ひと昔前の家には普通にあった仏壇。
仏壇は位牌と共にご先祖様や亡くなった親族に想いを馳せながら対話ができる一番身近な場所です。
近年では終活の一貫で仏壇の断捨離をする、住宅や家族の事情で仏壇を継承できないという理由から仏壇の処分を考えている方が少なくはありません。
ところが、仏壇には魂が宿っているとも言われていて、どうすれば処分すればいいのか、処分する方法や処分にかかる費用などでお悩みではないでしょうか。
今回は、仏壇の処分をする方法と費用の相場、位牌の処分、魂抜きのお布施、仏壇を処分する際の注意点など仏壇の処分について解説していきます。
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仏壇を処分する前に
誰も住まなくなった実家を整理する、亡くなった親の遺品を整理する、高齢の親が老人ホームに入所するなどの理由で仏壇の処分を考えている方は少なくありません。
仏壇の処分を進める前に確認してほしい大切なことはがあります。
それは、開眼法要(かいがんほうよう)とも言われる魂入れが行われているかどうかです。
仏壇を新しく作った場合、僧侶に読経をしていただき、仏壇に霊位を宿らせるという意味合いで魂入れを行います。
つまり、魂入れを行った仏壇には魂が宿っているので、仏壇を処分する前には魂入れが行われているかどうかを確認する必要があります。
仏壇を処分する前には魂抜き
魂入れが行われた仏壇を処分する前には、閉眼法要(へいがんほうよう)とも呼ばれる魂抜きを行う必要があります。
魂抜きとは魂入れと同様に僧侶に読経をしていただき、魂が宿った仏壇から魂を抜く法要のことです。
魂抜きをせずに仏壇を処分してしまうと、仏壇に宿った魂はさまようことになるので、魂入れを行っている仏壇を処分する場合は、必ず魂抜きを行ってください。
もし、昔のことでよくわからないという場合は、処分した後にあなたが暗い気持ちにならないように、念のため魂抜きを行うことをおすすめします。
魂抜きのお布施
魂抜きをするには、僧侶に読経をしていただく必要があり、来ていただいた僧侶にはお布施を渡さなければなりません。
お布施は「お寺への寄付」という位置づけで、葬儀、法要などの仏事で読経していただいたことへの感謝の気持ちを伝えるという意味合いがあります。
お布施には、「お布施」、「お車料」、「お膳料」の3点の組合せが基本になります。
魂抜きのお布施金額は、お布施とお車料で十分だと思いますが、「いくら用意すればいいかわからない」という方は、事前に僧侶に直接聞くというのが一番です。
ただ、聞かれた僧侶も金額については答えにくく、「お気持ちで・・」と答えるにとどまることが多いのが実情です。
魂抜きのお布施金額の相場は、1万円から5万円の範囲内ですので、中間をとって3万5千円(お布施3万とお車料5千円)くらいが無難ではないでしょうか。
仏壇を処分する4つの方法と費用の相場
仏壇を処分する方法は、
・自分で処分する
・お寺で処分してもらう
・仏壇、仏具店で処分してもらう
・不用品回収業者に処分してもらう
4つの方法があります。
ここからは、それぞれの処分方法と処分にかかる費用の相場、メリットやデメリットについて解説していきます。
1.自分で仏壇を処分する
木製である仏壇はほとんどの自治体で粗大ゴミとして処分することが可能で、費用を安く抑えることができ、早く処分することができます。
ただ、仏壇を粗大ゴミとして処分するには、各自治体で決められたルールを守らなければなりません。
「処分する仏壇を引取りに来てくれるのか」、「持ち込む必要があるのか」、「大きさに制限はないのか」などを確認する必要があります。
引き取りが可能であれば、仏壇はそのままの状態でもいいのか、大きさに制限があって解体する必要があるのか、持ち込む場合は運ぶ必要があり、運ぶ車をどうするのか、運ぶ車と人手がない場合は運送業者に依頼するなど、さまざまな対応が必要になります。
自治体などで仏壇を自分で処分する場合の費用は、無料から3,000円くらいが相場ですが、運送業者に依頼する場合は別途費用が必要になります。
自分で仏壇を処分するメリットは、処分費用を安くできる、早く処分できる、不法投棄などのトラブルがないということで、デメリットは自治体にもよりますが、処分の手続きが必要、処分費用が高くなることもあるということです。
2.お寺で仏壇を処分してもらう
お寺で仏壇の処分を依頼するのが、一番安心して処分することができ、魂抜きを含めて心のこもった処分をしてくれます。
菩提寺がある場合は、一度相談してみてはいかがでしょうか。
