仏壇は基本的には移動させないのが望ましいのですが、どうしても移動しないといけない事情もあります。
実家が空いたので仏壇を引っ越しさせたい、家のリフォーム工事をするので仏壇を移動したいと考えたとき、仏壇はどのように扱えばいいのでしょうか。
今回は、仏壇の引っ越しや移動についての知っておくべきことを解説します。
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仏壇を家から出して移動する場合
仏壇は基本的には移動をさせないのが望ましいのですが・・・
・新しく家を建てた、購入した
・住んでいた家を取り壊して建て替えた
・実家が空いたので引っ越しをする
・相続したときに実家の仏壇を承継した
などの理由で、仏壇の引っ越しが必要になることがあります。
仏壇の引っ越しをするときには、閉眼供養(魂抜き)といった法要と、引っ越した先でも魂入れ、開眼供養(魂入れ)といった法要をする必要があります。
供養の呼び方は宗派によって異なります。
・浄土真宗
仏壇に魂が宿るという概念はないのですが、仏壇を引っ越す際には、遷座法要(せんざほうよう)、遷仏法要(せんぶつほうよう)といった供養を行ないます。
・浄土宗
仏壇を引っ越す前に撥遣供養(はっけんくよう)を行って魂を抜き、引っ越した先では、開眼供養(かいげんくよう)を行って魂を入れます。
・真言宗
仏壇を引っ越す前に開眼もどしの作法をして、引っ越した先では、開眼供養の作法をしていただきます。
・曹洞宗
仏壇を引っ越す前に遷座法要(せんざほうよう)を行って魂を抜き、引っ越した先では、遷仏法要(せんぶつほうよう)を行って魂を入れます。
宗派によって呼び方はことなりますが、必ず供養や法要などの仏事を行う必要があることを覚えておいてください。
引っ越しで必要な供養とお布施
家を購入した、建て替えたなどの理由で仏壇を家の外に出す場合は、閉眼供養を行ない、仏壇からいったん魂を抜かなければなりません。
閉眼供養したお仏壇は、戻した時には開眼供養を行います。
したがって、お仏壇は1回引っ越すにあたり法要を2回する必要があります。
これらの供養は、僧侶に依頼して読経をあげていただく必要があります。
その際にはお礼としてお布施を渡すのですが、お布施に入れる金額には決まりがないので、いくらくらいを入れればいいのかよくわかりません。
それぞれの法要のお布施の相場は、1回あたりおおよそ1~3万円程度です。
同一敷地内であっても母屋から離れに移動させる場合も、家から出ることになるので供養は必要になります。
この際は同じ日に魂抜き、閉眼供養と魂抜き、開眼供養が行えるので、僧侶に渡すお布施は1回で済みます。
供養の服装と準備するもの
仏壇の引越しで行う供養のときの服装は、喪服を着る必要はなく、特に決まりもありません。
派手な格好は避けて、お寺さんに失礼のないような服装であれば何でもかまいません。
また、供養に準備しておくものは、
・お布施
・線香
・ローソク
・生花
・お供え物
・数珠
の6点になります。
お布施の費用は1万から3万円を目安にしていただき、線香は長さ15cm程度の一般的なもの、ローソクは長さ10cm程度のもので、燃焼時間が約1時間ほどのものを選んでください。
生花は仏花を用意してください。
花屋さんやスーパーでは墓花も一緒に売られているので、間違わないようにしてください。
お供え物はお菓子、お酒類など故人が好きだったものを用意するようにしてください。
また、お寺さんによっては上記以外にも準備するものがあるかもしれないので、事前にお寺さんに確認しておくと安心です。
仏壇を家の中で移動する場合
仏壇は本来移動させないのが良いのですが、以下のような理由で動かしたいこともあります。
・部屋のリフォーム
・部屋の片付けや大掃除
こういった屋内の移動であれば仏壇の引っ越しと同様の供養を行う必要はありません。
供養をする必要がない移動
法要をするかどうかは、仏壇を家の外に出すかどうかで変わります。
仏壇を家の外に出す場合は法要が必要ですが、逆に屋内で移動するだけであれば法要は不要です。
たとえば、部屋のリフォームをする場合は、仏壇を他の部屋に移せば工事できるため、法要はしなくても構いません。
もちろん、部屋の片付けや大掃除などで仏壇を少し動かす程度の場合も供養の必要はありません。
仏壇の引っ越しの流れ
仏壇の引っ越しをする手順は、以下のようになります。
1.閉眼供養(魂抜き)を行う(1週間くらい前)
2.仏具を下ろし荷造りする(1週間前から前日)
3.仏壇を移動する(引っ越し当日)
4.新しい場所に仏壇を設置する(引っ越し当日)
5.僧侶に開眼供養(魂入れ)をしてもらう(引っ越し当日)
閉眼供養は引っ越しが決まったらなるべく早めに、お寺さんに依頼するようにしてください。
