終活は自分が最後の時を迎えるためにあらゆる心の準備、物理的金銭的な準備を整えることです。
その中の1つが不要なものを処分し、必要なものを用意しておく生前整理です。では生前整理とは何をすればよいのでしょうか。
あるいはいつから始めればよいのでしょうか。ここではそのような生前整理の疑問について徹底解説します。
終活とは何か
まず終活とはどのようなものを指すのでしょうか。
終活とは何か
終活とは、自分の死に際して必要な準備をする活動です。
自分の死後に遺族の負担を減らせることはもちろん、死後の不安を払拭しておくことで、これからの人生を充実させることができます。
特に現代の日本の平均寿命は非常に長くなっており、したがって老後と言われる時期も20年、30年とあります。
終活は死ぬ準備ではありますが、むしろその20年、30年を充実させるためのものなのです。
具体的には、自分の財産の整理、人間関係の整理、死後の扱いの決定、相続の意思の明確化などが終活に含まれます。
終活はいつから始めるか?
では終活はいつから始めるのが適切なのでしょうか。
40代や50代から始めても良いのか?
終活を始めるべき年齢は、特に決まっていません。
40代や50代でも、思い立ったらいつでも始めましょう。
思い立った時はモチベーションが高いため、手も付けやすくなります。
加えて、高齢になればなるほど終活のハードルが上がります。
例えば、生前整理で荷物をまとめるには体力と根気が必要です。
他にも財産の整理や処分をするには高度な判断力が必要です。
しかし、体力・判断力ともに年を取るにつれて衰えてきます。
終活は元気なうちに始めておきましょう。
まだ終活を始めるには早いかなと思う方は、手始めにエンディングノートを埋めてみることをお勧めします。
その後に変更が生じたとしても、遺言書とは違いエンディングノートであれば簡単に書き直すことができます。
一通り書いた後は年に一回程度見直せばいいので、早く書いてしまったからと言ってその後手間にはなりません。
また、ものが多い方は少しずつ生前整理も始めましょう。
いざ生前整理をしようと思った時に一度に処分するのは、なかなか体力と気力が必要です。
少しずつ物を捨てる、物を増やさないことを念頭に生活すると、いざ整理しようと思った時の負担が減ります。
終活は60代から始めたいと思う人が多い
楽天インサイト『終活に関する調査』(2019年) が20-60代のうち終活の意向があるひとに行ったアンケートでは、全体の4割が60代で終活を始めたいと回答しており、最多でした。
現在は65歳からが高齢者と呼ばれており、60歳または65歳では定年退職もあります。定年は一つ区切りになりますので、これを機に終活を始める方もいます。
終活を始める年齢が全く見当もつかないという方は、参考にしても良いでしょう。
生前整理とは何か?
終活の中には生前整理というものも含まれます。
生前整理とはどのようなものを指すのでしょうか。
生前整理とは?写真の整理も含む?
生前整理とは、遺品整理に対して本人が生きているうちに、自分の所有している物品などを整理することを指します。
生前整理の中には物品を分別して捨てたり、人間関係を整理したり、相続のための財産を明確にすることも入ります。
生前整理は終活のどの段階で始めるか?
生前整理はいつから始めることが適当なのでしょうか。
先ほど書いたように、終活も生前整理も行う上では多くの気力、体力、判断力が必要です。ですからこの3つが充実しているうちに始めたほうが良いでしょう。60代ともなると体力も衰えてきますので、生前整理は40代、50代から始めることがおすすめです。
生前整理はどう始める?何をしたらよい?
