お葬式が一段落すると、頂いた香典のお返しを考えなければなりません。
多くの香典を頂いて、品物やタイミングで頭を悩ませることもあるのではないでしょうか。
今回の記事では、香典返しのお悩みを解決していきます。
目次
■香典返しの金額
・香典の半額で品物を用意する「半返し」が多い
・場合よっては3分の1や4分の1でもいい
・香典の「当日返し」
■香典返しの品物
・基本的には消耗品を選ぶ
・毛布やシーツなどの寝具やタオル
・陶磁器や漆器
・カタログギフト
■香典返しでのタブー
・肉や魚などの生もの
・酒などの嗜好品やかつお節、昆布
・商品券などの金券
香典返しとは?由来から解説
香典返しとは、49日の法要後に無事に忌明けが済んだことと、法要に参列してくれたことに対するお礼と感謝を込めて贈りものをすることをいいます。
現在では香典=お金という認識になっていますが、古くは金銭よりも葬儀に必要な食品、特にお米をお供えすることが多くありました。
昔は葬儀においては、地域の人達が装具を用意して、土葬や火葬を担っていたため多くの人出が必要でした。
ですから、食品の調達はとても重要なことであり、お供えされたお米や金銭が葬儀を支えていました。
こういった制度があったため、喪家に蓄えがない場合でも葬儀を出すことが可能だったそうです。
供えられた香典は相手の不幸の際にも同様に返すことが当たり前でしたが、香典をもらったままで借りを作ってしまうこともあったようです。
こういったことなどから、時代を経て簡略化されてきたこともあり、将来への借りを残さないためにも形を変えていったのが現在の香典返しと言われています。
香典返しのタイミングはいつ?
香典返しのタイミングとしては、やはり49日の法要後というのが一般的です。
無事に忌明けが終わりましたということと、法要に参列してくれたことに対するお礼と感謝の気持ちを込めて贈ります。
具体的には49日目である「忌明け」の法要後から1ヶ月以内を目安に行います。
また、宗旨や宗派によっても違いがあって、49日の法要以外の法要のタイミングで香典返しを送る場合もあります。
なお、キリスト教の場合は1ヵ月目のミサや記念会、30日祭の召天記念日後のタイミングで、神道では50日祭のタイミングでお返しの品を送ります。
キリスト教では本来、香典や香典返しを行う習慣はありませんでしたが、最近では「お花料」を頂いた方には返礼品を贈ることが一般的になっています。
香典返しの金額
香典返しを考えたとき、まず最初に悩むのが香典返しの費用ではないでしょうか。
そもそも基本的な相場感が分からないと金額を決められませんし、頂いた香典の金額に差があるとまた悩みの種になります。
ここでは、香典返しの金額の相場を解説します。
香典の半額で品物を用意する「半返し」が多い
香典返しの金額の目安は通常頂いた香典の半額程度とされています。
香典の額には開きがあるので、何段階かに分けて相応の品をお返しする方法もあります。
たとえば、5千円までの香典に対しては、2千円の品、1万円までの香典に対しては5千円の品というようにおおよそ振り分けて返していくという方法です。
逆に、高額の香典を頂いた場合でもご厚意に甘えさせて頂いて、価格を一律にするといったこともあります。
相手が遺族の援助のためにと多く包んでくださる場合もありますので、そこはご厚意を受取る気持ちで香典返しを選ばれると良いでしょう。
なぜ多く包んでくださったのか、その理由が分かっていながらきっちりと半額返しをしてしまっては、逆に相手のご厚意を無駄にすることにもなりかねませんので3分の1~4分の1程度でもいいのではないでしょうか。
相手が親族であれば半額ほどの香典返しでもよいかもしれませんが、状況などを考慮して金額を決められる方が良いでしょう。
また、香典返し以外でも季節ごとの挨拶や子供の成長報告、お中元やお歳暮といった、感謝の気持ちを伝えるタイミングは多くあります。
今後のことを考えて、相手がお困りの際には親身になって助けてあげればよいでしょう。
場合よっては3分の1や4分の1でもいい
半返しが香典返しでは一般的ですが、場合によってはそれより少額で品物を準備しても構いません
・一家の働き手をなくした場合
香典返しは3分の1程度でも良いとされています。
・一律に同じものを送る場合
高額な香典をいただいた方に対しては半額ではなくなります。
・子供がまだ小さく経済的な問題がある場合
香典返しを省略することもあります。
この際は、香典返しをしなくても挨拶状はきちんと送るようにしましょう。
こういった相互扶助的な役割も担っているケースでは、必ずしも香典の半額をお返ししなくてはならないといったことはありません。
香典の「当日返し」
また、お通夜や葬儀の当日にお返し物を渡す「当日返し」の場合は、金額に関係なく全ての方に同じ品物をお渡しします。
香典が高額で用意した返礼品では不十分な場合は、忌明け後に改めて返礼品を贈ることが一般的です。
品物は「香典の半額」から「当日返しの品物の額」を差し引いた金額を目安に選ぶとよいでしょう。
香典返しの品物
香典返しはお悔やみいただいた方々にお礼の気持ちを伝えるために贈るものです。
きちんとした気持ちを伝えるためにも失礼のない品物を贈りたいものです。