なお、仏具を取り出す前に仏壇の写真を撮っておくと、配置を復元するときに役立ちます。
供養は引っ越し日の1週間前くらいに行うのが一般的です。
仏壇の引っ越し日は大安
特別なことを行うときにはできるだけ大安などの良い日に行いたいという風習があります。
ただ、仏教とはあまり関係ありませんが、六曜をきにする方は大安に引っ越しをするのが良いでしょう。
自分で仏壇の引っ越しを行う場合
仏壇の引っ越しをする方法は、自分で行う方法と業者に依頼する方法があります。
自分で行う場合は、新しく仏壇を設置する場所と搬出口の寸法を測っておき、廊下や階段なども通れるのかを事前に調べておきましょう。
仏壇を運ぶときは必ず2人以上で、滑り止めのついた軍手などを着用して移動を行うようにしてください。
設置が終わったときには、僧侶に魂入れ、開眼供養をしてもらうことは忘れないようにしてください。
ここで留意したいのは、金仏壇を移動する場合はプロに任せるべきです。
金仏壇は持つ場所が決まっており、一つ間違うと持ち上げた瞬間や運んでいる最中に仏壇が壊れてしまいます。
仏壇の引っ越しを業者に依頼する
仏壇の引っ越しを業者に依頼するなら引越し業者か仏具店が考えられます。
仏壇の移動を安心して任せられるのはやはり仏具店でしょう。
仏壇の中でも特に金仏壇は漆塗りの仏具や金箔や金粉、金塗装が施された仏具もあり、繊細に扱う必要があります。
また、仏具の飾り付けなどは宗派によって違いもあるので、飾り付けも難しくなります。
やはり、普段から仏壇の扱いに慣れている仏壇店に仏壇の引っ越しを依頼する方が、安心して任せられます。
引っ越し業者の中にも仏壇の引っ越しを受けてくれる業者もあります。
いずれの場合も、仏壇の引っ越しをする移動距離、仏壇の大きさなどにより、かかる費用はまちまちになるので、業者に依頼する場合は、事前に見積もりを取り比較することをおすすめします。
仏壇の引っ越しにかかる費用の相場
仏壇の引っ越しをする方法は、自分で行う方法と業者に依頼する方法があります。
自分で行う際にかかる費用は費用はガソリン代くらいしかかからないので費用は安く抑えることができますが、引っ越しをする仏壇が大きい場合は、レンタカーなどを使う必要があるので、別にレンタカー代がかかることもあります。
業者に依頼する場合の費用は、仏具店なら15,000~50,000円くらい、引っ越し業者なら10,000~30,000円くらいです。
ただし、価格は仏壇の大きさや移動距離などに応じて変わります。
仏壇の引っ越しは大手の引っ越し業者や物流大手の会社でも対応はしてくれます。
仏壇の引っ越しを業者に依頼する場合は、必ず複数の業者から見積もりを取り、金額や内容などを比較して依頼先を決めるようにしてください。
仏壇を新しく設置する場所
仏壇を新しく設置する場所は、仏間があればそこに置いてください。
仏間が無い場合は、湿気を避けるために水周りから離れた場所、直射日光があたらなくて風通しがいい場所、エアコンの風があたらない場所がいいです。
その際に気をつけてほしいのは、神棚の真下もしくは神棚との対面になるような場所は避けるようにしてください。
また、設置する仏壇の向きですが浄土真宗は西向き、真言宗は和歌山の高野山の方向、曹洞宗は福井県永平寺の方向に設置するのがいいですが、部屋の状況などにより難しい場合は余りこだわらなくても大丈夫です。
仏壇の引っ越しで注意するポイント
仏壇の引っ越しで注意するポイントは、
・位牌とご本尊は自分で運ぶ
・横にせずにたてたままで運ぶ
・動かす前に必ず写真を撮る
の3点になります。
位牌やご本尊は仏具の中でも特に大切に扱うべき仏具になるので、業者に依頼する場合はご自身で運ぶようにしてください。
また、仏壇は横に寝かして運ぶのではなく、必ず縦の状態で倒れないようにしっかりと固定して運ぶようにしてください。
引っ越し先に仏壇を設置した後、仏具を元の配置に戻すのですが、いざ戻そうとすると元の場所がわからなくなることがあります。
仏具の配置は宗派などにより決められているので、元の配置に戻せるように仏具を取り出す前にはスマホやデジカメなどで写真を必ず撮るようにしてください。
まとめ
ここまで、仏壇の引越しを業者に頼んだほうがいいのか、自分で移動しても大丈夫なのか、仏壇を扱うときに注意する点や供養とお布施など仏壇の引越しと移動について解説してきました。
仏壇は繊細で扱いが難しいと思われるかもしれませんが、引っ越しをする前に魂抜き、閉眼供養、設置後の魂入れ、開眼供養を行えばあなた自身でも引っ越しをすることは可能です。
ただ、自身で引っ越しをするのが不安な場合は、業者に依頼すれば安心して仏壇の引っ越しができますので、仏壇の引っ越しを考えるときには、参考にしてみてください。
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