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親が孤独死したら?発見から葬儀までにすべきこと

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親の孤独死のイメージ1

一人暮らし世帯の増加に伴い、自宅で一人で亡くなる「孤独死」が増えています。

なかでも、高齢者の孤独死は、統計を取り始めた平成15年と比べ2倍以上に増えています。
親が一人暮らしをしている人は、他人ごとではありません。

もしも自分の親が孤独死をしてしまったらどうすればいいのでしょうか。
今回の記事では、親が孤独死した時の対応を解説します。

●もしも、親を孤独死させてしまったら?

もしも、自分の家族や身内で孤独死が起こったら、どのように対応しなければならいのでしょうか?

・孤独死とは?

孤独死とは、一般に「一人暮らしの方が、疾病や老衰によりご自宅で誰にも看取られずに息を引き取る」ことをいいます。法的に明確な定義はなく、現状では各自治体や機関がそれぞれ定義しています。警察庁の死因統計上では、変死に分類されています。

東京都福祉保健局が発表した東京都監察医務院の統計によると、平成29年に、東京23区内において孤独死した65歳以上の人は、3300人以上にのぼりました。この統計を取り始めた平成15年と比べ、2倍以上になっています。

参考:東京都監察医務院で取り扱った自宅住居で亡くなった単身世帯の者の統計(平成29年)|東京都福祉保健局

孤独死は、決して新聞記事やテレビのニュースのなかだけの出来事ではありません。身近で起こる可能性があるのです。

・孤独死はどのように発見される?

孤独死が発見されるのは、近隣の住民の方からの通報が多いです。通報のきっかけは次のようなことがあります。

・部屋から臭いがする
・新聞や手紙が溜まっている
・生協などの宅配サービスがそのままで利用した形跡がない
・虫が多く発生している

近隣とのお付き合いがある方は発見も早いですが、そうでない場合は日数が立ってしまうこともあります。

・疎遠にしていた親の死亡

進学や就職などで親元を離れる方も多いことでしょう。親と反りがあわずに家を出てしまった方や地元を離れると、たびたび実家に帰ることもかなわず、なんとなく疎遠になってしまった、という方もいらっしゃると思います。

医師の立会いの下で死亡した場合以外では、変死として警察に通報する義務があります。
他に親族がいなければ、警察から連絡がくる場合が多いです。

・音信不通の親の死亡

両親が離婚して離れた親と連絡を取らなくなった、なんらかの事情で行方不明になったなど、親と音信不通になっている方もいらっしゃると思います。

医師の立会いの下で死亡した場合以外では、変死として警察に通報する義務があります。
警察が亡くなられた方の身元を調査し、警察から親族の方へ連絡がくるのが一般的です。

●孤独死があった時の警察の対応は?

医師の立会いの下で死亡した場合以外では、変死として警察に通報する義務があります。通報を受けた警察は、どのように対応するのでしょうか?

・遺体の発見

多くの場合、腐敗臭がするなどの異常に気がついた近隣住民から、住宅管理会社や警察に通報されることで発見されます。
住宅管理会社や警察の立ち合いのもと、室内に入り、ご遺体を確認します。
警察にて遺体の検案が済むまでは、不審死扱いになります。

・現場検証・検死

警察が到着した後、現場検証が行われます。あわせて家宅捜索も行われます。
貴重品(通帳・印鑑・金品など)通帳や現金など貴重品は、一時的に警察が没収します。
現場検証の間は、警察関係者以外は立ち入ることができません。

・警察が親族を調査

検死により、ご遺体の身元が判明したら、死体検案書と遺体を遺族に渡します。
警察が家宅捜索の際に得た情報などから遺族関係を調べ、親子、兄弟、親戚など血縁関係の近い順に連絡をとります。

孤独死の場合、親族が見つからないことも多いようです。また、親族が見つかっても、遺体の引き取りを拒否される場合も少なくありません。

・親族に引渡し

警察または自治体が探した親族のなかで、血縁関係の近い順に連絡がきます。

警察から死亡状況の報告があり、家宅捜索の時に一時没収された貴重品や住居の鍵などを受け取ります。
親族は、本人かどうか遺体の確認をする必要があります。

死因に事件性がない場合、親族が遺体を引き取るように依頼されます。遺体の引き取りが決まった親族が葬儀の手配や遺品整理を行います。
この時、遺体を安置する場所や遺体を運ぶ手段などを検討する必要があります。

遺体は限られた車両(霊柩車)でしか運ぶことができませんので、葬儀社に依頼し、手配してもらうのが一般的です。

・孤独死した親の引き取りは拒否できるか?

