故人が亡くなって1年目の命日には一周忌を行います。
しかし、自分が喪主になることは何度もないので、どのような内容で行えばよいのか、誰を招くべきなのか、知人にも来てもらった方が良いのか、などの点で迷うことも多いはずです。
今回の記事は、一周忌とはどのよう法事なのか、そこにはどこまでの範囲の人に来てもらえばよいのか、などの点について解説します。
一周忌とは?
一周忌法要とは、故人が亡くなって1年目の亡くなった同じ月、同じ日の祥月命日に行う法要です。
法要にはそのほかに三回忌や七回忌などもありますが、一周忌法要はその中でも最も重要なものです。
したがって一周忌法要には、遺族や親族だけではなく、友人、知人など故人と親しかった人にも参列してもらいます。
さら法要には僧侶に読経をあげてもらい、法要が済んだ後は参列者で会食を催します。
一周忌の時期
今書いたように、一周忌法要は基本は亡くなった同じ月、同じ日の祥月命日に行うのが基本です。
しかしその日が平日に当たって、仕事などの都合で参列者が集まりにくい場合、あるいは都合でどうしてもその日に法要を催すことができない場合は、その祥月命日よりも前に日程にずらして実施してもかまいません。ただし後ろにずらすことは望ましくないので注意しましょう。
一周忌の流れ
一周忌法要の流れは以下のようになります。
- 司会の開始のあいさつ
- 僧侶が入場
- 施主のあいさつ
- 僧侶による読経
- 遺族・参列者が焼香
- 僧侶による法話
- 施主のあいさつ
この後、会食をする場合は会食会場に移ります。
一周忌の準備の流れ
一周忌の法要には親族や知人友人なども来るため、しっかりと準備をする必要があります。それは以下のようなものです。
1.お寺に相談する
まずはお寺に一周忌について相談します。
法要には僧侶の読経が必須です。また、菩提寺がある場合はお寺の本堂で法要を営むこともあります。
一周忌を営みたい時期の1カ月前までには相談に行きましょう。
2.法要の日程を調整する
僧侶のスケジュールを把握したうえで、主な親族の都合を聞きながら日程を決めます。
日程は先故人の祥月命日に合わせるのが基本ですが、都合が悪い場合は前倒しをしても構いません。
3.法要をどこで行うか決める
日程が決まったら、一周忌法要の会場を決めます。
会場は主に、自宅、お寺、セレモニーホールのどこかになります。
また、お墓のある墓地に法要室が設けられていることもあります。
規模が大きくなければ自宅、菩提寺があればお寺、菩提寺もなく規模も大きければセレモニーホールを借りることになります。
セレモニーホールは、ホテルなどが持っていることがあります。
4.法要後の食事を手配する
法要の後で会食を行う場合、その手配も必要です。
自宅で行う場合は、近所の料理屋などに予約をしましょう。
あるいは仕出し弁当を注文し、自宅でそのまま会食しても構いません。
セレモニーホールの場合は施設内に会食会場を用意していることが多いのでそこを使います。
寺院の場合は、寺院の規模が大きければ信徒会館などがあることも多いので確認しましょう。会食施設が無ければ近くのレストランなどを予約します。
5.参列者に案内をする
日程と会場が調整できたら、参列者に案内します。
血縁の近しい親族であれば電話での連絡でも大丈夫ですが、それ以外の参列者には手紙で招待するのが基本です。
その際には、出欠が確認できる返信ハガキも同封しましょう。
6.引出物を用意する
参列人数が分かったら、引出物を用意します。
相場は2,000円~1万円のもので、品物は石鹸や洗剤、食品などのいわゆる「消えもの」が基本です。
最近はカタログギフトの人気も高まっています。
また引出物にはのしをかけます。
のしの表書きは「粗供養」「志」などです。
7.僧侶へのお布施を用意する
僧侶に読経してもらう場合はお布施が必要です。
お布施の相場は3万円~5万円です。
会場が寺院ではなく、自宅や霊園、セレモニーホールなどの場合は、お布施とは別に「御車代」として5000円~1万円程度を包みます。
さらに、会食の席を設けているが僧侶が出席しないという場合は、「御前代」として1万円程度包みます。
8.供花、お供えの手配をする
祭壇やお墓に供える花やお供えも手配しましょう。
お供えは、遺族や親族が持ち帰るので、個包装になっているものが基本です。
加えて、日持ちする和菓子や焼き菓子がおすすめです。
具体的には、おまんじゅうや小分けのようかん、クッキー、ゼリーなどが挙げられます。
一周忌はどこまで呼ぶ?
一周忌にはどこまでの範囲の人を呼べばいいのでしょうか。
一周忌に呼ぶ一般的な範囲
一周忌法要は、生前故人との縁が深かった人が故人を偲ぶために集まる場所です。
三回忌以降が近い親族だけを呼ぶのに対し、一周忌は故人と親しかった友人なども呼びます。
しかし、葬儀のように仕事の関係の人や町内の人などを呼ぶ必要はありません。
一般的には、以下の人たちに参列してもらいます。
- 故人の配偶者、配偶者の兄弟
- 故人の子供、子供の配偶者
- 故人の孫、孫の配偶者
- 故人の兄弟、いとこ、甥・姪
- 故人の親しかった友人
一周忌は家族だけでしてもいい?
