比較的大きい規模の葬儀をしようと考えていると、
「葬儀委員長は必要?不要?」
「葬儀委員長は誰に依頼すればいいの?」
「葬儀委員長へのお礼はどうするの?」
など、このような疑問や悩みがあるのではないでしょうか。
近年では、一般葬が少なくなってきていて、家族葬や直葬(火葬式とも言われる)など、葬儀にかける日数や参列する人数が少ない小規模の葬儀が多くなってきています。
しかし、葬儀の主催者が喪主と異なる場合、会社や団体、町内会などが主催して執り行う葬儀は比較的規模も大きくなり、葬儀を滞りなく進めるためにも葬儀委員長は必要になってきます。
ここからは、葬儀委員長の役割や立場、仕事の内容や服装、あいさつなど、葬儀委員長についてみていきます。
■葬儀委員長とは
葬儀委員長とは、悲嘆している遺族に代わって葬儀の準備や受付、会計や進行など葬儀の進行に関する総責任者のことで、喪主と相談しながら葬儀が滞りなく進行するようにその役割を担います。
また、喪主は遺族の代表者になるので、葬儀にあたって僧侶の出迎えや参列者のお迎えを行い、挨拶などをします。
・葬儀委員長は必要?
近年では葬儀を少人数で行うスタイルが多くなり、葬儀委員長を立てることはほぼありません。
ただし、次のような場合は葬儀委員長を立てる必要があります。
・葬儀の主催者が喪主以外にいる
・社葬・合同葬・団体葬などの規模が大きい葬儀
社葬や合同葬、団体葬など比較的規模が大きい葬儀は、会社や団体、町内会などが行い、多くの参列者が弔問に訪れるので細やかな気配りができないことも少なくありません。
葬儀の規模が大きくなる場合、葬儀の主催者が喪主とは別の場合は、葬儀委員長を選出して、葬儀を執り仕切ることは大切です。
・葬儀委員長の立場
葬儀委員長は葬儀の最高責任者であり、喪主よりも上の立場になります。
挨拶は葬儀委員長が先に行い、次いで喪主が挨拶を行うのが通例です。
葬儀の規模に応じて、葬儀全般のお手伝いや進行係をする人、会計の責任者、受付の責任者、通夜振舞いなどの接待の責任者、裏方の炊事責任者、靴を脱ぐ会場の時は下足番の責任者を取りまとめて指示を出します。
挨拶は葬儀委員長が先に行い、次いで喪主が挨拶を行います。
・葬儀委員長の役割
葬儀委員長の役割は、葬儀を滞りなく進めて故人を偲ぶことですが、本当の役割は別なところにあります。
葬儀委員長の選出が必要な比較的規模の大きい葬儀は、社葬や団体葬、合同葬になります。
特に会社の代表が亡くなった、団体の重要なポストにいた人が亡くなったとなると、その会社や団体の信用不安が広がってしまいます。
葬儀委員長は、会社のクライアントや株主など周囲の関係者が不安を抱かないようにして、今後の運営が円滑になるように対外的にアピールすることです。
このように葬儀委員長の言動や態度で今後の会社や団体の運営を左右することにもつながるので、とても大切な役割を担っていることになります。
・葬儀委員長を頼む人
葬儀委員長は大変重要なポストなので、社長や会長、次期社長候補などの後継者が務めることになります。
社葬や団体葬などで葬儀委員長を選出する場合は、会社の社長や団体のトップが選ばれます。
また、亡くなったのが会社の社長や団体のトップの場合は、会長や次期社長候補などの後継者が選ばれます。
なお、家族経営で運営している会社や団体の場合は、社長、役員など重役が全員遺族になることもあります。
そのような場合は、市長や市会議員、県会議員や国会議員などの公的な立場の人、取引先の社長など外部の社会的な立場のある人などに依頼することもあります。
葬儀委員長は1人ですが、複数人に依頼したい場合は葬儀副委員長をおくこともできます。
■葬儀委員長の仕事
葬儀委員長の仕事は葬儀を滞りなく進めるために取りまとめることなので、葬儀当日の仕事が一番重要です。
葬儀の規模にもよりますが、葬儀全般のお手伝いや進行係をする人、会計の責任者、受付の責任者、通夜振舞いなどの接待の責任者、裏方の炊事責任者、靴を脱ぐ会場の時は下足番の責任者など、葬儀に関わる責任者が少ない場合は、これらの仕事を兼務することになります。
これらの仕事以外にも、喪主や遺族と予算の打ち合わせや花の注文、葬儀のお知らせなど葬儀の準備段階の仕事をすることもあります。
■葬儀委員長をするときの注意点
葬儀委員長の選出が必要な比較的規模の大きい葬儀は、当然弔問に訪れる参列者や弔電・供花も多くなるので、隅々の細かなところまで気を配る必要があります。
特に服装やあいさつなどは、会社や団体を代表しての立ち振る舞いになるので、注意が必要です。
