家族が亡くなって仏壇を新たに購入する場合もあるでしょう。この時に注意したいのが、家の中でどこに仏壇を設置するかです。
仏壇は木製なので置く場所によっては劣化しますし、そのような物理的な条件だけではなく、宗教上のルールからも正しい置き場所が決まっているのです。
今回の記事では、仏壇の正しい置き方の知識について徹底解説します。
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■仏壇とは
そもそも仏壇とはどのようなものなのでしょうか。
・仏壇の歴史は1500年以上
仏教が伝来したのは、6世紀中盤の飛鳥時代なので、今からほぼ1500年の昔です。仏壇の歴史もこれ以降だと考えられますが、日本史の教科書に写真などで出ていた国宝の「玉虫厨子(たまむしのずし)」というものも実は仏壇です。玉虫厨子は現存する最古の仏壇で、やはり作成は1500年前です。
この玉虫厨子が日本で最初に作られた仏壇かどうかは明らかではありませんが、しかし少なくともこの玉虫厨子が製作された1500年前よりも前には、日本で仏壇が製作され、拝まれていたということは言えるでしょう。
その後仏壇は貴族が自宅で仏に祈るために製造されていましたが、江戸時代に入って「寺請制度(てらうけせいど)」という、全ての日本人はどこかのお寺の檀家にならなければならないという制度が導入されたことで、庶民の間でも仏壇を入手し、家でお参りすることが行われるようになりました。
・仏壇は「自宅にあるお寺」
仏壇が家にある目的は一口で言って、自宅にお寺を作ることです。
これが大金持ちで、自宅の敷地が広ければ、庭先にお寺を建設してそこで毎日仏や先祖にお参りすることが可能でしょう。
しかしほとんどの人の場合は、そのような土地も余裕もないため、自宅の室内のおける小さなお寺として仏壇を設置するのです。
ですから仏壇にはまず、お寺と同様に、一段高い「須弥壇」という場所に自分の家の宗派の本尊を祀り、その下に自分の先祖の位牌を安置します。
・仏壇をおくとどのような良いことがあるか
現代人は信仰心が随分と薄くなり、死生観や霊魂観もかつてとは大きく変化しています。
しかしそれでもなおかつ、自宅に仏壇を置くことにはメリットがあります。
家の中心として精神的なよりどころができる
現代には仕事や家庭的なことでストレスを抱えている人が非常に増えています。
一方で、現代は物質中心の文明で、物事の価値の基準はお金であり、そのお金を使って得た物質になっています。
しかし、人間は物質的に恵まれれば恵まれるほど、精神的な空虚感を持ってしまうものです。
ましてや毎日ストレスフルに暮らしていたら、そのストレスと多忙によって自分の中がスカスカになってしまうような気もしてしまうでしょう。
そのような時に役に立つのが仏壇です。
仏壇の前で手を合わせるだけで、自然に物質世界とは対極の精神世界にいる仏と対話をすることができ、精神的な空虚感を満たすことができます。
先祖供養に感謝する場所ができる
当たり前のことですが、自分が今ここに存在するのは、親が自分を生んでくれたからです。
そして親もまた親の親がいなければ世の中に存在しませんでした。
そう考えていくと、今の自分が存在し、おいしいものを食べるなどの欲望を満たし、やりがいのある仕事をし、家族との幸せを感じることができているのは、全て先祖がいたおかげです。
仏壇が自宅にあるということは、その仏壇に手を合わせ、毎日線香た供物をあげて供養することで、先祖に自分を存在させてくれている感謝を伝えられる場所があるということです。
亡くなった親族との対話の窓口ができる
親しい人や家族が亡くなった場合、誰もが無意識のうちに、心の中で親しい人や家族と対話していませんか。
困ったときに、亡くなった母親ならどのようなアドバイスをくれただろうと問いかけたり、祖父に試験に合格するように見守ってほしいと頼んだりするようなことです。
そういう場合に、何も寄る辺がないとなかなか亡くなった人とゆっくり対話をすることができません。
しかし仏壇があれば、1日に1回、仏壇の前に座ってゆっくり手を合わせることで、十分に亡くなった親族と対話できます。
仏壇は言ってみれば、亡くなった親族を対話をするための窓口なのです。
日本人の死生観は大きく変わったのは事実ですが、しかし一方である統計調査では「亡くなった人が行くあの世がある」「人間は死んでも霊魂は残る」と考えている人が思った以上に多いということが判明しました。
つまり誰でも心の中では、物質的な現代におけるコミュニケーションだけではなく、精神的なあの世とのコミュニケーションをとっているのです。
そのコミュニケーションのための大切ば場所が自宅に設置された仏壇だと言えるのです。
■仏壇の配置はどうすればいいのか
以上のようなメリットのある仏壇を家に設置する場合、どのような場所に置いたらよいのでしょうか。
仏間がなければリビングが一般的
かつての日本家屋では家族個々の部屋はなくても、仏間だけは必ず用意されていました。
ですから今でも家に仏間がある場合は、仏間に仏壇を設置することになります。
しかし住宅事情と、住まう上での優先順位が変わって、家に仏間があるところは非常に少なくなったのが現状です。
では家に仏間がない場合、仏壇はどこに置けばよいのかというと、多くの家ではリビングに設置しています。
なぜなら仏壇は毎日お参りするものなので、すぐに手を合わせる場所にあったほうが何かと都合がよいからです。
最近は洋室における仏壇もある
仏壇のデザインはお寺の意匠を模しているため、非常に和風な作りになっています。
リビングは和室であれば和風の仏壇は周囲になじみますが、洋室のリビングの場合そこだけ雰囲気が変わってしまうことを懸念する人もいるでしょう。
しかし最近は、一見仏壇とはわからないような、洋風のデザイン仏壇も多数製造されています。こ
のような仏壇であれば、洋風のリビングに設置しても全く違和感はありません。
■仏壇の向きは?
