「遠く離れた実家に住んでいた親が亡くなった」
「身寄りがいない兄弟が亡くなった」
などの理由で、その人が住んでいた家や部屋を片付けなければいけないことがあります。
亡くなるまで生活していた家や部屋にはさまざまな品物があり、それら全ての遺品を仕分け、整理、処分までする必要があり、その作業はとても大変です。
遠方で生活していて、遺品の整理をするための時間が取れない、整理しなければいけない遺品が多すぎて時間がかかり過ぎてしまうなど遺品を整理する時間を作ることも難しいことがあります。
このようなときは遺品整理業というサービスの利用を考えてみてはいかがでしょうか。
遺品整理をする業者は、遺品を仕分け、整理して処分までしてくれる便利なサービスを提供してくれますが、一番気になるには費用ではないでしょうか。
今回は、遺品整理を業者に依頼するときの注意点、遺品整理の費用、遺品整理の作業内容、孤独死した場合の特殊清掃の費用などについて解説していきます。
目次
■遺品整理業者の費用相場と時間
・遺品整理の相場
・遺品整理にかかる時間
■遺品整理の費用が決まる5つのポイント
・1.遺品整理をする荷物の量
・2.遺品整理をする荷物の種類
・3.遺品整理をする日
・4.遺品整理をする場所の周辺状況
・5.遺品整理業者がしてくることとオプションサービス
■遺品整理を利用したときの支払方法
・遺品整理を安くするには?
・自分で処分をする
・積極的に買取りをしてもらう
・期日に余裕を持って遺品整理を進める
■孤独死した場合の特殊清掃
・特殊清掃の費用の相場
・特殊清掃業者を選ぶポイント
遺品整理を頼む前に
遺品整理をはじめる前には、形見分け、家や土地の権利書、銀行の通帳や印鑑など残すもの、処分するものに仕分ける必要があります。
また、タンスの引き出しや仏壇の中には、いわゆるタンス貯金と呼ばれるお金や貴金属などが隠されていることもあるので、まずは自分たちで遺品を仕分けることからはじめてください。
遺品整理業者の費用相場と時間
処分する遺品が少ない場合は自分たちでも遺品を処分することもできます。
しかし、遺品の量が多かったり、遺品の中に人形や仏壇などどう処分していいか分からないものもあると手を付けづらいのではないでしょうか。
そのようなときは遺品整理を業者に依頼することをおすすめします。
遺品整理を業者に依頼した場合は、処分に困る遺品も処分してくれますし、経験豊富な業者の目や勘で大切な遺品を見つけてくれることもあります。
では、業者に頼む場合はどれくらいの費用や時間がかかるのでしょうか。
遺品整理の相場
遺品整理には、決められたサービス内容や定価はなく、業者ごとにサービス内容や料金が違います。
定価はありませんが相場はあるので、相場を知っておくことで、見積もりが高いのか安いのかの判断ができます。
遺品整理にかかる費用の内訳は、大きくわけて次の3つになります。
・遺品の仕分けや処分品の梱包
・搬出にかかる人件費
・処分品を運ぶ車両費、処分品の処分にかかる処理費
遺品整理の相場は、間取りごとに知ることができます。
間取り | 料金の相場 | 作業人数 |
1R/1K | 30,000~60,000円 | 1~2名 |
1DK | 50,000~100,000円 | 2~3名 |
1LDK | 70,000~140,000円 | 3~4名 |
2DK | 90,000~180,000円 | 3~5名 |
2LDK | 120,000~240,000円 | 4~5名 |
3DK | 170,000~340,000円 | 5~6名 |
3LDK | 170,000~340,000円 | 5~7名 |
4DK | 190,000~380,000円 | 6~8名 |
4LDK | 220,000~440,000円 | 6~9名 |
相場は、いくつかの遺品整理業者のサイトの情報から平均的な価格を割り出しました
相場金額に幅があるのは、同じ間取りであっても荷物の量により、かかる人件費と処理費が変わるためです。
また、間取りが3LDKと広い間取りでもキレイに整理されていて荷物の量が少ない場合は、相場の費用よりも安くなることもあります。
遺品整理にかかる時間
遺品整理にかかる時間は、荷物の量や、遺品整理をする場所や周辺状況により変わりますが、おおよそ以下の時間になります。
間取り | 作業時間 |
1R/1K | 1~3時間 |
1DK | 2~4時間 |
1LDK | 2~6時間 |
2DK | 2~6時間 |
2LDK | 3~8時間 |
3DK | 4~10時間 |
3LDK | 5~12時間 |
4DK | 6~13時間 |
4LDK | 6~15時間 |
作業時間に幅があるのは、相場金額と同様に同じ間取りであっても荷物の量により、仕分けや梱包、搬出にかかる時間が変わるためです。