近年では葬儀とともに法事・法要の規模も縮小しています。
先に述べた範囲はあくまでも慣例的なものであり、一周忌を家族だけでしても問題はないでしょう。
葬儀が家族葬だった場合はなおさらです。
家に僧侶を招き、故人の配偶者や子供だけが参列して一周忌を済ますケースもあります。
一周忌のマナー
一周忌に参列する時のマナーを解説します。
香典のマナー
一周忌に招かれた際には香典を持参します。
香典の相場
香典の相場は以下のようなものです。
- 親族:1万円~3万円
- 知人友人:5000円~1万円
- 近隣の人:3000円~5000円
ただし遺族など身内の場合は5万円~10万円程度包む場合もあります。
また会食がある場合は、その費用として以上に5000円程度を上乗せします。
包む金額は、奇数を意識します。
偶数は縁起が悪い数字だとされているので、2、4、6、8のつく金額は避けます。また9も「苦」につながるのでふさわしくありません。
ただし2万円だけは包む場合もあります。
その場合でもお札の枚数が偶数にならないように、1万円札1枚と5000円札2枚にします。
故人が自分の親の場合も香典は必要?
故人が両親または義理の親など非常に近い場合でも、自分が施主でなければ香典を包むのが一般的です。
両親または義理の親の法要に持参する香典の相場は以下の通りです。
- 実の親の場合
- 自分が20代~30代:1万円~5万円
- 自分が40代以上:1万円~10万円
- 義理の親の場合
- 自分が20代~30代 : 万円~5万円
- 自分が 40代以上 : 3万円~10万円
- 夫婦として渡す場合 : 以上の1.5倍の金額
香典袋の書き方は?
香典は香典袋に入れて渡します。
の際の表書きは以下のようにしましょう。
- 仏教による一周忌:御仏前、御佛前、御供物料など
- 神道による一年祭:御神前、御玉串料など
- キリスト教によるミサ・記念式:御花料など
また香典袋の裏には、自分の名前、住所、香典の金額を記載します。
これを忘れると遺族が後で管理できないので注意しましょう。
また金額は1、2、3などの算用数字ではなく、壱、弐、参などの漢数字にし、数字の頭には「金」と入れ、最後は「圓也」と付け加えます。
挨拶のマナー
1人前の大人であれば、一周忌に行った時にはきちんと挨拶すること必要です。そのタイミングは、受付、香典を渡す時、遺族に会った時、帰る時です。
それぞれ以下のようにあいさつします。
- 受付:本日はお招きをいただき、恐れ入ります。
- 香典を渡す時 : 御仏前にお供えください。
- 親族や友人への挨拶 : ごぶさたしており申し訳ありません。
- 遺族への挨拶 : 本日はお招きいただき恐縮です。お元気でしたか。
- 帰る時 : 本日はお世話になりました。
一周忌の服装は?身内だけの場合は?
一周忌は、親族であれば喪服で参列します。
以下のような服装で参列します。
- 男性:ブラックスーツに黒ネクタイです。
- 女性 : 黒のワンピースまたはアンサンブルです。
- 子供 : 学校の制服があれば制服、ない場合は男子は黒、紺などのブレザーとズボン、女子の場合はブレザーとスカートまたはワンピース
靴は男女、年齢に関係なく艶消しの黒の革靴です。鞄などには光っている金具がついていないものにしましょう。
女性の場合はアクセサリーも結婚指輪と真珠のネックレスなどにしておき、デザイン性の高いイヤリングや指輪は避けます。
ただし、知人や友人として参列する場合はブラックスーツなどの略礼服でも構いません。
なお、自宅で身内だけの一周忌を営む場合は、平服で済ますこともあります。
平服にする場合は事前にお寺に相談しておきましょう。
香典のお返しのマナー
遺族にとっては香典をいただいた場合、お返しが必要です。
お返しは誰に渡す?
お返しは一周忌法要に参列者した人すべてに渡します。
ただし同一家族で参列した場合は、1世帯に1個でOKです。
お返しの相場は?
香典返しの商品は、いただいた香典の1/3から半額で用意します。
一周忌のお返しには、参列してくれたお礼と、香典のお返しの2つの意味があります。
誰からいくらの香典をいただいたかを香典袋などで管理し、その金額相当の商品を後日郵送します。
一周忌の同日にお返しを渡す場合は、香典の平均金額を想定して、その1/3~半額の商品を選んでおきます。
ただしそれよりも相当多い金額を包んでいただいた場合は、差額分に当たる商品を後日贈りましょう。
香典返しにふさわしいものは?
一周忌の際の引出物の品物を選ぶ基本は一般的に言う「消えもの」です。
「消えもの」とは使ったり食べてしまうとなくなるもので、具体的には洗剤、石鹸、入浴剤、お茶の葉、お菓子、海苔などです。
このようになくなるものを選ぶ理由には、家族が亡くなるような不幸ごとは繰り返したくないという意味が込められているので、そのことを頭に入れておきましょう。
ただし最近は考え方が合理的になってきていて、もらった人が感謝してくれるようなものを選ぶ傾向も増えてきました。1番代表的なものがカタログギフトです。
これはセレモニーホールやデパートなどが展開しているもので、金額によってそれに相当する商品がカタログになっていて、受け取った人はその掲載されている商品から自分のすきなものを選ぶというシステムです。
商品にはいわゆる消えものだけではなく、食器やタオル、寝具なども含まれます。これであれば、一周忌当日に荷物を持ち帰らなくても済みますし、自分の家にとって必要なものを選べるので、かえってセンスが良いと思われるケースも多いのです。
まとめ
一周忌法要は、故人の親族の他、故人と親しかった友人も招きます。
ただし、最近は葬儀に合わせて法事や法要の規模も縮小しているので、身内のみで一周忌を済ませても良いでしょう。
身内のみで一周忌を行う場合、自宅に僧侶を招いて小規模に行うなら、服装は平服で済ませることもあります。ただし、平服にする場合はその旨を事前に僧侶に伝えておきましょう。