あなたの死後に1番家族の目に触れるであろうあなたの写真、それは遺影写真です。
遺影写真というと「お通夜までに家族が写真を選び、遺影にしてもらうもの」と思われている方も多いかもしれませんが、死後もずっと家族に見てもらえる写真の1つですから、どうせなら自分でお気に入りの1枚を準備しておきたいですよね。
そこで今回は、終活の一環として自分で遺影写真を撮影・準備する方法や、それにかかる費用、さらには遺影選びのポイントなどについて、分かりやすく説明します。
終活で遺影写真を撮影・準備するメリット
最初に、終活で自分の遺影写真を撮影・準備するメリットについて解説します。
自分の気に入った1枚を遺影写真にできる
遺影写真を自分で選ぶメリットの1つは、自分の気に入った写真を遺影に設定できることです。
自分で遺影写真を設定すると、表情が素敵に撮れた写真や、思い出のある写真、大好きな服を着ている写真など、自分にしか選べないような写真を遺影にできます。
自分が気に入った遺影写真にすることで、家族にも思いが伝わりやすく、死後も懐かしむように遺影写真を見ながらあなたのことを語らい合ってくれることでしょう。
家族が遺影写真を選ぶ手間を省略できる
家族が遺影写真を選ぶ手間を省略できるのも、自分で遺影写真を撮影・準備するメリットの1つです。
ふつう遺影用の写真は、お通夜が始まる数時間前までに選ばなくてはいけません。
その場合、他の手続きに追われつつ、さらには大切な人を失った喪失感のまま、半ば心ここにあらずの状態で遺影用の写真を選ぶこともあるでしょう。
また、年々写真を撮る機会も減ってきますから、限られた枚数の中から、表情の素敵な1枚を選ぶのは意外と困難です。
しかし、自分で前もって遺影写真を用意しておけばこれらの心配はなく、家族に手間をかけさせてしまうこともありません。
輪郭などがボケていない遺影写真を用意できる
顔の輪郭などがボケていない、はっきりとした写真を遺影にできるということも、遺影写真を自分で用意するメリットといえます。
遺影写真は、小さな写真から故人をピックアップして何倍にも引き伸ばして作られることが多いですが、そうすると輪郭などがボケてしまうこともよくあります。
自分を表す大切な写真ですから、できれば写真が荒くなってしまう事態は避けたいですよね。
自分で遺影写真を撮影すると、遺影専用として撮影ができるので、ボケてしまう心配はありません。
メモリアル写真にもなる
万が一、用意した遺影写真が遺影写真として使用されないことになった場合、メモリアル写真として懐かしむことができるのもメリットの1つです。
年齢を重ねるごとに写真を撮る機会は減り、手元にあるのは子供の写真や孫の写真ばかり、という方も多いと思います。
そういう時にあらかじめ遺影写真を撮影しておけば、それがメモリアル写真にもなり、自分の写真を残すことができます。
そのため撮影時は、これが遺影写真になるかもしれないし、数年後に新しい遺影写真を撮影し直した場合にはメモリアル写真として楽しむことができる、という気持ちでリラックスして撮影しましょう。
終活の遺影写真はどこで撮影できる?
遺影写真は、写真館(撮影スタジオ)、終活イベントなどで撮影することができます。
最近の終活ブームから、写真館でも終活サービスの一環として遺影写真(終活写真と表記されていることもあります)プランが提供されるようになりました。
カメラマンをはじめとするプロの撮影スタッフが、カウンセリングを済ませてからじっくり撮影してくれるという点が、写真館で遺影写真を撮影する長所です。
その他、ただ遺影写真を撮るというだけでなく、服装に気を配りたい場合や、ペットやお気に入りのアイテムと取りたい場合など様々な融通を利かせてもらいたい場合には、写真館での撮影をおすすめします。
一方、終活イベントの遺影写真撮影では、遺影写真の撮影以外に終活セミナーを同時開講してくれることが多く、プロによる遺影写真の撮影と同時に他の終活情報を知ることができます。
終活イベントの内容にもよりますが、基本的には写真館での撮影より費用が安いことも長所の1つです。
同時開講のセミナーなどが無く、遺影写真を撮影するだけの場合は、料金が数百円の場合もあります。
遺影写真の撮影以外に、セミナーにも参加したい場合や、料金を安くしたいという場合には、こういった終活イベントでの撮影をおすすめします。
終活で遺影写真を撮影する場合のサービス内容
つづいて、終活で遺影写真を撮影する場合のサービス内容について説明します。
以下は主に、写真館(撮影スタジオ)で遺影写真を撮影する際のサービス内容です。
写真館によっては、撮影料金の中に組み込まれているサービスもありますし、追加のオプションとして扱われるサービスもありますので、詳しくは写真館に問い合わせてみることをおすすめします。
メイクサービス
写真館では、ヘアメイク(顔や髪のメイク)サービスを受けられることがあります。
メイクサービスは通常の遺影撮影プランには含まれていないことが多く、有料のオプションとして数千円程度で依頼することができます。
顔のメイクに関しては、チークなどのポイントメイクのみを請け負っている写真館もありますので、前もって確認しておきましょう。
また、ヘアセットに関しては、美容師の方がスタジオまで来てくれるパターンと、近くの美容室を紹介されるパターンなどがあるので、移動が難しい方は特に前もって確認しておくことをおすすめします。
着付けサービス
着物姿で遺影写真を撮影したい場合は、写真館で着付けのサービスを依頼しましょう。
着付けサービスは、通常の撮影プランには組み込まれていないことがほとんどで、有料オプションとして依頼することができます。
