かつては新品こそ善、という考えだったのに対して、最近では中古でも状態が良ければ抵抗なく利用する、という風潮になってきました。
オークションサイトが全盛だったり、フリーマーケットを訪れる人が多かったり、リサイクルショップが近所にできたり、といことにその状況は現れています。
中古品は新品よりも通常の場合、価格がかなり安く購入できる点が魅力です。
価格が思いのほか高いものに仏壇がありますが、仏壇にもこの中古品OKという考え方は当てはまるのでしょうか。
あるいは中古の仏壇は縁起が悪いものなのでしょうか。
そしてもしも中古の仏壇がOKだった場合、それはどこで買えるのでしょうか。
今回の記事では、中古の仏壇でも大丈夫なのか、どこで買えるのか、という点について解説します。
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■仏壇は中古品でも大丈夫?
まず最初に結論からご紹介しましょう。
中古の仏壇を使っても大丈夫なのでしょうか。
・そもそも仏壇とは何か
仏壇は言ってみれば、「自宅のお寺」です。
毎日お墓参りをすることは、仕事をしていたり家事をしていたり、あるいはお墓が自分の家の近所に住んでいない場合は、通常無理な話です。
ですからお墓参りをする代わりに、自宅で故人の冥福を祈れるようにするために、行ってみればお寺の出張所として仏壇を設けるのです。
・仏壇が家にある意義とは
仏壇は家にあるお寺ですが、いくつかの意義があります。
精神的なよりどころ
現代はストレスに満ち溢れています。
仕事のストレス、家事のストレス、人間関係のストレスなどです。
一方で、現代は物質中心の考え方です。
ものをたくさん持っていること、良いものを持っていることが幸せになる近道という考えが、最近では少し薄れてきましたが、しかしやはり日本人の主流の価値観です。
一方で人間は物質的に恵まれるほど、精神的な虚しさを感じてしまうという特性も持っています。
お金持ちほど、ボランティアに力を入れる傾向があるのは、時間が余っているからではなく、お金を持っている虚しさを埋めるため、ということが多いのです。
物質的に恵まれ、さらにストレスフルな生活を送っている人は、かなりの確率で精神的に疲弊していると言ってもよいででしょう。
そういう時に癒しになるのが精神世界への逃避です。
逃避というと言葉が後ろ向きですが、しかしこれは健全な生活を維持するための前向きな意味での逃避です。
実は仏壇はそのような精神的な逃避を行う場合に役にたつのです。毎朝、仏壇の前で祈るだけで、物質中心の世界とは対極にある精神世界とつながることができ、ストレスにささくれた自分の気持ちを癒すことが可能です。
仏壇が自宅にある最大の意義は、この精神的なよりどころを得るということなのです。
先祖供養の場所
人間は誰にも頼らず生きているような気がしても、実はそうではありません。
実世界でも多くの人に支えられていると同時に、なにより自分が今存在していられるのは、親が自分を生んでくれたからであり、祖父母が親を生んでくれたからです。
さかのぼれば、先祖がいたからこそ自分の今があります。
おいしいものを食べ、家族との幸せを感じ、仕事でのやりがいを得ることは、全て先祖が「血」を伝承してくれたおかげです。
それを思えば、自然に先祖たちに感謝する気持ちが起こるでしょう。自宅にある仏壇は、その感謝の気持ちを背景に、先祖に対して供養を手軽に行える場所という意義も持っているわけです。
故人との会話の場所
何かに迷った場合、何かトラブルに直面した場合、自然に頭の中で、自分の尊敬していた故人や、自分が慕っていた親に対して話しかけ、解決の方法を聞いたりしていませんか。
話しかけていなくても、亡くなった母親ならこの時どのように助言してくれただろうと思うこともあるかもしれません。
あるいは難関にぶつかったときに、それを乗り越える援助をしてくれるように、亡くなった父親に頼むこともあるでしょう。
このように人は自然に故人と対話をするものです。
そのような時に、自宅に仏壇があって、その前で手を合わせれば、自然に故人と対話ができるでしょう。
仏壇がある意義は、故人と対話をする場所を提供することなのです。
仏壇には以上のように重要な意義があるため、やはり一家に1つ、備えておきたいものだと言えるでしょう。
・心がこもっていれば、中古仏壇でも問題ない
仏壇の意義は以上のようなものです。つまり仏壇の意義はその古さ、新しさには関係ありません。
要は、その前でどれだけ敬虔な気持ちで手を合わせることができるかです。
したがって、中古の仏壇でも、毎日のお参りをする上では、全く問題ないと言えるでしょう。
■中古仏壇や仏具の買取はどこでやっている?
