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仏壇

仏壇のお膳(仏膳・霊供膳)の準備の仕方

投稿日:2019年9月25日 更新日:

お盆や法要にお供えするものの1つに、霊供膳(仏膳)があります。

霊供膳には何かと決まり事があり、初めて仏壇をお迎えした方は特に分からないことも多いかもしれません。

そういった方のために、霊供膳についての知識や準備の仕方などについて分かりやすく説明します。

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霊供膳は亡くなった人のお膳

故人やご先祖様にお供えするお膳のことを霊供膳(りょうぐぜん)または仏膳といいます。

浄土真宗では“故人は亡くなってすぐに浄土に行き、仏様になる”という即身成仏の考えから霊供膳をお供えすることはありませんが、その他の仏教宗派では霊供膳をお供えします。

お供え物は花やお線香など、基本的に買ったものをそのまま供えることが多いですが、それらとは違って霊供膳は自分で一から作るものです。

今の自分があるのは亡くなられた方やご先祖様のおかげだという感謝の気持ちと、向こうの世界にいらっしゃるご先祖様たちへの供養の気持ちを込めて丁寧に準備し、お供えしましょう。

霊供膳をお供えするのはいつ?

霊供膳をお供えするべき日はある程度決まっています。

大きく分けて法要、お彼岸、開眼供養のときが霊供膳をお供えするタイミングです。

一方で、これら以外の日に霊供膳をお供えしてはいけないという決まりがあるわけでもありませんので、お供えしたいと思う日には霊供膳を準備しましょう。

以下でさらに詳しく説明します。

四十九日や一周忌などの法要

お葬式や初七日、四十九日、百箇日、一周忌や三周忌などの法事、祥月命日には霊供膳をお供えします。

当たり前ですが霊供膳は法事の最初からお供えされておくべきものなので、法事が始まる前には仏壇にお供えしておきましょう。

お盆や春秋のお彼岸

お盆や春と秋のお彼岸も、霊供膳をお供えする日です。

お盆の場合は迎え火を焚いてから送り火を焚く8月(あるいは7月)13日の夜~15日(あるいは16日)の間、毎食霊供膳をお供えするのが好ましいとされています。

しかし、毎食用意するのが大変な場合には1日1食でも構いません。

春と秋のお彼岸の場合もお盆と同様に、期間中毎食霊供膳をお供えするのが好ましいといわれていますが、それが難しければ1日1食で構わないとされています。

さらに、1日1食のお供えも難しければ、春分の日と秋分の日の中日のみのお供えでも良いという声もあります。

霊供膳をお供えできなかった日の気持ちをその分お供えできる日に込めたら良いといわれていますので、余程準備するのが難しい日にはあまり思い悩むことなく、次の霊供膳のお供えでその分の気持ちを込めましょう。

開眼供養

仏壇の開眼供養でも、霊供膳をお供えします。

しかし、お墓の開眼供養では霊供膳のお供えは必要ありません。

霊供膳の器の名前と配置

つづいて、霊供膳のそれぞれの器の名前と、器の配置について説明します。

飯椀(親椀)

飯椀はご飯を盛りつける器で、私たちの使っているお茶碗と同じポジションにあります。

親椀とも呼ばれています。

汁椀

汁椀はお味噌汁やお吸い物を盛る器のことです。

飯椀とやや似た形状で、一回り小さいものが多いです。

平椀

平椀は主に野菜の煮物を盛りつける器です。

他の器と比べて底が浅く、口が広いものが多いです。

壺椀

壺椀は和え物やお浸しなどを盛りつける器です。

全体的にやや小さめで、深めの作りになっていることが多いです。

高坏

高坏は他の器と見た目が異なり、やや高めの足が1本ついている器です。

高月や腰高とも呼ばれます。

高坏には漬物を盛りつけます。

仏器膳

仏器膳は高い足が4本ついた台です。

仏様の食卓やお盆のようなものだと考えると分かりやすいかと思います。

この仏器膳に上記で述べた全ての器を乗せてお供えします。

霊供膳の器の配置

霊供膳の器の配置は、宗派や地域によって異なります。

真言宗・日蓮宗(小笠原流)・天台宗

真言宗、日蓮宗(小笠原流)、天台宗の場合は、向かって左前に飯椀、右前に汁椀、中央に高坏、左後ろに平椀、右後ろに壺椀、飯椀と汁椀の前に箸を配置します。

また、配置の話ではありませんが、日蓮宗は朱色の器を使います。

浄土宗

浄土宗の場合は、向かって左前に飯椀、右前に汁椀、中央に高坏、左後ろに壺椀、右後ろに平椀、飯椀と汁椀の前に箸を配置します。

臨済宗・曹洞宗・日蓮宗(宮中)

