お葬式は故人を偲ぶ儀式で、何かと決まり事が多く、その地域や家によっても慣習は異なります。
嫁ぎ先で初めてのお葬式となると、慣れない慣習の中でも嫁としての役割を果たさなければなりません。
特に、嫁も少なからずマナーや振る舞いといったことが求められる場合も少なくないでしょう。
今回の記事では、嫁ぎ先でのお葬式で嫁がどのように振舞ったらいいのかについて解説します。
■義実家での葬儀で嫁の立ち位置
まず、基本的にお葬式における嫁の役割というのは明確に決められていません。
ただし、だからといって何もしない訳にはいかないのではないか、という思いが強いために多くの女性が困惑しているのでしょう。
主に、嫁としてお葬式に出る場合は義父や義母、夫などが喪主となっており、親族の一人として参列することになります。
その場合、旦那は葬儀の手伝いで忙しいことが想像され、また、親族は忙しさ以上に悲しみが辛くのし掛かってきます。
そんな彼らのサポートが主な嫁としての立ち位置になるとされています。
・親族への心のケア
葬式における嫁の最大の役割はその心のケアになります。
故人が亡くなることで、家族は大きな悲しみを受けます。
しかし、その一方で訃報を受けてから葬式における親族の役割は実にたくさんのものがあります。
この時に、精神的な支えとなれるのは良い意味で故人と距離のある嫁のサポートでもあります。
勿論もちろん、しっかりと故人を失った悲しみに配慮しながら葬儀の手配の手伝いをするなど精神的に支えてあげるとよいでしょう。
ただ、気負う必要はありません。
葬儀そのものの準備はプロの葬儀屋が行ってくれますのであくまでサポートという立ち位置になります。
それだけでも、家族にとってはありがたいものでしょう。
・参列者から見た嫁
家族からみた嫁というのは、精神的にも役割的にもとても重要で心強い立場です。
しかし、葬儀となると一概に家族だけ気にしていれば良いわけではありません。
多くの参列者が訪れる葬儀において嫁はどのように振る舞うべきなのでしょうか。
これには賛否両論あり、テキパキやりすぎると、家族が何もしていないように映り、一方でなにもしないというのはそれで何もしない嫁という見方がされる場合もあるようです。
注意すべきは控えめであることです。
葬儀の主役は喪主や姑であり、故人です。
その家族達がしっかりと役割を全う出来る様にすこし引いた位置で支えてあげるようにするのが良いとされています。
・姑や長男の手伝い
具体的にはどんな事をすればよいのでしょうか。例えば以下の様な業務があげられます。
・参列者の靴を整理する
・お手洗いの案内
・各種掃除
・食事の席でのお茶出しなど
これらの業務をこなしながら、常に喪主や旦那、姑、などの傍によりそい気がついたことがあれば手伝ってあげるようにします。
また、葬儀というのはとても長丁場なので、途中でつまめるようにおにぎりやサンドイッチといった軽食を買っておくなどすることで、親族が喜んでくれたという例もあります。
また、大きな役割としては「子供の面倒」というのがあげられます。
子供が小さい場合、どうしてもTPOを把握しきることが出来ずに、長丁場になるお葬式では我慢が出来なくなってしまうこともあるでしょう。
そのような時に、上手に面倒をみて葬儀の妨げにならないようにするのは最大の役割ともいえるでしょう。
初めての葬儀では旦那も初めての場合が多いので、夫婦で揃って助け合うようにできるとよいでしょう。
■葬儀で失礼とされる3つの振る舞い
1.参列者への気配りがない
嫁の役割は裏方が多いですが、実際に参列者への気配りを忘れてよいという訳ではありません。
葬儀の参列者にはしっかりと挨拶を交わすようにしましょう。
お姑さんやお舅さん、旦那さんに紹介されたときは「嫁の~~です」としっかり挨拶するようにしましょう。
また、葬儀の参列者といっしょに食事の席でお酒を自由に楽しんでしまうようなことがあってはなりません。
参列者がスムーズに食事できるように、席への案内や、食事の準備、後片付けなど基本的な役割をこなすことが前提となってきます。