仏壇には意義が多くのあるので、一家に1つ用意したいものです。
しかし仏壇は冒頭で書いたように新品で買うとかなり高額なものです。
一般的な高額品は、中古で買えば安く手に入りますが、仏壇の場合はどうなのでしょうか。
そのことを考えるためには、まず自宅にある古い仏壇を買い取ってくれるシステムが存在し、中古品を提供する環境がそろっているのかどうかを考える必要はあります。
しかし実は一般的な仏壇の買取リを行ってくれるシステムは社会的には整備されていません。
量産品の数十万円の仏壇はどのリサイクルショップも買取ってくれないばかりか、逆に処分費を請求されるしまうことさえあります。
この事実は、やはりまだ世の中には、仏壇は新品でなければいけない、という思い込みを持っている人がほとんどで、中古の仏壇に対する需要がないためです。需要がないので、供給も必要ないわけです。
ただし、桃山時代、室町時代以前に制作され、数百年の歴史を経ている仏壇には骨董的な価値があるため、古美術商が買い取ってくれる場合があります。
特に本尊の仏画や仏像が室町時代以前のものであったり、仏壇が漆塗りだったり、螺鈿の模様が細工されているなど、工芸品や骨董品としての価値があれば、買い取ってくれる可能性は高いでしょう。
また仏壇の中でも浄土真宗のものは高額で買い取ってくれる場合もあります。
なぜなら浄土真宗の仏壇は金仏壇と言われるもので、木材に金箔を張り、さらに繊細な彫刻を職人の技で施したものが多いので、工芸品としての価値が出やすいからです。
さらに金箔は金の中でも純度が高いため金仏壇を購入した後、解体して金だけを再利用している業者もあります。
そのような業者は、仏壇としてではなく、金が張ってある家具として仏壇を買い取ってくれるでしょう。
中古の仏具に関しても仏壇の状況とほぼ同様です。
■仏壇、仏具の中古品はどこで買える
中古の仏壇は買取のシステムが整っていないため、市場で流通するということはほとんどありません。
そのため、中古の仏壇を買いたいと思っても、売っている場所は非常に限られます。
そのような流通環境の中で、あえて頑張って探すと、中古の仏壇は以下のようなところで買える可能性があります。
・仏壇店
不要になった仏壇は、仏壇店や仏具店などで引き取り、処分してくれます。
したがって仏壇店次第で、買い取った中古の仏壇を安い価格でリサイクル販売してる場合があります。
ただし安い価格で中古の仏壇を販売している場合でも、そこに人件費や運搬費として2万~8万円加算されることもあります。
・リサイクルショップ
そもそもリサイクルショップに中古の仏壇を持ち込んで買い取ってもらうにしても、実は自宅からリサイクルショップに運ぶことには困難が付きまといます。
というのも、仏壇の構造は意外に弱く、運び方によってはすぐに壊れていますからです。
特に浄土真宗などの金仏壇は持つ部位も決まっていて、素人が下手に動かすと壊れるという繊細なものです。
仏壇を専門に扱っているリサイクルショップであれば、買取った家から自分の店舗や倉庫まで運ぶノウハウがあるので、買取り後の中古販売をしていることもありますが、しかしやはり特殊な業態であるため、店舗は少ないというのが実情です。
・古美術商なら高級仏壇が手に入る可能性も
中古の仏壇が手に入る、1番可能性の高いところは、古美術商です。
先ほど書いたように、桃山時代、室町時代以前に制作され、豪華な装飾が施されている仏壇には骨董的な価値があるので、古美術商が引き取り、費用をかけて運搬し、再販売しているのです。
ですから、中古で仏壇を購入したいという場合は、古美術商に打診すれば、思いのほか高級な仏壇が手に入る可能性があります。
・時々オークションでも出ている
現代はネット上に様々なオークションサイトがあります。