基本的には消耗品を選ぶ
香典返しには「不祝儀をいつまでも残さない」という考え方から、すぐに使ってなくなるような消耗品が良いとされています。
珈琲や紅茶を含む「お茶」や「海苔」「砂糖」「お菓子」「洗剤」など、「食べたらなくなる」食べ物や飲み物が定番とされています。
しかし相手の方がいつ召し上がるか分からないので、すぐに消費しなくても日持ちするものを選ぶようにすると良いでしょう。
食品や洗剤などの日用品であれば、日常で消耗することができますし、すぐに使ってしまわなくても日持ちがするものであれば、困らないでしょう。
古くからの香典の名残から、今でもお米やお米券などを贈る場合もあります。
実用的でかつ消費するものなので、受取った側にとってもありがたいお返しかもしれません。
毛布やシーツなどの寝具やタオル
また、食品などの消耗品の他にも、毛布やシーツ等の寝具や、タオルを贈る場合もあります。
寝具を贈る理由は様々ありますが、一説には「仏式では、仏の世界への旅立ちのためサラシが利用されていた名残から寝具を香典返しにする」とした説もあるようです。
また、現在のように葬儀を斎場などで行うことはなかった時代では、全てを家で執り行っていたはずで、それだけ人手も必要でした。
車などの便利な交通手段もなかったとすれば、寝具などの生活用品も必要だったのではないでしょうか。
また、タオルも香典返しとしてよく贈られている傾向にあります。
タオルは洗剤などと同じ日用品と捉えられることも多く、最近では今治タオルや泉州タオルなど、ギフトタオルの質の良さが注目されてきています。
陶磁器や漆器
他に香典返しとして贈られるものに、陶磁器や漆器があります。
陶磁器は「故人が亡くなって土に還る」、漆器は「不幸を塗りつぶす」という意味から香典返しに用いられるようになったそうです。
カタログギフト
そして香典返しで人気があるもののひとつにカタログギフトがあります。
カタログギフトは金券のように金額が分かってしまうというデメリットがなく、好きなものを選んで頂けるというメリットがあります。
また、肉や魚、酒といった一般的にはタブーとされている品物もカタログギフトの中から選んで頂けるのであれば、問題ないとするのが一般的です。
その他のカタログギフトのメリットとして、当日返しをする場合に会葬者の荷物にならないことや、日持ちしない食べ物も選べること、さまざまな価格があるから予算や香典の額に応じて対応できるといったことがあります。
このような理由からも、カタログギフトは香典返しとして人気があります。
香典返しの品も以前のような限られたものではなく、同じ贈るのなら相手の好きなものを、もらって困らないものをと考える人も多くなってきました。
そんなこともあって、香典返しとしてタブーをあまり気にせずに相手の好きなものを選んで頂くカタログギフトの需要が伸びてきています。
香典返しでのタブー
それでは香典返しで贈ってはいけないものを紹介します。
肉や魚などの生もの
「四足生臭物」といわれ、地域性や宗教上の理由もあって避けられています。
殺生を連想させることも仏事にはふさわしくありません。
酒などの嗜好品やかつお節、昆布
慶事を連想させることもあって香典返しでは避けた方が良いとされています。
特に生ものは「四足生臭物」といわれ、地域性や宗教上の理由もあって避けられています。
商品券などの金券
金額が分かってしまうため、あまり好まれません。
タブーとまでは言えませんが避けた方が無難です。
挨拶状を書く時の注意点
香典返しを行うタイミングで、会葬などでお世話になった方々に、無事に忌明けが終わったという報告を兼ねて挨拶状として送るのが一般的です。
香典返しに付ける挨拶状では、季節の挨拶は必要ありません。
頭語、結語は必ず入れるようなものではくて、入れる場合は両方入れるか、両方入れないようにしましょう。
また、一般的に挨拶状には句読点はあまり使われません。
なぜかというと、もともと書状には句読点を用いなかったということと、葬儀や法事が滞りなく済むようにという意味から、文章が途切れる句読点は使わないということです。
会社や団体から香典をもらったら
また、会社や団体などで香典返しを頂かない方針の場合や御家族への負担を減らすために香典返しを遠慮される場合があります。
その場合、香典返しを辞退する旨を記載した封筒を渡し、香典返しを辞退します。地域によっては香典返しの習慣自体がない場合もあります。
まとめ
香典返しは四十九日の法要から1カ月以内を目安に送ります。
金額は、香典の半額分で返す「半返し」が基本ですが、状況によっては3分の1や4分の1でも構いません。
いただく香典の金額には差があるので、金額ごとで品物を分けても良いでしょう。
ですが、一律同じものを贈っても失礼には当たりません。
気になる場合は、お盆やお歳暮の時に少し気持ちを乗せましょう。
品物は、洗剤や日持ちのする食べ物など、消耗品が無難です。
この他、最近ではカタログギフトも流行っています。
葬儀の後はしばらく忙しい日々が続きますが、せっかく葬儀に参列していただいた方には礼を尽くしたいものです。
失礼になってしまうことが内容、香典返しのマナーを確認しておきましょう。