エンディングノートや家の整理など終活における個々のテーマについては話題になるけれど、終活全体として何をすれば良いかわからない方も多いのではないでしょうか。
こちらの記事では、終活ですべきこと5つをご紹介します。また、終活をするメリットについてもご紹介しますので、終活を始める良いきっかけになればと思います。
終活ですべきことは5つ
終活ですべきことは以下の5つです。
1.エンディングノートの作成
2.家の整理
3.遺産相続
4.自分の葬儀やお墓を考える
5.遺影写真の準備
では、それぞれについて詳しく内容をみていきましょう。
1.エンディングノートの作成
エンディングノートの目的は2つ
エンディングノートを作成する目的は、
1.自分の死後に行う手続きで家族が困らないようにする
2.もしもの時の自分の意思表示(お墓、葬儀、介護・医療の方針など) です。
目的を果たした内容になっていれば書き方に決まりはなく、市販のノートや大学ノート、パソコン上で文章に残していても問題はありません。
ただし、自由に書けることが良い点である反面、法的な拘束力はないので家族がその内容を実行しなくても罪に問うことはできません。
そのため、拘束力を持たせたい財産の分配などは正式に遺言状を書くことをおすすめします。
エンディングノートに書く内容
エンディングノートに書く一般的な内容7項目をご紹介します。この他にも必要だと思った情報は付け足し、不要な項目は省いてご自分のエンディングノートを完成させてください。
1.自分のこと
住所、本籍地、生年月日、血液型、趣味、好きな食べ物、など
2.個人情報
※紛失・盗難を考慮しパスワード、暗証番号、保管場所は記載しない
契約しているものと契約先(携帯電話、インターネットなど)、運転免許証やパスポートの有無、など
3.医療
延命治療の希望の有無、臓器提供の希望の有無、病名の告知希望、アレルギーの有無、持病、常備薬、など
4.介護
介護場所の希望(自宅、施設、施設名など)、介護をお願いしたい人、など
5.葬儀・お墓
葬儀の希望(一般葬、家族葬、火葬のみ、など)、遺影写真の有無・保管場所、
契約している菩提寺や霊園・葬儀社の情報(名称、住所、連絡先、など)、
葬儀に呼んで欲しい人・連絡先、など
6.財産 ※紛失・盗難を考慮しパスワード、暗証番号、カード番号、保管場所は記載しない
預貯金(銀行名)、クレジットカード(会社名)、有価証券(証券会社名)、不動産、
加入している保険(保険会社、保険の種類、契約者)、貸金庫・トランクルームの有無、
借金(借入先、返済方法、担保の有無)、など
7.遺言書
遺言書の有無、作成時に相談した専門家(名前、連絡先)、など
盗難・紛失した時に困る内容は書かない
エンディングノートを盗難・紛失した時、詐欺などに悪用されてしまう情報(預貯金や契約しているもののパスワード・暗証番号、カード番号、重要品の保管場所)は書いてはいけません。しかしながら、このような大事な情報だからこそ伝えておきたいものでもあります。
その場合は信頼できる家族にだけ口頭で伝えておく方法もあります。
また、手続きは家族が直接窓口へ行って亡くなったという事情を話せば別の書類を準備することで手続きができることもあります。
2.家の整理
「いつか使うかもしれないもの」は思い切って捨てる
「いつか使うかもしれない」と思ってしまっているものは、思い切って捨てましょう。そう思ってしまっているものは意外と多いはずです。どうしても捨てられないものは、今から使いましょう。
整理する場所と期間を決める
台所は2週間、リビングは1ヶ月、など整理する場所と期間を決めて取り組みましょう。家中の整理は意外と時間がかかるものです。目標を決めることで進捗状況が見え、やる気や達成感につながります。
部屋毎に目標を立てたら、押し入れやタンスなど細かく目標を作ってもよいでしょう。
3.遺産相続
遺産相続の対象になるものとは?
