今、「デジタル遺品」が話題になっています。デジタル遺品とは、故人のスマートフォンやパソコンに遺されたデータのことです。
ここ20年ほどで急速に電子化が進みました。最近ではパソコンやスマートフォンを使いこなす高齢の方も増えています。デジタル機器の中には個人情報をはじめ、さまざまなデータが保存されています。その結果、デジタル遺品によるトラブルも急増しているのです。
デジタル遺品からどのようなトラブルが起こるのか、その対策としての生前整理の大切さなどについてまとめました。
デジタル遺品にはどのようなものがあるか?
主なデジタル遺品には次のようなものがあります。
資産価値のある遺品
ネット銀行の口座やネット証券の口座、株券などは、相続の対象となる資産になります。ところが、残された家族がその存在を知らず、相続を終えた後で発見されることがあります。それが相続争いの原因になることもあります。あるいは多額の借金が発覚することもあります。
ハードディスクに保存された写真や文章、イラストなど
家族との思い出の写真や趣味の文章やイラストなど、ハードディスクに保存されたデータはデジタル遺品の代表といえるでしょう。
しかし、中には家族には知られたくないもの、家族として知りたくなかったものがあるかもしれません。
SNSやブログの記録
フェイスブックやツイッターなどのSNSを利用したり、趣味でブログを開設している人は多いと思います。本人が亡くなったために突然更新が停止すると、親しくしていた人たちが心配するでしょう。
また、悪意ある第三者がアカウントを乗っ取り、故人に成りすますということもあり得るので注意が必要です。
有料サイトや定額サービスのアカウント
毎月の利用料が発生する有料サイトや定額サービスを利用していると、月々の支払いはそれほどでなくても、積み重なるとそれなりの金額になります。
トラブル防止のために生前整理を
デジタル遺品によるトラブルを回避するもっとも有効な方法は、本人が元気なうちに整理をしておくことです。
自分が使っているネット銀行やネット証券の口座、SNSやブログ、定額サービスなどのパスワードは一覧にしてエンディングノートなどに書いておき、定期的に更新するようにしましょう。ただし、家族以外の方には見られることがないよう、保管には十分注意しなければなりません。
パソコンのデータは、家族との写真などと趣味のデータを分けて保存しておきましょう。「どうしても見られたくない」というデータは定期的に削除するようにします。一定期間パソコンを起動しなければファイルが削除されるソフトなどを活用してもよいでしょう。
デジタル遺品の整理
故人がインターネットバンキングを利用したり、株の取引をしている場合には、生前にパスワードを聞いておくようにしましょう。相続の手続きが終了した後、通常の銀行口座や株券と同じように処理をします。
パスワードがわからない場合、銀行のお客様センターなどに連絡しましょう。故人の取引内容や遺言の有無によって手続きが違うため、銀行と相談しながら進めることになります。
株やFX取引をしていた場合、口座の残高を確認しておく必要があります。マイナスの資産がある場合は遺産から補てんするなどし、負債額が多すぎる場合は相続放棄も検討しましょう。
会員制サイトや定額サービスなどは、アカウントを削除しましょう。パスワードがわからない場合は、パスワードの再発行をします。
SNSやブログはアカウントを削除しましょう。故人が親しくしていたような方には、亡くなったことを伝えましょう。
パソコンを処分するときは、必ずデータを完全に抹消しましょう。そのまま売却したり破棄したりすると、個人データが流出する恐れがあります。
パソコンのことはよくわからないという方は、デジタル遺品整理のサービスを利用することもできます。パソコンを預かり、遺族の許可を得たうえでデータの整理をしてもらえます。