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葬儀

神式・神道のお葬式を解説!通夜祭・葬場祭のマナー

投稿日:2018年10月17日 更新日:

神道の葬儀の画像1

神道のお葬式と仏教のお葬式の違いはご存知でしょうか。

長い歴史の中では神仏習合というように神道の神々と仏教の仏は同じとする考え方もありましたが、本来、仏教と神道は全く別のものです。
宗教が違えばお葬式の内容やマナーも当然違います。
また、日本で行われる葬儀の大半は仏式の葬儀ですが、近年では神式の葬儀、神葬祭を希望する人も増えています。

今回の記事では、急に神式のお葬式に出ることになった時のために、神式の葬儀の流れやマナーについて仏教との比較をまじえながら解説します。

目次
■仏教と神道の違い
・仏教は普遍宗教
・神道は民族宗教

■仏式と神式の葬儀の違いや特徴
・神道では死は穢れ(けがれ)
・仏教の読経と神道の祝詞の違い
・焼香と玉串奉奠の違い
・戒名の有無
・葬儀を行う場所
・葬儀後の法要の有無
・仏壇と御霊舎(みたまや)
・葬儀にかかる費用

■神式の葬儀の流れ
1.神式葬儀
└手水(ちょうず)の儀
└祭詞奏上(さいしそうじょう)
└玉串奉奠(たまぐしほうてん)
└遷霊祭(せんれいさい)
└直会(なおらい)
2.神式葬儀(葬場祭)

■玉串奉奠の作法
・玉串奉奠のやり方
・「しのび手」と「二礼二拍手一礼」

■神葬祭で気を付けたいマナー
・数珠は使わない
・服装のマナー
└喪服を着用
└小物も黒で合わせる
・香典のマナー
└不祝儀袋
└中袋
└裏側
└神式の香典の相場
・挨拶のマナー

■まとめ

仏教と神道の違い

まずは、仏教と神道の違いについて簡単にご紹介します。

仏教は普遍宗教

仏教は普遍宗教と呼ばれるものです。
普遍宗教とは、仏教やキリスト教、イスラム教などのように、「経典」、つまり「教え」のようなはっきりとわかりやすい信じる対象や核となる考え方があり、国境や人種を越えてさまざまな人が信仰できるものをいいます。

神道は民族宗教

一方、神道は民族宗教と呼ばれるものです。
民族宗教には普遍宗教とは違い明確な「教え」や物理的な「経典」が存在しません。

日本では古くから、自然や天候などを神格化して崇める文化があります。
そのため、絶対的なひとつの存在を信じるという考え方がないことから、日本以外の国の人には理解することが難しくなります。
このように、特定の人(民族)だけが信じることができるものを「民族宗教」といいます。
日本では、この民族宗教が神道であり、神道を信仰している人が「神式」の葬儀をします。

仏式と神式の葬儀の違いや特徴

仏式と神式の葬儀には、どのような違いや特徴があるのでしょうか。

神道では死は穢れ(けがれ)

神道では、「死は穢れ(けがれ)」と考えます。
神道のお葬式は、死によって汚れた生活を清め儀式によって清めることで日常に戻すという考えで営まれます。
また、神道では死者の霊魂は神様になると考えられるため、故人の霊を神様として祀るという意味合いもあります。

一方、仏教では死を穢れと捉える考えはありません。
お葬式の意味は宗派によって変わりますが、故人があの世へ旅立つのを見送るという儀式です。

仏教の読経と神道の祝詞の違い

仏式ではお坊さんがお経を唱え故人の冥福を祈ります。

一方、神式ではお経ではなく祝詞(のりと)を唱え、故人とともに子孫繁栄を祈ります。
また、仏教の教えでは、魂は冥土で転生するという「輪廻転生」の考え方を信仰しているのに対して、神道では故人の魂は家の守護神になると考えられています。
葬儀の目的もこれに準じて執り行われるため違いがあるのです。

