成年後見性は認知症高齢者など、判断能力が無くなった方の権利を守る制度であり、利用する際は様々な手続きが必要になります。
その為、成年後見制度を利用するためには、どのような手続きが必要なのか、どんな書類が必要なのか、疑問が多いといえます。
成年後見制度を利用するための相談窓口はどのようなものがあるのでしょうか?
成年後見制度の相談はどこでする?
成年後見制度の相談をしたくてもどこに相談に行けば良いのか分からないという不安を抱えている方は多くいます。
実際成年後見制度を考えているが、どのようなところに相談に行けばいいのか分からないため、情報不足で不安になり成年後見制度をあきらめる方も少なくはありません。
家庭裁判所は窓口になってくれるのか?
家庭裁判所は成年後見制度を決定する機関ですので、もちろん相談には乗ってくれます。
しかし、成年後見制度の手続きに関しては教えてくれますが、成年後見制度を行うためのメリットや気を付けておきたいこと、その後の生活などに関しては詳しく教えてくれないこともありますので注意しておきましょう。
もし申し立てをする気持ちが固まっており、必要書類や手順などで疑問があるのであれば家庭裁判所に成年後見制度のことを聞くと良いでしょう。
成年後見制度の相談を行うセンターについて
成年後見センターは成年後見を専門に取り扱っているセンターです。
多くは社会福祉協議会と連携しており、成年後見制度の活用のために様々な相談に乗ってくれます。
成年後見制度の制度説明はもちろん、家庭裁判所や弁護士会などと連携をしており、専門家の紹介なども行ってくれますので成年後見制度の最初の相談先としては最も適切であるといえます。
相談自体は無料ですが、自分でセンターに行くことが難しい場合は電話相談などにも対応をしてくれます。
具体的に見ていきましょう。
例えば東京であればそれぞれの区に一つ配置されています。
社会福祉協議会が行っているところもありますし、権利擁護センターや福祉サービスセンター、NPO法人が実施しているところもあります。
こういった成年後見センターでは、成年後見制度以外にも様々な相談を受け付けてくれます。
相談の内容の例としては、福祉サービスをどのようにして利用していけばいいのか、銀行の手続きや様々な支払いに関して不安を感じている、認知症の親を抱えており自分が事故などに合った場合親は誰が見ることになるのかなどなど、それぞれの家庭に合して相談を受け付けてくれます。
その他で相談を受け付けてくれるところ
成年後見制度自体は近年広まっている制度ですので、相談先としては多くなってきています。
役所の市民課
役所の市民課でも相談を受け付けてくれる場合もあります。
しかし、役所の場合は対応する方の知識や経験によってアドバイスの差が大きいですので注意したいところです。
地域包括支援センター
高齢者の場合は地域包括支援センターがあります。
地域包括支援センターには、高齢者の権利擁護を行うところがありますので、成年後見制度の相談に乗ってもらうことが出来ます。
しかも地域包括支援センターには社会福祉士の配置が義務つけられていますので、より専門的なアドバイスを受けることが出来ます。
相談は無料ですし、成年後見だけではなく介護についても相談をすることが出来ますので、もし認知症などで困っている場合は相談をすることをお勧めします。
どのように相談をしたらいい?
成年後見制度の相談をする際どのような相談をしたらいいのか分からない時があるかと思います。
ここでは相談の仕方についてご紹介していきます。
まずは情報整理
まず相談をする際は、情報を整理していくことをお勧めします。
何に困っているのか、不安に感じているのか確認していきましょう。
どのような事を聞くのが良いか以下をご参考にしてください。
費用はいくらぐらいかかるのか
成年後見制度を活用していく為にかかる費用や、成年後見制度を開始した後にかかる費用について聞くことをお勧めします。
特に預金などが少ない場合は、金額はしっかりと聞いていたほうが良いといえます。
成年後見をする方はどんな状態なのか
成年後見制度の対象者となる方の情報をしっかりと相手に伝えることをお勧めします。
場合によっては成年後見制度の対象にならな場合や、任意後見制度を活用できる状態化もしれませんので、どの程度判断能力があるのか伝えれるようにしましょう。
いつ頃に開始したいのか
成年後見制度を活用する場合、いつ頃に活用したいのか確認することをお勧めします。人によっては時間がかかる場合もありますので、おおよその時期を伝えていくことによってスムーズに活用することが出来ます。
成年後見制度は誰に相談するのがおすすめ?
