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法事・法要

法事はいらない?法事の意味としなかったときのデメリット

投稿日:2019年7月12日 更新日:

法事はいらない?のイメージ1

日本人の死生観はずいぶんと変わってきました。
その結果、お墓や葬式の多様化などいろいろな故人の供養方法に関する変化が起こっています。その1つが法事です。
何年かに1回やってくる法事を、それを故人1人1人について行うことは無駄ではないかとい価値観です。
確かに本当に法事は必要なのでしょうか。それは古い価値観に根差した供養の考え方ではないのでしょうか。

そこでここでは法事は本当に必要なのかどうかについて考えていきます。

法事の意味

まず最初に法事の意味についてです。

法事とは何か

そもそも法事とは何を指すのでしょうか。法事とは、仏「法」の行「事」を短くした言葉です。
家族や親せきが亡くなった後の、枕経、通夜、葬式、火葬場での儀式などを除いた、その後の全ての仏事が法事です。そしてその行事の中には、僧侶を呼んだ読経のほか、参列者で会食などをすることも含まれます。

これに対して似たような言葉に「法要」というものがあります。
法要とは法事の中の、僧侶が読経し参列者が焼香をする、という部分だけを指します。

法事には何があるか

法事と言うと何だかたくさんしなければならいイメージがありますが、実際のところどのようなものがあるのでしょうか。

まず亡くなって7日目の初七日から亡くなって四十九日までの期間を仏教では「中陰法要(ちゅういんほうよう)」といい、この間は7日ごとに7回法事を行います。
亡くなった魂は49日間はこの世にとどまり、成仏する時期を待っています。この期間を「中陰(ちゅういん)」または「中有(ちゅうう)」といいます。その中陰の期間に行う法事なので中陰法要というのです。
特に魂が成仏することを助ける四十九日法要が最も重視され、この時には親せきや知人を招いて盛大に法事を行います。

そして毎年やってくる、亡くなったのと同じ月の同じ日の命日を「祥月命日(しょうつきめいにち)」といい、命日と違う月の亡くなったのと同じ日を「月命日」と言い、仏教上は基本的にはすべて法要を行います。
この祥月命日の中で特に重視されている日に行う法要を「年忌法要(ねんきほうよう)」と言います。

年忌法要の中で中陰法要の7回と、百か日、一周忌、三回忌の3回を加えたものを「十仏事」と言い、さらにそこに七回忌、十三回忌、三十三回忌の3回を加えたものを十三仏事と言います。

それらを含めて年忌法要には以下のようなものがあります。

  • 初七日(しょなのか)
  • 二七日(ふたなのか)
  • 三七日(みなのか)
  • 四七日(よなのか)
  • 五七日(いつなのか)(=三十五日)
  • 六七日(むなのか)
  • 七七日(なななのか)(=四十九日)
  • 百か日(ひゃっかにち)
  • 一周忌(いっしゅうき)
  • 三回忌(さんかいき)
  • 七回忌(しちかいき)
  • 十三回忌(じゅうさんかいき)
  • 十七回忌(じゅうななかいき)
  • 二十三回忌(にじゅうさんかいき)
  • 二十五回忌(にじゅうごかいき)
  • 二十七回忌(にじゅうななかいき)
  • 三十三回忌(さんじゅうさんかいき)
  • 五十回忌(ごじゅっかいき)

四十九日で成仏した故人の霊魂は33年間、または50年間は個人としての人格を持っています。
そしてその期間を過ぎると、個人としての人格が消滅し、過去からたくさん存在する多くの祖先の霊と一緒に「祖霊」となって遺族と一族を守ります。
この個人の人格が消滅し祖霊になることを供養する法事が三十三回忌または五十回忌で、これ以降法事は行いません。
そのためこの三十三回忌または五十回忌を「弔い上げ」と言います。 

法事の起源は

ところでこの法事はどの国で生まれたものなのでしょうか。
日本独自のものなのでしょうか。そうではありません。

法事の起源が中国を経て、仏教の発祥の地であるインドまでさかのぼることができます。
インドには死後人間はまた生まれ変わり、前世での行いによって人間にも動物にもなるという輪廻転生の思想があります。
本来、亡くなってから33年間または50年間はこの生まれ変わる先が決まるまでの審判期間です。

したがってこの審判期間に霊魂が悪霊になったりしないように、また生まれ変わり時に人間になれるように行う行事が法事なのです。

法事の志の書き方は?

