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法事・法要

キリスト教にも法事にあたる行事はある?参列のマナー

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キリスト教のイメージ1

法事というと四十九日や一周忌を思い浮かべる人とも多いでしょう。
しかしこの四十九日などはあくまで仏教におけるあの世や霊魂の考え方に基づく法要です。
したがって全く異なった教義や世界観を持つキリスト教の場合は四十九日などは行いません。
だからと言って故人が亡くなった後に何の宗教行事も行わないわけではなく、キリスト教にはキリスト教の法事があります。
そこでここではキリスト教における法事について解説します。

■キリスト教は法事の代わりに何をする?

キリスト教と一口で言っても、仏教に浄土真宗や曹洞宗があるように、キリスト教の中にも教派があります。
その代表的なものがカトリックとプロテスタントであり、それぞれに行う追悼行事が異なります。

・カトリックの場合

まずカトリックの場合の法事です。

仏式の49日・神式の50日祭の代わりは「追悼ミサ」

カトリックでは、仏式の法要に当たるものを「追悼ミサ」と言います。
具体的には故人が亡くなってから、3日目、7日目、30日目に行います。この追悼ミサも仏教の法要と同様に、遺族だけではな親せきや友人、知人を招きます。

さらに亡くなって1年後の命日、キリスト教で言えば「昇天日」に死者記念のミサを盛大に行います。
仏教の場合は、一周忌のあとも三回忌や七回忌など節目の年度で法要を行いますが、カトリック場合は特に決まった法要はありません。
遺族の気持ちに応じて、毎年命日に追悼ミサをったり、10年目、20年目の節目の年に盛大なミサを行う場合もあります。

追悼ミサの内容は、まず聖歌を全員で歌い、そのあと聖書の朗読と神父の説教があり、最後に全員で祈祷します。
追悼ミサの後は、教会の別室や会場を用意して茶話会などを開く場合も多いです。

お盆、お彼岸の代わりは

仏教においてはあの世からこの世に亡くなった人の霊魂が戻ってくる日としてお盆やお彼岸がありますが、カトリックでは、毎年11月2日を「死者の日」として、教会で死者のための特別ミサを行います。

・プロテスタントの場合は「記念式」

カトリックに対してプロテスタントの場合はどうなのでしょうか。

プロテスタントではミサと言わずに「記念集会」「記念式」と言います。

記念集会は故人が亡くなって1週間目か10日目、あるいは1カ月目の昇天記念日に自宅や教会で行います。
やはり遺族のほかに親類、友人知人が参列し、カトリックの神父にあたる牧師を中心に全員で聖書を朗読し、礼拝します。
礼拝の後は追悼のための茶話会を催します。

この記念集会の後は1年目、3年目、5年目、7年目の昇天記念日に追悼の記念集会を行います。

・カトリックとプロテスタントの違いとは

初めて聞いた人もいるでしょうから、ここで簡単にカトリックとプロテスタントの違いについても触れておきましょう。

カトリックとは

カトリックという教派がいつ頃始まり、教会が設けられ、ミサが行われるようになったのかは定かではありません。
しかし一般的には、今から1900年前の2世紀の半ば以降、つまりキリストが亡くなって150年目以降に、徐々に成立していったと言われています。

その時代のヨーロッパを支配していたのはローマ帝国ですが、キリスト教が発祥した紀元後1世紀から4世紀までは、ローマは多神教の国家であり、その多神教を異教として攻撃していたキリスト教は、ローマ帝国によって迫害されていました。
しかし西暦312年にローマ皇帝コンスタンチンが自らカトリックの信者になったことを契機に、一気にキリスト教、それもカトリックがローマ帝国の国教になりました。

カトリック教会の特徴は、教皇、司教、神父がキリストの教えを代弁するものとして、大きな権威を持っていたことです。
実は聖書も一般人には読ませることをせず、教会で秘匿をして、神父だけが読んでいたのです。
そしてミサの時だけ、神父が聖書を朗読して、キリストの教えを伝えました。

ですからカトリックにおいて1番権威のあるものは教会であり、聖書は2番目だったのです。

プロテスタントとは

プロテスタントとは「抵抗者」という意味の言葉です。
すなわちプロテスタントはカトリックの教義や、教義だけではなく教会を中心にした権威主義に歯向かう形で創始されました。
その始まりは1517年のルターによる宗教改革宣言です。

この当時のカトリックの最高権威者であるローマ教皇はイタリアのローマに巨大な「サン=ピエトロ大聖堂」という寺院を造営する計画を立てていました。
サン=ピエトロ大聖堂は、今もバチカンに残る、カトリックの総本山です。
しかしこの造営の費用がなかなか捻出できなかったために、カトリックは「免罪符」の販売を始めました。
これは人間が生まれながらにしてもっている罪や、生まれてから数々犯した悪事を清算して、購入した人が誰でも天国に行ける、とした証書です。

この免罪符によって資金集めをするというカトリックのやり方に反発したのが、ドイツのマルチン=ルターとフランスのカルヴァンです。
なぜなら免罪符の考え方は「金持ちは何をしても天国に行けて、お金のない人は天国に行けない」ということだったからです。

