日本で多い仏式葬儀では、お通夜と告別式が執り行われ、二日間に渡って個人と「最後のお別れ」をするのが一般的な流れになっています。しかし、本来の仏式葬儀では、お通夜と告別式は別々に行われるのが普通でした。
では、お通夜と告別式は本来、どのようなものなのでしょうか?
お通夜(本通夜)とは?
お通夜とは、葬儀の前夜に親族や故人と親しかった知人が集まり、祭壇の蝋燭と線香を絶やさないようにして夜通しで思い出を語り明かす集まりのことです。「夜通し」で行うから「通夜」とばれます。
しかし、近年は、告別式に出席できない人のためのお別れの場に変わってきており、一般の弔問客を迎えて1時間程度で終わる「半通夜」が多くなっていると言われます。
お通夜は、僧侶が着席してから始まり、遺族と参列者は焼香を行います。
通常、読経は30~40分で終わり、その後、僧侶からの法話や説教があり場合があります。
僧侶が退室した後に、喪主が挨拶してお通夜は終了となります。
お通夜に参列した弔問客には、「通夜振る舞い」として食事などが提供されます。
仮通夜とは?
現在の葬儀では、お通夜本来の役割であった「夜通し蝋燭と線香の番をしながら故人の思い出を語り合う」ことは、お通夜の前の仮通夜に引き継がれる形になっています。
仮通夜は、故人の家族・親族だけで行われ、弔問客を受け入れないのが特徴です。
最近は、退院後に自宅ではなく葬儀を行う施設などに安置する人も多くなっています。そのため、遺族が夜通し故人のそばにいられるかどうかは、施設によっても違ってきます。中には、遺族のためのスペースを重視し、寝室やお風呂などホテル並みに綺麗な施設もあれば、一軒家のような施設もあります。
告別式とは?
告別式は、葬儀・告別式と言われる一般的ですが、「葬儀式」と「告別式」という本来は異なる2つの儀式を合わせてお葬式が成り立っています。
「葬儀式」とは、故人をこの世からあの世へ送る宗教的な儀式です。授戒という故人に仏弟子としての戒律を与える儀式と、引導という極楽浄土へと導く儀式を行います。
一方、「告別式」とは、弔問客である会葬者全員が焼香して、故人と最後のお別れをする儀式のことです。
本来は別々の儀式であったものが、高度成長期には、葬儀式と告別式を合わせて行うというスタイルのお葬式が広がっていきました。
参列者も忙しくてゆっくりとお別れをしている時間がないといったことのほか、霊柩車の普及や火葬の時刻が決まっているなどの理由から、限られた時間の中で同時に行うれるようになったようです。