仏壇は必要だと思いますか?
この質問に対して明確に答えられる人は少ないのではないでしょうか。
前から実家にあったので「流れで」引き継いだ、とか、捨てると祟りがありそうなのでそのまま持っている、などという人が多いはずです。
本当に仏壇は必要なのでしょうか。そして仏壇を置く意味とは何なのでしょうか。
今回の記事では、このような本音の質問に答えていきます。
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仏壇は必要か
最初に仏壇は必要なのか、という点についてです。
仏壇の意味とは?
仏壇は昨日、今日で日本人の住まいに入り込んでいるものではありません。
仏壇には以下のような歴史と意味があるのです。
仏壇の歴史は1500年以上
仏壇の始まりに関して文書で残っている記録はありませんが、一般的には仏教が朝鮮半島から伝来した、今から1500年前の6世紀の飛鳥時代にはすでに作られていたとされています。
日本史の教科書などで誰でも写真を見たことがあるはずの「玉虫厨子(たまむしのずし)」が、現在わかっている最古の仏壇です。
玉虫厨子の製作が6世紀なので、6世紀にはすでに仏壇は作られていたと言われているのです。
その後仏壇は、貴族の家などにしかない特別なものでしたが、江戸時代になって幕府が施行した、日本人は全員いずれかの寺院の檀家にならなければならないという「寺請制度(てらうけせいど)」を契機に、普通の庶民の家にも置かれるようになりました。
仏壇とは「自宅にある寺院」
この「仏壇」の基本的な意味は「自宅に置かれた寺院」と考えればよいでしょう。
通常は寺院に行って本尊や先祖にお参りするところを、自宅にある仏壇に祀られた仏像や位牌にお参りすることで代替しているのです。
仏壇にお参りする意味
以上のような歴史を持つ仏壇を自宅にあえて置かなければならない意味とは何なのでしょうか。
精神的な支柱
人間は物質的に恵まれていれば幸せかというとそうではありません。
むしろ物質的に恵まれていればいるほど、精神的な充足が欲しくなるものです。
その精神的な充足を得るため方法の1つが宗教です。
どの宗教でも一心に信じていると、精神的な充足は得られます。多くの日本人にとって最も親しい宗教は仏教です。
ですから仏教に日常的に触れ、精神的な支柱を得て、平安に気持ちで暮らすために、身近に仏壇があるのは意味があることなのです。
先祖供養の形の現れ
現代の日本人は目に見えないものを信じない傾向があります。
しかし統計的には年齢や性別を問わず、目に見えない霊魂や、あの世の存在を信じている人が多いことも分かっています。
たとえばお墓参りをしてお墓に手を合わせている時、無念無想の人は少ないでしょう。
多くの人は先祖や身近だった祖父母などに、自然に家族の健康や、自分の幸せを祈っているはずです。
これこそ、目に見えない先祖の霊魂が存在し、自分たちを守ってくれていると、無意識のうちに信じている証しです。
仏壇が身近にあると、お墓の代わりに先祖にお参りをする場所が得られます。
つまり、仏壇は先祖にお参りして自分たちを守護してくれるようにお願いするために必要なのです。
故人との対話の窓口
身近だった家族などが亡くなった時に、心の中でいつも間にかその人と対話していることはありませんか。
迷った時、悩んだ時、その答えを故人に問いかけている経験を持っている人は意外の多いものです。
その点、仏壇があれば、亡き家族と対話をする窓口になってくれます。
仏壇を用意しないのは悪いことなのか
では今、仏壇が家にない場合、必ず用意しなければならないものなのでしょうか。
決してそうではありません。
仏壇を置けない理由の例
そもそも現実問題として、仏壇を家に置きたくても以下のような理由から置けないことは多々あります。
・仏壇を置くスペースがない
・自宅は洋式なので仏壇がそぐわない
・妻の家の宗派と自分の家の宗派が一致しない
仏壇は必須ではない
以上のような理由がある場合、仏壇は絶対に家に置かなければならないものではありません。
そもそも仏壇は冷蔵庫や洗濯機などのように生活必需機能ではありませんから、仏壇がなくても日常生活では困りません。
大切なのは、仏壇ではなく、先祖を祀る気持ちがあることです。
仏壇を置かないときの供養の方法
仏壇がいらないとしても、それは先祖を祀らなくてもいいということではありません。
仏壇の代わりに遺影を飾るだけでも良い
たとえば仏壇の代わりに、リビングに故人の写真を飾って、その写真を見るたびに故人を思い出したり、故人にその写真を通じて話しかけることは、十分な供養になります。
浄土真宗では位牌をおかない
浄土真宗では、本尊の阿弥陀如来を信じれば、誰でも極楽往生できるとされているので、故人が現世に降りて来ることはないとされています。
したがって故人が降りて来る「依り代」の位牌は作りません。