焼香と玉串奉奠の違い

仏式の葬儀では、一人ずつ棺の前でご焼香を行いますが、神式の場合はご焼香はありません。

仏教でお香を供えるのは、香は場を清浄にする固有の考えがあるためです。
したがって、お香は仏事の時にしかお供えしません。

神式の場合は、焼香・線香の代わりに玉串という木を神前に捧げる「玉串奉奠(たまぐしほうてん)」を行います。

戒名の有無

仏教では、人が亡くなると生前の名前ではなく仏門に入った証として戒名という名前をもらいます。

対して、神道では個人の名前は親と神からもらった大切なものであると考えられているため、そのまま魂の名前として引き継がれます。
名前の後ろに「大人命(うしのみこと)」「刀自命(とじのみこと)」などの故人の生前の行いや実績の評価などが書き足されます。
この名前を「諡(おくりな)」と呼び戒名と同じように死後の名前とされます。
実際には、諡のつけ方は性別や年齢に準じます。

葬儀を行う場所

仏式の葬儀は、斎場だけでなくお寺で執り行われる場合があります。

対して、神式の葬儀が神社で執り行われることはありません。
一般的な斎場などを利用します。
これは、神道では死を「穢れ」であるとみなされ神が祀られている場所に持ち込まないようにしているためです。
「不幸があったときには鳥居をくぐってはいけない」と聞いたことがあるかもしれませんが、これも神道の考え方から来ています。

葬儀後の法要の有無

仏式の葬儀では、通常、初七日や四十九日といった法要があります。
しかし、神式の葬儀に法要はありません。
神式では、四十九日と似た五十日祭というものが存在するだけで法要のように複数回儀式を行うことはありません。

仏壇と御霊舎(みたまや)

仏教は、仏や先祖を仏壇に祀ります。
一方、神道では家の守護神として五十日祭を終えた故人の魂や先祖の魂そのものを御霊舎(みたまや)に祀ります。

葬儀にかかる費用

一般的には、仏式よりも神式の葬儀の方が費用は安いと言われています。

その理由のひとつに「お布施」があります。
お布施の中には読経のお礼や戒名のお礼などが含まれ、地域差もありますが20万円から30万円が相場と言われています。

一方神式の葬儀では、「玉串料」という名前で謝礼を納めます。
この「玉串料」の相場について一概には言えないものの、お布施の半額程度の場合が多いようです。

神式の葬儀の流れ

仏式と神式では、死に対する考え方の違いから葬儀の流れも違ってきます。
ここでは、神式での葬儀の流れについてご紹介します。

1.神式葬儀(通夜祭)

神式では、仏式の通夜にあたる「通夜祭」が自宅か斎場で行われます。
ここでは、葬儀参列者の流れをご紹介します。

手水(ちょうず)の儀

通夜祭では、式の前に参列者は「手水(ちょうず)の儀」を行い、身を清める為、手水で手を洗い口をすすぎます。
手水の作法は、まず自宅や式場に用意された手桶から、ひしゃくで水を汲んで、左手、右手の順に水をかけます。
次に、左手で水を受け、その水で口をすすいで、もう一度左手にかけます。
口元や手は、用意されている懐紙でふきましょう。

祭詞奏上(さいしそうじょう)

斎主(神職)による「祭詞奏上(さいしそうじょう)」が行われます。

玉串奉奠(たまぐしほうてん)

仏式の焼香にあたる「玉串奉奠(たまぐしほうてん)」の儀式があります。
玉串奉奠は斎主→喪主→遺族→親族→参列者の順に行われます。

遷霊祭(せんれいさい)

つづいて、故人の霊を霊璽(れいじ)に移す(※仏式の位牌にあたる)「遷霊祭(せんれいさい)」が行われ、この儀式によって故人の霊は一家の守護神になるとされています。

直会(なおらい)

通夜祭の後は、仏式の通夜ぶるまいにあたる「直会(なおらい)」が設けられます。

2.神式葬儀(葬場祭)

神式では、仏式の葬儀にあたる「葬場祭」が行われます。葬場祭とは、死のけがれを清め、死者を神として祀る儀式です。
基本的な流れは、神式葬儀(通夜祭)と似ていますが、神式葬儀(葬場祭)の場合は「修祓の儀(しゅばつのぎ)」と呼ばれるお祓いがあります。
斎場祭後は「出棺祭」「火葬祭」「帰家祭(きかさい)」、仏式の精進おとしにあたる直会が行われます。