ここで販売されているものは、一時期「甲子園球場の土」がは出品されていたほど、それこそ何でもありなので、仏壇が出品されていうことも時々見かけます。
たとえばある時期のヤフーオークションには、「舟谷喜雲作 純金 千手観音 約27.6g ゴールド 仏壇付き 真作」といった説明書きの中古仏壇が出品され124,000円で落札されていました。
これなど新品で購入したら、その十倍以上の値段が付くものでしょう。
ここまで高級な仏壇ではなくても、ネットオークションでの仏壇の平均落札価格は約9,000円なので、相当安く仏壇を変える可能性があります。
だたしやはり出品数は少ないので、頻繁に出品状況をチェックする必要はあるでしょう。
■中古の仏壇を買うときの注意点
中古の仏壇がいずれかの販路で売られていて、運よく購入できた場合、どのような点に注意すればよいのでしょうか。
・念のため御霊抜きをすること
まず重要なことは中古の仏壇を入手したら、使用する前に御魂抜きを行うことです。
御霊抜きとは
御霊抜きとは閉眼供養とも呼ばれるものです。
仏壇や位牌、あるいはお墓は、先祖の霊が宿るよりしろです。
ただし、制作しただけではただの木の箱、石の構造物なので、先祖の霊によりしろであることを認識してもらうための法要が必要です。
それを御霊入れ、または開眼供養と言います。
逆に言えば、御霊入れをした仏壇は、その持ち主だった家の先祖の霊が宿るよりしろの状態になったままです。
この状態の中古の仏壇を購入しても、他家の先祖の霊のためのよりしろなので、自宅の仏壇として機能しません。ですから、一旦は霊が宿るよりしろであることを終了するための法要を行う必要があります。
それが御霊抜き、または閉眼供養を呼ばれるものです。
きちんとした中古仏壇の買い取り業者の場合は、購入した時点で御霊抜きをしてくれていますが、しかしその知識がなくてしていないリサイクルショップや、御霊抜きのために僧侶に頼む費用をケチっている業者もあるので、中古仏壇が必ず御霊抜きをしているとは限りません。
ですから、中古の仏壇を入手した場合は、念のために自分の家で御霊抜きをしておく必要があるのです。
改めて開眼供養を
そして御霊入れをしたら、次には改めて御霊入れ、開眼供養を行いましょう。
そうすれば、今度は自分の家の祖先の霊がその仏壇を、自分たちが宿り得るよりしろなのだと認識してくれるようになります。
御霊抜きも御霊入れも僧侶に読経してもらう必要があるので、お布施が必要です。
相場的には1万~5万円です。1度の法要で御霊抜きと御霊入れをしてもらえば、費用は1回分で済みます。
・格安の業者に注意
中古の仏壇を探していると、中には破格の安さで販売している業者を見かけます。
あるいは無料でくれる、という場合さえあります。しかしこのような業者から中古の仏壇を購入する場合には注意が必要です。
なぜなら仏壇本体は格安だったり、無料だったりしても、そこに高額な運搬料や先ほど触れた御霊抜き料が加えられ、最終的に法外な値段で売り付けられてしまう危険性があるからです。
ですから中古の仏壇を購入する場合には、配送料がどうなっているのか、御霊抜きが済んでいる仏壇の値段なのか、ということをしっかり確認しましょう。
■まとめ
中古品を購入することに対して、最近は心理的なハードルが下がり、それを受けて中古品の流通経路や販路が整ってきています。
しかし仏壇に関して言えば、中古品の流通体制はまだまだ整っていないと言ってもよいでしょう。
したがって、中古の仏壇を購入するのも、あるいは売却するのもかなり大変です。
しかし、もしも中古の仏壇が販売されているのを見つければ、高級で豪華なものをかなり安く手に入れることも可能です。
しっかり御霊抜きを行えば、中古の仏壇でも問題なく機能しますから、時間をかけて探してみましょう。
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