もし、菩提寺が無い場合は近くのお寺に相談することをおすすめします。
その際に気をつけていただきたいのは、宗派が異なると処分を引き受けてくれない可能性があるので、同じ宗派のお寺に相談するようにしてください。
お寺で仏壇の処分を依頼した場合の費用ですが、お寺ごとに違いがあり相場がよくわからなく、はっきり決まった金額もありません。
一番いいのはお寺に直接聞くことですが、「お気持ちで・・・」と答えることが多いので、適切な金額の判断が難しくなってしまいます。
無料で処分してもらえることがあるかもしれませんが、有料になる可能性が高く、処分にかかる費用の目安は、5万円前後で「お布施」いう形での支払いになります。
お寺で仏壇を処分してもらうメリットは、魂抜きを行ってもらえる、安心して処分できることで、デメリットは処分にかかる費用が不透明だということです。
3.仏壇・仏具店で処分してもらう
仏壇を買い換える場合は、仏壇店で仏壇の処分も同時に依頼するのがおすすめです。
古い仏壇の魂抜き、搬出、処分と新しい仏壇の設置、魂入れなど僧侶や車の手配まで行ってくれるので、あなたの手をわずらわすことなく、スムーズに仏壇の処分ができます。
また、仏壇を買い替えなくても、仏壇、仏具店に相談すれば仏壇の魂抜きから処分までをほとんどのお店で対応してくれます。
ただ、魂抜きをしないなど手抜きをするお店もあるようですので、お寺と提携しているお店、もしくは処分した証明書を発行してくれるお店を選ぶようにしましょう。
仏壇、仏具店で仏壇を処分してもらう費用の相場は、2万から10万円と幅が広いので、事前に見積もりを取り、金額と内容を確認してから依頼するようにしましょう。
仏壇、仏具店で仏壇を処分するメリットは、仏壇の買い替え時に処分もできる、宗旨、宗派に関係なく処分してくれる、大きな仏壇でも対応が可能なことで、デメリットは処分費用が高くなる、手抜き処分をするお店があるということです。
4.不用品回収業者に引き取ってもらう
「仏壇を粗大ゴミとして処分するのが面倒」、「近くに同じ宗派のお寺が無い」、「仏壇、仏具店に相談したけれど、断られた」など処分する方法に困ったときは、不用品回収業者に仏壇の引取りを依頼してみてはいかがでしょうか。
仏壇の引取りをしてくれる不用品回収業者は増えてきていて、遺品整理などで出てきた不用品の引取りも考えているのなら、不用品回収業者に仏壇の引取りも一緒に依頼するのがおすすめです。
引取りにかかる費用は、仏壇の大きさなどにより費用は変わってきますが、平均的な相場は1万から2万円になり、別途出張費がかかる場合もあります。
魂抜きにかかる費用は含まれていないので、事前にお寺などに魂抜きをしていただく必要があります。
不用品回収業者に仏壇を引き取ってもらうメリットは、仏壇以外の不用品も一緒に処分できることで、デメリットは魂抜きを事前にしておくことです。
位牌を処分する2つの方法と費用の相場
位牌とは、故人の戒名や没年月日、俗名、享年が記された木の札のことで、仏壇と同様に開眼供養と呼ばれる魂入れが行われ、魂が入った位牌は仏壇に安置し、故人の霊をお祀りします。
終活の一貫で仏壇の断捨離をする、住宅、家族の事情で仏壇を継承できないという理由で仏壇を処分する場合は位牌も一緒に処分する必要があります。
ただ、位牌にも魂が宿っているので、気軽にゴミとして捨てるわけにはいきません。
やむを得ず位牌を処分しなければならないときは、「魂抜きをして焚き上げで処分する」または、「永代供養する」という2つの方法があります。
ここからは、それぞれの処分方法と処分にかかる費用の相場、メリットやデメリットについて解説していきます。
1.魂抜きをして焚き上げで処分する
仏壇と同様に、位牌も開眼供養と呼ばれる魂入れが行われているので、処分する場合はお寺に依頼し僧侶に読経をしていただき閉眼供養と及ばれる魂抜きを行い、位牌をただの名前が書かれた木のお札に戻す必要があります。
魂抜きが行われた位牌はただの木の札に戻ったとはいえ、燃えるゴミなどとして出してしまうと、ご近所の信心深い人、高齢者の方と思わぬトラブルになることがあるので、焚き上げの焼却処分まで行うようにしてください。
位牌の魂抜きから焚き上げまで処分にかかる費用はお願いするお寺によって違いはありますが、魂抜きに5千円から1万円くらいの焚き上げのお布施も必要になるので、おおよその目安は4万円から4万5千円くらいが無難な金額になります。
お寺で位牌を処分してもらうメリットは、魂抜きを行ってもらえる、安心して処分できることで、デメリットは処分にかかる費用が不透明だということです。
2.焚き上げ処分せずに永代供養する
