通夜振る舞いとは、お通夜の読経と焼香が終わった後、参列者に振る舞われる食事のことです。
弔問者へのお礼として会食の席を設けるものですが、飲食をしながら故人を偲び、思い出を語ることで故人への供養となります。
地域によって習慣の違いがあり、通夜振る舞いを行わない地域もあります。また、通夜振る舞いには親族だけが参加し、一般の参列者には寿司や饅頭などの返礼品を食事代わりに持ち帰ってもらうという地域もあります。
一方、関東では会社・学校関係者や近所の方など一般参列者も一緒に参加するのが一般的です。
通夜振る舞いのマナーについてまとめました。
通夜振る舞いの流れ
一般的に通夜振る舞いは次のような流れで行われます。
①開式の挨拶
喪主が弔問のお礼などを述べます。
②通夜振る舞い(会食)
参加者は、故人を偲びながら料理をいただきます。料理は、本来は精進料理ですが最近ではあまりこだわらなくなっています。お寿司やサンドウィッチ、オードブルを大皿に盛って出すことも多くなっています。地域によってはお茶とお菓子ということもあります。
③閉式の挨拶
頃合いを見て、喪主または世話役代表がお開きの挨拶をします。一般の参列者は遺族に簡単な挨拶をして、速やかに退席します。
案内があった場合は極力参加する
通夜振る舞いがある場合、喪主の挨拶の際に通夜振る舞いの案内があります。該当する場合は案内に従いましょう。また、遺族から参加するよう請われた場合も参加します。
強制ではありませんが、故人を偲ぶという意味で、声を掛けられたら辞退せず参加するようにしましょう。
参加する場合、食事に箸をつけるのが供養とされていますから、一口でも箸をつけるのがマナーです。お酒が用意されることもありますが、宴会ではなく故人を偲ぶ場ですので、節度を守って飲むことが大切です。
通夜振る舞いの時間は一般的に1時間程度ですが、故人や遺族とそれほど親しくない場合は30分程度で切り上げるのが望ましいとされています。
都合がつかない場合など、どうしても辞退しなければならないときは、遺族や世話役の人にやむを得ない事情があって辞退する旨を告げ、退出します。それでも重ねて勧められた場合、いったん参加して一口箸をつけましょう。その後、タイミングを見て遺族に断り、目立たないように退出しましょう
通夜振る舞いの席でのマナー
通夜振る舞いは宴会ではなく、故人を偲ぶための食事会ですから、守るべきいくつかのマナーがあります。
故人に関係のない話は避ける
通夜振る舞いは故人を偲び、思い出を語り合う場です。ですから、故人とあまり関係のない話は避けるのがマナーです。仕事の関係者が参列していても、その場で名刺交換をしたり、仕事の話をするのは失礼に当たります。
また、遺族や親族と話す際は、「死亡」「ご存命中」といったストレートな表現や、「重ね重ね」「たびたび」といった重ね言葉は使わないようにしましょう。故人の死因や臨終の様子などについて尋ねるのも失礼とされます。
大きな声で話したり、笑ったりしない
お酒も入り、思い出話をしていると、つい話が弾むこともあるでしょう。しかし、通夜振る舞いで大きな声で話したり笑ったりするのはマナー違反とされています。故人を偲ぶ場ということをわきまえ、遺族や周囲に配慮しましょう。
遺族を気遣う
遺族は弔問客をもてなす側ですが、身内を亡くされた直後でもあります。そのことをに十分配慮し、気遣いをしましょう。また、挨拶は簡単にとどめ、話し込んだり引き止めたりしないようにしましょう。
また、最後の挨拶の後は長居をせず、速やかに退席して時間通りに終了できるようにしましょう。
故人を偲ぶ場であることをわきまえ、ご遺族を思いやることが、通夜振る舞いでのもっとも大切なマナーといえるでしょう。