「終活」とひとくくりに言っても、その内容は多岐にわたります。
相続、遺言、お墓、葬儀、生前整理など各カテゴリについて考えなければならず、もし全てを準備しておこうとすると骨が折れます。
そんな時は、終活サービスを使ってサポートをしてもらうと、終活の段取りや道筋もつけやすく、気が楽になるかもしれません。
今回は、終活サービスについて解説します。
終活とは何か
自らの寿命と向き合い、最期まで自分らしく、後悔の無い人生を送るための「人生を終える準備」のことを指します。新聞社が初めてメディアに掲載して以後、流行語になるなどして世間の注目を浴びているキーワードです。
現代の日本は、人生100年時代と言われているなか、核家族化が進んだり、隣近所同士の付き合いが希薄になっていたりと、コミュニティがどんどん狭まっています。昔は、誰かが亡くなったときは近隣住民も葬儀に駆け付けたものですが、最近は人の死という概念が「個のもの」、つまり故人に関係する人間がどんどん少なくなっていると考えられているんです。そのため、こんな心配をする方が増えているんだとか。
・自分が亡くなったとき、弔ってくれる人はいるのか?
・いるとして、どう弔ってくれるんだろう?
・資産や私物は処理してもらえるんだろうか?
家族がいる方もそうでない方も、突然のことに対する備えは必要です。自分の身の回りの状況を整理しておくことにより、家族に手間をかけさせないようにしたいと考える方が増えてきています。
そこで流行の兆しを見せているのが、終活です。残された時間を有効に活用するにはどうするか、いま自分が置かれている状況(資産や借金など)はどういうものかなどを棚卸することによって、万一の際に備え、不安を払しょくしておこうというアクションが、終活なのです。
終活サービスとは
終活サービスとは、終活に関する専門家に、終活を手伝ってもらえるサービスのことです。流行している終活も、細かく見ていくとなかなか複雑なものがあり、一人の力で終わらせようとすると難しいケースがあります。そんなとき、終活サービスを活用することによって迷いも少なく、スムーズに終活を進めることが可能になります。では、どんな内容のサービスを受けることができるのか、少しご紹介していきます。
生前整理代行サービス・遺品整理サービス
生前整理代行サービスは、終活を始めた方の私物整理を代行してくれるサービスです。
もちろん、ご自身が元気で活発に動ける間に、少しずつ整理を進めておくことでサービスへの対価を削減することは可能です。
しかし、高齢になってから終活を始める場合は、無理に一人で行わず、サービスの手を借りることも一つの手段です。
また、故人が亡くなってしまってから遺族の方が「遺品整理サービス」を利用することもあります。悲しみの中で遺品を整理するのが辛い、という方が依頼するようですね。また、終活の一環で高齢者住宅などに移住するというような場合も、もともとの居住が賃貸であれば、業者の力を借りてスピーディに片づけるという使い方もあります。
写真整理・スキャンサービス
生前整理において、なかなか処分が難しいのが写真です。
写真店や家電屋などでは、写真をデータ化してコンパクトなフォトブックやDVDにしてくれるサービスをしてくれるところがあります。
具体的には、富士フィルムなどが取り扱っています。
スマートフォンを活用している世代は、むしろフィルムから現像された写真を見る機会のほうが少ないかもしれません。ただ、過去から積み重ねられた想い出を写真という形で大事に保管している高齢者の方は意外に多く、整理が追い付いていないケースもしばしばあります。
終活サービスにおける写真の整理は、写真を1枚1枚デジタル化してDVDに取り込んだり、不要な写真を選別して必要なものを改めてキレイなアルバムにまとめたりといったものです。特にDVDへの取り込みは、写真の劣化もなく保存状態を維持することができるのがメリットです。
これも、自分でやろうと思うとなかなか手間のかかる作業ですが、サービスを活用することによって手間をかけずに行うことが可能になります。老人ホームなどに移転を検討している方にとっても、データや写真が集約されているほうが持ち運びにも良く、メリットが大きいですよね。
エンディングノートの作成支援
終活の代名詞ともいえるのが、エンディングノートの作成です。
終活サービスでは、このエンディングノートの作成支援をお願いすることができます。
エンディングノートとは、終活に取り組む方が「自分自身が死亡したとき」または「意思疎通ができない状態に陥ってしまったとき」に、どう対応してほしいかという希望などを書いておくノートのことです。
遺言書と混同されがちですが、遺言書はある程度様式が定まっていて法的な効力を持っているのに対して、エンディングノートは特に決まりというものがなく、法的効力も持っていません。そのため、ある程度自由が利くと考えることもできます。
ちなみに、どんな内容を書くのが一般的か、というと
- 意思疎通が取れなくなった場合の、延命措置を希望するか否か
- 介護が必要となった場合の、希望する事項
- どんな葬儀を行いたいか