遺品整理の費用が決まる5つのポイント
実際に遺品整理にかかる費用を具体的に知りたい場合は、訪問見積もりをとるようにしましょう。
訪問見積もりで遺品整理業者が費用を決めるポイントは以下の5つです。
・遺品整理をする荷物の量
・遺品整理をする荷物の種類
・遺品整理をする日
・遺品整理をする場所の周辺状況
・オプションサービス
ここからはそれぞれの項目について詳しくみていきます。
1.遺品整理をする荷物の量
遺品整理の費用を決めるもっとも大きなポイントが荷物の量になります。
ここで少し想像してほしいのですが、本や雑誌、日用品、雑貨などのさまざまな品物が山のように積みあげられたゴミ屋敷の部屋と必要最低限の品物しかなくキレイに整理された部屋を想像してみてください。
必要最低限の品物しかないキレイ整理された部屋の荷物量は当然少ないので、人件費を抑えられるので費用は安くなります。
それに比べてゴミ屋敷のような部屋は処分品の量も多いので、遺品の仕分け、梱包、搬出する人件費が余分にかかり、運搬する車両費も増え、処分にかかる費用も増えるので、遺品整理にかかる費用は高くなります。
処分する荷物量が少ないと安くなり、処分する荷物量が多くなると費用は高くなります。
2.遺品整理をする荷物の種類
遺品整理をする荷物にはさまざまな種類があり、ゴミとして扱われて処分費がかかるもの、無料で引取りもしくは買取りをしてくれるものなどにわけられます。
遺品整理業者はリサイクル業者と提携していることが多く、業者によっては遺品の中にある着物、衣類、貴金属、美術品などを買取りしてくれ、遺品整理の費用から値引きをしてくれることもあります。
逆に、冷蔵庫、テレビなどの処分にはリサイクル料がかかる荷物もあり、その費用をそのまま遺品整理の費用に加算してくることもあります。
遺品整理業者に訪問見積もりをお願いしたときには、買取りをしてくれる荷物、リサイクル料が別にかかる荷物の有無などを確認するようにしてください。
3.遺品整理をする日
これは遺品整理をしてほしい期日に余裕があるのか、急いでいるのかということです。
「遠方に住んでいて、その日にしか立ち会えないので必ず1日で作業を完了してほしい」
「賃貸物件なので解約の都合で明日までに作業を完了してほしい」
など、期日に余裕がなく緊急に対応する必要がある場合は、通常よりも多めに人手が必要になり、運搬する車の台数を増やすなどの必要がでてくるなど、通常よりも費用が高くなることがあります。
「急がないので、今月中に作業を完了してくれれば大丈夫です」というように、期日に余裕がある場合は、逆に遺品整理の費用を安く抑えられることもあります。
遺品整理を業者に依頼しようと考えているのなら、訪問見積もりや作業期日などに余裕を持って進めていくようにしましょう。
4.遺品整理をする場所の周辺状況
遺品整理をする場所の周辺状況により費用が変わることがあります。
戸建て住宅の場合だと、遺品整理をする荷物のほとんどが2階にあり、搬出に時間がかかる、道路が狭く荷物を運ぶ車両がつけられないなど作業効率が悪くなると、費用が高くなることがあります。
マンションや集合住宅でも同様に、遺品整理をする場所が高層階であったり、エレベーターが無く階段しか使えないなどの条件により費用が高くなることもあります。
このように遺品整理をする場所や建物の周辺状況により費用が変わることがあることを覚えておいてください。
5.遺品整理業者がしてくることとオプションサービス
遺品整理業者が行ってくれる基本的な作業内容は、必要品と処分品の仕分けと梱包、荷物の搬出、処分品の適正な処理、遺品整理後の部屋の簡易清掃になります。
最近では、これらの基本作業以外にもさまざまなオプションサービスを提供している業者が増えてきています。
例えば、以下のようなものがあります。
・エアコンの取り外し
・仏壇などの供養とお焚き上げ
・ハウスクリーニング
・特殊清掃
・除菌、消臭作業
・原状回復リフォーム
・車やバイクなどの引取りと廃車手続きの代行
・建物の解体
・相続の相談
このようなオプションサービスには基本料金とは別に追加費用が発生するので、じっくりと考えてから利用するようにしましょう。
遺品整理を利用したときの支払方法
遺品整理の費用の支払いは基本的に作業完了後、立会い確認をしてから支払いをします。
支払い方法は、おおむね以下の3つから選択できます。
・現金での一括払い
・銀行振込での一括払い
・クレジットカードでの決済
料金の支払い方法は業者によって違いますので、契約をする前にはきちんと確認をしてください。
また、業者の中には現金での一括前払いを要求する業者もいるので、このような業者は注意が必要です。
遺品整理を安くするには?
