合同法要はお寺との付き合いで出席する必要が出てくることがあります。
また、お寺と関係なく、複数人や複数の家の法要を一度に行うことも合同法要と言います。
場合によっては、合同法要に参列することがあるかもしれません。
今回の記事では、合同法要に関する注意点のあれこれを徹底解説します。
合同法要とは
「合同法要」という言葉が指し示す法要には3つの場合があります。
2つ以上の年忌法要などをまとめて行う
1つは2つ以上の年忌法要などをまとめて行うことです。
たとえばAさんの三回忌とBさんの三十三回忌法要などが同時期に重なった場合に、まとめて1度で行う法要のことです。
完全に同月同日ではなくても短期間のうちに複数の法要を行うことは大変なので、年忌法要などは同じ年であれば合同で行うことがほとんどです。
複数の家の法要を1度に行う
ある寺院に所属する檀家が一堂に集まって行われる法要も合同法要と言います。
三回忌などの故人に対する法要をこの方法で行うことはありませんが、施餓鬼法要、お彼岸法要などはこの合同法要の形で行う場合があります。
複数の寺院が一緒に行う
一定地域の寺院が宗派を超えて参集し、法要を行う場合も合同法要と言います。
最近は宗派間の軋轢も薄れてきて、このような仏教全体で盛り上げていこうという動きも活発になってきています。
合同法要の案内状が来たら行かなきゃいけない?
合同法要の案内状が来た場合、必ず参列する必要があるのでしょうか。
法要は通夜や葬儀とは違い、知り合いだからと言ってこちらの意思で参列するものではありません。
遺族からあの人に参列してもらって故人を偲んでもらいたい、それが故人に対する供養になるから、と思って招待されて初めて参列するものです。
ですから招待されたら別の特別な用事がない限り、参列しましょう。それがマナーです。
しかし仕事などの都合で参列できない場合もあるでしょう。
その場合は参列したいけれど事情でできないというメッセージの意味も込めて、香典や供花、お供え物を送りましょう。
特に親しかった間柄の故人の場合は、日を改めて自宅へ弔問しても丁寧ですが、しかしその場合は遺族の都合もあるので必ず事前に訪問してもよいかどうかを遺族に確認しましょう。
さらに招待状に関しては、遺族は招待状の返事を集計して法要後の会食の予約を取っていますから、早めに出欠の返事を出すことがマナーです。
法事に参加するときの持ち物
合同法要に参列する場合は以下のものを持参しておけば、困ることはないでしょう。
基本的な持ち物一覧
・香典
・袱紗(ふくさ)
・数珠
・小物
・バッグ
・サブバッグ
・ハンカチ
・時計
・指輪(結婚指輪まで。アクセサリーとしての指輪はNG)
・ヘアアクセサリー
・ベルト
・傘
・手袋(必要であれば)
・ベール(必要であれば)
また必需品ではありませんが、以下のものは持っていくと役立つことがあります。
お寺の合同法要の場合はこの限りではありません。
・替えのストッキング
・エプロン(お手伝いをする可能性がある場合)
香典、お布施はどうしたらいい?
合同法要に参列する際には香典は必須です。
香典の相場などはどう考えたらよいのでしょうか。
香典の相場
香典の相場は、故人や遺族と自分の血縁関係の有無、付き合いの濃厚さなどによって異なります。
これを踏まえて、香典の相場は以下のように考えましょう。
・1人で参列し会食がない場合の親族:1万~2万円
・夫婦で参列し会食がない場合の親族:2万~5万円
・1人で参列し会食がある場合の親族:3万円前後
・夫婦で参列し会食がある場合の親族:最低3万円
・特に親しい友人、世話になった知人で会食がない場合:1万~3万円
・特に親しい友人、世話になった知人で会食がある場合:3万円前後
・一般的な付き合いの友人、知人で会食がない場合:5千~1万円
・一般的な付き合いの友人、知人で会食がある場合:1万~3万円
また法事は故人が父母、祖父母などの自分にとっての近親者の場合も自分が喪主や施主でなければ香典を出します。
相場は以下の通りです。
・祖父母、配偶者の祖父母:1万円~5万円
・父母、配偶者の父母:3万~10万円
なお、お盆や彼岸に催されるお寺での合同法要の場合、お布施の相場は以下の通りです。
・3,000円~1万円
香典で避けるべき金額
香典に入れるお金を「4」「9」がつく額にすることは避けましょう。
これは「4」「9」が「死ぬ」「苦しむ」を連想させるからです。
さらに日本に古くから伝わり、いまだに日本の習俗の根本に影響を与えている陰陽道によれば、奇数は陽にあたるので縁起が良く、偶数は陰に当たるので縁起が悪いとされています。
したがって香典に包む金額は偶数は避けたほうが良いでしょう。
たとえば4万円はNGで、それであれば金額が減っても3万円の方がよいということです。
ただし、例外として2万円はOKだとされています。
2万円を1万にすると半額になり、逆に3万円にすると1.5倍なるので、あまりに額の変更が大きいためです。
