「終活」という言葉が広まると同時に、「エンディングノート」の存在も広く知られるようになりました。
「終活」とは、人生のエンディングに向けてこれまでを振り返ったり、死後の準備をすることを言います。内容は相続、介護、葬式、墓、など多岐に渡り、終活をこれから始める人にとっては、結局どこから手を付けて何をすればいいのかが分からない所も多いでしょう。
そんな時、手始めにエンディングノートに目を通しておけば、終活の全容と決めておくべきことを掴むことができます。
しかし、終活が広まるにつれてエンディングノートも様々な所から出版されるようになりました。
今回の記事では、エンディングノート選びに役立つよう、おすすめのエンディングノートのランキングや、選び方について紹介します。
エンディングノートの選び方
エンディングノートは無料・有料を問わず様々な所が作っています。
あまたあるエンディングノートの中から、自分にぴったりの1冊を選ぶにはどのように考えればいいのでしょうか。
目的に合わせて選ぶ
まず、エンディングノートを書こうと思った動機や目的を考えましょう。
エンディングノートでできることは、大きく分けて以下の3つがあります。
- これまでの人生を振り返る
- これからの人生で何をしたいか確認する
- 晩年や死後、遺族が困らないように情報を残す
もちろん全てをするのもいいですが、エンディングノートによってそれぞれの項目の充実度が変わります。
例えば、簡易なエンディングノートであれば、死後や医療・相続についてのみ記載できるものが多いでしょう。
これにプラスして、1年単位の自分史年表や、これからしたいことリストなどが付いているエンディングノートもあります。
逆に、少し珍しいものだと、今から死ぬまでの生活についての記載が充実しており、その後の内容は少しだけというものもあります。
自分がなぜエンディングノートを書くのかを考えて、タイトルや目次構成を確認しながら選びましょう。
伝えたい内容で選ぶ
エンディングノートは、ほとんどの場合で死後や老後に自分の家族に見てもらうことを前提としています。
この時、家族に伝えておきたい情報はなんでしょうか。
エンディングノートは、法律や医療などの専門家が監修しているものも数多くあります。
重視する項目によっては、監修者も参考になります。
例えば、相続が一番心配なら、行政書士や弁護士など法律のプロが監修しているものが信頼できます。
また、介護や晩年の意思を細かく示しておきたい場合は、医療のプロが監修しているものだと項目も充実しています。
他には、家族や友人・知人へのメッセージ欄が充実しているものもあります。
自分が一番心配なことは何か、遺族に伝えたいことは何かを考えながら、エンディングノートのコンセプトと照らし合わせて選んでみましょう。
ボリュームと価格で選ぶ
エンディングノートは種類が多い分、内容の充実度もまちまちです。
当然ですが、内容が多くなれば価格も上がる傾向にあります。
おおむね、有料のエンディングノートは1000円前後で購入できます。
ただし、解説や記載する内容が最低限でよければ、数百円で販売されているものもあります。
もっと言えば、自治体や葬儀社がエンディングノートを配布していることもあります。
大まかな意思表示や家族が困らないような情報を残しておくだけでよければ、無料のエンディングノートを利用しても良いでしょう。
ただし、葬儀社など民間企業からエンディングノートを取り寄せると、その後に営業のメールや電話が来ることもあります。
解説の量と分かりやすさで選ぶ
エンディングノートでは、記入欄の他に解説欄が設けられているものがあります。
終活を進めていると、相続や遺言、医療、介護、後見制度など、ある程度専門的な知識が無いと何を準備していいか分からない内容が出てきます。
もちろんエンディングノートにもこれらのことを記入する欄が設けられていますが、分からない単語をいちいち調べるのは手間です。
こうした専門的な知識が要求される項目については、解説も併せて掲載されていると、スムーズに書き進めることができます。
使いやすさで選ぶ
文字の大きさ、行間、記入欄の広さや数など読みやすさ・使いやすさはストレスなくエンディングノートを下記進めていくにあたっては重要になります。