裏方にまわり、目立たないように配慮するのが一般的のようです。
また葬儀には年配の方が参列されることも多いです。そのような高齢な方が疲れないように配慮してあげると、葬儀では喜ばれるケースが多いようです。
2.子供の面倒を見切れない
子供の面倒がみれない、というのは葬儀では重要な問題になります。
実際に葬儀は、子供を抱えた女性にとっては大変な一日になることでしょう。
何故ならばその葬儀場のTPOとして、求められる対応・配慮がありますが、残念ながら子供にはそういったことが分かりません。
そんなとき、上手く子供をあやすのも大事な仕事の一つですが、走り回ったり、大泣きしてしまうことは良くあることです。
実際に子育ては大変で、そのような状態に対応が間に合わないということもあるかもしれません。
子育ての方針や、家庭の状況などさまざまです。しかし、葬儀という場においては子供が表だってしまうと参列者から反感を買ってしまいます。
葬儀場で走ってしまうのは「子供だから仕方ない」「こどもらしくていいね」という意見もありますが、「嫁が面倒を見切れていない」という意見が強いでしょう。
子育てなので嫁だけの問題ではないという反論もあるかもしれませんが、旦那さんが喪主になっている場合、そうで無くても自分の親の葬儀の場合はどうしてもそこまで手の回らないものです。
頑張って子供の面倒を見るのも葬儀では重要な嫁の仕事と見なされているようです。
また、育児の負担が大きすぎるような場合、葬儀への不参加もやむなしとするケースもあるようなので、その場合はご家族と相談してみてはいかがでしょうか。
3.前に出すぎる
嫁が前に出る、というのはあまり良くないとされています。
実際に故人と血の繋がった旦那の兄弟姉妹や、義母義父の中には葬儀に関わり過ぎることをあまり良く思わない場合もあるようなのです。
一概には言えませんが日本の古い考え方にはそのような場合もあるのでサポートに徹する考え方は非常に重要です。
しかしながら前に出るな、と言われても、何もしないと出来ない嫁と思われてしまいそうで心配なのが嫁いだ女性の気持ちでもあるでしょう。
もし心配な場合はお舅さん、お姑さんの指示に従いながら動くようにするとよいという意見が多いようです。
実際に、家族の多くが初めての葬儀である場合も多く、悲しみもありなかなかスムーズにはいかないことも多いです。
気を掛けているということが相手に伝わるようにするのが一番よいでしょう。
■葬儀における嫁の服装
嫁が葬儀に参列するときの服装は基本的に喪服です。
しかし最近では略礼服になりつつあるともされています。
一方で、親族がしっかりとした正式礼装を着ている場合には、嫁も当然それにならう必要があります。
髪型はしっかりとまとめあげるようにしましょう。化粧は薄めにするのが基本です。
マニキュアなどの装飾もしないようにします。
また喪服には和装と洋装があります。
和装は近親者が着る物とされているので、嫁の場合は和装については考えなくて良いでしょう。
洋装では基本的にワンピースにジャケットです。
しかしスカートでも問題ないこととなっています。
ズボンについては基本的に遺族側は避けることとなっています。
しかし、脚を怪我していたり何か特別な事情がある場合に限りはくことができます。
またその他の小物は以下の様な基準があります。
・靴はヒールが低く、装飾品は無いものが好ましい
・ストッキングは黒い物
・装飾品は真珠のものだけが許される
アクセサリーには人の涙を連想するとして、真珠が認められているようですが、参列者や親族の中には葬儀でのお洒落自体に懐疑的なひとも少なくないようなので、注意しましょう。
■葬儀に嫁が持っていくもの
・香典
嫁が葬儀に出る場合、香典が必要な場合があります。
実際に実の両親の葬儀でも香典というのは必要である、という意見と、実の親であればいらないとされる意見があります。
この判断基準は喪主を務めるかどうかで変わってきて、務めない場合には香典を持って行きます。
その時の額は以下のようになります。