香典の包み方
香典にするお札を折り目のない新札にすると、以前から法事があることを予測していたとらえられるためNGです。したがって香典には使い回された、折り目の入ったお札を使いましょう。
ただしあまりによれよれのお札を入れることも失礼です。あるいは新札しか手元にない場合もあるでしょう。そういう時には、新札を1回折って折り目を付ければ大丈夫です。
香典はのし袋の中でもいわゆる「不祝儀袋」に入れます。のし袋の水引は、東日本では双銀(そうぎん)や白黒です。西日本では黄白の水引を使う場合もあります。
香典のお金はまず中袋という封筒に入れ、そのうえで封筒をのし袋に入れます。のし袋の裏には、上下の折り返しがありますが、上からの折り返しが1番上にくるようにします。ちなみに結婚などの慶事の場合、下からの折り返しが1番上になるように折ります。
中袋の裏面には左側には自分の住所と氏名、右側には香典に入っている金額を記入します。金額は頭に「金」をつけ、漢数字は旧字体にしましょう。新字体だと、間違えて線を加えてしまうだけで金額が変わってしまい、ミスが起きやすいからです。
念のため数字の旧字体もご紹介しておきます
・一:壱
・二:弐
・三:参
・四:四
・五:伍
・六:六
・七:七
・八:八
・九:九
・十:拾
・百:佰
・千:阡
・万:萬
・円:圓
つまり25,000円の香典の場合は「金弐萬伍阡圓」と書きます。
のし袋は宗教や宗派で異なります。仏教では蓮の花の絵が印刷されているものが正式ですが、絵がなくても大丈夫です。キリスト教の場合は、ユリの花や十字架が印刷されたのし袋です。神道の場合は、無地ののし袋です。
文字色は薄墨が基本
のし袋に書く文字は基本的に黒の文字です。弔事の香典は薄墨というイメージがありますが、それは通夜と告別式だけです。
通夜と告別式の香典は、文字を書くために磨った硯に涙が落ちて墨が薄くなってしまった、ということを表すメッセージなので、表書き、およびその下の自分の名前は薄墨になります。しかし四十九日以降は、故人を偲んで一生懸命墨を磨ったということをメッセージするため、普通の濃い黒の墨を使うのです。
香典の表書きのマナー
香典の表書きは故人の宗教、宗派によって異なります。
浄土真宗、禅宗以外の仏教の場合は、通夜、告別式、四十九日法要までは「御霊前」です。これ以降は「御仏前」です。
浄土真宗の場合は最初から「御仏前」です。
曹洞宗や臨済宗といった禅宗の場合もすべて「御仏前」です。
ただし故人の帰依していた宗派がわからない場合もありますから、その時には「御香料」「御香資」「御香奠」にしておけば問題ありません。
キリスト教の場合は、全ての法要が「追悼ミサ」になります。
カトリックの場合の香典の表書きは「御霊前」「御花料」ですが、プロテスタントの場合は「御花料」のみです。
相手がキリスト教だということは、法要の会場が教会であれば察しがつきますが、カトリックかプロテスタントかまではわからないかもしれません。
そのような場合は、「御花料」にしておけば大丈夫です。
神道の場合は「御玉串料」「御榊料」が正式です。しかし「御霊前」でも構いません。
合同法要の服装などのマナーは?
法事に参加する場合、持ち物のほかにどのような服装で参列するかという点が重要なマナーになります。服装については以下のように考えましょう。
一周忌までは準喪服
告別式、四十九日法要までは、準喪服です。準喪服とは、男性がブラックスーツ、女性がブラックフォーマルのことです。
三回忌以降は略喪服でも可
三回忌以降の服装は略喪服でも大丈夫です。
略喪服とは、男性がダークスーツ、女性がスーツ、地味な色合いのワンピース、アンサンブルのことです。
仮に案内状に「平服でお越しください」と書かれていた場合は、それは「略喪服」のことであって、決して普段着のことではありませんから注意しましょう。
合同法要でAさんの一周忌、Bさんの三回忌の合同の場合は、Aさんに合わせて準喪服にしましょう。
複数の家族を対象に行う合同法要の場合はスーツで
複数の家族が集まって行われる、寺院主催の合同法要の場合はさらにもう少しカジュアルでも許されます。
男性であれば派手な色ではないスーツであればよいでしょう。女性の場合も派手な色や柄の服でなければ許容範囲です。
ただし気になる場合は、略喪服にしていけば確実です。
まとめ
合同法要と言っても、その時に着用する服装や持ち物、あるいはマナーなどは単独で行われる法要とさほど大きな違いはありません。
強いて言えば、複数の法要を1度に行う合同法要ではなく、複数の家族が集まって行われる合同法要の方は服装的な縛りがやや緩やかだということくらいでしょうか。
いずれにしても、現代は様々なマナーが有名無実化していますが、法事はいまだにマナーが厳しい行事です。
以上の解説を参考にマナー違反にならないような持ち物、服装、マナーで参列しましょう。