などが挙げられます。
万一の際に、どう対応してほしいかという内容を記述しておき、家族の手間を減らそうというのがエンディングノートの目的です。
今では、インターネットなどでも手軽に入手できるようになりました。存命中から取り組んでおくことで、当人はもちろん家族との意思疎通を図ることができますので、サービスを活用していち早くすすめておくのがおすすめです。
記述について明確なルールがないことで、迷ってしまう方もいるようです。専門家のアドバイスを受けながら作成していくのも悪くないですよね。
施設の紹介、入所のサポート
終活サービスでは、今後利用する施設に関しても支援を受けることが可能です。ここでは、そのサービスのいくつかをご紹介します。
老人ホームの紹介
終活サービスは、終活に取り組む方が入居する老人ホームを紹介してもらうことができます。
ご主人や奥様が他界して、一人でお住まいになっている高齢者の方が居られます。家族としては同居するなどして、世話を出来る体制を作りたいと考えていても、職場が遠方であるなど様々な事情で同居できないケースもありますよね。
そんなとき、ヘルパーさんが常に在籍している老人ホームを検討するケースも多いのではないでしょうか。あるいは、自ら進んで老人ホームへ入ろうとする高齢者の方もいらっしゃるようです。
終活サービスでは、介護付き有料老人ホームやサービス付き高齢者向け住宅など、様々な施設を紹介してくれます。
葬儀関連
各葬儀社では、お葬式の生前予約を受け付けているところが数多くあります。
生前予約をしておくことでのメリットは、以下が挙げられます。
- 料金が割引される
- 希望通りのお葬式ができる
- 遺族にかかるお葬式の段取りや費用などの負担を抑えられる
いろいろな宗派がある仏教の葬儀においても、故人の希望に沿った形で進めることができます。エンディングノートに書いてあるけど、どこに連絡したらいいかわからない、といったときなどに活用すると便利ですね。
終活サービスを利用するメリット
効率が良くなる
終活サービスを利用することのメリット、第一にはまず作業効率が飛躍的に高まる、という点が挙げられます。
終活のオーソドックスな内容は、インターネットを調べれば続々と出てきます。エンディングノートを書いたり、遺言書を用意したり、私物の整理をすすめたり、といったものです。
しかし、一人で進めようと思うとなかなかの大仕事であることに直面します。エンディングノートの書き方を調べ、遺言書の様式を調べ、家中に鎮座している私物を片付けると考えれば、簡単なことではないと感じていただける方も多いのではないでしょうか。
そこで、就活サービスを活用することにより、作業の効率は大幅に上がります。作成物の支援を受けることができたり、私物の整理は力仕事になることもありますので、終活サービスによる支援は大きな助力になってくれることでしょう。
費用が明確になる
終活サービスを使うことによるメリットの二つ目は、かかる費用がある程度ではありますが明確になる、ということです。
例えば葬儀を例に取りましょう。仏教の葬儀においては、お坊さんへの依頼料、いわゆるお布施に関しては相場が設定されていません。お気持ち、と表現されるものなので、明確にいくらまで支払うべきなのかという点が不明瞭なのです。ある程度の経験値を持っている方なら、だいたいどのくらい、という当たりがつけられそうなものですが、葬儀というのはそう何度もあるものではありませんし、わかりにくいというのが正直なところです。
終活サービスで手配、検討を依頼することによって、どの程度の出費を見込む必要があるのかというのをざっくり把握することができます。そのためにいくら残しておかなければならないか、というのを確認することができるので、終活においては一度確認しておきたいステップです。
第三者の意見を取り入れられる
写真や私物の整理などで有効な使い方ですが、遺品を生前整理する段階で第三者の意見を取り入れられるのは大きなメリットと言えます。
故人の意思や想い出が詰まっている私物は、故人はもちろん家族にとっても処分するとなればなかなか踏ん切りがつかないものです。終活サービスを利用すれば、必要なもの、不要なものに関して第三者視点でのアドバイスが受けられるため、品物の整理が効率化します。
本当に残すべきものとそうでないものとがハッキリしますので、思い切って全く無関係の方からのアドバイスを受け入れましょう。思い入れが強ければ強いほど、捨てにくくなってしまうものは少なからずありますが、そこは終活ということで割り切っていくことも必要です。これからの人生に必要なものだけを集め、スムーズな終活を進めていきましょう。
まとめ
さて、ここまでで終活サービスがどういったものかをご紹介してきました。終活は自分の身の回りのことを整理していくものなので、どうしても自分ひとりで進めるものという風に考えられがちです。しかし、専門的な知識を有するサービスを利用することで、その効率やクオリティは高まっていきます。老若男女問わず始められる終活、サービスをうまく活用することで後悔のないものにしていきたいですね。