ここからは、葬儀委員長として注意しておきたい点についてみていきます。
・葬儀委員長の服装
葬儀委員長を依頼されたら、当日の服装は男性はモーニング、女性も喪服が基本です。
モーニングの場合は、ポケットチーフは入れてはいけません。
遺族と合同で行う場合は、遺族側と企業側で格の違いが出ないよう、あらかじめ打ち合わせておきましょう。
・葬儀委員長の香典
葬儀委員長も香典は必要なのか、それとも不要なのか気になるところですが、故人と葬儀委員長との関係によって変わってきます。
故人と葬儀委員長の関係が、遺族と変わらないような立場の場合は、香典を用意する必要はありませんが、故人と葬儀委員長の関係が遺族とは違う立場の場合は、香典を用意しておくのが一般的になります。
・葬儀委員長のあいさつ
葬儀委員長は、言動や態度で今後の会社や団体の運営を左右することにもつながるので、とても大切な役割を担っているとお伝えしましたが、その中で最も重要なのがあいさつです。
あいさつでは、まずは会社や団体を代表して参列者にお礼を述べ、次に故人の人柄や功績などを紹介して、故人のご逝去のこと、最後に故人の遺志を引き継ぎ会社や団体を運営していく意思表示をしながら、遺族への支援も伝えるようにしてください。
また、葬儀委員長のあいさつは、通夜、告別式の冒頭もしくは終了後にあいさつすることが多く、喪主より先にあいさつをするのが一般的です。
事前に喪主と相談してあいさつの内容が重複しないように気をつけてください。
・葬儀委員長のあいさつ例文
葬儀委員長のあいさつに関わらず、葬儀であいさつをする場合は、数字の4や9など死を連想させる言葉や、重ね重ねや度々などの重ね言葉も使わないようにしましょう。
では、どのようなあいさつをすればいいのか、あいさつ例文をみていきましょう。
【あいさつ例文】
ご遺族、ご親族の皆さまに代わりまして、私〇〇が葬儀委員長として皆様に一言ご挨拶を申し上げます。
本日はご多用にもかかわらず、株式会社〇〇 代表取締役 故〇〇 〇〇の社葬並びに告別式にご参列を賜り、誠にありがとうございます。
〇〇 〇〇は創業以来、〇〇年にわたり一代で弊社をここまで発展させた起業家でございました。
〇〇 〇〇は、少し頑固な面もありましたが正直なお人柄と相俟って周囲の人望も厚く、業界においても問題の解決に大きな役割を果たしてこられました。
その〇〇 〇〇が、かねてより病院で療養中でございましたが、〇月〇日〇時〇分に家族に看取られ安らかに永眠しました。
私ども株式会社〇〇社員一同、故〇〇社長の遺志を受け継ぎ、更なる努力をして弊社の発展に努める覚悟でございます。
最後に、ご遺族、ご親族の皆さまに対しまして、これまで故人に賜りましたと同様のご厚誼をお願い申し上げる次第でございます。
本日は誠にありがとうございました。
■弔電の宛名は喪主?それとも葬儀委員長?
一般葬の葬儀に欠かせない弔電ですが、社葬や団体葬なると送られてくる弔電の数も多くなります。
一般葬の葬儀に送られてくる弔電の宛名は喪主が普通ですが、葬儀委員長がいる場合は喪主宛にするのか葬儀委員長宛にするのか迷ってしまいます。
葬儀委員長の役割は、葬儀を滞りなく進行させ、葬儀全体をまとめる最高責任者でもある立場なので、葬儀委員長がいる場合に送る弔電の宛名は葬儀委員長にして送るのが無難です。
とはいえ、弔電を送るときに迷ったときは、喪主や葬儀場、会社や団体などに連絡をして確認をしてから弔電を送ることが大切です。
■葬儀委員長へのお礼
葬儀委員長へのお礼は、葬儀が終わってから改めて訪問して感謝の気持ちを伝えるようにしましょう。
その際、香典で頂いた金額と同額のお金(新札)を白封筒や不祝儀袋に入れて「心付」と書き、手土産の菓子折りを持参して、感謝の気持ちを伝えるようにしてください。
また、葬儀委員長以外にも葬儀の進行を手伝ってくれた人がいる場合は、葬儀当日に3,000円から5,000円を目安に白封筒や不祝儀袋、なければ半紙に包んで渡すようにしてください。
■まとめ
ここまで、葬儀委員長の役割や立場、仕事の内容や服装、あいさつなど、葬儀委員長についてみてきました。
葬儀委員長は葬儀の最高責任者であり役割も大変重要なのでその重圧は大きいのかもしれませんが、葬儀を主催している会社や団体にとっては組織の結束力を固めるなどのチャンスにもなります。
比較的規模の大きい社葬や団体葬を葬儀委員長一人で執り行うことは難しいので、周りの葬儀委員や社員が支えることで社葬や団体葬を無事に執り行うことで、取引先やお客様、株主様など周囲の信用不安を和らげることができます。