新しく仏壇を購入したときに気になるのが、仏壇の設置場所と向きです。特に、北の方向に設置するのがタブーだと言う話もあるため、向きについては特に気にしている人が多いです。
仏壇を配置する方角だけではなく、仏壇の劣化を防ぐためにも、設置場所には気をつける必要があります。
この記事では
- 仏壇を北向きに配置するのはだめなのか
- 仏壇の向きに関する3つの考え方
- 宗派別で違う仏壇の向きの考え方
- 仏壇を購入するときのポイント
- マンションの仏壇の設置場所の注意点
についてご紹介します。
仏壇を北向きに設置するのはだめ?
仏壇を北の方向に配置するのは良くないとの説がありますが、実際にはあまり関係ありません。
なぜ北向きが良くないとの話があるのか?それは、東西南北の中で北が特に日当たりが悪いからです。
日当たりが悪いと、湿度によって仏壇が傷みやすくなります。
仏壇が北の方向になるということは、南側に設置することになります。
昔の日本の住宅では、南側に大きな窓を作って日当たりや風の通りを良くするのが主流でした。そこで、仏壇は風の通りの良いところに置いた方が良いとの考え方から、南側のスペースに仏壇を設置するようになったのです。
つまり、南側のスペースに仏壇を配置すると言う事は、必然的に北の方向になってしまうため、北の方向は良くないと言う結論に足したわけですね。
しかし、現在の日本には、様々な設計の住宅があるため、北の方向に仏壇を置いても、日当たりや風の通りが悪くなる事はありません。
仏壇の向きに関する3つの考え方
仏壇の向きは、宗教や宗派の考え方によって違ってきます。
それは、宗教や宗派によって仏陀にまつわる言い伝えに違いがあるからです。
しかし、仏教では、仏様は十方の全ての方向に向いておられると言う考え方があるので、宗派の方角を絶対に守らなければいけないわけではありません。
ただ、宗派によってそれぞれの方角に意味があるため、知識として深めておくとよいでしょう。仏壇の向きには、3つの方角説があります。
南面北座説
南面北座説とは、仏壇の背中が北向きで、前面が南向きになる配置の仕方です。つまり、南向きに仏壇を設置すると、この向きは仏壇に直射日光があたらず、風の通りもよく最適だとの説です。
この説の影響により、仏壇の北向きは良くないと言われるようになりました。
さらに、お釈迦様は説法をするときに南向きに座っていたと残されています。その説からも仏壇を北向きに配置するのはよくないと伝えられるようになったのです。
本山中心説
本山中心説とは、仏壇の前で礼拝するときに、その延長線上の方角に宗派の総本山がある方向に安置するのがふさわしいとの説です。本山中心説では、方角が定められているのではなく、総本山の方角が定められています。
西方浄土説
西方浄土説とは、極楽浄土がある西方浄土に向かって礼拝するために、東の方角に仏壇を安置する考え方です。東の方角に仏壇を配置すると、仏壇に向かって手を合わせた時に、西の方角の仏さまに向かって合掌できます。
仏壇の向きは宗派によって違う
仏壇の3つの方角に関する説は、日本の仏教にある13個の宗派でそれぞれに用いられています。しかし、家の宗派に合わせて、その説を絶対に守らなければいけないわけではないので、参考程度にしておくと良いでしょう。できればこの方角が良いとされている程度の話です。
曹洞宗・臨済宗
曹洞宗や臨済宗では、南面北座説が重要視されています。
お釈迦様が南向きで説法をしていた話のほかに、中国の高貴な人が南向きで目下の人と接していたどの話も伝えられています。
天台宗・浄土宗・浄土真宗
天台宗、浄土宗は、仏壇を西向きで配置する西方浄土説が基準。西の方に極楽浄土があると言う考え方で、西向きの仏壇に向かって手を合わせると合掌の先は東の方角になります。東向きは日の出を意識しているとも言われています。
真言宗
真言宗では、合掌をする人が宗派の総本山の方に向く方角で総本山を背中に仏壇を設置する本山中心説の考えを大切にしています。
日蓮宗
日蓮宗では仏壇を配置する方角には決まりがなく、自由に置いていいと考えられています。
このように、宗派によって仏壇の向きが違うので、気になる人は、いつもお世話になっている菩提寺などのお坊さんに相談してみましょう。
仏壇を購入するときのポイント
新しく仏壇を購入するときには、いくつかのポイントがあります。
まず、仏壇を設置する場所を決め、どれぐらいの寸法の仏壇を購入するべきか、御本尊の高さはどれぐらいにするべきかなどを決めていくとスムーズです。毎日、気持ちよくお参りができるように、仏壇の購入のポイントを知っておきましょう。
仏壇を新しく購入する時の3つのポイントをご紹介します。
仏壇を設置するスペースを決める
まずは、仏壇を設置するのに適したスペースを決めます。
その時に、宗派ごとの仏壇の向きや家の中の間取り、日当たりや風の通りの良さなどを考慮すると、スムーズに設置場所を設定できます。
仏壇を設置するのに適しているのはやはり仏間です。
仏間であればそもそも仏壇を置くためのスペース込みで設計されている場合もありますし、床の間に置くこともできます。
ただし、最近では仏間の無い家も増えてきました。
