終活ガイドとは、一般社団法人 終活協議会が運営する終活の資格です。
端的に言うと、終活の相談相手ができる資格のことです。
終活の知識は、他の人のサポートだけでなく、自身の終活についても役立ちます。
今回は、終活ガイドについて解説します。
そもそも終活ってなんだ?
万一の際に、家族に手間をかけないための準備
終活とは、自分の死を受け入れて、残りの人生を有意義に生きようとする生前活動のことです。
生前整理といって、資産や私物、交友関係をあらかじめ整理しておくことで、万一の際でも家族に手間をかけずに弔ってもらうという目的があります。
実はこの終活、これをやらなければならないという厳密なルールがありません。いざ取り組もうと思っても、何をすればいいのかが分からないという方もおられます。迷ったりわからないことが出てきたとき、便りになるのが終活ガイドという存在です。
終活でやるべきこと
自分の身の回りを整理することが必要です。
財産がどの程度あって、処分すべきものとそうでないものを分けたり、どのお墓に入れてほしいかなどの希望を残したり、万一の際の延命措置を望むかどうか、といったものがオーソドックスな内容です。
これらの情報はエンディングノートと呼ばれるものにまとめたり、専門家の指導のもと遺言書に残したりといった作業が必要になります。自分に残された時間を有意義に活用する、万一の場合に自分がどうしてほしいかを家族に伝えるといった意味合いがあり、昨今流行の兆しがある活動です。
ただ、一点注意しておきたいのはエンディングノートと遺言書の違いです。エンディングノートは、自分の生い立ちなどを含めて比較的自由な内容を記入することができますが、法的な拘束力は一切持っていません。一方、遺言書は法的な効力をもつ書面ですので、専門家の指導の下で作成する必要があります。いい加減な方法で作成してしまうと、無効となってしまうケースもありますので、遺族にしっかりと要望を伝えたい場合は指導を仰いで作成しましょう。
終活ガイドとは?
終活ガイドとは、一般社団法人 終活協議会という団体が認定している、民間資格です。医療や介護、保険や相続など終活に関する知識を有しており、終活全般に関する適切なアドバイスをしてくれます。
とはいえ、民間資格ですのでこの資格を基に独立しているというケースはほとんどなさそうです。ファイナンシャルプランナーや保険代理店、葬儀社などに在籍しながらこの資格を取得することで、実務に活かしているというケースが多いようですね。
後述しますが、終活ガイドには比較的簡単に資格が取得できる初級と、およそ2週間ほどの準備期間を必要とする上級との2種類が存在しています。実務として生かせるのは、現時点では終活ガイド上級のみと言われています。
終活ガイドの仕事って?
終活ガイドは、読んで字のごとく、終活に関する手伝いをすることが仕事です。インターネットなどで調べるだけでも色々な情報が出てきますが、終活は意外と取り組むべき事項が多く、また法律に近い部分も確認する必要が出てきます。
例えば相続関係です。終活は、エンディングノートや遺言書の準備を進めていくことになりますが、資産の情報や保険証券などを一緒にまとめる場合があります。もし、故人に借金などがある場合はそちらを含めて相続するか、もしくは放棄するかといった判断が必要になり、専門家の意見が求められることもあるでしょう。終活ガイドの資格を持つ方が、他資格も併せて保有している背景にはそういったことも関係していそうですね。無資格で士業の仕事を行うのは違法ですので、その点は要注意です。
また、終活に取り組む方の相談に乗っている過程で、税理士や行政書士などの専門家に取り次ぎを行う窓口になることもあります。資格化してからまだ日が浅いこともあって、明確なものが確立されていないところもありますが、高齢化社会を迎えている日本においては今後が有望視されている資格です。
終活ガイドにはどうしたらなれる?
