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成年後見制度とは?対象者は誰?簡単に解説します

投稿日:2017年5月15日 更新日:

介護

「成年後見制度」という言葉を聞くことが増えてきました。とはいえ、まだまだ一般にはどういうものか理解されてないのではないでしょうか。

成年後見制度は、認知症や知的障害、精神障害の方など判断能力の十分でない方が不利益を受けることがないよう、家庭裁判所に申請して後見人を付け、財産管理などを代行してもらう仕組みです。

高齢化が進む中で、今後、認知症はさらに増えていくと言われています。今は健康でも、いずれ自分や家族が認知症にならないともかぎりません。

いざというときのために、成年後見制度について理解しておくことはますます大切になるでしょう。

法定後見制度と任意後見制度

成年後見制度には「法定後見制度」と「任意後見制度」があります。

さらに、法定後見制度は、本人の判断能力によって「後見」「保佐」「補助」の三つにわかれます。

法定後見制度

法定後見制度は、すでに判断能力が不十分になったときに利用するものです。
家庭裁判所に申立てを行い、家庭裁判所に後見人(保佐人、補助人)を選任してもらいます。

本人の判断能力が「後見」「保佐」「補助」のどれに該当するかは、申立ての時に添付する診断書を目安とし、医師の鑑定に基づいて家庭裁判所が決定します。

申立てができるのは、本人または配偶者、四親等以内の親族です。本人や家族ともに申立てが難しい場合などは、市町村長が申立てすることができます。

ただし、いったん法定後見制度を始めると、本人が亡くなるか、判断能力が十分に回復したと医師と家庭裁判所が認定するまで止めることはできません。申立てをする際には、家族や親族とよく相談して判断しましょう。

後見

「判断能力が欠けているのが通常の方」が対象になります。例えば、日常の買い物も一人でできないような状態で、その援助をするのが「成年後見人」です。後見の成年後見制度を利用する場合、本人の同意は不要です。

成年後見人は、本人の代わりに財産を管理し、本人の介護サービス契約の締結をするなど、本人のための法律行為を本人に代わって行う権限が与えられます。後見人のみが、本人の同意なしに預貯金の引き出しなどの手続きをすることができます。

また、本人が不動産を購入しても後から取り消すことができるなど、日常生活に関するものを除き、本人がした行為をすべて取り消すことができます。

保佐

「判断能力が著しく不十分な方」を対象とします。日常の買い物はできるが、不動産の売買といった重要な契約行為はできないという状態で、その援助をするのが保佐人です。保佐の成年後見制度を利用する場合、本人の同意は原則不要です。

保佐人は、民法で定められた一定の重要な事項(借金、訴訟行為、不動産売買、相続の承認・放棄、新築・改築・増築など)について同意権・取消権があります。例えば、不動産を売買するときなどは保佐人の同意が必要になり、同意なく行った場合には取り消すことができます。

また、裁判所は上記のうち特定の事項に代理権をつけることができます。その場合、保佐人は本人に代わって契約などを行うことができます。

補助

「判断能力が不十分な方」を対象とします。自分で契約をすることはできるが不安があり、誰かに手伝ってもらったり、代わってもらったりしたほうがよいという状態で、その援助をするのが補助人です。補助の成年後見制度を利用する場合、本人の同意が必要になります。

補助人は、上記の保佐人に同意権・取消権がある事項のうち、家庭裁判所が認めたものについて、契約を取り消したり、本人の代理として契約を行う権限が与えられます。

任意後見制度

任意後見制度は、本人の判断能力が十分にあるうちに、あらかじめ信頼できる後見人(任意後見人という)と支援してもらう内容を契約によって決めておく仕組みです。

任意後見契約は公正証書を作成する必要があります。また、公証人は任意後見契約の内容についても適切なアドバイスをしてくれます。

その後、判断能力が低下すると、家庭裁判所に申し立てて任意後見監督人の選任してもらい、任意後見契約の効力が生じます。任意後見監督人は、任意後見人が後見人としての仕事をしているかをチェックします。

任意後見制度には、後見人を自由に選べる、本人の希望に沿ったサポートが受けられるといったメリットがあります。法定後見制度のような取消権がないため、もし不利な契約を結んだとしても、それを取り消すことができません。

その場合は、法定後見制度を申し立て、後見人を選任してもらうといった対処も必要になるでしょう。

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