仏教にはお葬式以外にも、法事や法要と呼ばれる個人の供養のための儀式があります。
法要は忌日法要、年忌法要にわけられ、個人の命日を基準としたタイミングで行われます。
地域や風習によってこれらのうち、省略されるタイミングや、最後となる弔い上げの回数も変わってきます。
しっかりとポイントを抑えて、ただしい方法で、余裕をもって法事・法要をおこないましょう。
目次
■法事をする忌日の計算方法
・忌日法要
・年忌法要
・弔い上げ
・年忌早見表
■実際の法事の日程はどう決める?
・日程はいつごろから決める?
・おすすめの日程の決め方
・法事は何回忌までする?
法事をする忌日の計算方法
法要をするべき日を「忌日(きにち/きじつ)」と言います。
忌日は命日からの日数で決まります。
忌日は一見すると不規則で難しいようにも思いますが、しっかりとポイントを抑えて、予定を組めば難しいことはありません。
仏教では故人が亡くなってからすぐに行う忌日法要と呼ばれるものと、年数ごとに進んでいく年忌法要お呼ばれるものがあります。
これは、必ず行われる重要な回忌と、地域や風習によって省略されるものとあるので、その内容を解説していきましょう。
忌日法要
忌日法要とは故人が亡くなってから7日単位で行われていき、7週目に四十九日を数える法要です。
故人がこの期間の間に、どこへ向かうのか閻魔大王様に決めてもらっている期間で、遺族や親族は法事を行って、故人の冥福を祈る期間とされています。
そんな忌日法要の数え方は命日を含めた日数で数え、次のような日程で行われます。
初七日(7日目)→14日目:二七日(ふたなのか、14日目)→三七日(みなのか、21日目)→・・・→六七日(むなのか、42日目)→49日目:七七日(なななのか、49日目)→百か日(ひゃっかにち、100日目)
七七日はいわゆる四十九日です。こちらの方が聞き慣れているでしょう。
このうち初七日と四十九日以外は遺族だけで行われることが多く、また四十九日と百か日は同時に行われ省略されることもあります。
これらの数え方にはさまざまなパターンがあるので、もしもわからない場合は、地域の人や、付き合いのある住職さんに尋ねてみるのもよいでしょう。
年忌法要
年忌法要とは、亡くなった人の命日に法事を行い、冥福を祈る追善供養とよばれるもので、残されたものが、故人の冥福を祈り善行を行い、故人の善行とすることで、再びその善行が自分に帰ってくるとする仏教の考えです。
お墓に納骨を終えた以降はこの年忌法要が行われるようになります。
そんな年忌法要は次のような数え方によって行われます。それぞれ意味合いが違いますので確認しましょう。
・一回忌
満一年に行われ遺族、親族、友人知人が参加し住職による読経が行われ、焼香を行います。
四十九日と同じ規模で行われ、これにより喪が明けることになります。
・三回忌
亡くなってから翌々年の2年目に行われる法事です。遺族、親族、知人友人が集まり執り行われます。
式では住職による読経が行われ、焼香をあげます。一周忌にくらべ規模は小さく行われます。
・七回忌
亡くなってから満6年を迎える祥月命日に行う法要です。
実際には祥月命日ではなく、その手前の休日に実施することが多いです。
親族や知人が集まり、自宅に僧侶を招くか、お寺で読経をしてもらいます。
七回忌以降については十三回忌まで遺族、親族のみで行われます。
十三回忌以降は十七回忌(16年目)、二十三回忌(22年目)、二十七回忌(26年目)、三十三回忌(32年目)、五十回忌(49年目)と続いていきます。
これらの法事は回をすすむごとに規模が縮小されるのが普通で、三十三回忌か五十回忌を節目に年忌法要の終了とされています。
弔い上げ
前述したように法事は基本的には三十三回忌か五十回忌をもって最後の節目にされるのが普通です。
これを「弔い上げ」といいます。
基本的には三十三回忌か、五十回忌を「弔い上げ」にするのですが、時には十七回忌、百回忌などを節目に弔い上げとすることもあります。
また、各宗教でもすこし違います。
神道では、三十三回忌には荒御魂が祖霊となると考え、弔い上げとなります。
仏教では宗派によって三十三回忌には、どんな罪を犯した故人でも、極楽浄土へ行けるようになり、祖先となるという考え方を取ります。
年忌早見表
年忌を数えるときに使う忌日と年忌を一覧にして表にしました。
命日(亡くなった日)から数えた日数で計算してみてください。
よく見ると、ある程度の法則性があることに気づくと思います。
忌日法要 | 年忌法要 | ||
初七日(しょなのか) | 7日目 | 一周忌 | 満1年 |
二七日(ふたなのか) | 14日目 | 三回忌 | 満2年 |
三七日(みなのか | 21日目 | 七回忌 | 満6年 |
四七日(よなのか) | 28日目 | 十三回忌 | 満12年 |
五七日(いつなのか) | 35日目 | 十七回忌 | 満16年 |
六七日(むなのか) | 42日目 | 二十三回忌 | 満22年 |
七七日(なななのか) | 100日目 | 三十三回忌 | 満32年 |
五十回忌 | 満49年 |
忌日の場合は7日刻みで七七日の49日まで行います。49日と100日目の百か日は同じ回でやることもあります。
年忌法要のポイントは満1年を一周忌とし、翌年を三回忌とするので、それ以降は年忌の数と、実際に行われる年数がひとつずれることです。(三回忌=満2年 )
実際の法事の日程はどう決める?
