
「終活」というものが最近は一般的になってきました。
会社を引退したり、病気などになったりしたこと、あるいは自分の「老い」を自覚したことをきっかけに行うことが多いようですが、終活はどのタイミングで始めればよいのでしょうか。あるいは終活を始めるタイミングに遅い、逆に早いがあるのでしょうか。
そこでここでは終活を始めるベストのタイミングについて解説します。
終活とは?終活の基本と意義
そもそも終活とは何を指し、何を行うことなのでしょうか。
終活とは
就職活動を略して「就活」、結婚のための活動を「婚活」というように、自分の亡くなることも含めた終末の人生の整理を「終活」と言います。
このような行為は自分の死と向き合うことになるので、誰でも死にたくはありませんから、どうしても目を背けがちなものでした。
しかし最近は日本人の死生観や人生観が変わってきて、むしろ自分の晩年の人生を充実させるために、終活を積極的に行おうという人が増えて来ているのが現状です。
終活を行う意義は何といっても、自分の人生をその機会に振りかえることができ、さらに残された人生の中で何を1番重視してお生きていけば良いのかというのを整理できることでしょう。
もちろん、死ぬ直前まで現役で、過去を振り返らない生き方もあります。
しかしそのような人の場合でも、いきなり家族が亡くなってしまった時には、遺族に死後の手続きで大変労力をかけなければならないということもまた事実なのです。
ですから、自分の人生をより充実させて終わらせるためにも、そして亡くなった後に遺族に迷惑をかけないためにも、終活は大切なわけです。
終活はいつから始める?
では終活はいつから始めるのがベストなのでしょうか。
終活は60代から始めたい?
楽天インサイト『終活に関する調査』(2019年) が20-60代のうち終活の意向があるひとに行ったアンケートでは、全体の4割が60代で終活を始めたいと回答しており、最多でした。
一方、2018年にマクロミルが実施した20~70代にきく終活に関する意識調査では、すでに終活を実施している60代男性は10.1%、60代女性は23.2%、70代男性は19.9%、70代女性は30.2%という数値が出ています。
異なる調査なので安易に比べることはできませんが、大まかに言って終活を始めたいと思うことと実際に終活を始めるということの間には壁があるようです。
思い立った時がベストタイミング
終活で行うことには、結構な体力、気力、判断力が必要です。
年を重ねれば重ねるほど、終活をするハードルは高くなっていくでしょう。
元気なうちに、終活は思い立ったら少しずつ始めていきましょう。
例えば、手始めにエンディングノートを取り寄せて一通り記入してみることはしても良いでしょう。
遺言書だと内容に変更があった時に再び形式に則ったり証人を付けて作成しなければなりませんが、エンディングノートは法的効力が無い分、書き直しの融通が利きます。
エンディングノートを早くに作成してしまっても、その後の手間は年に1回の見直しくらいです。
また、生前整理で不用品の処分も徐々に始めます。
持ち物の整理や処分は体力がいるので、できるだけ先延ばしにしたくないものです。
もし今捨てるのが忍びなければ、「保留」や「自分の死後処分していい物」として分けておくだけでも後の負担がだいぶ減ります。
40代・50代でも始めて良いのか?
終活は元気なうちに始めておくことをお勧めしますので、40代、50代で終活を始めても問題ありません。
ただし、墓地の生前契約をすれば年間管理費がかかりますし、財産など今後変動する可能性があれば、遺言書を更新することになり非常に手間です。
まずは身の回りの不用品を徐々に減らしていきましょう。
また、遺言書とは異なり、エンディングノートは内容を書き換えても問題ないので、一通り内容を埋めてみましょう。
終活でやることは
では終活はどのような内容を、どのように進めればよいのでしょうか。
まず終活で行うべき内容は以下のようなことです。
生前整理・断捨離
生前整理とは、遺品整理に対して自分が生きている間に、自分の手で、所有しているものや財産を整理、処分することです。
2013年に一般社団法人生前整理普及協会が設立され、生前整理認定指導員の認定制度などができて、生前整理のアドバイスを受けることが比較的簡単になってきました。また生前整理のための情報も増えています。さらに最近は生前整理の専門業者も多数生まれ、「生前整理のやり方がわからない」「力仕事ができない」という人のサポートや代行をしてくれます。
また、終活であるかはまた最近は「老前整理」という言葉も生まれてきました。
老前整理とはその名の通り、生前整理を自分が「老いる前」に行うということです。
なお、終活や年代を問わない、「断捨離」という言葉が使われることもあります。断捨離というのは仏教用語ですが、最近は終活の用語の方がメジャーになりました。
断捨離とは、その名の通り、自分にまつわるものへの執着や人間関係のしがらみを「断ち」、それらを思い切って「捨てて」、さらに物事への執着から「離れて」残った人生を生きていくという意味合いがあります。