せっかく買ってみたけど文字が小さくて読むのが疲れる、記載する欄が少なくて書きづらいとなっては、なかなか筆が進みません。
文字サイズ、行間、色遣いなど、シックると来るものを選びましょう。
エンディングノートはコンセプトや目的によって多少内容が異なりますが、記載できる内容が全く違うということはあまりありません。
使い勝手も重要な要素です。
新しさで選ぶ
新しく出版された、あるいは改定されたエンディングノートから選ぶのも良いでしょう。
これは、世の中が変化していくにつれて、終活で考えられる内容や幅も変化するためです。
例えば、デジタル遺品の概念は比較的新しいものと言えます。
パソコンや携帯の処理に始まり、最近ではwebサービスやSNSアプリのIDやパスワードは何か、死後はどのように管理するかという問題も出てきました。
現在ではキャッシュレス化が進み、アナログで管理できない資産を持っている人も多くいます。こうした時に、どこのサービスを利用しているかをはっきりさせておかないと、遺された人が故人の資産に気づかない可能性もあります。
エンディングノートを今から書いても、実際にいつ使うことになるかは分かりません。10年も先になると、新しいサービスや技術が登場し、そちらを利用することになるかもしれません。
先々を考えると、現在最新の情報すらできない内容でエンディングノートを作ってしまうと、結局不足する情報が多く、遺族に苦労を掛けるかもしれません。
今の時代を意識したエンディングノートを選ぶのも良いでしょう。
おすすめエンディングノート比較一覧表
今回紹介する10冊のエンディングノートの比較表を作成しました。
価格感やコンセプト、付録などを比較して、気になったエンディングノートの記事はぜひチェックしてみてください。
1 | 2 | 3 | 4 | 5 | |
書籍名 | もしもの時に役立つノート | 自分史年表+エンディングノート 令和版 | 書いて安心エンディングノート | もしものときのエンディングノート | もしものとき、身近な人が困らないエンディングノート令和版 |
特徴 | 終活にかかわらず普段の情報共有も念頭に置いている | 人生の振り返りとこれからに関する内容が充実 | 目に優しいデザインでコラムも充実 | 文字が大きい、弁護士監修のコラム付き | 相続コラムや遺言書キットなど相続の内容が充実。 |
付録 | CDケース | 100年カレンダー | – | – | 自筆遺言書セット |
ページ数 | 64p | 127p | 79p | 63p | 79p |
定価(本体) | ¥1630 | ¥1200 | ¥980 | ¥952 | ¥1000 |
発行 | 不明 | 2019年10月 | 2017年1月 | 2013年6月 | 2019年7月 |
改定 | 不明 | – | 2018年8月 | – | – |
6 | 7 | 8 | 9 | 10 | |
書籍名 | 一番わかりやすいエンディングノート | もしもの時に困らないこれで安心ノート | よりよく生きるための断捨離式エンディング・ノート | 親子でつくるエンディングノート | もしもノート |
特徴 | 終活の内容を分野別に掲載。決めたところから書ける | 経済ジャーナリスト監修で、マネープラン表を掲載 | 大部分が断捨離のワーク | 本人ではなく親の情報を書き留めておくためのノート | 老後・死後のための情報共有 |
付録 | 重要マル秘カード | 緊急連絡先シート | – | 親の話を聞くための手引き | 最低限家族が困らないための情報をまとめるシンプルなノート |
ページ数 | 61p | 67p | 88p | 67p | 32p |
定価(本体) | ¥980 | ¥750 | ¥880 | ¥1200 | ¥460 |
発行 | 2019年10月 | 2019年11月 | 2014年6月 | 2013年11月 | 2004年9月 |
改定 | 2019年12月 | – | 2019年7月 | – | 2019年1月 |
人気のエンディングノートランキング10選!
それでは、人気のエンディングノートをおすすめのランキング形式で一挙紹介していきます!
1.「もしもの時に役立つノート」コクヨS&T株式会社
終活だけでなく入院などの緊急時や家計の見直しでも活躍!