その場合、貸衣装は用意されていないことが多いので、着物に必要な全てのアイテム(襦袢や腰紐、前板など)を忘れないように準備しておいてください。
ポーズ追加サービス
通常の撮影プランでは、1ポーズのみの撮影が多いですが、様々なポーズで撮影したいという方はポーズ追加のサービスを利用しましょう。
ポーズ追加のサービスは、基本的には有料オプションとされているので、コストを抑えたい方は撮影に臨む前に1つに絞っておくことをおすすめします。
しかし、写真を現像した後、ゆっくりどのポーズが遺影に相応しいか考えたい・持ち帰ってどのポーズがいいか家族に相談したいなどという場合には、サービスを利用するのも良いでしょう。
ペットとの撮影サービス
稀ですが、写真館によってはペットと一緒に撮影するサービスを提供してくれる場合もあります。
長年連れ添ったペットと写真を撮ると自然な表情を出しやすいなどという方には、ぜひおすすめしたいサービスです。
ただし、動物の種類によっては断られる可能性もあるので、前もってペットの種類を写真館に伝えておきましょう。
出張撮影サービス
写真館の中には、スタジオでの撮影でなく、出張して撮影してくれるサービスもあります。
自分の家で落ち着いて撮影したい場合や、外で日光を浴びて撮影したい場合、様々な理由から外出が困難な場合などは、出張撮影サービスを提供してくれる写真館を選びましょう。
その場合、出張撮影サービス料+交通費がかかることもあるので注意が必要です。
また、自宅などの屋内に限って出張撮影をしてくれる場合もあるので、あらかじめ写真館に確認しておくと確実です。
遺影写真撮影の費用相場
遺影写真撮影の費用相場は、撮影を依頼する会社にもよりますが約5,000円~20,000円です。
基本の撮影時間30分で、1ポーズのみという撮影サービスの場合は5,000円+税という場合が多いです。
その他、着付けのサービスや出張撮影のサービスを依頼すると万単位の費用がかかる可能性が高いので、あらかじめ料金を聞いてからサービスを追加することをおすすめします。
遺影写真の服装は?
遺影写真の服装に決まりはないので、自分の好きな服装で写真撮影に臨みましょう。
フォーマルなスーツでも良いですし、カジュアルな服でも構いません。
大好きでいつも着ている服や、大切な人に選んでもらった服、褒めてもらった服でもいいですね。
顔色を良く見せたいのであれば、明るい色合いの服を着用することをおすすめします。
また、写真館によっては顔が隠れてしまう帽子などを被っての写真撮影ができないこともあります。
好きな帽子を被ってもいいと言われる写真館も多数ありますので、前もって写真館に確認しておきましょう。
終活の写真撮影サービスを利用しない場合
なかには、写真館や終活イベントでの遺影写真サービスを利用せず、自分で用意したい場合もありますよね。
以下で、終活の写真撮影サービスを利用しない場合について説明します。
遺影写真を自分で撮ってもいい?
遺影写真は、自分で撮影しても構いません。
他人の前で自然な表情を出すことが難しい場合や、外出が難しい場合、費用を抑えたい場合などは自分で遺影写真を撮影してみましょう。
カメラ(一眼レフが良いですが、デジカメでも)と三脚が用意できれば、遺影写真は自分で撮影することができます。
三脚が無ければ、高さのある椅子や台を利用しても大丈夫です。
自分でシャッターを押すのではなく、家族に撮ってもらうのも良い思い出になるでしょう。
また、加工である程度どうにかなる問題ではありますが、撮影時間は午前中~午後三時程度の日光の差し込む時間、座って撮るのであれば背もたれの低い椅子(遺影写真に背もたれが映り込まないように)などをチョイスするとさらに良い写真が撮れますよ。
過去の写真を遺影写真にしてもいい?
これは意見が様々で、“過去の写真でも良いけれど見た目が現在と違う若い頃の写真はNG”という意見や、“数十年前の写真でもその人がそうしたいのであれば数十年前の写真でOK”という意見などがあります。
意見が分かれるところなので、迷った場合は家族に相談すると良いでしょう。
家族に反対されて遺影写真にはならなかったとしても、メモリアルコーナーや遺影の隣にもう1つ写真を置いてもらえることもあるので、そういった方法を考えてみるのもおすすめです。
遺影写真の選び方
遺影写真を選ぶ際は、以下のポイントに注目して選んでみましょう。
- 自分が一番気に入った写真
- いい笑顔の写真 自分ならではの個性が溢れた写真
- 思い出のある場所・服を着た写真
- 大切な人に撮ってもらった写真
写真館などで遺影写真を撮影した場合、カメラマンが写真を選んでくれることもありますが、自分で選ぶこともあります。
また、そういったサービスを利用しない場合は尚更自分で遺影写真を選ばなくてはいけません。
遺影写真は1枚しか選ぶことができないので迷ってしまうかもしれませんが、以上のポイントを踏まえて素敵な1枚を選んでいただければと思います。
終活の一環として遺影写真を撮影・準備しておこう
遺影写真の撮影・準備は、終活のなかでも比較的容易にできる活動です。
遺影写真を自分で用意しておくことは、自分が家族にできる最後の気配りの1つにもなります。
遺影写真を選ぶ際は、今後もずっと家族に見てもらえる写真ですから、自分の思いを込めた最高の1枚をじっくり吟味して決めましょう。
撮影する際は、あまり気負いすることなく、気楽なメモリアル写真を撮る気持ちでリラックスして撮影してみてくださいね。
この記事が素敵な遺影写真を撮影・準備できる手助けになれば幸いです。