遺産相続の対象になるものは、土地、家屋、預貯金、現金、自動車、貴金属、骨董品、宝石、などです。
借金も相続の対象になる
遺産相続というと“お金になるもの・価値のあるものをもらう”というイメージがありますが、実は“借金”も相続の対象です。
お金になる土地や宝石は相続し借金は相続しない、ということはできません。全てを相続する、または、全てを相続しない、という2つしかないのです。
相続を法的に実行させたい場合は遺言書を利用する
相続の内容(誰に何を相続させる)を法的な拘束力を持って実行させたい場合は、遺言書を利用しましょう。
遺言書には自筆証書遺言、公正証書遺言、秘密証書遺言の3種類あります。保管場所や証人の有無、家庭裁判所による検認の必要性(開封時)などが異なるため、ご自分に合った遺言を選びましょう。
遺言は法的なものになるため書き方に決まりがあります。決まりを守らずに書いた内容は無効となるので注意が必要です。
4.自分の葬儀やお墓を考える
具体的な葬儀・お墓の希望を考える
葬儀やお墓の希望は具体的に考え、エンディングノート等に書き残しておきましょう。考えるポイントとして、以下のものがあります。
・葬儀の規模(家族葬、一般葬、火葬のみ)
・葬儀に呼んで欲しい人
・お墓の種類(一般的なお墓、納骨堂、樹木葬、散骨など)
・費用(費用準備がある場合はその旨を伝える)
葬儀の生前予約やお墓の購入は自分の目で確かめてから
葬儀の生前予約やお墓の購入は、予約する葬儀社の担当者と直接会って話を聞いたり、墓地の様子を自分の目で確認してから予約や購入をしましょう。
パンフレットやホームページの写真・説明では伝わらないことがたくさんあります。また、そのような人目に触れる場に出す写真や説明文は、人に見られて恥ずかしくないように考慮してあるのです。
多少手間がかかりますが、自分の目で確かめる以上に確実なものはありません。
葬儀・お墓について家族に話しておくと安心
できれば、ご自分の希望や考えがまとまった段階(生前予約や購入の前に)で一度家族に話しておきましょう。葬儀やお墓はご自分ひとりの問題ではありません。家族全員が納得できるものになるよう話し合いをすることが大切です。
5.遺影写真の準備
遺影写真の準備は意外と大変
亡くなってから家族が遺影写真を準備するのは時間の制限があり、意外と大変なものです。遺影写真はお通夜の日には準備が整っていないとならないため、亡くなってからお通夜の間の数日で探す必要があります。
写真を撮ってもらう機会が多い方は問題ありませんが、そうでない方は十年以上前の写真になってしまったり、その人らしくない表情のものが遺影写真に使われることとなり家族も後悔が残ります。
そのため、あらかじめ遺影写真を準備しておくと本人も家族も納得の一枚を飾ることができ、家族の負担も減らすことができます。
遺影写真の準備は3パターン
遺影写真の準備には、
1.過去の写真から選ぶ
2.自分で撮影する
3.プロのカメラマンに撮影してもらう
の3パターンがあります。
1の場合は、複数人で写っていてもトリミング(切り抜き)加工ができたり、服装や背景を合成することもできるので安心です。
2の場合は、正面向きで胸から上が写るように撮影しましょう。明るさ等は修正できますが、ぼやけは修正できないので注意が必要です。
3の場合は、費用はかかりますがきちんとした一枚を残すことができます。撮影のみ(写真はデータでのお渡し)、プロのメイク付き撮影、など様々なプランがあります。
終活のメリットとは?
家族の負担を減らすことができる
大事な情報の引き継ぎ(財産、保険、親族の連絡先など)や自分の意思表示(葬儀、お墓、財産相続の配分など)があると、家族が悩んだり争うことを大幅に減らせます。また、家の整理については大変手間がかかることですので家族は大助かりです。
今後の生活の見通しが立ち、快適に過ごせる
お墓や葬儀の事などこれからの自分に関わることについて知り、決めておくことでモヤモヤとした不安がなくなり快適に過ごすことができます。どんなことであってもいつかはやらなきゃいけないと思いながら過ごすのは気持ちがスッキリしないものです。
特に、家の整理による効果は絶大です。家の一部を整理し終えただけで物も気持ちもスッキリしてくるのは誰でも経験があるのではないでしょうか。
今までの人生の棚卸ができる
エンディングノートを作成している時、家を整理している時、終活をすると昔の自分に出会うことができます。
昔の自分が考えていたことや思い出に触れ、「自分はこんな風に生きてきたんだ」「これからはこんな風に生きてみたい」など今までの自分とこれからの自分について理解を深めるきっかけになります。
終活を始めるタイミングは早ければ早いほど良い
終活を始めるタイミングは早ければ早いほど良いです。まだ終活を始めるには若すぎる・早すぎると思っている方、もしもの時はいつ起こるかわかりません。あなたが悪くなくても事故に巻き込まれることだってあるのです。
終活ですべきことを全てし終えるにはどれくらいの月日が必要だと思いますか?
一つの手続きをするにも手続きのために書類を集める時間、外出して手続きをする時間がかかります。
家の整理は1つの部屋を3日間で整理するとしても、3日間×部屋数が必要です。また、不用品をゴミに出すことやリサイクルショップに売る時間もかかります。
このように考えていくと、想像以上に多くの月日が必要になることがわかります。その意味でも余裕を持って早めに始めたほうがご自身が楽なのです。
そして、終活が終わって待っているものは死ではありません。
すっきりと整理された家、今後の生活に必要な準備が整えられている充実した日々です。
終活が終わってから10年楽しく生きることができた時は、またその時の自分に合った終活をすれば良いだけです。
そうすれば10年ごとにご自身の考えや生活スタイルに合った整理された家、今後の生活に必要な準備が整えられている充実した日々がずっと続いていくのです。
まとめ
今回ご紹介した終活ですべきこと5つの中で一番必要性を感じたものは何だったでしょうか。是非そのことから終活を始めて欲しいと思います。
やろうと思った時が一番良い時期です。明日からと言わず、どんなに小さいことでも良いので今日から始めて欲しいと思います。引き出し1つを整理するだけでも、終活の立派なスタートです。