遺品整理の訪問見積もりを取ったときにあなたが考えていた費用よりも高くなってしまうことがあります。
処分する荷物の量や周辺状況などさまざまな理由が考えられるのですが、費用を少しでも安く抑える方法がありますので、ご紹介していきます。
自分で処分をする
事前に自分たちで処分できるものは処分して、自分たちでは処分しきれないものだけを遺品整理業者に依頼することで、少しでも処分する量を減らすことができ、結果的に費用を安くすることができます。
積極的に買取りをしてもらう
新しく使える家電や骨とう品、貴金属品や着物などがある場合、「こんな品物は買取りしてもらえないのでは・・・」と自分たちで判断せずに、遺品整理業者に買取りが可能なのかどうかを見てもらいましょう。
買取りが可能なものがあれば積極的に利用して、遺品整理の費用から買取り費用を差引きすることでかかる費用を抑えることができます。
期日に余裕を持って遺品整理を進める
遺品整理の期日に余裕があると、複数の遺品整理業者から訪問見積もりを取ることができます。
複数の見積もりを比較することでかかる費用を抑えることができます。
また、遺品整理の期日に余裕があると、業者にも遺品整理にかけられる時間に余裕ができるので、費用を安くしてくれることもあります。
孤独死した場合の特殊清掃
さきほど、オプションサービスの項目で、「特殊清掃」というサービスをご紹介しましたが、「特殊清掃って何?」と思われた方がいらっしゃるのではないでしょうか。
特殊清掃とは、孤独死や孤立死、独居死などにより、発見が遅れて腐敗や腐乱した遺体の痕跡を取り除き、原状回復させる清掃です。
発見が遅れた遺体からは、血液や体液が漏出(ろうしゅつ)し、異臭がひどくなり、汚れも広がっていきます。
このような状態になってしまうと、一般的なハウスクリーニングでは除去することが難しくなり、特殊清掃という作業が必要になります。
特殊清掃の作業内容は血液や体液、腐敗物などの汚れを除去して、オゾン脱臭機など特殊な機材を使って消臭と除菌を行い、原状に回復するという内容になります。
特殊清掃の費用の相場
特殊清掃を業者に依頼した場合、費用の相場は5~50万円程度になります。
特殊清掃の基本的な費用の内訳は、体液や血液、腐敗物などの清掃、ウジやハエなどの殺虫と死骸除去、腐敗臭や死臭などの消臭と消毒になります。
費用の相場金額に幅があるのは、遺体の腐敗状況などによって作業量が変わるためです。
孤独死など遺体の発見に時間がかかり、遺体の腐敗が進行してしまうと、腐敗物の除去範囲の拡大、害虫除去、消臭などに時間がかかります。
特殊清掃業者を選ぶポイント
孤独死などの現場に遭遇した親族にとっては辛い現実を目にすることになりますが、遺体を発見したときは、できるだけ早く特殊清掃業者に依頼するようにしましょう。
特殊清掃業者の選び方は、
・事件現場特殊清掃士、脱臭マイスターなどの資格を持っているかどうか
・特殊清掃の経験が豊富かどうか
・電話やメールでの応対が丁寧かどうか
・見積もりをキチンと出してくれるかどうか
・業者のホームページや口コミなどを確認する
以上の5つのポイントになります。
また、特殊清掃業者であるにも関わらず、やたらリフォームを勧めてくる業者は悪質業者の可能性が高いので気をつけてください。
本来消臭のみでいい所を「臭いが取れないから」というで壊され、リフォームで高額な費用を請求される場合があります。
まとめ
ここまで、遺品整理を業者に依頼するときの注意点、遺品整理の費用、遺品整理の作業内容、孤独死した場合の特殊清掃の費用などについて解説してきました。
遺品整理業者は全国に9,000社以上あると言われていて、その中には悪質業者も含まれています。
そのような業者と契約をしてしまうと、後々トラブルが発生することにもつながってしまいます。
遺品整理は一生に一度あるかないかの滅多にない出来事ですので、遺品整理で失敗しないためにも複数の遺品整理業者から見積もりをとり、遺品整理の知識を持っている遺品整理士が在籍する業者から選ぶようにしてください。