生前整理をする上で行う内容には以下のようかものがあります。
不用品を分別する
生前整理だけではなく、身辺整理をする基本はまず手持ちのものを必要品と不要品に分別することです。
これを生前にしておけば、故人が亡くなった後、遺族が遺品整理をする上で大変負担が軽くなります。
しかし中には、思い出があるので、今後使わないが捨てたくないというものもあるでしょう。そのような場合は「保留」の箱を作ってその中に入れましょう。
そして保留箱に入っているものは、自分で「1年間使わなかったら捨てる」「自分の死後に捨てる」などとルールを決めておいて実行すれば大丈夫です。
貴重品をわかるようにしておく
故人が亡くなった後、金融機関や役所などでいろいろな手続きが発生します。また相続も行わなければなりません。
その際に必要となるものが、預金通帳や株券などの金融資産関係の書類、生命保険などの証書、年金手帳などの公的年金の証書、公共料金の請求書、銀行印や実印などの印鑑です。
これを故人の死後に膨大な遺品の中から探し出すことそれだけで大騒動です。
その遺族の負担を防ぐためには、貴重品を1か所におまとめておきましょう。
ただし、預金通帳と銀行印などを一緒にしておくことは防犯上好ましくありませんから、印鑑だけは別に保管しましょう。
財産目録を作成する
相続をするためにはどれだけ財産があり、逆に借金があるかを明確にしておく必要があります。そのために作成するものが財産目録です。
財産目録は銀行の口座別の残高や、証券や株券ごとの所有数、死亡保険などの内容、所有する不動産、借入金の借入先と金額などを一覧にしたものです。
以前は財産目録は手書きでなければなりませんでしたが、法律が改正されエクセルなどの表計算ソフトで作成したものでも法的に有効になっていますから、いったん作って異動があるごとに修正していけば大丈夫です。
エンディングノートを作成する
エンディングノートとは遺言書に書ききれない、遺族へのメッセージや希望する葬儀方法、埋葬方法などを記載したものです。
遺言書は正しい形式で書かれていれば法的に有効で、遺族はそれに従って行動する義務がありますが、エンディングノートにはそのような法的な拘束力はありません。
しかし、故人の遺志を伝えることは、遺族がその通りに行動してあげたいという指針にはなります。
エンディングノートに記載する内容は以下のようなものです。
- 本籍地と生年月日
- 貴重品の保管場所
- 家系図、親族一覧
- 入院、葬儀の時の連作先リスト
- かかりつけ病院
- 常用薬
- 延命措置や終末期医療の意思
- 臓器提供や献体の意思
- 菩提寺の連絡先
- 葬儀と埋葬方法の希望
- 喪主の指名
- 事前に購入してある場合は墓地の住所
- 祭祀継承者の指名
法的に有効な遺言書を書く
生前整理の最終的な目的は遺言書の作成です。
ただし遺言書は法律に則った正しい形式を維持していないと、有効にはなりません。有効ではない遺言書には拘束力がありませんから、せっかく遺言書を書いて故人の遺志を明確化しても、それが実行されるとは限らない状況になります。
ですから遺言書は必ず法的に有効なものを作成しましょう。
遺言書の種類には以下のようなものがあります。
- 本人自筆の遺言書
- 公証人がまとめる公正証書遺言
- 本人が作成し、署名捺印をした上で封をしたものを公証役場で保管する秘密証書遺言
この中で公正証書遺言は絶対に法的に有効なものになりますが、問題は後の2つです。
これを作成する際にはいくつか押さえるべきポイントがありますが、その主なものは以下の通りです。
- すべてを自筆で書く
- 印鑑を押す
- 記入年月日の明記
- 財産を1件ごとに書く
- 封をする
- 自分と相続する人を特定するために生年月日を明記する
遺族は必要なく、自分も必要なものを売る
所有している古本や雑誌、あるいは収集品によっては、市場価値があり高く売れるものも存在します。
そのようなものは、自分の死後は遺族に価値がわからなければ不用品として処分されてしまう公算が非常に高いでしょう。であれば、自分が生きている間に本当に価値のわかる人に売却し、現金化するというのも1つの考え方です。
特に小説の初版本や学術書、古書、絵画、フィギュアやプラモデル、ミニカーなどの収集品は専門の古物商や古本屋に持ち込んだり、ヤフオクやメルカリなどのフリマサイトで売却すれば、市場価格で売ることが可能です。
さらには自分1人で持て余している大きな家具なども状態が良ければリサイクルショップで買い取ってもらえます。
これらの売却で現金が得られれれば、それを使って家族で食事に行ったり、旅行に行ったりして、残りの人生を充実させることに前向きに活用できます。
処分するかどうするか迷った時は?
遺族にとって必要がなく、自分にとっても今後活用することがなくても、捨てるに忍びないものがあるでしょう。たとえば自分の昔の写真などです。
写真であればデジタル化する方法があります。そうすれば場所は取らず、もしも自分がもう1度見たい時にはパソコンで見ることができます。プリントされた写真のデジタル化は、専門の会社があるので、ネットで探してみましょう。
デジタル化できないが、すぐには捨てられないというものは「保留箱」と「死後処分する箱」を作ってその中に保管しましょう。分別の仕方は、保留箱には捨てられないものを入れ、1年間1回も使わなかったら捨てるという判断をします。死後処分する箱はその名の通り、自分では捨てられないが遺族には必要ないだろうというものを入れます。
まとめ
終活は単に身辺整理をすることではなく、それまでの人生を振り返り、今後の人生を考えて、残りの人生で本当に何を大切にすればよいかを確認する作業です。ですから、終活、生前整理は残りの人生を真に意味あるものにして充実させることにつながる、生きるための前向きな作業なのです。
その点をよく理解したうえで、ここまで解説した内容を参考に終活、生前整理を行い、残った20年、30年の人生を意義あるものにして、イキイキと暮らしていきましょう。