位牌を焚き上げ処分せずに形を残したまま永代供養する方法もあります。
永代供養はお寺や霊園などに位牌を預け、親族に代わって定期的に供養してもらうことで、
永代供養の費用は、お寺や霊園、供養の形態よって違います。
位牌の永代供養の相場は、7年間供養後の焚き上げで3万円から5万円で、供養する期間が長くなると10万円くらいになります。
位牌を永代供養するメリットは、お寺や霊園が位牌の供養や管理を行ってくれることで、
デメリットは供養する期間が長いと費用が高額になるということです。
浄土真宗に位牌は用いない
浄土真宗では、原則として位牌を用いることはありません。
浄土真宗において、人は亡くなると阿弥陀如来の力によって、極楽浄土で生まれかわるという考えがあります。
このような考え方から、位牌を仏壇に置いて供養する必要がなく、位牌の魂入れも行ないません。
位牌には故人の戒名や没年月日、俗名、享年などが書かれているのですが、浄土真宗では位牌を用いないので、それらの故人の記録は、法名軸や過去帳などに記すことになります。
法名軸は仏壇店などで購入するか、菩提寺で用意してくれるので、四十九日までに法名を菩提寺などで書き写してもらいます。
法名軸は仏壇の内側側面に掛けられのですが、ミニ仏壇など小型の仏壇の場合は、過去帳で代用されることがあります。
また、過去帳を持っている場合は、法名軸と同様に菩提寺などで書き写してもらいます。
菩提寺で過去帳、法名軸に書き写しをしていただいた場合のお布施は、5千円から1万円くらいが相場になります。
仏壇を処分するときの注意点と処分後の供養
ここまで、仏壇を処分する方法について解説してきました。
仏壇を処分するときの注意点は、
・処分を進める前に必ず魂抜きをする
・処分にかかる費用を事前に確認する
の大きく2点になります。
注意する点は細かくはなりますが、これら2点以外にもあります。
ここからは、仏壇を処分する場合に忘れがちな注意点と仏壇を処分した後の供養方法について解説していきます。
処分するときに忘れがちな注意点
仏壇を処分するときに忘れがちな注意点は、引き出しの確認と親戚周りの連絡です。
仏壇には隠された引き出しがある場合があります。
そのような引き出しには家にとって大切な物を入れる傾向があり、位牌や遺影、家系図などの大切な物が入れられていることもあるので、念入りに確認するようにしてください。
一度、処分に出してしまうと戻らないこともありますので注意してください。
また、仏壇を処分することばかりに気がいってしまいがちになりますが、仏壇の処分を進めるにあたり、親戚周りなどには念のために連絡をしておきましょう。
仏壇を処分した後に、親戚が知ることになると、思わぬトラブルになる可能性もありますので、仏壇の処分を進める際は注意が必要です。
処分後の供養
仏壇を処分した後も、自宅で供養を続けていく方法はあります。
スペースの都合で仏壇を処分した場合は、コンパクトなミニ仏壇がおすすめです。
ミニ仏壇は、大きな仏壇は置けないけれど、仏壇として供養したい場合に選ばれます。
仏壇自体が小さいので小スペースでも置けることとデザイン性が高いという特徴があります。
また、永代供養は継承者がいない、子供や孫の負担を少しでもなくしたいという考えから選択される場合があります。
親が亡くなって仏壇を処分した場合は、遺骨を手元供養にすることでお参りの場を設けられます。
手元供養は次の3点のいずれかで供養されることが多いです。
・ミニ骨壷
・遺骨で作ったペンダントやブレスレット
・ミニ仏壇
ミニ骨壷は色や形がさまざまあり、可愛いらしくてスペースを取らないのが特徴です。
ミニ骨壷に遺骨そのものを入れることはできないので、粉骨した状態で入れて供養します。
遺骨で作ったペンダントやブレスレットは、遺骨を粉骨した状態、または遺骨を加工して供養します。
ミニ仏壇には収骨スペースがついているものもあるので、仏壇とお墓を兼ねる形で供養しても良いでしょう。
まとめ
ここまで、仏壇の処分をする方法と費用の相場、位牌の処分、魂抜きのお布施、仏壇を処分する際の注意点など仏壇の処分について解説してきました。
仏壇の処分と聞くと、何か後ろめたい気持ちや少し怖いというイメージがありますが、魂抜きを行い、ルールの範囲内であれば処分することができます。
大切なのは、仏壇を処分した後も何らかの形でしっかり供養を続けることです。
仏壇の処分を考えている方は、ここで解説したことを参考にしてみてください。
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