玉串奉奠の作法

通夜祭や葬場祭では、玉串奉奠が行われます。
玉串とは、榊の枝に紙垂(しで)という白い紙片をつけたもので、これを祭壇に捧げて故人の霊が安らかであることを祈ります。

玉串奉奠のやり方

・斎主に一礼し玉串を受け取ります
・受け取る際は、右手で根元を上からつまみ左手で枝先を下から支えるようにして受け取ります
・受け取った形のまま玉串を目の高さまでおしいただき、根元が手前に来るように右回り(時計回り)に90°回転させます
・左手を枝先に移動して、持ち手を変えます
・180度水平に回して根元を祭壇に向け、玉串を玉串案と呼ばれる台へ置きます
・数歩退き、しのび手で二礼二拍手一礼を行い遺族に一礼してから下がります

「しのび手」と「二礼二拍手一礼」

音を立てない拍手のことを「しのび手」といい、弔事の場合の拍手はかならず、しのび手で行います。
「二礼二拍手一礼」は神式の儀式でよく行われる作法で、2回礼をし、2回手を合わせ、最後に深く1回一礼します。

神葬祭で気を付けたいマナー

形式が異なれば、覚えておくべきマナーや注意点も異なります。
神葬祭ではどのようなことに気をつければよいのでしょう。

数珠は使わない

数珠はもともと仏教で僧侶が読んだ経の数を数えるために使っていたものですから、神道の場合は使いません。

服装のマナー

神葬祭に参加する際の服装について紹介します。

喪服を着用

神式の場合でも服装は特別変わったものは必要なく、仏教の場合と同じく喪服を着用します。

小物も黒で合わせる

男女ともに色は黒で、靴下やストッキング、バッグ、靴といった小物も黒で合わせましょう。
小物やアクセサリー類は派手なものは避けます。
結婚・婚約指輪以外のアクセサリーは極力着用しないようにしましょう。

香典のマナー

香典も表書きなど、神式葬儀の特有のマナーがあります。
ここでは神式の香典に関するマナーをご紹介します。

不祝儀袋

神式の場合に使う香典は、表書きは「御神前」「御玉串料」「御榊料」のいずれかです。
市販の不祝儀袋は表書きが印刷されて売っているものも多いので、相手の宗派に合わせて選びましょう。
宗派が分からない場合、「御霊前」を選びます。

白無地の紙を使うのが基本で、蓮の絵柄が印刷されたものは仏式の場合のみに使用されます。
水引は双銀、双白または黒白の結び切りを使います。
名前は水引の下、中央に薄墨でフルネームで書きましょう。ボールペンはNGです。

中袋

中袋の裏には金額と住所、名前をフルネームで書きます。
相手が香典の整理をする際にわかりやすいように忘れずに書きましょう。

裏側

弔事の際は、上側を下にかぶせるように水引をかけます。
慶事の際とは逆になるので「喜びは上向き、悲しみは下向き」と覚えると良いでしょう。

神式の香典の相場

神式の香典の相場は仏式と変わりません。
ここでご紹介する金額は、あくまで目安です。故人とのおつきあいの程度や自身の立場、年齢、住んでいる地域によっても大きく変わってきます。
故人との関係性毎の香典の目安は次の通りです。

・両親…5~10万円
・兄弟姉妹…3~5万円
・祖父母の…1~3万円
・おじ、おば…1~3万円
・その他親戚…1~2万円
・友人・その家族…5千円~1万円
・職場関係…5千円~1万円
・勤務先社員の家族…3~5千円
・取引先関係…5千円~1万円
・隣人…3~5千円

香典には新札は不向きとされています。新札は、あらかじめ準備するという考えが根付いていて「不幸に対して前もって準備をしていた」と考えられるからです。
手元に新札しかない場合は、一度折り目をつけてから包みます。また、汚れがひどいものや、あまりにもよれてしまっているお札を使うのも避けましょう。

挨拶のマナー

死に対する考え方が仏教と神道では異なるので、仏教用語である「冥福」「成仏」「供養」という言葉は使ってはいけません。
神道では、「御霊のご平安をお祈りいたします」と言葉をかけます。

まとめ

多くの人が葬儀という言葉で思い浮かべるのは仏式のものでしょう。
これまでご紹介してきたように、仏式葬儀と神式葬儀は全く違います。
神式の葬儀について理解を深めていただく参考にしてみてください。

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