葬式のマナーでは、女性は黒のストッキングを履くことが求められます。しかし黒のストッキングであればどんなものでも良いというわけではなく、きちんと葬式に相応しいものを選んで着用することが必要です。どのようなストッキングが葬式に相応しくて、どのようなストッキングが相応しくないのでしょうか?葬式でマナー違反にならないストッキングについてご説明します。
葬式にストッキング着用は必須
葬式での足元の基本的マナー
葬式には参列するときは喪服に黒いバックを合わせ、足元は黒ストッキングと黒パンプスをするのがマナーです。
男性は弔事用の黒スーツに、やはり黒の靴下と黒い靴下を合わせます。
ストッキングや靴下を履かずに素足で葬式に参列することは重大なマナー違反になります。故人や遺族、他の参列者に大変に失礼で不快にさせるので、絶対に行ってはいけません。
女性が靴下ではなくストッキングを履くべき理由
なぜお葬式のときに女性はストッキングをはかなければいけないのでしょうか。
素肌の露出は控えるべきだから
葬式では肌の露出はできるだけ控える必要があります。足の露出もしない方が好ましく、夏も素足で葬式に参列することはマナー違反になります。スカートから出る足も素足にならないように、ストッキングを着用するのがマナーとされています。
喪服やパンプスとのバランスを考慮
喪服やパンプスとバランスが良いのは、靴下ではなくストッキングです。
葬式ではファッション的におかしくない装いをすることも必要とされます。人から見ておかしくない、浮いてしまわない格好をすることもマナーとして大切です。
喪服を着る女性の足元のファッションマナーとして、靴下よりストッキングの方が相応しいとされています。
女子は靴下でOK
ストッキングを履くべきとされているのは大人の女性で、女子は男性と同じように靴下の着用でもマナー違反にはなりません。服装に合わせて喪服を着る女性はストッキング、制服などで葬式に参列する女子は靴下を着用するのが葬式時のマナーとされています。
大人の女性の靴下着用はカジュアルダウンになり、葬式ではマナー違反になります。
葬式のストッキングの選び方
それでは、お葬式の時に履くストッキングにルールやマナーを解説します。
色は黒
葬式で履くストッキングの色は、黒色・ブラックです。たとえ濃くても灰色・グレーや、紺色・ネイビーのストッキングはマナー違反と判断されるので注意しましょう。
普通のシリーズの黒色・ブラックでもOKですが、冠婚葬祭用として販売されているストッキングであればキレイな濃い黒が発色されます。黒色にこだわって選んだ喪服を着る場合などには、ストッキングも合わせて上質な黒色・ブラックのものを選ぶと良いでしょう。
糸は30デニール未満
葬式に着用するストッキングは、30デニール未満のものを選ぶようにしましょう。30デニール以上だとタイツの分類になり、カジュアルな服装だとみなされます。
葬式にはフォーマルな装いをすることがマナーなので、30デニール未満のストッキングを着用することが必要です。葬式で履くストッキングを購入する際にはデニール数をきちんと確認して、選ぶようにしましょう。
ストッキングとタイツの違い
ストッキングとタイツはデニール数で区別されます。デニールは編糸の太さを表す単位で、数が大きくなるほど太い糸が用いられています。はっきりとした基準はないものの、一般的には30デニールより小さい数字のものがストッキング、30デニールより大きい数字のものはタイツに分類されます。
模様のない無地
葬式に履くストッキングは、無地のものである必要があります。たとえ薄かったり細かかったりして見ても分からないような柄であっても、模様の入っているストッキングは履かないようにししょう。マナー違反になります。
アンクレットのように足首を1周するように飾りが付いているストッキング、くるぶしの上あたりにワンポイントで絵柄が入っているストッキングも葬式での着用はできません。
光沢がない
葬式ではアクセサリーなど,光るものを身に着けることは認められていません。ストッキングも光沢のあるものはマナー違反になるので、着用しないようにしましょう。ラメ入りのストキング着用は、もちろんマナー違反になります。
マナー違反にならないための注意点
お葬式のストッキングはどのようなことに気を付けるかを解説します。
伝線したストッキングは履かない
ストッキングは伝線していないか、必ずチェックしましょう。伝染したストッキングをわざわざ履く人はいません。ストッキングの伝線は見た目に悪いだけでなく、人に対する礼儀を欠くことになります。公の場では避けるべき行為で、葬式でもストッキングの伝線は重大なマナー違反になります。
ストッキングを履くときは伝線させないように十分に注意し、出かける前には再度ストッキングが伝線していないか鏡の前でチェックしましょう。
伝染させない正しい履き方
1.両手でつま先までたぐる
ストッキングの履き口を両手で持ったら、片方ずつ交互に手を動かしてつま先までたぐります。
2.爪を引っかけないように足を入れる
爪を引っかけないように注意しながら、履き口から足を入れます。
3.つま先とかかとを合わせる
