冠婚葬祭時に互助会という存在があることをご存知ですか。冠婚葬祭時のサービスを提供してくれる組織のことです。
葬式など、大きな支出がある時には非常に助かる組織です。
そこでここでは、葬式の時の互助会とはどういうもので、加入することにはどのようなメリットとデメリットがあるのか、という点について解説して行きます。
目次
■互助会とはどんな制度か
・互助会とは葬儀費用を補助しあう団体
・互助会は第2次大戦後に生まれた
・互助会の仕組みとは
■互助会は得?メリットとデメリット
・互助会のメリット
└葬儀が低価格で行える
└積み立て中に亡くなっても利用できる
└斎場や施設を優待価格で利用できる
└全国どこでも利用できる
└掛け捨てではない
└物価変動に強い
・互助会のデメリット
└解約手数料が割高
└利用できる斎場や施設が限られている
└希望の葬儀プランがないこともある
└高額な追加費用が必要な場合も
・互助会は倒産する可能性もある
└引っ越し時に互助会を移籍できない場合がある
・どういう人にとって入る意味がある?
■互助会の会費はどれくらい?
・会費の相場
・途中で解約はできる?
■互助会のトラブル事例
・事例1:積立金の使途が限定されてしまっていた
・事例2:加入している互助会葬儀社とは違うところで葬儀をあげてしまった
・事例3:互助会の解約を申し出たが、受け入れてもらえない
・事例4:互助会加入時と状況が変わっているのに対応してもらえない
・事例5:互助会が倒産したため解約ができない
互助会とはどんな制度か
そもそも「互助会」とはどのような組織、制度なのでしょうか。
互助会とは葬儀費用を補助しあう団体
互助会とは、結婚式や葬儀などの冠婚葬祭行事の費用を賄うために、お金を積み立てていくサービスであり、それを運営する組織のことです。
積み立てる費用は比較的安く、その一方で積立金額に対して提供されるサービスを金額に換算した場合の想定利率が市中の銀行金利などよりも高いことが特徴です。
そのようにして会員相互で助け合う組織という意味で、互助会というのです。
互助会は第2次大戦後に生まれた
互助会の歴史は第2次世界大戦後までさかのぼります。
戦後の誰もが貧しい環境の中、その一方では確実に冠婚葬祭時には費用が必要になるため、その費用をお互いの会費の積み立てを融通することで賄うという主旨で設立されました。
日本に最初に互助会が設立された時には、非常に画期的な出来事としてとらえられ、新聞記事が出たほどです。
その互助会の利便性は戦後の貧しい社会に受け入れられ、急速に全国に普及していきました。
現在では、互助会制度を運営している組織は200社以上だと言われています。
互助会の仕組みとは
互助会は、経済産業大臣が認可する事業です。
互助会の会員は、毎月一定額の掛け金を積み立てていき、冠婚葬祭が行われるときに、その積立金に利息額をプラスした給付金に相当するサービスとして、互助会運営会社の経営する会場で割安に冠婚葬祭を行えます。
また互助会員本人の冠婚葬祭ではなく、会員の家族の冠婚葬祭時でもサービスの提供は可能です。
互助会で利用できるサービスの範囲
互助会に加入している会員が葬儀を行う際に、どの範囲でサービスを受けられるのでしょうか。
概略で言えば、葬儀を執り行うほぼすべてを網羅できるといってよいでしょう。
詳細はその互助会によって異なりますがおおむね以下のものが互助会費で行うことができます。
・祭壇
・位牌
・遺影写真
・枕飾り祭壇
・棺
・納棺用品
・棺関連備品
・高張提灯
・受付用具一式
・会葬帳、香典帳等
・焼香用具一式
・忌中紙
・霊柩車
・死亡届代行
・家紋入り幕
・看板(門標)
・会葬礼状
・ドライアイス
・寝台車
・受付用天幕
・通夜照明設備
・喪服
・後飾り祭壇
・音響設備一式
・案内看板
ただし、これらは積立金のみで全額賄えるものではなく、費用負担を軽くできる項目です。
互助会は得?メリットとデメリット
このような互助会に加入するメリットとデメリットには何があるのでしょうか。
互助会のメリット
葬儀が低価格で行える
互助会は、毎月の積立金額が最低1,000円からプランが用意されています。
その金額を5年から10年払いこめば、一応誰が参列しても恥ずかしくないだけの葬儀を行うことができます。
積み立て中に亡くなっても利用できる
互助会の積み立てを満額行わないうちに亡くなった場合でも、契約金額との差額を支払えば満額積み立て時と同様の互助会サービスを利用できます。
斎場や施設を優待価格で利用できる
互助会に加入していると、加入した互助会の運営する斎場を優待価格で利用できます。
全国どこでも利用できる
互助会で積み立てていて途中で引っ越した場合でも、その互助会の営業エリア内であれば、全国どこの施設も利用できます。
掛け捨てではない
よく勘違いしがちな点が、互助会は葬儀保険と同様の掛け捨て保険ではないのかということです。
しかし互助会は、解約することが可能で、解約した場合には手数料を差し引いた残額が受け取れます。
物価変動に強い
保険などは積み立てた金額が現金で返戻されるため、物価が常用してしまっている場合は、実質的に積み立てた額よりも価値が目減りした金額しか戻ってこない場合も多々あります。
しかし互助会は現金での返戻ではなく、葬儀や結婚式などのサービスの形で還元されますから、物価の影響を受けません。
互助会のデメリット
解約手数料が割高
互助会を中途で解約すると、解約手数料がかかりますが、この手数料率は掛け金に対して15~20%とかなり割高です。
利用できる斎場や施設が限られている
互助会に加入していると、割安な斎場や施設が利用できますが、しかしその斎場や施設は全国どこにでもくまなく存在しているわけではありません。
したがって利用しようという場合は、立地的に不便な施設を選択しなければならないこともあります。
希望の葬儀プランがないこともある
互助会のサービスは、加入している互助会の提携斎場でしか受けられません。
したがってその斎場が用意している葬儀コースしか利用できないため、斎場によっては高額なコースしかない場合もあります。
高額な追加費用が必要な場合も
互助会の葬儀プランは基本的なものだけを押さえています。
したがって、もしプラン外のグレードアップやサービスを追加した場合は、互助会に関係なく費用が掛かります。
プランの内容と、実際に行いたい葬儀に隔たりがあると、かえって損をしてしまう場合もあります。
互助会は倒産する可能性もある
互助会は1つの企業団体なので、倒産する可能性もあります。
仮に倒産した場合は。積み立てした金額の半額しか返還されません。
引っ越し時に互助会を移籍できない場合がある
実は互助会は2つの系統に分かれます。
1つは、経済産業大臣から互助会の営業許可を受けている企業の80%が加盟している「一般社団法人全日本冠婚葬祭互助協会」系統です。
そして残りの20%は「全国冠婚葬祭互助会連盟」やその他の組合に所属しています。
引っ越した時に、加入していた互助会の施設がその場所にないため、ほかの互助会に移籍しようという場合は、同じ団体に加盟している互助会であることが条件になります。
したがって、加盟数が少ない団体に所属している互助会に加入している場合は、引っ越し先に移籍できる互助会がない場合もあるのです。
どういう人にとって入る意味がある?
