法事の時には必ず誰しも行わなければならないのが「お焼香」ですよね。
何度も葬儀や法事に参列してことのある方であれば、作法・やり方などは、なんとくなく知っているはず。
しかし、葬儀を経験した回数が少ない方は、いざという時になって方法が分からないと困ってしまいます。
経験者の方の中にも「前の人と同じように行えば大丈夫だろう」と高を括っていたら恥をかいてしまったということにもなりかねません。
そこで今回は、法事のお焼香を行う際の正しいやり方や、順番・マナーなどについて詳しく解説しています。
法事の正しいやり方が分からない方は、ぜひ参考にしてみてください!
お焼香とは?
お焼香とは、仏や死者に向けて香を焚いて拝む行為のことを指しています。
お焼香はその名の通り「香を焚く」という行為を行うことで死者を弔うために行われている儀式です。
由来について
香を焚くという行為自体は、紀元前500年頃から行われている非常に古い儀式で、仏教の発祥の地であるインドで生まれました。
インドでは、古くから腐敗や臭気を防ぐためにお香を焚いており、葬式や法事などでは欠かせない存在になっていきました。
日本に香が伝わったのは、仏教伝来とほぼ同じ頃だったと考えられています。
焼香は仏が住んでいる浄土の香りを含んだそよ風が漂うさまを表しており、香りは隅々まで広がり、仏の慈悲を讃えるためのものと言われています。
お焼香に込められた意味は?
お焼香は主に匂いをその場に立たせることを目的としており、匂いには様々な意味が含まれていると言われています。
抹香や線香の匂いは、お参りする人の心と体を清める効果があると期待されていています。
お焼香の匂いによって、穢れを取り除いた清らかな身体で故人を供養するという意味が込められています。
また、仏教では故人が四十九日までに食べるものには匂いがあるとされており、故人に食べてもらうという意味でもお焼香は用いられています。
お焼香の匂い意外の要素としては「煙」が存在します。
仏教では行きている人と故人のコミュニケーションを媒介するものとしての「煙」が信じられているのです。
別れの儀式やお盆などの故人の魂が帰ってくるタイミングで特にお焼香は重要視されているのです。
お焼香と塗香の違いってなに?
葬儀や法事などの弔事に使用されているお香には「焼香」と「塗香(ずこう)」という2種類のお香が存在します。
お焼香はお香に火をつけて煙と匂いを発するという使い方ですが、塗香は粉末状のお香を少量身体に塗りつける方法です。
塗香は身体にお香を塗る文化のない日本では、あまり馴染みのない手法ですが、密教系の宗教でしばしば見受けられます。
塗香の期限もお焼香と同じくインドであり、高温多湿の環境下における体臭対策として使われてきました。
穢れを落とすという意味で使われるのは、法事や法要のタイミングで、宗教的な意味合いが非常に強くなります。
塗香を行う場合には、ひとつまみの塗香を左手に取り、右手の人差し指と中指につけてから口に含みます。
この後、両手で塗香を数回擦り合わせたら胸に塗って塗香の完了です。
塗香では身・口・意の三業を一度の所作で清める事が出来るとされています。
お焼香の種類は?違いはある?
お焼香とひとくちに言っても、実は作法には3つの種類が存在します。
儀式や会場の都合に合わせてお焼香の種類は大きく異なるため、しっかり把握してどの方法でも対応出来るように準備しておきましょう。
立礼焼香
立礼焼香は、あらゆる焼香の中でも1番一般的に用いられるお焼香で、葬式や告別式などイス席が用意されている斎場で採用される事が多いです。
遺影の前にお焼香台が立っているため、順番が回ってきたら席から立ち上がって焼香台へと進みます。
夫婦で参列している場合は、途中まで一緒に進み、お焼香を行う際には別々で行う事が一般的であることも覚えておきましょう。
座礼焼香
和室や小規模な会場で法事を行う場合は、椅子席を用意することは少なく、座ったまま焼香を行う座礼焼香を行うことになります。
順番が回ってきたら焼香台まで進んでお焼香するのは立礼焼香と全く同じです。
自分の席から焼香台までが比較的に近い場合は、膝を軽く浮かせた体勢のまま移動することが非常に多いです。
この体勢で移動することを「膝行・膝退(しっこう・しったい)」と呼んでいます。
具体的には、
- 座ったままの状態で両手の親指だけを立てます。
- そのまま両腕を身体の少し前方に移動させます。
- 身体を軽く持ち上げるようにして膝を前に押し出して移動します。
この3つの手順で移動するのが、膝行・膝退の作法になります。
なお席から焼香台までが遠い場合には、この方法ではなく、中腰で歩いて進むことになるため覚えておきましょう。
回し焼香
自宅で法事を行う場合には、回し焼香を行うことが非常に多いです、
自宅のスペースを使って、焼香台への導線を確保するのは、非常に難しいケースが多いです。
香炉と抹香を乗せたお盆などを移動させることによって、お焼香する回し焼香は隣の人から香炉と抹香を軽く会釈しながら受け取り、次の人へ回すのが基本的な流れになります。
座敷であれば、自分の前にお焼香台を置いてお焼香するのがベターですが、椅子席の場合は膝の上でお焼香することになります。
お焼香をする手順をステップごとに解説!