終活ガイドを取得する方法について解説します。
終活ガイドは講習と筆記試験のみ
終活ガイドの資格は、途中に休憩時間を挟んだ3時間ほどの講習と確認テストを受ければ取得することができます。思っているよりも、難易度としては高くないですよね。
その講義の中で、葬儀や介護、相続や保険などにまつわる知識を習得できるので、なにか資格を取りたいと考えているけれど方向性が定まっていないという方は、まずは一歩目ということで取得するのも良いかもしれません。
終活ガイドの講習と筆記試験は、日本全国の主要な都市で行われています。終活に関わる通り一遍の知識を得ることができるので、身内や知人が終活に取り組もうとされているのであれば、取得しておくとよりよい活動の一助になりますね。
上級資格 心託コンシェルジュ
終活ガイド資格には、上級資格に当たる「心託(しんたく)コンシェルジュ」というものがあります。終活ガイド取得に当たって習得した基礎知識に加えて、相談窓口となるための知識も問われる試験が行われます。
終活ガイド初級の資格取得には、指定会場で講習を受ける必要がありますが、心託コンシェルジュの受験にあたっては基本的に在宅で行うことができるので、忙しくしている社会人でも無理なく取得できます。ただし、初級と違って少々難易度があがり、およそ2週間程度の学習期間が必要と言われています。
心託コンシェルジュとして独立開業したケースというのは、現時点であまり多くないようですが、調べてみると独立を目指して動いている方もおられるようです。現在、終活における相談窓口はまだ整備されていないため、唯一の実用資格ともいえるのがこの「終活ガイド上級 心託コンシェルジュ」なのです。
実際、終活における支援で報酬を得られるのは唯一、この終活ガイド上級のみと言われていますので、初球を取得するのであれば上級も視野に入れておくほうが良いかもしれません。
終活ガイド資格をとるメリット
自分の終活を助ける知識
終活ガイド資格をとるメリットはいくつかありますが、まず第一に挙げられるのは「自分自身の終活に活かせる」という点でしょう。前述していますが、現在の日本では終活における相談窓口というのは整備されていません。書類関係のやり取りで近い職業とすれば弁護士や税理士、行政書士などが挙げられますが、それぞれが特定の分野に長けているというだけで、終活という大きな切り口を総合的にケアしてくれる存在はごく少数です。
そんななか、終活をメインに取り上げて知識を習得でき、関連するものの情報も得られる終活ガイド資格の受講は高いメリットがあると言えます。何を考えるべきか、どうすすめるべきかを予めマッピングできるのは効率的ですし、万一の際への備えもスムーズです。体系化して短時間のセミナーとしてくれているのも、受講のハードルが低く良心的とも考えられます。
身内に対して勧められる、適切な終活
身内や親戚の方に向けた適切なアドバイスができる、というのも強みです。考えたくないことですが、人間には遅かれ早かれ誰しも死が訪れ、その運命から逃れる術はありません。何事にも通ずる考え方ですが、万一の際、やっておけばよかったという後悔を産まないためにも、今のうちから少しずつでも準備を進めておくことが肝要です。
エンディングノートや遺言書、葬儀をどうするかなどの懸案事項は意外と多く、いざ取り組もうとしても難しいと感じてしまう部分もあるかもしれません。そんな方に寄り添って一緒に進めていけるのが、終活ガイドの資格保持者なのです。
もちろん、終活ガイド上級の心託コンシェルジュとして活動できる方であれば、身内の方以外にもビジネスとして資格を有効活用することも可能となります。
終活に関わる資格はほかにもある?
終活における資格は、実はいくつか存在します。それらをかいつまんでご紹介していきますね。
終活アドバイザー
終活アドバイザーは、終活アドバイザー協会が発行する民間資格で、通信教育で有名なユーキャンが展開しているものです。ただし、報酬を得られるような仕組み作りが為されているわけではなく、あくまでもボランティア的な側面が強いです。およそ3ヶ月ほどの自宅学習をし、在宅で受験可能な試験に合格することが資格取得の条件となります。
終活カウンセラー
セミナーに参加することによって取得することが可能な資格です。資格の発行は、一般社団法人終活カウンセラー協会という団体が担っています。こちらも、資格取得によって報酬を得られる仕組みはありません。
初級・上級・上級インストラクターと三段階に分かれていますが、上級やインストラクターを受験するためには、下位資格を取得していることが条件となります。初級の場合、「自分のエンディングノートが書けること」が目標値となるため、比較的取得難易度は低めと考えて良いでしょう。第3者へアドバイスするためには、上級以上の資格取得が必要になります。
終活ライフコーディネーター
この資格は、オンライン上で学習と資格取得ができるformie(フォーミー)が発行している終活資格です。スマートフォンで学習が進められるので、非常に手軽に学習をすすめられるというメリットがあります。学習期間の標準は一か月程度と言われているのもハードルが低く感じられ、取り組みやすいです。
ただし、直接ビジネスに結びつくものというよりは、自分自身や家族友人のために習得するものといった側面が強いため、スキルの向上に興味がある方に向いている資格だと言えます。
まとめ
終活ガイドという資格について深堀りしてきましたが、いかがだったでしょうか。あまり聞きなじみのない言葉かもしれませんし、今回の記事で初めてその存在を知ったという方も多かったかもしれませんね。
しかし、高齢化社会と言われて久しい日本において、終活というキーワードは着実に認知され、実際に活動を起こしている方が増えてきています。自分自身のためはもちろんですが、いざビジネスとして活用できるとなったときにも、有資格者はそれだけでアドバンテージを得ることができます。今後の日本社会を見据え、いまのうちに準備を始めてみてはいかがでしょうか。