警察が血縁関係を探しても、見つからない場合もあります。
血縁関係があっても遠縁だったり、近親者でも事情があれば引き取りを望まない場合もあるでしょう。
親族でも、遺体の引き取りを拒否することはできます。

身元不明の場合や遺体を引き取る親族がいない場合は、地元自治体が「行旅人扱い(行旅病人及行旅死亡人取扱法)」により火葬にします。
遺骨の引き取り手もない場合、一定の保管期間を経て、無縁仏として合祀墓に納められて供養されます。

ただし、自治体にて火葬された費用や埋葬された費用は、後から法定相続人や扶養義務者などに請求されます。
相続放棄する、しないに係らず、支払いの義務は生じます。

●親が孤独死をしてしまったらすべきこと

警察から連絡がきた場合、親族は何をすべきでしょうか?

・遺体の確認、遺留金品の引取り

警察からの連絡がきた後、警察に出向き、死亡状況の報告を受けます。
親族は、本人かどうか遺体を確認します。確認できたら、遺体が引き渡されます。

警察による捜査で事件性がないと判断されたら、家宅捜索の際に預かりとなっていた貴重品や鍵などが返却されます。

・監察医から「死体検案書」を受け取り

自宅での孤独死など、医師が経過を把握してない場合の死亡は、医師による検案が必要となります。

検案とは、死亡を確認し、死因や死亡時刻、異状死との鑑別を総合的に判断することです。
検案した結果、死亡に不審点がないと判断されたら、検案した医師により、死体検案書が作成されます。

死体検案書は、A3サイズで左右半分に分かれており、右側が「死亡診断書」兼「死体検案書」、左側が「死亡届」となっています。
医師の立会いの下に死亡した場合は「死亡診断書」となります。
自宅で亡くなった場合でも、治療中の病気が原因の場合は死亡診断書を用いることもあります。

死体検案書発行の費用は、地域や病院の規模などにより異なりますが、30,000~100,000円程度です。
死亡診断書の相場が5,000~8,000円程度であるのに対し、かなり高額になっています。この費用は遺族が負担します。

・市町村役場へ「死亡届」の提出

「死亡診断書」兼「死体検案書」は一枚の書類となっています。
医師から死体検案書あるいは死亡診断書を作成してもらった後、死亡届を提出します。
死亡届は死亡の連絡を受けた日から7日以内に提出します。

自治体によっては、先に火葬場の予約をしないと、死亡届を受け付けてくれないところもあります。
葬儀社が死亡届の手続きを代行してくれることもありますので、早めに葬儀社を探しましょう。

・葬儀

遺体の状況を考慮して葬儀の内容を決める必要があります。

孤独死の場合、発見まで時間が経ち、遺体の損傷が激しいことが多く、亡くなった地区で火葬されることも多いです。
他の地区で火葬する場合は、遺体の搬送費用もかかります。分からないことがあれば、葬儀社の担当の方に事前に確認しましょう。

・住居の清掃

孤独死では、発見されるまでに時間が経っている場合もあります。
遺体から出る体液による汚れや悪臭など、通常の清掃では難しい場合が多くあります。

そのようなときには、特殊清掃の専門業者を手配します。
特殊清掃業者は、ご遺体から出たシミやにおいを落とし、害虫駆除やお部屋の原状回復までをサポートする業者のことです。

賃貸物件やマンションなどの集合住宅に住んでいたら、不動産管理会社と相談し、明け渡し日と現状回復の程度を話し合いましょう。
不動産管理会社から特殊清掃業者を紹介してもらえることがあります。

部屋の片づけと同時に、遺品の整理をする必要があります。遺体発見まで時間がかかり、現場に立ち入ることが難しい場合は、遺品整理も業者を雇う方法もあります。

なお、相続放棄する場合は賃貸住宅の解約や清掃、遺品の整理はしないほうが無難です。

近年、高齢者の孤独死が増えるとともに、賃貸物件での家主と遺族間での紛争が増加しています。
家主側としても、被害が大きく、相続人や連帯保証人への損害請求をしなければならない状況も増えています。

賃貸物件での自殺や孤独死は、法律で明確に賠償方法が定められていません。
建物の立地や周囲の状況、間取りや入居者の属性などから判断されるため、一般の方では適切な判断ができません。

家主との話し合いがつかない場合は、専門の弁護士にご相談ください。

・手続き・届け出

亡くなった方の名義で契約していたものは、名義変更や解約が必要です。

特に亡くなった方が世帯主の場合は、世帯主の変更や公共料金の名義変更をできるだけ早く行ってください。
年金や健康保険の状況も調べ、死亡を届け出なければなりません。また、クレジットカードや携帯電話などの解約も必要です。

預貯金や不動産、株式などは、死亡直後から相続人の共有財産となります。相続が確定するまで名義変更はできません。
まずは、相続人の間で協議を行い、相続を確定します。

●孤独死した親の葬式はどうしたらいいの?