では、忌日の出し方が分かったところで、実際の法事の日程の決め方を解説していきましょう。
法事・法要は大切な初七日や四十九日、弔い上げなどは多くの親族、親類、友人を集めて行います。
ですのでその予定を決めるのもいきなり決定するわけにはいきません。
なるべく早く動き始め、余裕を持って多くの参列者に伝えられるようにしましょう。
日程はいつごろから決める?
法事の日程を決めるのに適しているのは忌日の2~3ヶ月前から準備するのが適切だといわれています。
理由としては以下のことが考えられます。
・参列者の日程調整
・住職の日程調整
もちろん初七日や四十九日はそのような余裕はありませんのでこの限りではありませんが、年忌法要の場合は余裕をもって準備する方がよいでしょう。
おすすめの日程の決め方
原則として法事は忌日に行うのが望ましいです。
しかしながら、参加者の都合や、住職を呼ぶ際の日程調整もあるため、故人の命日の前後一ヶ月を目処に日程を組みます。
ポイントとしては一ヶ月後よりも一ヶ月前が良いとされます。
また、集まりやすさを考えると、平日よりも土日祝日の方がベターです。
なお、曜日以外にも日本には六曜と呼ばれる日柄が存在します(大安、友引、仏滅、赤口、先勝、先負)。
冠婚葬祭ではマナーとしてこの日柄を気にする場合がありますが、仏教とは関係のないものなので基本的には気にする必要がないとされています。
ただし、宗教によって、あるいは習慣や、個人によってはマナーとして気遣う必要があるので注意しましょう。
法事は何回忌までする?
ではこれらの法事・法要はいったい何回忌まで行うのが正しいとされているのでしょうか?
昨今では平均寿命の高齢化が著しく、弔い上げを行うころには自身も同様の年代になっているということが珍しくなく、基本的には子孫によってその役割は引き継がれていきますが、場合によっては故人を知る人がいなくなったタイミングで弔い上げとするケースも増えています。
弔い上げ行事は一般的には通常の年忌よりも盛大に行われますが、法要の手順や特徴は、宗派、地方によりさまざまな違いがあります。
また、そのタイミングもさまざまです。
方法としては仏壇にある戒名の刻まれた位牌を片づけ、先祖代々の位牌に合祀するのが一般的です。
その地域の決まりや、お寺の住職さんなどに聞いて、相談し適切なタイミングで行うようにしましょう。
法事に参加する服装
法事には参加する服装はいったいどんなものでしょうか。
今回は法事に参加する服装についても解説します。実は法事に参加するには決まった作法があります。
また、これは参列者と遺族、喪主で少し違ってきます。
法事に参加する服装は基本的に正装で礼服です。
男性の場合は喪服や略礼服を着用し、女性は黒いアンサンブル、ワンピースといった洋服が一般的です。
女性はアクセサリーとして真珠や、真珠のイヤリング、オニキスなどはよいとされていますが、それ以外の装飾品は適していないとされています。
子供の場合は、基本的に制服になりますが、それがない場合などは紺のブレザーにパンツ、女の子は同じく紺色のブレザーとスカートといった洋服が一般的です。
また、七回忌と呼ばれる法事・法要まではしっかりとした喪服を着用するのがマナーとなってはいますが、それ以降の服装に関しては変化していきます。
男性の場合はダークスーツにシャツを着て、そこに派手すぎない色合いのネクタイというい服装なら問題なくなります。
女性の場合はグレーや紺、ブラックのスーツやアンサンブルを着用します。
靴や鞄なども派手なものでなければよいとされます。
近親者のみが出席する法事の場合は平服でもよいとされるケースもあります。
まとめ
今回は法事の日程の決め方についてポイントを絞って解説をしてきました。
法事や法要は一見その法則性がわかりにくいですがしっかりとポイントをおさえれば大丈夫です。
今一度そのポイントを簡単におさらいしていきましょう。
・仏教では忌日法要と年忌法要と呼ばれる2種類の法事・法要がある
・法事・法要は基本的にやる回数が決まっているが地域、お寺によって省略や合同で行うこともある
・日程は、2,3か月前から準備して決める
・参加者の都合も考慮し、命日の前後一ヶ月で行うようにする
・仏教では日柄は考慮しなくてよい
以上のようなポイントを抑えておけば、法事の日程調整に困ることはないでしょう。
法事・法要は時代とともに少しずつそのマナーや、行われる回数に変化が生じてきているのも事実です。
日程を組む際はトラブルのないようにぜひ、余裕をもって法事法要が行えるようにしましょう。