相場
法事の引き出物の費用の相場は、2,000~5,000円になりますが、法事の規模や法事の後の食事の有無によってもその費用は変わってきます。
法事のお返しは、お供えでいただいたお香典の金額の3分の1から半分を返すことが一般的だと言われています。
法事のお香典の金額の相場は、1人で出席するのか、それとも夫婦2人で出席するのかにより異なりますが、おおむね会食がない法事の場合だと、5,000円から10,000円くらいで、会食がある法事に出席する場合は、10,000円から30,000円くらいになります。
例えば、法事の会食に1人5,000円、引き出物に2,000円から5,000円とすると、先ほどの法事のお返しとして3分の1から半分を返すことになるので、失礼にはあたらないことになります。
高額なお供えや香典をいただいたとき
法事の引き出物にかける費用は、おおよそ2,000~5,000円程度ですが、中には法事でいただくお香典の相場以上の高額なお香典をいただくことがあります。
法事の引き出物は事前に用意していて、法事の当日にいただくお香典の金額を事前に知ることはできません。
事後に高額な香典やお供えをもらっていたことが明らかになった場合は、お渡しした引き出物に加えて、いただいた金額の1/3から半分程度の金額で品物を送りましょう。
例えば、夫婦2人で出席していただき、お香典として50,000円をいただいたとすると、会食(5,000円×2人=10,000円)と引き出物(3,000円)の合計が13,000円になるので、追加で10,000円相当のお返しを贈るようにしましょう。
法事の引き出物のマナー
法事で用意した引き出物には、仏のしである水引を品物に包装します。
ここでは、引き出物に包装する水引の選び方とのしの表書きについてみていきます。
のしの書き方
法事の引き出物を包むのしの表書きは、全国的に使われているのが「志」で、関西を中心とした西日本では「粗供養」がよく使われています。
より細かく表書きをする場合は、「一周忌 志」とか「三回忌 粗供養」と書いたり、法要名の前に戒名を付け加えた「(戒名)七回忌 志」と書くこともあります。
ただ、地域によって古くからの慣習などにより、のしの表書きの書き方がある場合もありますので、引き出物を購入する店舗などで一度確認することをおすすめします。
水引の選び方
仏のしである水引は、二度とあってはならない、一度きりにしたいということで「結びきり」を使っています。
全国的には「白黒」の結びきり、関西を中心とした西日本では「黄白」の結びきりがよく使われていますが、年忌のマナーとして正しいのは、一周忌までは黒白か双銀の結びきりを使い、三回忌以降は黄白か青白の結びきりの水引を用います。
また、弔い上げといって、年忌法要の最後の法要では、長年に渡って供養できたことを喜び、特別に紅白の結びきりの水引を用いる地域もあります。
ちなみにですが、弔い上げの年忌法要は、三十三回忌もしくは五十回忌を目安に行われることが多いです。
法事の引き出物はなしでも大丈夫?
基本的に引き出物は用意してください。
引き出物は参列してくれたことへの感謝や香典・お供えに対するお礼の品です。
用意しないのは参列していただいた方に対して失礼だと考えましょう。
また、法事の引き出物はお香典の金額に関係なく参列していただいた方、全員にお渡しするのが原則になりますが、同一世帯の家族に対しての引き出物は世帯に1つでよいとされています。
まとめ
ここまで、法事の引き出物について、引き出物の意味や引き出物を選ぶポイント、引き出物の費用の相場や引き出物のマナーなど、引き出物についてみてきました。
法事で用意する引き出物ですが、四十九日法要に限っては、忌明けを無事に迎えられたこととお世話になった気持ちを込めたお礼状を品物につけて渡すことがあります。
ただ、これは必ずしもという訳ではないので、参列していただいた方々に直接引き出物を渡す場合は、その時にお礼の言葉とともに渡すようにすればいいので、お礼状を省くことはできます。
引き出物は参列者へのお礼の品なので、高価でなくても必ず用意しておくことをおすすめします。