断捨離も生前整理と同様、具体的には自分の周りの品物を不用品と必要なものに分別し、不用品を捨てるということです。
さらにものに限らず、たとえば義理で付き合っている人間関係や、毎年年賀状だけでしかやり取りをしないような知人関係とのおつきあいをお断りすることも断捨離に含まれます。
人間関係のしがらみを整理すると、義理に使う無駄な時間や費用が無くなって、その分自分にとって重要なことに自分の精力と費用を費やすことができるようになります。
これもまた残された人生を充実させることにつながるでしょう。
貴重品をわかるようにしておく
自分が亡くなった後、遺族にとって1番重要なことはお金関係や資産関係の整理と相続です。
その際には、故人の所有していた金融資産、不動産などがわかる書類や、あるいは年金関係の書類が必要になります。
この必要な書類たちが家の中に分散してしまってあると、それを集めるだけで大変な苦労になり、全てを集めたつもりでもどこかまだあるのではないかと言って無駄な作業を強いることにもなります。
そのような遺族の苦労や負担を減らすために、銀行の預金通帳、証券や株券、死亡保険の証書、年金手帳、不動産の権利書、実印や銀行印などは1か所にまとめておきましょう。
ただし、預金通帳と銀行印、不動産の証書と実印を一緒に保管しておくことは、防犯上好ましくありませんから、印鑑関係だけは別の場所に保管し、その場所を後で解説するエンディングノートに記載しておくことがおすすめです。
財産の家族への相続方法の決定
財産がある場合は、その財産を誰に相続させるかを決めましょう。
人が亡くなった後に、遺族の間で最もトラブルが発生するのがこの相続問題なので、自分の遺志を明確にしておくことが大切です。
遺言書の作成
相続の内容を決めたらそれを遺言書の形にしておきましょう。
遺言書があれば相続のトラブルを防ぐことができます。
ただしそれは遺言書が法的に有効な形式で作成されている場合だけです。法的に有効な形式とは、具体的には、本人の自筆で書く、記入した年月日を明記する、誰に何を相続させるのかということを特定できるように不動産であれば住所、金融資産であれば預金通帳番号や証券番号まで明記する、封をする、などです。
ほかにも相続税法上適正な資産の分配になっている必要がありますが、これらは税法の知識がわからないと書けませんから、不安な場合は行政書士、司法書士、弁護士など専門家に依頼して遺言書を作成してもらいましょう。
多少の費用はかかりますが、相続トラブルを防ぐために必要経費だと考えれば安いです。
エンディングノートの作成
遺言書に書けない遺族へのメッセージなどはエンディングノートに記載しましょう。
たとえば葬儀と埋葬の方法、葬儀に招く人のリストと連絡先、貴重品の保管場所、そのほか遺族への故人からのメッセージもここに記載します。
遺言書の封は簡易裁判所で確認してからしか開封できませんので内容がわかるまで時間がかかります。その間に葬儀と埋葬は行われてしまいますから、葬儀と埋葬のことを遺言書に書くと、故人の遺志を反映できません。
その点エンディングノートは亡くなってからすぐに確認できます。ですから葬儀、埋葬に関する遺志はエンディングノートに記載したほうが良いです。
財産目録の作成
遺族に自分の財産の全てがわかるようにしておくために、財産目録を作成します。遺言書に「全ての財産を長男に譲る」と書いても、その全ての財産が何か分からないと相続できません。
したがって、財産目録は遺言書の付属資料としても重要なのです。
記載する内容は金融資産なら、銀行名や企業名、通帳番号や証券番号、金額です。不動産の場合は住所とその不動産の面積などです。
しかし財産は亡くなるまで異動が考えられますので、定期的に修正する必要があります。その時にゼロから毎回書くのでは大変なので、エクセルなどの表計算ソフトで作成し、定期的に更新していくのがおすすめの方法です。
終活をするメリットは?
では終活をするメリットには何があるのでしょうか。
老後を前向きに生きられる
終活は決して後ろ向きの暗い行為ではありません。
終活をすることで、自分の人生にとって本当に何が大切かがわかるので、残された人生をその大切なものに集中し、充実した人生が送れるようになります。
また自分の亡くなった後のトラブルの芽も未然に摘むことができるので、気持ちも軽くなるでしょう。
そのように終活は老後を前向きに生きられるようになるための大切な行動なのです。
遺産相続のトラブルを防げる
先ほど書いたように、人が亡くなった後、遺族の間に最もよく起こるトラブルが相続問題です。相続問題がきっかけになって、それまで仲の良かった家族がバラバラになるという悲劇も少なくありません。そのような悲劇を防ぐために、相続に関する故人の遺志を明確させることは重要なのです。
まとめ
終活のあれこれと、いつから始めるべきかについておわかりいただけたのではないでしょうか。
終活を行うことは、自分の人生を充実させることであり、遺族が無用のトラブルに巻き込まれるのを防ぐことでもあります。
ですからまだ終活に手を付けていない人は、まずできることから始めてみましょう。