お布施は決まった金額がなく、渡す際のマナーについても迷われる方が多いと思います。
この記事では、そんなお布施についての疑問を解決いたします。
お布施とは?お布施の意味
そもそもお布施とは一体何なのでしょうか?その意味をご説明いたします。
お布施本来の意味
そもそもお布施とは自己の執念を捨て去るための仏道修行の一つです。布施行と言われ、事故の執念を捨て去り自分が持っているものなどをできる限り他人に施すと言う意味があるそうです。布施行には金品の喜捨(財施)、仏の教えを説くこと(法施)、恐れや恐怖を取り除くこと(無畏施)があります。
このようにお布施は本来修行を示す言葉であることから、はっきりと決まった金額がありません。お布施の金額を僧侶に尋ねても「お気持ちだけで結構です」などと答えられるのは、本来の意味を踏まえた言葉であると言うことです。
現在のお布施の意味
現在のお布施とは、読経や戒名を頂いた謝礼として寺院や僧侶に金品を渡すことを言うでしょう。一連のお葬式を執り行って頂いた感謝の気持ちを表すものです。実際のところ寺院もお布施から成り立っているところもあり、お寺の護持のための寄付と言う意味合いも持ちます。
また、お布施には読経料、戒名料、御膳料、お車代など複数の種類があります
読経料
僧侶が通夜や葬儀でお経を上げ供養してくれたことに対するお礼の気持ちを指します。
戒名料
僧侶が戒名(仏の弟子になり死後に与えられる名前)を付けて下さったことに対するお礼です。
戒名はお布施の金額で左右されることもあります。高い位の戒名程お布施の金額も高額となり、100万円以上の金額の戒名もあります。
御膳料
僧侶が通夜ぶるまいや精進落としを辞退した時に渡すもの。
お車代
葬儀場などへ足を運んでくださったことに対する費用です。
お布施の金額の相場はいくら?
お気持ちといっても、いったい相場はいくらぐらいなのか気になりますよね。お布施の相場についお話いたします。
お布施の全国的な相場はいくらぐらいか
お布施の相場や地域や戒名のランク、宗派や寺院によって大きく異なるので一概には言えませんが20万円から50万円程度が相場だと言われています。高位な戒名は100万円以上するケースもあり、その他に葬儀が大規模で複数の僧侶にお願いするともっと高額になることもあります。
一般的に葬儀費用の25パーセント程度がお布施となっていると言われています。お布施をお渡しする際の目安にすると良いでしょう。
昔は寺と檀家の関係がしっかりと築かれており、檀家同士である程度のお布施のの金額に対する共通の認識を持っていました。寺院の格式や宗派などからお布施の金額はだいたい決まっていたのです。しかし時代の流れにより、核家族が急増し檀家制度も崩れ始めて行ったことにより、お布施の本来の意味や金額についても曖昧となってきているのです。
現在では、依頼する葬儀社のプランによってはお布施の金額をあらかじめ明確に表示しているところもあります。
御膳料とお車代の相場
前述したお布施の相場は読経料と戒名料の金額です。
御膳料とお車代は別にそれぞれ5千円から1万円が相場となっています。
こちらも地域た葬儀によって違いがありますのであくまでも目安となります。
戒名料のランクによる相場
戒名の格式が高くなるにつれてお布施の金額も大きくなります。戒名の金額は宗派によって大きく異なります。その目安についてご紹介いたします。
浄土宗・天台宗
信士・信女で30から50万円、居士・大姉で50から60万円、院信士・院信女で80万円以上、院居士・院大姉で100万円以上となっています。
真言宗
信士・信女で30から50万円、居士・大姉で50から70万円、院信士・院信女で80万円以上、院居士・院大姉で100万円以上となります。
臨済宗
信士・信女で30から50万円、居士・大姉で50から80万円、院居士・院大姉で100万円以上となります。
曹洞宗
居士・大姉で50から70万円、院居士・院大姉で100万円以上となります。