臨済宗、曹洞宗、日蓮宗(宮中)の場合は、向かって左前に飯椀、右前に汁椀、中央に壺椀、左後ろに平椀、右後ろに高坏、飯椀と汁椀の前に箸を配置します。

霊供膳のその他の種類

霊供膳には一般的な霊供膳以外に、違うタイプの霊供膳もあります。

略式仏膳

略式仏膳とは、飯椀と汁椀、高坏、仏器膳のみの霊供膳のことをいいます。

最近はデザイン性や部屋スペースなどの観点から仏壇が小さいことも多く、小さな仏壇にもお供えできるサイズの霊供膳となっています。

仏壇のサイズの問題以外にも、平椀や壺椀の料理を準備する暇がない方もこちらを使用することをおすすめします。

白木膳

白木膳は、四十九日や新盆に使用される霊供膳です。

白木の仏器膳と白い陶器の器を使います。

仏壇にお供えする際のお膳の向きとお供えするタイミング

次に、実際に仏壇に霊供膳をお供えする際のお膳の向きと、お供えするタイミングについて説明します。

仏壇にお供えする際のお膳の向き

仏壇にお供えする際には、お箸が仏壇側になるようにお供えします。

私たちの目線で言うと、お箸が奥側になります。

仏様やご先祖様に召し上がってもらうことを考えると分かりやすいと思います。

また、お膳の向きの話ではありませんが、仏壇にお供えする際には器の蓋を取ってからお供えするようにしてください。

蓋をされたままお供えすると、仏様やご先祖様が召し上がれなくなってしまいます。

お供えするタイミング

霊供膳をお供えするタイミングは、自分たちが食事をする前です。

必ず自分たちの食事よりも先に霊供膳をお供えしましょう。

下げるタイミングは、ご飯が固まる前や湯気が無くなった後といわれています。

また、基本的にはお供えして下げた霊供膳は自分たちで食べるので、夏の暑い時期には特に、傷んでしまう前に下げる必要があります。

お供えする霊供膳の数

お供えする霊供膳の数には諸説あり、地域によって違うこともあります。

基本的には仏様がいらっしゃる数の霊供膳を準備する必要があるといわれています。

また、仏様用の霊供膳とご先祖様用の霊供膳の2つを準備する必要があるという説もあります。

しかし、どの説においても、複数の霊供膳が仏壇に収まらない場合は1膳だけの用意で構いません。

そのため、霊供膳の数はご自宅の仏壇のサイズに合わせて臨機応変に対応すれば大丈夫です。

どうしても気になる方は菩提寺や近所の方に相談してみましょう。

霊供膳のメニューと盛りつけ方

霊供膳は精進料理なので、肉や魚、卵を使用してはいけません。

具材はもちろん、出汁にも動物性のものを使ってはいけません。

カツオ出汁などでなく、昆布出汁や干し椎茸の出汁などを使うようにしましょう。

また、五辛といわれるにんにく、にら、ねぎ(玉ねぎを含むこともあります)、のびる、はじかみ(山椒や生姜)などの食材も使ってはいけないとされているので注意が必要です。

しかし、こちらの五辛に関しては現在タブー視されなくなってきたとの声もありますので、気になる方は菩提寺などに相談してみると確実です。

親椀のメニューには白ご飯や炊き込みご飯が挙げられます。
また、開眼供養では慶事なので赤飯が推奨されています。
盛りつける際は、山盛りのご飯を丸くなるように形を整えて盛ってください。

汁椀のメニューにはお味噌汁やお吸い物が挙げられます。
緑の色味のものを1つ、それとは別に具を1つといわれることもありますが、必ずしもそうしなくてはいけないわけではありません。
具としては、ワカメや豆腐、油揚げなどが良いでしょう。

平椀のメニューは主に野菜の煮物です。
5種類の野菜を入れるのが通常ですが、こちらも無理はしなくて構いません。4種類でもいいですし、6種類に増えてもいいです。
大根や椎茸、人参、きぬさや、厚揚げ、湯葉、こんにゃくなどの煮物が一般的です。
盛りつける際には各具材を1種類ずつ、平椀からはみ出すくらいダイナミックに盛りつけます。

壺椀のメニューには和え物やお浸し、酢の物などが挙げられます。
ふきの酢味噌和えやインゲン豆の胡麻和え、煮豆、ほうれん草のお浸しなどが一般的です。
盛りつける際にはピラミッド型のように高さをだして盛りつけます。

高坏のメニューは、主に漬物とされています。漬物以外に酢の物を盛りつける考えもありますが、基本的には漬物を盛ります。
白菜の漬物やたくあんを盛るのが通常です。
特に、たくあんを盛る際には2切れのみ盛るようにしましょう。
3切れは「身を切ると」連想されているので避けてください。

霊供膳の料理を作るのが大変なときは

なかには、自分たちのことに精一杯で、霊供膳の料理を作るのが大変な日もありますよね。

もちろん心を込めて霊供膳を手作りすることが一番の方法であり、大切なことですが、それが難しい日があっても構わないと思います。

そんなときの対処法について説明します。

仏膳お供えセットを利用する

霊供膳を手作りするのが大変なときには、仏膳お供えセットを利用するのがおすすめです。

仏膳お供えセットとは、フリーズドライの精進料理セットです。

忙しい日にはこちらを活用すると、あまり手間をかけずに霊供膳を作ることができます。

仏具店やネット通販で購入ができますので、一度探してみてはいかがでしょうか。

お惣菜を盛りつける

スーパーなどで買ってきたお惣菜を盛りつけるのも方法の1つです。

その際は、動物性のものや五辛などが使用されていないか充分に確認する必要があります。

食生活に気を配っている方たち向けのお惣菜が売られているスーパーもありますので、そういうスーパーを重点的に訪れてみると精進料理が見つかりやすいかもしれません。

まとめ

今回の記事では、霊供膳について解説しました。

大切な人がこの世に生を受けている間も食事を通してコミュニケーションを取ることはあったと思いますが、亡くなってからも霊供膳を通してコミュニケーションを取ることができます。

心を込めて準備した霊供膳を通じて、故人やご先祖様に自分の気持ちがきっと届くはずです。

霊供膳には決まり事が多いように感じますが、重点を抑えておけば意外と簡単に準備ができますし、自分の食事にも活用できますので、ぜひ気軽な気持ちでチャレンジしてみてください。

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