足首のあたりまで引っ張り上げたら、つま先とかかとの位置を合わせます。
4.均等に引っ張り上げる
たぐったストッキングを少しずつ手から放しながら、均等になるように引っ張り上げます。
黒色かどうか確認する
紺色(ネイビー)や灰色(グレー)の濃いものは、黒と間違えやすくなっています。とくに時間がなかったり慌てていたりすると間違えやすいので、十分な注意が必要です。また照明によっても違う色に見えやすくなる場合があるので、気をつけましょう。
寒くてもタイツは履かない
冬の葬式で寒さ対策としてでも、タイツを履くのはマナー違反になるのでやめましょう。
最近は暖房がきいているホールで行われることも多い葬式ですが、墓前へ出向くこともあるので寒さ対策にタイツ着用を考える女性もたくさんいます。厚手のものではなく薄手のタイツであれば気づかれないように思いますが、やはりストッキングでないことは多くの参列者に見抜かれてしまうので、やめておきましょう。
ソックスタイプは見えないかを必ずチェック
パンティストッキングではなくショート丈やハイソックス丈のストッキングを履く際は、素肌をきちんと隠すだけの丈があるものを履きましょう。
葬式で素肌を見せることはあまり好ましくありません。喪服のスカートやパンツで完全に隠れる丈のストッキングを履きましょう。
光る素材に要注意
ストッキングの中にはラメが入っていないのにもかかわらず光るものがあります。足をキレイに見せるためにラメとは違う素材で光沢のあるものが用いられているストッキングですが、光り具合によっては葬式での着用はマナー違反になります。選ぶ際に注意しましょう。
ペディキュアは落としておく
ストッキングから透けて見えるペディキュアは落としておきましょう。
最近の葬式は葬儀会場・ホールで行うことが多いため靴を履いたままで終わる場合がほとんどとなっていますが、寺で供養する際や火葬場で待っている間などには靴を脱ぐ必要があります。そのような場合になって困らないよう、ペディキュアはきちんと落として葬式に参列しましょう。
葬式のストッキングのマナーの例外
寒冷地でのタイツの着用
寒さの厳しい地方の葬式では寒さ対策として、ストッキングではなくタイツを履いても良いとされる場合があります。寒冷地に引っ越すなどして初めてその地域の葬式に参列する場合は、周囲の人に確認するようにしましょう。
寒冷地で認められるタイツのデニール数
寒冷地での葬式でストッキングの代わりに履くタイツとして認められるタイツのデニール数は、60デニール程度までであるのが一般的です。しかし寒さの厳しさによっては、もう少し大きい数のデニールまでマナーに反しないとしている地方もあります。状況によっても変わるので、周囲の人に確認しましょう。
高齢者のタイツ着用
高齢者は寒い時期に薄着をすると風邪をひき、肺炎を引き起こす恐れがあります。葬式だからと言って無理にストッキングを履く必要はなく、厚手のタイツで参列してもマナー違反にはなりません。
妊婦のタイツ着用
妊婦が母体の健康と安全が第一に考えられるべきであることは、葬式で変わりありません。冬の葬式に妊婦が参列する際は,タイツの着用でもマナー違反ではありません。
通夜での肌色のストッキング着用
通夜には黒のストッキングではなく肌色のものでもマナー違反にならないことがあります。通夜は突然の訃報を聞いて遠方から駆けつけてくるもので、平服での参列が本来のマナーとされていました。平服がマナーとされていた名残から、通夜では黒ではなく肌色のストッキングでもマナー違反ではないとされる場合があります。
葬式でのストッキング選びでさらに気をつけると良いこと
より葬儀に適したストッキングの選び方解説します。
透け感のあるストッキングを選ぶ
葬式に履く黒のストッキングは透け感のあるものが好まれます。
適度に素肌が透けることで慎み深さや慈悲の思いを表現し、悲しみや哀悼の気持ちを伝えることができるとされるからです。
20デニール程度が葬式には適しているとされますが、どの程度の透け感になるかは実際には履いてみないとわかりません。できれば試し履きをすることをおすすめします。
礼装・葬儀用のストッキングを選ぶと安心
礼装・葬儀用のストッキングであれば、マナー違反になる心配なく安心して葬式に履いていくことができます。
百貨店・デパートや衣料品店のほか、コンビニや駅の売店でも取り扱っているところがあるので、チェックしてみましょう。
予備を準備しておく
予備のストッキングを準備しておくと、伝染した場合でもすぐに履き替えることができて便利です。
葬式では慣れない場所で普段はしないような所作をする必要があり、思わぬところで引っかけて伝染させてしまう可能性があります。寺や火葬場に移動したり長時間にわたったりする葬式では、とくに予備のストッキングを持参しておくことをおすすめします。
葬式には相応しいストッキングで
葬式で女性が黒いストッキングを身に着けることは、守らなければならない大切なマナーの1つです。きちんと葬式に相応しいストッキングを選んで履く必要があります。ストッキングのマナー違反には十分注意して、故人をお見送りしましょう。