法事に招かれた場合、香典と一緒に仏前に供えるためにお菓子を持っていくことがあります。
あるいは自分が施主や遺族の場合も仏前に供えるためにお菓子を持っていくでしょう。
この場合、どのようなお菓子を選べばいいのでしょうか。
今回の記事では、法事に持っていくお菓子はどうすればいいかを解説します。
お菓子をお供えする理由は?
なぜお菓子をお供えするのでしょうか?
現実問題として、亡くなった故人には肉体がないのでいくらお菓子を供えても食べられるわけがありません。
にもかかわらずお菓子を供える理由は、そもそもはインドからきています。
インドではお墓参りをするということは、お墓に故人の霊魂を下すことになるので、大切なお客様をもてなす時と同様のことを行うのです。
ですからお客様に出すのと同じお菓子を墓前に供えました。
この風習が日本に伝わって、法事の時にもお菓子を供えるようになりました。
法事にふさわしいお菓子とは?
さっそくですが法事にふさわしいお菓子には何があるのでしょうか。
これはどういう場所に誰が持参するのかによって異なります。
お菓子は用途、TPOによって選びましょう。
お供えに向いているお菓子
お供えに向いているお菓子は、以下のような基準で選ぶと扱いに困らず、受け取った側にも喜ばれます。
日持ちがするもの
法事のお供えに向いているお菓子は、日持ちがするものが前提です。
具体的には、せんべいや焼き菓子があげられます。
賞味期限は最低でも1~2週間程度先のものを選びましょう。
日持ちがするお菓子を選ぶのは、一周忌などその日限りの法事ではなく、お彼岸やお盆などの法事の場合は、法事が済んだ後もそのままお菓子を供えておくことがあるためです。
その時にお菓子が傷まないように、日持ちがするものを選ぶのです。
個包装になっているもの
地方によっては、法事が終わった後で、お供えのお菓子を親族で分け合う風習のところもあります。そのような時に便利なように、小分けできる個包装のお菓子を選ぶとスマートでしょう。
具体的には、まんじゅう、せんべい、小分けのようかんなどが挙げられます。
和菓子は年配の方にも喜ばれるので、おすすめです。
洋菓子を持参したい場合
上記の日持ちする、個包装になっているという条件を満たせば、洋菓子を持参しても構いません。
具体的には、クッキーやマドレーヌ、小分けのカステラが挙げられます。
また、夏の法事であればゼリーもおすすめです。
お返し・引き出物にするおすすめのお菓子
またお供えではなく、法事に参列していただいた人にお返しや引き出物としてお菓子を渡す場合もあるでしょう。このような場合は、賞味期限にはさほど神経質になる必要はありませんが、参列者が1人住まいの場合もあるので、少しづつ食べられるようにやはり個包装のものにした方がスマートです。
お寺やお坊さんに渡すおすすめのお菓子は?
お寺に持参するお菓子も、やはり日持ちがする個包装のお菓子を選びます。
とくにお盆やお彼岸などのシーズンになると、お寺も多くのお供えをもらうことが予想されます。賞味期限が短く、無理に早く食べなければならないものは選びません。
お菓子の種類は、和菓子、洋菓子どちらでも構いません。あるいは乾物などでもいいでしょう。
のしは黄白の水引をつけて、表書きは「御供」などとします。
ただし、紅白の水引を付けるなど地域によって違いがあるので、親戚などに確認する方が確実です。
法事に時にお菓子は必須?