コクヨの「もしもの時に役立つノート」は、広く使われているエンディングノートの定番です。
ノートの表紙には「LIVING & ENDING NOTEBOOK」と記されているように、死後や老後だけでなく、家計の見直しやライフプランの設計など普段の生活から家族で共有しておくと便利な内容で構成されています。
終活や資産、契約などに関してまんべんなく記載欄が設けられており、とりあえずは一通り網羅できます。
随所に自由記述のメモ欄が設けられ、備忘録として書き留めておけるので便利です。
じっくりとしたコラムがあるのは相続と遺言の部分のみで、あとは一口メモのような形で情報が付記されます。
文字がやや小さ目で、他と比べて可読性はやや劣る印象です。
カバーがついているので、長期保管も安心です。
【内容】
個人情報、財産、医療、介護、葬式、墓、ペット、メッセージ
2.「My Life これまでとこれから 自分史年表+エンディングノート 令和版」株式会社 K&Bパブリッシャーズ 編者・K&Bパブリッシャーズ編集部
人生のこれまでとこれからをじっくり見つめる自分のための一冊
「My Life これまでとこれから 自分史年表+エンディングノート 令和版」は、自分史年表が充実の、人生の振り返りにぴったりなエンディングノートです。
書き込みができる1926年~2045年の年表や、100年カレンダーなど人生の出来事を時勢とあわせて振り返ることができます。
また、これからやってみたいこと、会いたい人、行ってみたい所など、これからの暮らしにも目を向けた項目が多くあります。
全体が「自分史年表」「これからのために」「もしもに備える」「100年カレンダー」の4部に分かれており、 「自分史年表」「これからのために」 の内容が半分以上を占めます。
死後や老後の情報共有をする 「もしもに備える」 のパートは薄手のエンディングノートくらいですが、基本的な情報は網羅できます。用語や制度の説明も簡単についています。
【内容】
自分史、個人情報、財産、医療、介護、葬式、墓、ペット、メッセージ
3.「書いて安心 エンディングノート」株式会社主婦の友社 編者・主婦の友社
各分野の相談先や遺言書の例文記載で終活がはかどるノート
「書いて安心エンディングノート」は、分野別に書き込みができる主婦の友社のエンディングノートです。
「はじめに」「わたしのこと」「お金・資産」「家族・親族」「友人・知人」「医療・介護」「葬儀・お墓」「相続・遺言」「その他」の各章に分かれており、分かる所・決まっている所から書き込んでいけます。
また、随所にメモ欄があり、気になったことなどを自由に書き込みやすくなっています。
医療、介護、葬儀、お墓、相続、遺言など各分野でコラムが充実しており、相談先の記載もあるので、分からないことが多い終活もはかどります。
遺言書の例文と解説もあるので、とりあえず遺言書を用意できるのもポイントです。
白と薄い緑を基調としており、全体に目に優しいデザインです。
また、カバーが付いているので、長期保管も安心です。
【内容】
個人情報、財産、医療、介護、葬式、墓、ペット、メッセージ
4.「もしものときのエンディングノート」 株式会社 二見書房 監修・江﨑正行
弁護士監修!書き方を迷わないエンディングノート
「もしものときのエンディングノート」は、弁護士が監修するエンディングノートです。
老後や死後の情報共有に主眼が置かれた内容になっており、人生の振り返りに関して記載できる欄は少しです。
介護や医療、葬儀・お墓のコラムもありますが、やはり相続や遺言のコラムが充実しています。
文字は全体に大きめですが、行間がやや狭くイラストもないので可読性はやや劣る印象です。
おおむね一問一答の形式で書き込めるようになっており、情報さえあれば迷わずに記入していけます。また、死後に必要となる葬儀、墓、法要、ペットに関して細かく要望欄が設けられています。
【内容】
自分史、個人情報、財産、医療、介護、葬式、墓、ペット、メッセージ
5.「もしものとき、身近な人が困らないエンディングノート 令和版」株式会社 宝島社 監修・曽根惠子
相続実務士監修!遺言書キットと相続の充実したコラムが充実
「もしものとき、身近な人が困らないエンディングノート令和版」は、相続実務士が監修した新しいエンディングノートです。
相続実務士が監修しているこちらのエンディングノートは、相続や遺言に関するトラブル事例や解説も豊富です。また「自筆証書遺言キット」が付録についており、法的に有効な書き方を細かく解説したコラムもついています。
終活を相続や遺言書の作成中心に考えている方は、一度手に取ってみるといいかもしれません。
また、「令和版」と銘打っているだけあって、デジタル遺品のコラムが充実しています。携帯・パソコンなどの機械本体、ネット証券の他、SNSに関しての記入欄も細かく指定できるのは、新しいエンディングノートならではでしょう。