法事を行う場合、参列者は香典を持参します。その時にお札は裸では渡さず、全て香典袋、のし袋に入れて渡します。その際にはのし袋の表と裏の両面に書き記しますが、それには以下のようなルールがあります。

まずのし袋の表に書くものを「表書き」といい、書く内容はのし袋中央の上半分に「御布施」あるいは「志」と書きます。さらに香典とは別に会食などがあり、その費用についても渡す場合は別ののし袋に「御膳料」と表書きします。

そして袋の下部には中央に「〇〇家」と自分の家の苗字、あるいは「フルネーム」を書き記します。

次にのし袋の裏面です。裏面には渡した本人の「住所」「電話番号」「金額」を書きましょう。このうち金額は必ずしも書かなくても良いのですが、法事の主催者があとでお礼などを送る場合にもらった金額に合わせて商品を選ぶので、金額が書いてあった方が便利なのです。

さらに金額は1、2、3と言った算用数字ではなく、壱、弐、参などの漢数字で書きます。さらに数字の頭には「金」をつけ、最後を「~圓也」とします。

法事は不要?親の法事をしないのはあり?

以上が法事の概要ですが、法事は行う側にとっても、参列する側にとっても肉体的かつ金銭的な負担になるのが事実です。
したがって、本当に法事を行う必要があるのかという疑問を抱くのも当然でしょう。
その点についてはどうなのでしょうか。

法事をした場合こんなに大変?

まず主催者にとって法事を行うことはどのような負担があるのでしょうか。

40日前から法事の準備が必要

法事は親族や知人を招く行事なので、しっかりした事前準備が必要です。

参列する人には法事の1ヶ月前に案内を出し、その出欠のを取る必要があるので、逆算して法事の40日前には法事を行う日時や場所を決定しなければなりません。
たとえば四十九日法要の場合40日前というと、亡くなって9日目ですので、あわただしい葬儀が終わってホッとする間もなく、次の法要の準備を始めることになります。これはいかにも大変です。

「場所」「食事」「引き物」「移動手段」の手配が必要

法事の事前準備として決めて、手配をしなければならないものは、法事を行う「場所」、法事のあとで参列者にふるまう「食事」とその場所、参列者に渡す「引き物」、法事を行う場合は最寄りの交通機関から遠い場合はそこまでの「移動手段」の確保です。

場所手配
法要を行う場所は主には自宅や寺院、あるいは寺院に付属する法要会館などですが、参列者の数に対して場所が手狭の時には別途セレモニーホールなどを用意する必要があります。

・食事の手配
また法事の都度会食を行う必要はありませんが、家族以外の多くの人が参列する四十九日法要や一周忌法要の場合は、法要のあとに会食を催すことが一般的です。
会食の場所は、自宅や寺院でできるスペースがあればよいですが、ない場合は近隣の食事会場を押さえ、さらに提供する料理も手配する必要があます。
料理はだいたい1人3000円~5000円の精進料理にすることが一般的です。更にアルコールも提供します。食事会場のスペースを検討し料理を手配するために、事前に参列者の出欠を取る必要があるのです。

・引き出物の手配
「引き物」は葬儀の時の香典返しや結婚式の引き出物と同じ意味合いのものです。これは参列者の全てに一律に渡すもので、香典のお返しとは異なります。内容や値段は、地域の風習などで異なるので、家族や親族に相談して決めましょう。