日蓮宗
院信士・院信女で30から50万円、院居士・院大姉で100万円以上となります。
浄土真宗
釋・釋尼10万円以上、院釋・院釋尼50万円以上とまります
お布施の相場を僧侶に聞くのはNGなのか
お布施は金額がはっきり決まっていない上に寺院によって相場も違ってくるので、実際のところいくらお渡しすれば良いかわかりにくいですよね。
しかし「お布施の相場はいくらですか?」と僧侶に聞くとお布施本来の意味を考えて、僧侶も返答しづらいのです。「他の檀家さんはお布施をいくらぐらいされていますか?」「戒名料の目安がわからないので教えていただけませんか」という聞き方の方が僧侶は答えやすいと考えられます。
どうしてもお布施の金額がわからない時は、寺院や僧侶に直接聞いて見るのも良いでしょう。
お布施の袋(封筒)包み方・書き方
お布施を渡す時の準備やマナー、どのようなタイミングで渡せば良いかなどをご説明いたします。
お布施の袋の選択
お布施の袋について特に決まりなどはありません。お布施の袋は市販で売っているのでこれを用いることが多いでしょう。
本来お布施は僧侶にお渡しするものなので不祝儀袋は必要ありません。しかし、地域によって風習は異なります。関西では通夜・葬儀など四十九日までの場合は黒白の不祝儀袋、一周忌以降は黄と白の不祝儀袋を使用することが多いとされています。
地域によっては銀色の水引きがついた不祝儀袋を用いることもあります。こちらは5万円から数十万など金額が多い場合に使用されることが多いです。
水引きなしの無地のお布施用の袋は万能に使えます。わからない時はこちらを使用するのが無難でしょう。
お布施を包み方
お布施は二重に封筒で包むと不幸が重なると言う意味があり縁起がよくありません。従って奉書紙で包むのが良いとされています。
お札は肖像画が上になるように半紙で包みましょう。お札の入った半紙をさらに奉書紙で包みます。
あらかじめ市販の袋に中袋がついている場合は、それを使用してもマナー違反ではありません。
また、読経料と戒名料など料金ではない感謝の気持ちを表すものです。御膳料はお車代や対価があるものなので意味合いが違うので別々の袋に包みお渡しするのが良いでしょう
お布施の書き方
お布施の袋には上段に「お布施」とかき、下段に「苗字」または「○○家」あるいはフルネームを記入します。市販で売っているお布施の袋はあらかじめ上段に「お布施」と書かれているものも多くあります。
御膳料やお車代など少額な金額を包む場合は単純な白色の封筒タイプのものに上段に御車代や御膳料と記入し渡すのが良いでしょう。
お布施は薄墨ではなく濃墨で記入して構いません。
お布施の渡し方やタイミングについて
普段から行うものではない分、お布施を渡す際の渡し方やタイミングも難しいですよね。お布施を渡す際のマナーをご説明いたします。
お布施を渡すタイミング
お布施を渡す際のタイミングは、僧侶がお帰りになるタイミングに供養を行って頂いたお礼の言葉とともに渡すのが良いとされています。
葬儀前にお渡しする場合は「本日は宜しくお願い致します」などご挨拶とともにお渡しするのが良いでしょう。
お葬式の際渡すタイミングがなかった場合には、後日寺院に出向き、お礼とともにお渡しするのが丁寧でしょう。
お布施の渡し方
お布施を渡す際のマナーは直接手で渡すのではなく、「切手盆」と言う小さなお盆に載せて渡しましょう。
正面が僧侶にむくようにお盆を差し出して渡すのが作法です。
葬儀社に依頼している場合は相談しておくと良いでしょう。
切手盆が用意できない場合には袱紗に包んで渡しても構いません。袱紗から取り出し、袱紗の上にお布施を載せて渡しましょう。
まとめ
お布施は本来、形式が決まったものではありません。だからこそ少し難しいでものですよね。お布施について色々とお話しましたが、故人を供養して下さった僧侶や寺院に対する感謝の気持ちを大切にお渡しすることが良いでしょう。