【内容】
個人情報、財産、医療、介護、葬式、墓、ペット
6.「一番わかりやすい エンディングノート」株式会社リベラル社 監修・東優
わかりやすい・読みやすい!セミナー受講者の声を参考にした一冊
「一番わかりやすいエンディングノート」は、終活セミナー受講者3000人の声を集めて作られたエンディングノートです。
項目は情報が必要になる時系列順に並べられており、構成は、「1 人生の振り返り」「2 もしものときに備えて 認知症・介護編」「3 もしものときに備えて 医療 編 」「4 葬儀・お墓について」「5 財産・相続について」となっています。
本書は終活の概要から始まり、難しい用語や制度についてもコラムも随所に設けられています。
また、パスワードなどの記載欄を隠すためのスクラッチシールも付録で着いています。
行間を詰めすぎないゆとりのあるデザインで、読んでいて疲れません。
【内容】
自分史、個人情報、財産、医療、介護、葬式、墓、ペット、メッセージ
7.「もしものときに困らない これで安心ノート」一般社団法人 家の光協会 監修・荻原博子/草薙一郎
「もしもの時に困らないこれで安心ノート」は、経済ジャーナリスト監修のライフプランに特化したエンディングノートです。
最大の特徴はライフ&マネープラン表が付いているところで、ライフイベントと支出を月単位で記入できます。また、資金繰りを考えるポイントやコラムも充実しており、今後の暮らしの計画を立てたい方にはうってつけです。随所にあるワンポイントメモも参考になります。
お金や資産以外に、終活で必要な基本的な項目は網羅しているので、今後の暮らし方を考えられると同時に
文字はやや小さ目ですが、全体にゆとりのあるデザインで読みやすいでしょう。
8.「よりよく生きるための断捨離式 エンディング・ノート」株式会社 主婦と生活社 著・やました ひでこ
執着を離れるための断捨離実践ノート
「よりよく生きるための断捨離式エンディング・ノート」は、生活に断捨離を落とし込むことを提唱したやましたひでこさん著のエンディングノートです。
他のエンディングノートとはかなり趣が異なり、内容の大部分が断捨離を実践するための読み物です。
断捨離とは片付けのことではなく、執着から離れた生き方のスタンスです。
読み物の後には簡単な断捨離のワークが付いており、実践することでこれまでの生き方やこれからをどう生きるかを見つめ直すことができます。
おおみね見開き1ページに1つのトピックとワークが含まれるので、読み物としてはライトでさくさくと読み進めることができます。
物や人、情報、感情に振り回されていると感じている人には、おすすめの一冊です。
【内容】
断捨離のワーク、財産、葬式
9.「親子でつくるエンディングノート」SBクリエイティブ株式会社 著・税理士法人レガシィ
親に聞きながら子どもがつくる備忘録的なノート
「親子でつくるエンディングノート」は、終活する本人ではなく、子どもが家族の歴史や親のエンディングの意向を書き留めていくエンディングノートです。
親の話で聞いたことを自宅で書いていくという使い方を推奨しており、必ずしもすべての情報を埋めなければならないということはありません。
親が不意にしゃべった終活の意向を一冊に書き留めておけば、後々役立ちます。
親と話す、親のことを知る契機にもなり、自分と親の関係を改めて実感するツールにもなります。
付録に「親の話を聞くための手引き」が付いているので、参考にしながら親と少しずつ話してみましょう。
【内容】
両親の歴史、個人情報、財産、医療、介護、葬式、墓、ペット、メッセージ
10.「もしもノート」特定非営利活動法人 ライフ・アンド・エンディングセンター 著・須齋美智子
終活の基本事項をまとめられるコンパクトな一冊
自分の老後、死後の意向を記録できるエンディングノートです。
これまでの人生の振り返りと言うよりは、家族が必要な時に情報を取り出すためのツールというツールに主眼が置かれています。
充実のコラムなどはありませんが、その分コンパクトで価格も抑えめです。
終活に必要な最低限の事項は網羅しているので、備忘録として意向をまとめておくには丁度いいサイズ感です。
デザインもシンプルでゆとりがあるので、ストレスなく書き進められるでしょう。
【内容】
個人情報、財産、医療、介護、葬式、墓、ペット
自分に合ったエンディングノートを選ぼう
これまでに人気のエンディングノートを紹介してきました。
エンディングノートと一口に言っても、それぞれに個性があります。
備忘録として自分の情報をまとめておきたいのか、人生を振り返りたいのか、老後のライフプランを建てたいのか、老後や死後に家族に何を伝えておきたいのかで、おすすめのエンディングノートが変わってきます。
はたして自分は終活で何をしたいのか。目的を考えながら、エンディングノートを選んでみてください。