近年都心を中心に「マンション型のお墓」が急増しています。
マンション型のお墓がある地域では電車の広告やテレビCMなどでも広報され、認知度が高まっています。
しかし、従来の墓石を建てるお墓から考えると、お墓がマンション型になっているとはどういうことなのか、想像がつきづらいでしょう。
今回の記事では、昨今話題の「マンション型のお墓」がどんなものなのかを解説します。
■マンション型のお墓とは
マンション型のお墓は、正式には「自動搬送式納骨堂」と言います。
納骨堂とは、屋内の専用スペースに遺骨を安置するタイプのお墓を言います。
マンション型のお墓の内部には、大きく分けて以下のようなスペースがあります。
・遺骨を保管するバックヤード
・お参りをするスペース(参拝フロア)
この他、法要室や会食室、ラウンジ、接客フロアを設けている場合もあります。
お参りをする際、バックヤードから参拝フロアに遺骨が機械で搬送されてくるため、「自動搬送式」と言います。
自動搬送式納骨堂はマンションのような外観であることが多いため、「マンション型のお墓」と呼ばれるようになりました。
マンション型のお墓には遺骨を納める何千基もの厨子を収納するので、スペースを確保のために縦長の設計になるようです。
■マンション型のお墓の特徴
それでは、マンション型のお墓にはどんな特徴があるのでしょうか。
マンション型のお墓について、もう少し詳しく紹介します。
・東京都心で急増する都市型の納骨堂
先述の通り、マンション型のお墓は東京都心で急増しています。
東京以外だと、近郊の神奈川や千葉、地方だと名古屋や福岡にもあります。
都心の墓地不足や、少子化に伴う後継者問題に伴って誕生した形がマンション型のお墓だと考えられます。
・室内の墓地である
建物の中にあるお墓なので、季節や天候にかかわらず快適にお参りができます。
特にマンション型のお墓は新しいタイプのお墓なので、設備が大変充実している傾向にあります。
エレベーターはもちろんのこと、法要室やラウンジなどを備えているところもよくあります。
内装はホテルのような上品なデザインが取り入れられることが多く、過ごしやすい雰囲気になっています。
・永代供養がついている
永代供養とは、管理者のお寺などが存続する限り遺骨の供養をしてくれることを言います。
お墓の後継者がいなくなった後もお寺がお墓や遺骨のお世話をしてくれるので、跡継ぎに不安がある人も安心して利用できます。
ただし、個別で遺骨が安置される期間には限りがあります。
マンション型のお墓でいえば、厨子の中に骨壺の状態で安置してもらえる期限です。
マンション型のお墓の場合は、管理料を支払い続ける限り個別で安置してもらえる場合が多いようです。
50年などの期限が設けられていても、延長の相談をすればおおむね受け入れてもらえます。
個別安置の期間が終わると、建物内かお寺の境内にある合祀墓に遺骨が移動され、供養さえれます。
・駅近・手ぶらでお参りに行ける
ほとんどのマンション型のお墓は駅から徒歩数分の位置にあります。
また、お花・お香はすでに用意されているため、手ぶらで行ってもお参りができます。
気軽に立ち寄れるところが多いため、毎日・毎週立ち寄る人もいるそうです。
・屋内墓苑ならではのリスク
マンション型のお墓は建物内にあるお墓です。
建物には必ず耐用年数があります。また、地震などの災害があって建物に被害が出ることも考えられます。
加えて、遺骨の搬送は全て機械で行いますので、メンテナンスなども気になります。
もし建物に何かあった際、遺骨はどうなってしまうのでしょうか。
マンション型のお墓を末永く使っていきたい方は、建て替えや災害などがあった際の対応は確認しておいた方が良いでしょう。
■マンション型のお墓の仕組み
マンション型のお墓の最たる特徴は、お参りの方法にあります。
マンション型のお墓はどのような仕組みになっており、どのようにお参りができるのかを紹介します。
・遺骨は厨子に納められバックヤードに保管
まず、遺骨は骨壺に納められ、専用の入れ物(厨子)に収納されます。
遺骨を納めた厨子はバックヤードのようなところに並べて保管されます。
お参りの際は機械がここから特定の厨子を取り出し、参拝フロアまで運びます。
・共有の参拝ブースがある
まず、建物内には「参拝フロア」と呼ばれるスペースがあります。
参拝フロア内にはいくつかの参拝ブースがあり、それぞれにお墓を模したオブジェが置かれています。
この参拝ブース自体は利用者同士で共有するものとなっており、遺骨を納めた厨子のみ取り替えてお参りをします。
多くは洋型のお墓となっており、真ん中に「○○家」「やすらかに」などと刻まれた銘板が設置されます。
銘板には奥行きがあり、これが遺骨を納める厨子になっています。
・遺骨はカードをタッチすると呼び出せる
マンション型のお墓の場合、入口にある受付機か、参拝ブース自体にカードリーダーがあります。
リーダーにカードをかざすと機械が動作し、バックヤードから遺骨を納めた厨子が運ばれてきます。
お参りが終わるとまた機械が厨子を元の場所に運びます。
■マンション型のお墓の価格
それでは、マンション型のお墓はどれくらいで購入できるのでしょうか。
スタンダードなプランだと、遺骨が8体収蔵できて70-90万円程度です。
この他、年間管理費が1-2万円かかります。一括前納すると初期費用に管理料も乗ります。
マンション型のお墓ではプランがいくつか用意されていることもあり、ハイグレードなプランだと100-120万円くらいが相場でしょう。
ハイグレードなタイプだと専用のラウンジが使えたり、景色のいい上の階でお参りができたり、お墓の墓石が高級なものが使われているなどの特典が用意されています。
■まとめ
マンション型のお墓は、墓参ブースに遺骨を呼び出してお参りできるタイプの納骨堂です。
遺骨は厨子に納められ、普段はバックヤードに並べられています。
利用者がリーダーにカードをかざすと機械が動作し、墓前に厨子を運んできてくれます。
ほとんどのマンション型のお墓は駅から徒歩数分の位置にあるので、気軽にお参りに行けます。
また、永代供養がついているため、跡継ぎがいない、子供が遠方に住んでいるのでお参りに来れないといった方も安心してご利用できます。
内装はホテルのようなデザインできれいにされているところが多く、設備も充実しているので、快適にお参りできるでしょう。
費用は70-90万円程度で購入できるので、一般墓の相場が150-300万円であるのに比べると、安価にお墓を持つことができます。
気軽にお参りに行きたい、跡継ぎがいない、コンパクトできれいなお墓が欲しいといった方は、ぜひ検討されてみてはいかがでしょうか。