・移動手段の手配
忘れがちなのが「移動手段」です。法要の会場まで最寄りの交通機関から遠いと参列者に非常に負担をかけてしまいます。ですから必要に応じて送迎バスなどを手配しましょう。さらに法要の会場から会食の会場まで離れている場合もその移動手段の手配が必要です。
中には自家用車で来る参列者もいるでしょうから、出欠が確定した段階で参列者1人1人の交通手段を確認し、必要な移動手段の規模を決めましょう。
参列者が少ない場合、あるいは自家用車での参列が多い場合は、バスではなくタクシーを手配しておけばよいということもあり得ます。

法事の数を減らす場合も増えている

以上のように法事には非常に多大な手間や費用がかかるため、しなくてもいいのではないか、という考えが広がっているのです。
法事をしないという選択ではなくても、先ほど挙げたすべての法事を行うのではなく、重要なものだけを催し、法事の回数を減らすという人も増えています。たとえば「法事は三回忌まででやめる」「三回忌の次は十三回忌まで行わない」などです。

法事をしないデメリットは?

では法事をしないという判断をした場合、デメリットはあるのでしょうか。

親族の顔合わせができない

まず考えられるデメリットは、多くの親族が顔を合わせ、親交を深める場としては結婚式か法事などしかないため、法事をやめてしまうとその機会が失われるということです。
普段年賀状を交わしていても、実際にはたまには顔を合わせてお互いの近況を交換したいというニーズもあるので、一挙に法事をやめてしまうことには弊害も考えられるのです。

親族からクレームが出る

法事で顔合わせをすることを楽しみにしている親族や、仏教への信仰心が篤い親族がいる場合、法事をやめてしまうとクレームが発生することもあり得ます。
特に死後の霊魂やあの世のことを信じている人や、あるいは古くからの習俗を大切にしている人にとって、法事を行わないことは、故人に対する大変な非礼になり成仏を妨げる判断ととられてしまうので、注意が必要です。

故人と向き合う機会が減る

故人の家族や故人と関係性の深かった親族、知人は普段から故人のことを思い出すでしょう。故人を思い出すのは故人を供養することになるので、大いに思い出してあげることが必要です。

しかし故人と関係性が薄かった人にまで故人を思い出してもらうには、そのための機会が必要です。
その機会が法事なので、故人を供養しようと思ったら、多くの人に思い出してもらい、会食などの席で思い出話をしてもらうための法事を行うことが不可欠です。したがって法事を行わないことは、故人を供養することができないということにもつながります。

法事が多すぎる!まとめるのはあり?

法事は本来、故人1人1人について個別に行うことが原則です。
ですから6月5日に父親の三回忌を行い、6月15日に祖父の十三回忌を行うということもあり得ます。
しかし現実問題としてそのように頻繁に法事を行うと、準備にかける工数も大変ですし、また費用も二重にかかります。さらに参列者も重なっていることが多いので、頻繁に法事を行うことは参列者にとっても大変です。

そのようなことを防ぐためには、法事の日取りが近い故人の法事をまとめて行ってしまう、ということも多くなされています。
具体的に上での例で言えば、父親の三回忌の時に祖父の十三回忌も一緒に行ってしまうということです。

このように法事をまとめて行うことは何も近年になって始まったものではなく、昔から「併修(へいしゅう)」「合斎(がっさい)」などと言って普通に催されていました。ですから法事の負担を軽減させるためには有効な手段だと言えるでしょう。

法事をしても食事なしにするのはあり?

また法事に対する主催者の負担を減らすために、会食をしないという選択肢もあります。
法事の手間と費用なのかで大きな割合を占めるのが会食なので、それを行わなければかなり負担が減るでしょう。
会食を行わないことで参列者から不満が出るということはあまり考えられませんから、この方法も法事の負担を減らす意味では有効です。

まとめ

法事を行うことは主催者だけではなく、参列者にとっても負担です。ですから法事をやめてしまう、あるいはそこまで行かなくても法事の回数を何らかの方法で減らす、会食を行わないなどのことを考えてみても良いでしょう。

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