法事にはマナーに気をつけて参列しなければいけないのは、葬式といっしょです。しかし一口に法事と言ってもいろいろなものがあり、種類やマナーをきちんと理解している人はあまりいません。法事は葬式とどう違い、どんなマナーがあるのでしょうか?法事でマナー違反をしないために、種類やマナーについてご説明します。
法事とは
法事とは、どのようなものなのでしょうか?葬式や法要との違い、種類をご紹介します。
法事と葬式との違い
人が亡くなった直後に行う通夜と告別式、また火葬までが合わせて一般的に葬式と呼ばれます。
線香の火を絶やさないようにしながら故人と一夜をともにするのが通夜、冥福を祈りながら最後のお別れをするのが告別式、そして納骨できる状態にするのが火葬です。
通夜から告別式、火葬までを葬式と言いますが、火葬は遺族などの少人数で行われるため、参列者にとって葬式と言えば通夜と告別式を指すことになります。
法事は葬式より後の、逝去日から一定の期間をおいて行う供養行事です。代表的な法事には初七日(しょなのか)や四十九日(しじゅうくにち)、一周忌があり、これらの供養行事では一般的に参列者を招いて食事をともにし、故人との思い出話をして冥福を祈ります。
法事と法要の違い
法事は故人の冥福を祈るために行われる、供養行事全てのことを指しています。故人の思い出話をしながら食事をして供養とする食事会がいっしょに催されることが多いですが、法事にはこの食事会も含まれます。
法事に対して法要はお寺や自宅、あるいは会館・ホールで執り行われる、お経を上げて貰ったり焼香をしたりする内容の式全般のことを指します。食事会は法要には含まれません。
法事の種類と意味
法事の種類と、それぞれの法事の意味についてご説明します。
初七日から六七日まで
法事には初七日や三十五日、四十九日、百箇日、一周忌などがあります。初七日は逝去日から7日目に行う法事ですが、葬式の際にいっしょに行うことが多くなっています。
初七日の次に行われる法要が二七日(ふたなのか)です。以降、四十九日までは7日おきに三七日(みなのか)、四七日(よなのか)、五七日(ごなのか)、六七日(むなのか)と法事が行われます。これらの法事は四十九日までは7日おきに生前の行いについて審判がくだされるという仏教の教えによるもので、無事に成仏できることを祈ります。近年は遺族のみで内々に済ますことがほとんどなため、あまり知られていません。
四十九日・百箇日
逝去日から7日おきに行われる審判を終え、故人の魂が仏様になるのが49日目です。四十九日は最後の審判を迎えることに対して行われる、大きな節目となる供養行事です。遺族は四十九日をもって忌明けとし、普通の生活を取り戻します。四十九日の法事は食事会と合わせて、大人数で行うのが一般的です。
百箇日は逝去日から100日目の法事ですが、内々に済ますことが多くなっています。
一周忌
一周忌は逝去日から1年目となる日に執り行う法事で、四十九日と同じように大人数が参列するのが一般的です。これまでの法事が逝去日から日単位で数えられていたのに対し、一周忌以降は年単位での数え方に変わります。
三回忌以降
一周忌の次に執り行われる法事は、三回忌になります。一周忌は満1年と数えるのに対して、三回忌以降は数え年でのカウントに変わります。数え年の3年は満2年で1年ずれるため、一周忌の翌年である満2年に三回忌が行われることになります。
三回忌以降は七回忌、十三回忌、十七回忌、二十三回忌、二十七回忌と続きます。とくに法事としてきちんと行われるのは七回忌と十三回忌程度で、三回忌をはじめとする他の法事は内々で済まされるのが一般的です。
三十三回忌・五十回忌
多くの場合、三十三回忌をもって法事は終わりになります。弔い上げ(とむらいあげ)とされ、以降は先祖として供養されるようになります。故人が若くして逝去した場合などでは、五十回忌を弔い上げとすることもあります。
法事の連絡を受けたときのマナー
法事を受けたときのマナーをご紹介します。
できるだけ出席する
法事は葬式とは違って前もって日時を推し量ることができるので、必要な法事にはきちんと参列できるよう、スケジュールは調整しておきましょう。どうしても法事に参列できないときでも、別の方法で故人を供養することは可能です。供物や香典、手紙・弔電を送ったり、別の日に弔問したりして故人を偲びましょう。
出欠の返事は早めに
法事の出欠の連絡は早めにするのがマナーです。往復ハガキで案内が来た場合には期日が記載されているので、遅くてもその日までには返事をするようにしましょう。出席人数は早めに分かった方が、滞りなく準備を進めることができます。法事を執り行う側のためにも、できるだけ早く出欠の返事をするようにしましょう。
法事に参列するときのマナー
法事に参列する際のマナーをご紹介します。
服装のマナー
法事に参列するのに相応しい服装について、ご説明します。
一周忌まで
一周忌までの法事に参列するときは、基本的に喪服着用がマナーです。男性は白無地のワイシャツと黒いスーツを着用し、黒のネクタイ、黒の靴下、黒の靴を合わせます。