成年後見制度には様々な相談先がありますが、どこに相談するのがおすすめなのでしょうか?ここではお勧めの相談先についてご紹介していきます。
申立て手続きをするなら専門家がおすすめ
最近では、成年後見を専門に取り扱っている弁護士事務所も増えてきています。
そういったところでは、数多くの成年後見を取り扱っていますので、成年後見の申し立てや注意点など、非常に専門的なアドバイスをもらうことが出来ます。
また、成年後見に弁護士や司法書士になってほしいという希望があるのであれば、申し立て時点から専門家に依頼することによって、そのままその方が成年後見人としてなることもできます(必ずなれると言う訳ではありません)。
ワンストップで依頼をすることが出来るので、成年後見人との信頼関係も築きやすくお勧めです。
デメリットとしては費用が掛かるということです。弁護士に依頼をする場合は。最低でも25万円~司法書士の場合は最低でも15万円~と高額です。依頼をすれば面倒な書類作成なども依頼できますので人によってはお得だと感じる人もいますが、金銭的な余裕がない場合は依頼のハードルが一気に高くなります。
お金が無い場合の相談先
金銭的な事情があり専門家に頼むことが難しい場合は、成年後見センターや市役所などに相談するのもおすすめです。
もちろん相談だけであれば、弁護士などに相談をすることもできますが、やはり相談料としては高くなる傾向がありますので、できれば無料の相談所で相談をすることをお勧めします。
また、成年後見制度では弁護士による無料相談を定期的に開催しているところもありますので、そういった制度を活用して出来るだけお金がかからないように工夫をしていきましょう。
申し立ての支援をしてくれるところはあるのか?
相談先として、相談を受けるだけではなく一緒に成年後見制度を申し立てをしてくれるところはあるのでしょうか?
本人の代わりに申請代行をしたり、家庭裁判所とやり取りしてくれるのは、弁護士しかいません。
代理権がありますので、お金がかかってもいいので出来るだけしてもらいたいと考えている方は是非弁護士に依頼をすることをお勧めします。
そのほかの方の場合は代理権がありませんが、司法書士や行政書士の場合は書類を代行作成してくれますので、もし書類作成に不安を感じる方は依頼をすることをお勧めします。
自分一人で悩まないようにする為のポイント
成年後見制度を考えている方の中で自分の親などを検討している方は、現在も介護をしている方は多いのではないでしょうか。
特に一人で介護をしている場合は、日常の介護をしながら成年後見制度を考えていかないといけませんので、誰かの手助けがある方が良いでしょう。
一人で悩まないようにするポイントについてご紹介していきます。
早い段階で相談する
成年後見制度は時間がかかりますし、制度をある程度理解した上でないと中々進まないかと思います。
そのため、出来るだけ早い段階で検討をしていたほうが良いといえます。
例えば、自分の親に対して成年後見制度を考えている場合であれば、認知症の初期段階で検討をしていくことをお勧めします。
認知症の初期段階であれば、上手くいけば任意後見制度を使えることもありますので、選択肢が増えていく可能性があるからです。
また、どんな制度なのかを早めに知ることによって精神的な負担も減りますし、分からない不安は解消されます。
もし自分の親が最近物忘れなどが多くなったなと感じる時点で、任意を含む後見制度を相談していくと、いざ判断能力がなくなったとしても焦らずに対処できます。
成年後見制度のセミナーを受ける
成年後見制度に関するセミナーは非常に多くの場所で行われています。成年後見支援センターなどでも開催されていますし、弁護士が主催をしていたり、市民後見人の養成講座などもあります。
相談に行くこと自体に抵抗がある方の場合は、まずセミナーを一度受講してみても良いです。
セミナーでは成年後見の概要や制度を活用する為のポイントなど、様々な知識を得ることが出来ますし、多人数で受けますので参加の抵抗も少ないかと思います。
仲間を見つけて気持ちを楽にする
悩んでいる方や、どうしたらいいか迷っている方は同じ悩みや困りごとを持っている仲間を見つけると良いです。
認知症の場合は家族会などがありますし、仲間を見つけることによって精神的に随分楽になることがあります。
特に成年後見制度の場合は、介護を同時にしていることが多いですので、仲間を見つけることによって精神的な負担が軽減されるでしょう。
「一人で悩まないで」というポスターを掲げている成年後見支援センターもあるほどですので、一人で悩まず様々な人と積極的に交流を図ることをお勧めします。
まとめ
成年後見制度の相談窓口は、成年後見支援センターを始め、市役所や弁護士事務所、地域包括支援センターなどがあります。
最近では独居高齢者や身寄りの無い高齢者、認知症の方を介護する家族など、成年後見制度を活用する方は非常に増えています。
成年後見制度自体は一度実施してしまうと、途中で取りやめるということがほとんどできませんので、しっかりと相談窓口で話を聞いて納得したうえで制度を活用することをお勧めします。