親族が遺体を引き取った後、火葬や埋葬が必要になります。葬式は誰があげるのか、その費用を負担するのは誰なのでしょうか?

・疎遠の親でも葬式をあげるべき?

葬儀をあげるべきかどうかは、親族間で十分に話し合ってお決めください。
孤独死の場合はご遺体の状態もあり、お通夜、葬儀式、告別式といった儀式をせずに、火葬場での火葬・拾骨だけで故人を見送る直葬を行う場合も多いです。

ご遺体の引き取りを拒否することもできます。
その場合は、地元自治体により火葬されます。

遺骨の引き取り手もない場合、一定の保管期間を経て、無縁仏として合祀墓に納められて供養されます。

・葬儀社へ依頼

孤独死専門の業者はほとんどありません。
ご遺族の方が一般の葬儀社へ依頼することになります。
近年は、ご家族だけで行う「家族葬」や、ご親族だけの「密葬」が増えてきています。

孤独死の場合はご遺体の状況もあり、火葬のみの「直葬」が選ばれることも多いです。

・葬式の費用はどうするの?

葬儀の費用は、基本的に喪主の負担となります。どのような葬儀の形式にするかで、費用は大きく変わります。
葬儀業者との相談のうえで葬儀内容をお決めください。

ご遺体の引き取りを拒否した場合、地元自治体が火葬や埋葬を行いますが、その費用は後から法定相続人や扶養義務者などに請求されます。相続放棄しても、支払いの義務は生じます。

●相続放棄をするなら注意すべきこと

相続放棄をするなら、遺品の扱いや賃貸住居の解約に注意しましょう。
場合によっては、単純承認になってしまうので、気をつけてください。

・遺品の整理

相続放棄をする場合、住居に残された残置物(遺品)を勝手に処分してはいけません。
基本的には

遺品は相続財産とみなされます。相続財産を一部でも処分すると、単純承認した(相続を認めた)ことになり、相続放棄はできなくなります。

遺品の中で、あまり価値が高くない物を、形見分けとして持ち帰る程度なら問題になることはほとんどありません。
ですが、常識の範囲を越え、高価な骨董品や貴金属など価値のあるものを分けてしまうと、単純承認したとみなされ、相続放棄ができなくなります。

・預貯金はどうするの?

原則として、被相続人(亡くなった方)の預貯金は何もさわらないことです。預貯金の引き出しや解約・名義変更などをやってはいけません。

銀行口座の解約や名義変更をする場合には、その銀行所定の相続手続申込書などを提出する必要があります。遺産を相続する手続きが必要となりますので、当然、相続放棄はできません。

通帳やキャッシュカードなどが手元にある場合は、遺品とあわせて保管しておきましょう。

・賃貸の解約はしないほうがいい?

相続放棄をした場合、被相続人(亡くなった方)の財産を一切放棄したことになります。賃貸住宅に関しても、被相続人の貸借人としての立場も相続放棄したことになります。

相続放棄した相続人には、賃貸住宅の解約に関して何の権利もありません。原則として賃貸住宅の解約をしてはいけません。もし、相続人が賃貸住宅の解約をしてしまうと、単純承認した(相続を認めた)とみなされ、相続放棄の事実が認められなくなります。

被相続人が孤独死した場合、住居の清掃や片づけを求められることがありますが、相続放棄をする場合、対応する義務はありません。管理会社から費用の請求がきても、応じる必要はありません。

ただし、賃貸借契約での連帯保証人になっている場合は、相続放棄とは関係なく、原状回復に伴う費用などを支払う義務があります。ご注意ください。

なにが単純承認に相当する不明な場合や、賃貸借契約での大家との話し合いがつかない場合は、専門の弁護士へのご相談をおすすめします。

●まとめ

親が孤独死してしまってから葬儀までの流れを解説しました。

まず、親の孤独死が発見されたら、ほとんどの場合は警察から連絡が来ます。
連絡が来たら警察に出向きます。本人確認後、遺体が引き渡されます。
この時、遺体の引き取りを拒否することもできます。
検案後、監察医から「死体検案書」を受け取り、役場に行って死亡届を提出します。
葬儀は直接火葬のみで済ませる「火葬」が一般的です。
この他、遺体の状態が良くなかった場合は、特殊清掃業者を手配して原状回復をしてもらう必要があります。

ただし、相続放棄を考えている場合は、部屋や家財には触らない方が無難です。
大家に相続放棄の旨を伝えて、対応してもらいましょう。

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