カルヴァンは「天国に行くかどうかは神が決めるので誰も変えられない。できることは生きている間に善行を懸命に行うことだけだ」と主張しました。
この教えに賛同した人たちが、カトリックを離れ、独自の教義で活動を始めました。
このカトリックに対抗した人たちを、抵抗者という意味の「プロテスタント」と呼んだのです。

この一連の動きを「宗教改革」と言います。

カトリックとプロテスタントの違いは

このようにカトリックとプロテスタントはそもそもの発祥の仕方から相いれないものなのですが、その教義も対照的です。

両派とも第1の権威があるのは神だとしている点は変わりませんが、カトリックの場合は神に次ぐ存在として、神の言葉を代弁する教会に権威があるとしています。
したがって、カトリックでは大規模で豪華な装飾の聖堂を設け、伝統に則った荘厳な儀式を行います。
また教会の組織もローマ教皇を頂点に、その下に枢機卿がいて、さらに司教、神父というようにピラミッド構造になっています。

これに対してプロテスタントでは神の次に重要なのは、神の言葉が記されている聖書で、それ以外の権威はない、という考え方をしています。
ですから教会もあるにはありますが、非常にシンプルである意味質素なものです。
牧師には権威はなく、ただ記念集会を主催し、信者が聖書を読む場を提供するという立場です。

このようカトリックとプロテスタントは考え方も立場も真っ向から対立しています。
そのため長らく様々な抗争が繰り広げられましたが、近年になって両者の関係は雪解けし、非戦平和や核兵器反対などの宣言を共同で発表したりしています。

■キリスト教の追悼行事はいつまでする?

キリスト教の追悼行事はいつまでするという決まりはありません。
ただカトリックでもプロテスタントでも、亡くなって1年目の命日に法要を行うことは共通しています。
それ以降は、先ほど書いたように、遺族の意思によって毎年命日に法要を行ったり、3年、7年と言った節目に法要を行ったりしています。

ですから、極端に言えば、キリスト教では少なくとも1年目の法要を行った以降は、全く法要を行わないこともあるのです。

■参列するときのマナーはどういうもの?

自分が仮に仏教徒でも、キリスト教の法要に招かれることがあるでしょう。
その場合の服装、香典などのマナーはどうしたらよいのでしょうか。

・案内状には早めに返事を

仏教の法要の場合と同様に、キリスト教でも法要は案内状によって参列の招待がされます。仏教の法要の場合も、相手の都合を考えてできるだけ早く返事を出しますが、この点はキリスト教でも同じです。

仏教の法要の後の会食ほど正式ではなくても、キリスト教の場合も法要後には茶話会を開きます。
遺族はその準備のためにも参列者数を把握したいはずなので、案内状が届いたらできるだけ早く返事を出しましょう。

欠席する場合は、返信用のハガキなどにお詫びの言葉を添え、法要の当日にはお菓子や果物、生花などを送るとベターです。

・香典はどうするか

キリスト教の法要に出席する場合も、仏教の法要の時と同様に香典を持っていくことが一般的なマナーです。
金額は1万円程度が普通ですが、故人と特に親しい場合は、3万円程度を包むこともあります。

香典の表書きは仏教の場合と違いますので注意しましょう。香典の表書きは「御花料(おはなりょう)」「御花輪料(おんはなわりょう)」などで、カトリックでは「御ミサ料(おんみさりょう)」、プロテスタントでは「忌慰料(きいりょう)などと書く場合もあります。

「御霊前(ごれいぜん)」という表書きは、ほとんどのキリスト教の宗派で通用しますが、プロテスタント福音派などでは教義から外れるとされ、この表書きはマナー違反になりますから、キリスト教の場合は最初から「御霊前」を使わない方が無難でしょう。

また香典は白い封筒に入れ、水引はかけないのが一般的です。

・服装はどうしたらよい?

キリスト教の法要における服装は仏教の場合と同様に、略式喪服が一般的です。

男性の場合は、ダークスーツに白い襟付きのシャツをつけ、黒または地味な色の柄が目立たないネクタイを着用します。
靴下も黒にしておいたほうが良いでしょう。

女性の場合は黒やグレーなど地味な色のスーツかワンピースです。
ノースリーブやミニスカートなどの肌が露出される服装はNGです。
アクセサリーやメイクも控えめにして、バッグなども光りものの金具がついていないものにしましょう。

ただし、中には案内状に平服でお越しくださいと書いてある場合もあります。
しかし平服とはカジュアルな服装のことではありませんから要注意です。
法要の場合の平服とは、男性であればやはりダークスーツ、女性であれば派手な色ではないワンピースなどです。

■まとめ

キリスト教の法要に招かれた場合、どのような用意をすればマナー違反にならないか心配だった人も、これですっきりしたのではないでしょうか。
仏教でもキリスト教でも、大切なのは故人を偲び、遺族の気持ちを思いやる姿勢です。
その姿勢を持ちながら、ここで解説した内容を参考に、大人の常識に沿った、キリスト教の法要への参列を行いましょう。

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