仏間が無い家では、家族が集う茶の間やリビングに設置しましょう。
もし、茶の間には適した向きで仏壇を置けない、あるいは湿気がたまりやすいなどの事情があれば、そのほかの部屋も候補に入れて問題ありません。
設置スペースの寸法を測る
仏壇の設置場所を決めたら、そのスペースにどれぐらいの大きさの仏様の壇が置けるかを測ってみましょう。
主に、高さと幅、奥行きの寸法を測り、その範囲内に収まる仏壇を探していきます。中には、整理ダンスの上などに設置する家もあります。
タンス等の上に仏壇は安置する場合は、安置場所の高さと幅、奥行きを測り、そのスペースに入る大きさの仏壇を選びましょう。
新築やリフォームの機会に仏壇を購入する場合は、先に仏壇の設置場所を決めてから、仏壇を決める方法もあります。
その場合でも、仏壇の設置場所の高さと幅、奥行きを測っておきましょう。
ご本尊の高さも意識する
仏壇設置した際に、御本尊はどれぐらいの高さに来るかも意識して、仏様の壇を決めましょう。
理想的な高さは、仏壇に手を合わせた時に、ご本尊が目線より少し上にくる高さです。
タンスなどの上に設置する場合は、立ってお参りします。
座ってお参りするのと同じく、ご本尊が胸よりも上部に位置するようにすれば、目線より少し上にご本尊を設置できます。
御本尊を見下ろして拝むことがないように、仏壇の高さについても、しっかり考えた上で新しい仏壇を購入しましょう。
神棚との向かい合わせはNG
神棚と仏壇を同じスペースに設置する時は、神棚と仏壇が向かい合わせにならないように気をつけましょう。
神棚に祀られているのは神様、仏壇に祀られているのは仏様。それぞれに違いますが、日本では神様も仏様も一緒に祀っても良いことになっています。
しかし、向かい合わせに配置してしまうと、対立祀りとなり、神様にも仏様にも失礼だと言う考え方があるのです。
神様に手を合わせるときは仏様にお尻を、仏様に手を合わせる時は、神様にお尻を向けてしまうことになります。つまり、それが対立祀りといい、神様と仏様に無礼になるため、なるべく避けるのが賢明なのです。
神棚と仏壇の配置バランスを考える
神棚と仏様の壇の配置場所のバランスを考えるのも大事です。
配置場所によっては、NGになる配置の仕方もあるので、正しい配置バランスを知っておきましょう。特に神様は家や土地を守ってくれる大事な存在なので、正しく配置する必要があります。
神棚と仏壇のベストの配置バランスの条件は、次のとおりです。
- 神棚と仏壇の配置の位置関係がL字になるようにする
- 上下の配置で神棚と仏壇を設置する場合は、少しだけ中心をずらして、完全な上下にならないようにする
- 神棚と仏様の壇を並べて配置する場合は、神棚がスペースの中心、仏様の壇が神棚に向かって右手になるように配置する
- 間取りの問題で、神棚と仏壇が向かい合わせになってしまう場合は、少しだけずらす
新しく仏壇を購入する場合は、このような配置関係に注意して、具体的な配置場所を決めてから寸法を測って、購入する仏壇を検討するとよいでしょう。
床の間との向かい合わせはだめ
神棚も仏様の壇も、床の間と向かい合わせにならない方向に設置しましょう。
床の間は、家の中で最高の上座だと考えられています。そのため、床の間と向かい合わせに神棚や仏様の壇を設置すると、必然的に下座になります。
特に仏壇は、御本尊のほかにご先祖様の魂が祀られているので、下座に配置すると大変失礼になります。
マンションの仏壇の設置場所の注意点
一戸建てと比較すると、マンションでは仏壇の設置場所に制限があります。どうしてもスペースが狭くなるので、仕方ありませんね。しかし、限られたスペースに配置するからこそ、いくつかの注意点があります。
ここで、マンションの仏壇の設置場所の注意点をご紹介します。
風の通りが良く、直射日光が当たらないスペース
仏壇の設置場所は風の通りが良く、直射日光が当たらないところが理想的です。
仏様の壇や掛け軸は、湿度が高いスペースにおくと、劣化が速くなります。また直射日光が当たりすぎると、仏壇自体や掛け軸が変色してしまう恐れがあるので、おすすめできません。
家族や来客がお参りしやすい場所を検討する
リビングや和室など、家族や来客が集まりやすく、お参りしやすい場所に仏壇を設置するのがおすすめ。
通常、仏様の壇に手を合わせるのは、1日に2回程度なので、1年間では700回以上もお参りします。回数が多くなるほどに、お参りのしやすさもポイントになるので、家族や来客がお参りしやすい場所の検討が重要です。
特に、お客さんがお参りに来たときに、スムーズにご案内できる場所を選ぶ、来客の際の対応がしやすくなり、おすすめです。
まとめ
仏壇は北向きにおいてもいいのか?などの設置場所について説明してきました。ご説明した通り、仏壇を北向きにおいても問題はありません。
それよりも、各宗派で良いとされている仏壇の向きや配置するときの注意点などをよく知っておくことです。神棚と仏様の壇を向かい合わせにして配置したり、ご本尊様の位置が目線より下になってしまったりなどのNG例が複数あります。
できるだけ理想的な仏壇の配置ができるように、注意点や配置のコツを知っておきましょう。