仏壇には位牌の代わりに、本尊だけを置きます。
手元供養とは何か
あるいは仏壇を自宅に置く代わりに「手元供養」をしてもよいでしょう。
手元供養とは、故人の遺骨を少しだけ手元に置いて、その遺骨を通じて故人を祀る方法です。
遺骨はペンダントに入れたり、遺骨をオブジェにして部屋に祀ったりするのが手元供養の主な方法です。
小さなお仏壇・ミニ仏壇も増えている
遺骨をおしゃれで小さな骨壺に納めて、やはりミニチュアサイズの仏壇を設けて祀ることもあります。
これであれば威圧感がないため、狭い部屋でも、あるいは洋風の部屋でも違和感なく仏壇を置けます。
引き継いだ仏壇の世話をしないのは悪いことなのか
仏壇が親までの代まで維持されていて、親が亡くなったことによってその仏壇を継承する場合もあるでしょう。
その場合、絶対に仏壇を世話しなければならないのでしょうか。
仏壇があったらぜひ祭祀をしよう
もしも自宅に仏壇が来たら、ぜひ祭祀をすることをおすすめします。
普段、信仰心がない人でも、仏壇を世話していくことによって、精神的な充足感や安心感をいつも間にか得ることも多いからです。
仏壇へのお供えの仕方
仏壇の世話の仕方はそれほど難しいことではありません。
以下のことを行うだけで充分です。
毎日のお供えするものは
仏壇に毎日お供えする物は「香」「花」「灯燭(とうしょく)」「浄水」「飲食(おんじき)」の5つでこれを「五供(ごくう)」と言います。
「香」とは線香、「花」は生花または造花、「灯燭」はろうそく、「浄水」は水またはお茶、「飲食」とは炊きたてのご飯のことです。
お供えする時のマナー
お供えは、毎朝起きた1番に行います。
線香は火をつけたら消えるまでそのままにしておいてもよいですが、ろうそくは1度つけて手を合わせたのちは危ないので消しましょう。
浄水とご飯は、朝ご飯を炊いた時に、家族に出す前に仏壇に供えます。
お供えを置く位置や向きは?
仏壇は上段、中段、下段に分かれています。上段は本尊を祀る場所で、中段は位牌などの先祖を祀る場所です。
したがって、五供などのお供えは下段に置きましょう。
五供の位置にも決まりがありますが、仏壇のサイズもあるので、それほどこだわらなくてもよいでしょう。
ただ浄水と御飯は、向かって左側に浄水、右側に御飯を供えましょう。
仏壇のお手入れ方法
仏壇の普段のお手入れ方法は以下の通りです。
まず掃除をする場合には、中の仏具を取り出し、柔らかい毛バタキで、仏壇全体と内部のほこりを払います。
さらに柔らかい布で塗りの部分を拭きます。傷がつきやすいので優しく拭きましょう。
毎日のお手入れはこれだけ行えば十分です。
年末の大掃除などの時や、汚れがひどい時には、中性洗剤を水で薄め、布巾に浸して拭きましょう。
拭いた後は必ず乾いた布巾で洗剤をぬぐっておくことが大切です。
ただし、金仏壇の金箔と漆の部分は水拭きしないでください。
燭台などの仏具は、クレンザーなどで磨いて汚れを落とし、さらにきれいな布巾で彫の奥の油気をぬぐい去りましょう。
ガラスや陶器の仏具は通常の食器の洗い方と同じで大丈夫です。
お世話ができない場合は処分するという方法も
仏壇は引き継いだが、どうしても毎日の世話ができない、という場合は仏壇を処分することも選択肢の1つです。
ただし仏壇は、本尊や先祖の霊魂が霊界から現世に降りて来る時に目印を祀る場所なので、購入した時に、目印として本尊や故人の霊に認識もらうための開眼供養というものを行っているはずです。
したがって、開眼供養をしたままの状態で、処分してしまうと故人の霊などが目印だと思って降りてきたときに、とんでもない場所に行ってしまう危険性があります。
そのようなことを防ぐためには、仏壇を処分する前に閉眼供養という、本尊や故人の霊にとって認識できないようにする法要を行う必要があります。
閉眼供養は普段お世話になっている寺院に依頼して、僧侶に来てもらい、読経を行うことです。
読経の際は、お車代も含めてお布施を3万から5万円渡しましょう。
閉眼供養を行った後の仏壇は、霊界への目印機能がなくなるため、ただの木の箱に戻ります。したがってゴミとして処分することが可能です。
位牌は小さいので普通ゴミで出せますが、仏壇は大きいので粗大ゴミになります。
自治体の粗大ゴミ収集のルールに則って処分しましょう。
もしも作業スペースが取れるようであれば、仏壇を1枚1枚の木の板に解体してしてしまえば、普通ゴミでも出せます。
まとめ
仏壇という「形」は絶対に自宅にある必要性はありませんが、故人を供養し、故人を祀る「心」は必要です。
故人を供養する時に、何も形式がないとかえってやりにくいので、仏壇を用意してい置いたほうが良いのです。ですから、以上の解説を参考に自分の心に寄り添った形の故人の供養の仕方を考えましょう。
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