以上で法事にお供えするお菓子について解説しましたが、これらお菓子は必須ではありません。法事で供えるべき必須のものは、五供と言って、花、線香、ロウソク、食べ物、水です。お供えはこのうち食べ物に該当しますが、何もお菓子である必要はありません。果物でもよいですし、肉や魚でなければ故人が好きだった食べ物でもOKです。
お供えに掛けるのしのマナー
法事に持参するお菓子にはのしをかけることがマナーです。
のし・掛け紙とは
よく「のし」という言葉を聞きますが、正確に言うとのしとは商品を包む紙の右上に印刷されている印のことです。
古い歴史的には、のしは薄く伸ばしたアワビを贈り物に添えたもので、不老長寿を象徴し、縁起物とでした。ですから本来、のしはおめでたい時に使っていたものなのです。
しかし現在ではのしはおめでたい時でも、法事などの弔事の場合でも、使います。
ただし正しくは、おめでたい慶事の際に使う時にはのしがついて紙を選び、弔事の際にはのしがついていない紙を選ぶのです。こののしがついていない紙を別名で「掛け紙」と言います。
のしのかけ方
またのしのかけ方には「内のし」と「外のし」があります。
内のしとは品物の上に直接のしをかけ、その上から包装する形式のものです。
これに対して外のしとは、包装したうえにのしをかける形式のものです。
法事の際には一般的に外のしにします。
しかし自分が法事に行かず、お供えだけを郵送する場合は内のしにします。
水引のマナー
のしに印刷されている、ひものようなデザインを水引と言います。
水引の色は地域によって異なりますが、法事の際の一般的な水引は黒白、黄白、双銀(青白)です。特にお盆の時には黄白の水引限定になりますが、これも地域によっては双銀になる場合もあるので、わからない時には親戚や地域の人などに相談するのが無難です。
さらに水引のひもを結んでいるデザインにもいろいろとあります。
代表的なものは蝶結びと結び切りです。
蝶結びとはその名の通り、ひもの端を切らずに丸く結わいたものです。結び切りとはひもを結んでその端を切ったデザインです。
法事の際には、このような弔事が何度も繰り返して起きないように、ということで結び切りにします。
表書きのマナー
のしには表書きを記します。表書きとは水引の上に記載する、贈り物の「タイトル」のことです。
表書きは宗教によって書く文言が変わります。
まず仏式の場合は、御供、御供物、御仏前、御佛前です。
ただし四十九日法要まではご霊前にします。さらに浄土真宗の場合はいつでもご仏前です。
四十九日法要までは薄墨で、それ以降は黒墨で書きます。
神式の場合は、御供、御供物、御神前、奉献、奉納です。
キリスト教式の場合は御花料です。
法事のお菓子はどこで買う?
法事のお菓子はどこで買えばよいのでしょうか。
お菓子を買うにふさわしいところは?
法事のお菓子を買うのはデパートや菓子店がおすすめです。
デパートや菓子店で買えば、のしまで正しい表記でつけてくれます。
のしを別に用意したり、自分で書いたりする手間が省けます。
ただし、気に入ったものが無ければ他の所で購入し、のしは自分で用意しても構いません。
コンビニの贈答品などは避けましょう。
お菓子の金額はどれくらいで用意する?
お菓子はどのくらいの金額のものにしたらよいのでしょうか。これも持参する用途によって変わります。
お供えの場合
仏前にお供えするお菓子の場合は、5000円~1万円が一般的です。
ただし故人やその遺族と自分の関係によってその金額は上下します。
親しければ比較的高額なお菓子を持参した方が良いでしょう。
ただしあまりに高価なものの場合、いただいた方が恐縮してかえって失礼になるので注意が必要です。
自分が親族や遺族で、お寺の仏前にお菓子を供える際には、毎年のことになるので、費用的に負担にならないものを選びましょう。
お返しの場合
法事に香典やお供えを持参していただいて、そのお返しとしてお菓子を贈る場合の費用の相場は、いただいた金額の1/3~1/2で考えましょう。
法事の当日にお返しを渡して持って帰っていただく場合は、お供えや香典の額に合わせて商品を選べないので、一律で3000円~5000円のものにしておけば無難です。
そのうえで高額のお供えや香典をいただいた人には、本来お返しをするべき金額との差額に相当する金額の商品を後日贈りましょう。
お寺へのお土産の場合
菩提寺などのお寺にお土産としてお菓子を持参する場合は、5000円前後のものにしておけばOKです。
まとめ
法事は準備をすることと当日トラブルがないように進めることで精いっぱいになりがちですが、お供えやお返しのお菓子の選択も重要です。
ですから以上の解説を参考に、マナーに沿っていて、あとで恥をかかないで済むお菓子を準備しましょう。