以上のようなメリットとデメリットがある互助会ですが、どのよう人加入するのでしょうか。
以下に該当するような人たちは、加入する意味があるでしょう。
・多くの参列者を招いた大規模な葬儀を行う可能性がある場合
・即金では葬儀費用を支払えないが、毎月では相応の余裕の金額がある場合
・葬儀費用を子供や孫に負担させたくない場合
互助会の会費はどれくらい?
互助会の会費の相場はどうなっているのでしょうか。
会費の相場
互助会の会費は、その互助会によって異なりますが、一般的には1口の契約金金額240,000円に対して、積立費用の相場は以下のようになります。
・毎月3,000円×80回
・毎月5,000円×48回
・一括228,000円×1回
途中で解約はできる?
互助会は、申し出れば途中解約が可能です。
しかしその場合返還されるのは積み立てた全額ではなく、おおよそ積立金額の15~20%の解約手数料が差し引かれた、以下のような金額になります。
●毎月3,000円×80回=240,000円のコースの例
・積み立て回数1回~4回まで:返戻金なし
・積み立て回数5回: 1,820円の返戻
・積み立て回数6回以降:1回あたり2,910円加算
・80回完納:220,070円返戻
●毎月5,000円×48回=240,000円のコースの例
・積み立て回数1回~2回まで:返戻金なし
・積み立て回数3回: 2,000円返戻
・積み立て回数4回以降:毎回4,910円加算
・48回完納:222,950円返戻
●一括228,000円の例
・返戻金215,160円
互助会のトラブル事例
互助会はお金を積み立てることなので、それにまつわるトラブルも少なからず発生しています。
以下その事例を5つご紹介します。
事例1:積立金の使途が限定されてしまっていた
積立金額を130万円行ったが、その使途として祭壇の費用が含まれていなかったという例です。
この場合、祭壇以外で使用した金額の残額を使用する権利は残っていますから、規約に含まれている使途で何回かに分けて使っていくしかありません。
事例2:加入している互助会葬儀社とは違うところで葬儀をあげてしまった
葬儀を行う場合、故人が互助会に加入していることを知らずに、ほかの葬儀社で葬儀を行ってしまった例です。
その際には、互助会を解約するしかありません。解約時には上で挙げたような解約手数料がかかりますので、積立全額は戻ってきません。
ですから葬儀を行う際には、故人が互助会に入っていないか、あるいは自分がかつて互助会に入っていたことがないかを確認しましょう。
事例3:互助会の解約を申し出たが、受け入れてもらえない
互助会によっては解約を避けるため、解約を申し出てもさまざまな理由をつけて手続きを進めてもらえない場合があります。
その場合は地域の消費者センターに相談する、経済産業省の取引信用課に相談する、弁護士に相談するなどの方策をとりましょう。
事例4:互助会加入時と状況が変わっているのに対応してもらえない
互助会加入時には標準的な葬儀を行おうと思っていても、実際に亡くなった時には故人が高齢で知り合いが少なくなっているため、家族葬にしておこうというケースもあります。
しかし互助会加入時に「積立金は80万円以上の葬儀プランの場合のみ利用可能」などの縛りがある場合、現状の事情に対応してもらえません。
その場合は解約手数料を支払って解約してほかの葬儀社で希望の葬儀を行うか、互助会加入時にしっかりと説明を受けていないと言える場合は弁護士や消費者センターなどに相談しましょう。
事例5:互助会が倒産したため解約ができない
互助会が倒産したため、互助会組織を引き継いだ互助会会社に解約を申し出たにもかかわらず、会員証が倒産会社のものだからとして解約を受け付けてくれない場合があります。
しかし、仮に倒産していても、前の互助会を引き継いだ新しい互助会には、前の互助会の義務も引き継がれています。
特に解約については返金に応じるようにというと経済産業省の通達がありますので、しっかりと交渉すれば大丈夫です。
まとめ
まとまった現金が用意できない中、毎月の少額の積み立てで、世間並みの葬儀が行える互助会は大きな魅力です。
しかしそこにはデメリットも存在しますので、メリットとデメリットをよく考え、契約内容をしっかり確認したうえで加入しましょう。