・20代の場合は3万円から10万円
・30代では5万円から10万円
・40代以上は10万円以上
嫁の場合もこれに準じて持って行くことになっています。
また、細かい額は家族や地域での差がありますので確認をするようにしましょう。
また、葬儀では以下のようなものが必要になります。
・黒の布製の無地バッグ
・ふくさ
・白いハンカチ
・数珠
忘れないように注意しまそう。
・エプロン
葬儀には必須ではないですが、あった方が良いとされるのがエプロンです。
多くの葬儀経験者がこのエプロンの重要性を伝えています。
というのも、嫁が葬儀に出る場合、裏方の仕事が多いのは何度も伝えましたが、掃除やお茶のよういといった給仕のような仕事が多くなります。
精進落としなど食事の席もあることから、洋服が汚れる場合も少なくありません。しかし、礼服ですから汚すわけにはいかないのです。
そんなときにエプロンがあると大変便利と言う事です。
最近では葬儀屋がそれらの仕事もこなしてくれる場合もあるようですが、念の為に持っておくと便利でしょう。
■男女平等という考え方
・男女平等の社会ではあるが葬儀ではどうか
男女平等教育が始まり久しく、多くの場で男女平等が叫ばれるようになりました。
実際に家事の分担においても、仕事の比率においても分けるという夫婦も少なくないと言われています。
そんな中で葬儀では目だって男女別々の慣習が残っているように思えます。
実際に紹介してきた中でも、20年前の嫁としての扱いのような仕事が目立つのではないでしょうか。
今回の記事における、嫁の役割というワードは、実際に宗教的な決まりや、儀式としてのルールなどではなく昔から続く風習のような性質がつよいようです。
ですから、多くの女性がその振る舞いについて迷っている傾向にあるようです。
そんな中で、「子供の面倒は女性の仕事」「嫁は裏方に徹するべき」という社会の男女平等化の流れに反したことが女性間で話し合われているのを見る限り葬儀では、嫁としての役割が女性の中でしっかりと認められ、求められているようです。
実際に葬儀では多くの年配の親族も訪れるので、嫁という重要な役割について、目についてしまうようです。
葬儀の日はとても大変な一日となりますが、喪主となる舅さん、姑さん、あるいは親族の旦那さんも悲しみや忙しさに押しつぶされそうになっていることでしょう。
そんなとき、嫁としてしっかりとサポート出来る様に準備が出来るとよいですね。
・夫と予め家族の考えについて摺り合わせておくのも手
実際に、家庭環境がさまざまでなかなか一般的な慣習に合せられない場合もあります。
宗教的な違いや、どのように配慮して良いのかが解らない、という場合もあるでしょう。
場合によってはあまりそのような昔ながらの風習を気にしない家柄の場合もあります。
もしも心配であるときは初めから夫婦間、可能であれば親族に考えや認識の一致をはかっておくのも手です。
地域の風習や、マナーの認識は以外と多く、知らないせいで被害を被ってしまう可能性も少なからずあるでしょう。
しっかりと話し合い、気持ちよく故人を見送れるようにしましょう。
■まとめ
今回は、お葬式における嫁の役割について紹介してきました。
嫁の役割、といっても喪主や施主のようにはっきりきまっている訳でもないので、多くの女性がその立場になったときに困惑しています。
いまいちどポイントをまとめていきましょう。
・お葬式において、嫁の役割は親族のサポートになる
・サポートをする場合も、あまり出過ぎると良くないという面もある
・嫁の役割のなかでも、子供の世話というのは大きい
・現代においてもお葬式では嫁という立場はまだ固定されている傾向にある
ポイントは以上のようになります。
子供の世話を一人でしなければならなかったり、親族への配慮も必要だったりといつも以上に嫁として女性は大変な立場に立たされてしまいます。
しかし、親族はそれ以上に悲しみと忙しさに見舞われていると考えられます。
大変だとは思いますが、嫁として親族をサポート出来る様に頑張りましょう。