女性はブラックフォーマルに黒のストッキング、黒の靴、黒のバッグを合わせます。葬式と同じようにアクセサリーはパールのネックレスとイヤリング、結婚指輪のみ付け、他のアクセサリーを付けることは避けましょう。子供は学校の制服か黒をベースにした洋服が一周忌までの法事に参列するのに相応しい格好です。
三回忌以降
一般的に三回忌以降の法事では喪服を着用しないことも認められます。全体的に黒っぽい服装・濃いグレーを基調にした服装であれば、喪服でなくてもマナー違反にはなりません。女性の場合はストッキングも黒色ではなく、肌色のものを着用することができます。
香典のマナー
葬式と同じように法事の時も香典を出します。香典のマナーをご紹介します。
金額の相場
法事には葬式に参列するときと同じように、香典を持参します。
金額は故人が父母の場合は30,000~100,000円、祖父母や叔父・叔母の場合は10,000~30,000、兄弟・姉妹の場合は30,000~50,000円、その他の親戚の場合は5,000~10,000円が相場です。
親しい友人・お世話になった恩人の場合は10,000円、職場関係の場合は5,000円、その他の知人の場合は3,000円を目安に準備します。
使う不祝儀袋
法事の香典には、結び切りの水引の不祝儀袋を用います。色は一般的には黒白としますが、地域によっては黄白の不祝儀袋を用いるところもあります。
表書きの書き方
法事の香典を出すときに表書きは「御仏前」になります。
葬式の香典の表書きは「御霊前」ですが、故人の魂は四十九日をもって仏様になるとされているので四十九日以降に行われる法事では香典の表書きは「御仏前」とするのが正しいマナーです。「御供物料」としても問題ありません。
入れるお札
葬式の香典に新札を使うのはマナー違反になります。
新札は準備しなければなかなか手に入れることはできずに、故人の死を待っていたという印象になるからです。
法事は葬式とは違って突然に行われるものではないため新札を使用しても問題はないものの、やはりおめでたいことではないため新札は用いない方が無難です。
しかし新札が良くないからと言ってボロボロのお札を使うことはマナー上、正しいとはいえません。
相手に不愉快な思いをさせてしまうという点で使用感のあるお札を渡すことは避けるのがマナーです。法事の香典には新札ではない、比較的にきれいなお札を使いましょう。
避けるべき金額
数字の4と9は死や苦しみを連想させることから、香典額にすることはマナー違反になります。
香典額に関するマナーとして耳にするものに、不幸ごとには奇数の方が相応しく2・4・6・8といった偶数は避けるべき、という内容のものがあります。
しかし偶数の香典額は失礼にはあたらないので、あまり気にする必要はありません。
供物のマナー
お供え物の持参も、法事のマナーです。香典とは別にお供え物も準備して、故人の冥福を祈ります。お供え物の金額は3,000~10,000円程度のものが適しています。
供物として相応しいものには和菓子や焼き菓子、煎餅、果物、花、線香やろうそくなどがあります。和菓子や焼き菓子は日持ちがするもの、小分けにできるものを選びましょう。果物や花でこのましいのはその季節ならではの、旬のものです。
参列できない場合のマナー
法事に参列できないときは、どのようにすれば良いのでしょうか?不参加の際のマナーをご紹介します。
返信の際に電話する
法事を欠席する場合は返信で欠席を伝えるとともに、電話をしてお詫び・弔意を伝えましょう。葬式と違って前もって日時がわかっている法事には、できるだけスケジュールを調整して出席するのがマナーです。どうしても都合が合わない場合のみ欠席が許されるもので、基本的に法事への欠席は相手に失礼なことになります。
往復ハガキの返信で欠席の連絡をすると同時に電話をして、礼儀を欠くことに対するお詫びをきちんと伝えるのがマナーです。故人の冥福を祈る気持ち・偲ぶ気持ちも合わせて伝えましょう。
欠席の理由は明らかにしない
法事を欠席する理由を伝えるのはマナー違反になるので注意が必要です。
法事より優先されたものが何であるかを告げることは、相手に対して大変に失礼な行為にあたります。きちんとした理由があって欠席することを伝えたい気持ち、相手に理解して欲しいという思いは抑えて、欠席の理由は伝えないようにしましょう。
香典・供物を郵送する
法事の連絡を受け取ったのに参列できないときは、香典や供物を郵送しましょう。香典は法事に出席する場合に比べて、低い金額を送ります。
5,000円程度が適当とされていますが、出席する場合の半額程度を送るのがマナーとされる場合もあります。
故人や遺族との関係によって異なり、また地域や親族間の暗黙の取り決めによっても好ましい金額は違います。心配な場合は詳しい人に確認して、マナー違反にならない金額を送りましょう。
故人の冥福のためにも法事マナーは大切
法事にも葬式と同じようにさまざまなマナーがあります。故人への供養、遺族に対する配慮として、きちんと守ることが必要です。出席・欠席どちらの場合でもマナー違反とならないように注意して、心を込めて対応しましょう。