では、お焼香の種類が分かったところで、今度はお焼香をする手順をステップごとに解説していきます。
立礼焼香のやり方は分かっても、他2つは経験がないので分からない!という方も多いのではないでしょうか。
生きていく上で、何度もお焼香をする機会があると思うので、ぜひ以下の正しいお焼香ステップを覚えておいてくださいね。
立礼焼香
立礼焼香は、椅子の席の会場で行われることが一般的です。
- 焼香の順番がきたら、斎場まで進み、遺族に一例します。
- 焼香台の一歩手前まで歩いて生き、遺族や祭壇まで見て一礼します。
- 宗派ごとお作法に従って、抹香をつまみます。
- 抹香を香炉の中に落とします。
- 宗派ごとの作法に従って、これを1~3回ほど繰り返します。
- 改めて遺影に向かって合唱し、一礼します。
- 遺影の方を向いたまま、二、三歩下がり遺族に一例し、席に戻ります。
座礼焼香
座礼焼香は、畳敷きの式場で行われることが非常に多いです。
- 焼香の順番がきたら、前に進んで焼香台の手前で座って遺族に一礼します。
- 仏壇の遺影に向かって一礼します。
- そのあと、立ち上がらずに膝で焼香台まで寄り合掌します。
- 宗派ごとの作法に従って、抹香をつまみます。
- 抹香を香炉の中へ落とします。
- 宗派ごとの作法に従って1~3回ほどこれを繰り返します。
- お焼香が済んだら合掌をします。
- 仏壇前から下がり遺族に一礼してから立ち上がって元に戻ります。
回し焼香
自宅など会場が狭い場合に行われる回し焼香は、回す際に相手に失礼が内容に気をつけて回しましょう。
- 香炉が回ってきたら軽く一礼して受け取ります。
- 香炉を自分の手前に置き、仏壇に向かって合掌します。
- 宗派ごとの作法に従って抹香をつまみます。
- 宗派ごとの作法に従って1~3回ほどこれを繰り返します。
- 合掌してから一礼します。
- 次の人に香炉を回していきます。
お焼香は宗派によって回数が異なる
実は、お焼香を行う回数は、宗派によって大きく異なります。
回数を全て覚えて置き、葬儀ごとに使い分けるということは求められていません。
仏式の葬儀では、基本的に自分の家が所属する宗派の作法でお焼香をするのが良いとされています。
実際に代表的な宗派のお焼香回数を掲載しておくので、ぜひ自分の宗派の回数を参照してみてください。
- 天台宗/真言宗:焼香は1~3回
- 日蓮宗/臨済宗:焼香は1~2回
- 浄土宗:抹香は1~3回
- 浄土真宗本願寺派:抹香は1回、線香1本を2つ折にした後に香炉の中で横に寝かせる
- 浄土真宗大谷派:抹香は2回、線香1本を香炉の大きさに合わせて2つか3つに折り横に寝かせる
- 曹洞宗:抹香は2回
- 日蓮正宗:抹香は1~3回
基本的に、施主の方から何も言われなければ、どんな焼香を行っても問題ありません。
お焼香はやり方を意識するよりも、故人に対する気持ちを込めて行うことが重要であることを覚えておきましょう。
お焼香に数珠は必要なの?
結論から言うと、お焼香に数珠は100%必要な訳ではありません。
昨今ではライフスタイルの変化や多様化などが進んでいることから、数珠を持ち合わせていない家庭も非常に多いですよね。
家庭や地域の事情によって対応は様々ですが、原則として生さきなお参りには数珠が必要とされることが多いです。
もし数珠がなくても、会場で家族や他の人から借りてはいけません。
魔除けや厄除けの意味合いをもつ数珠は、絶対に他人に渡してはいけないものとされているためです。
手持ちの数珠はなくても、参列し故人を悼む気持ちさえあれば問題ないため、数珠がなければ用意しておくことをオススメします。
お焼香は誰から順番で回っていく?
お焼香は故人との関係性が深い人から順に進んでいきます。
まずは喪主(施主)がお焼香を行い、次に血縁関係のある遺族、その次に参列者という順番になります。
焼香を行う順番に関しては、後に親族同士で揉めるケースがあるため、事前にわだかまりなどが内容に親族で相談する形で進めていきましょう。
まとめ
今回は、お焼香を行う際の正しいやり方やマナーや順番などについて解説してきました。
法事でお焼香を行う際には、宗派によってやり方は違うものの、だいたい1~3回ほど行えば問題ありません。
お焼香は回数などにこだわるよりも、故人を弔う気持ちが何よりも重要です。
各宗派などが分からない、回数が分からない場合には、自分の宗派の回数でお焼香を行うようにしましょう。