極楽は西の方にあるとされていますが仏は四方のどの方角にもいます。
ですから基本的に仏壇をどの方角に向けて設置しても構いません。
しかし、いろいろな宗派、いろいろな教義によって、仏壇の向き指定している説があります。
・南面北座説
南面北座説は、仏壇を南に向けて仏壇を安置し、お参りする人は北に向いて座るとする考え方です。
これはお葬式の場合に遺体を北に向けて安置するため、仏壇を北に向けて置くのは縁起が悪いという考えから生まれています。
また現実的に、南面北座にしたほうが、仏壇に直射日光があたらず、風通しもよいため、木材で作られた仏壇が劣化しないで済むというメリットもあります。
・本山中心説
仏教にはそれぞれ宗派があり、総本山があります。
本山中心説は、仏壇を拝むことが、イコール総本山を拝むことになるように仏壇を設置するという考え方です。
仏壇の中心線を総本山の本堂の中心線と合わせ、総本山の本堂と同じ向きに仏壇も設置します。
この場合は総本山の場所によって、仏壇を置く方向は東西南北どちらにもなります。
・東面西座説
西方浄土いう言葉があるように極楽は西にあるとされています。
東面西座説は仏壇を東に向けて設置することで、拝む時に極楽のある西の方を同時に拝むことができるようにする考え方です。
このように仏壇の向きには諸説あるので、結論的にはどの方角に向けて置いても問題ないのです。
■仏壇を置くときの注意点
ただし仏壇を置くときにはいくつか注意点があります。
・仏壇を置かないほうが良い場所は
仏壇は木製なので、直射日光や湿気、あるいは冷暖房の風によって劣化しやすい欠点があります。
ですからが日光が当たる場所、湿気が多い場所、冷暖房の風が当たる場所は避けましょう。
・押し入れでもOK
仏壇は尊いものだから押し入れに置いてはいけないと思う人もいますが、そのようなことはありません。
仏壇は、押し入れの上段や、床の間、タンスの上、キャビネットや収納棚の上などに置いても何の問題もありません。
ただしテレビやオーディオラックなど、音がする物の上は避けましょう。また仏壇の上にものを置くのもNGです。
・仏壇は見上げるように置く
ただし仏壇が尊いものであることは事実なので、自分の目線よりも下に置くことは避けましょう。
仏壇を座って拝む場所に設置する場合は本尊の位置が目線より上になるように、立って拝む場所の場合は本尊が胸よりも少し上に来るように設置しましょう。
・仏壇の上の部屋にも注意が必要?
また仏壇の上の部屋にも注意が必要です。
戸建ての場合は二階に配置
「仏壇や神棚の上を歩かないてはいけない」ということがよく言われます。
つまり1階の部屋に仏壇を置く場合は、その真上には2階部分を作らない、あるいは押し入れなどにして人が歩く間取りにしない、ということです。
実際にはあまり気にしなくてよい
しかし現実問題として仏壇の配置だけを優先して家の間取りを考えるのは無理があります。
そもそも現代の住居で大きな割合を占めるマンションの場合、仏壇を置いた場所の上の階の構造がどうなって、そこに住んでいる人の動線がどうなっているか、などということを考えていては仏壇を置く場所などなくなってしまいます。
ですからこの「仏壇や神棚の上を歩かないてはいけない」という考え方は、日本の家屋が戸建て中心のころの説だと考え、現代においては気にしなくてもよいでしょう。
・配置よりも重要なのは仏壇の大きさ
仏壇を購入する場合、むしろよく考えたほうが良いのは、仏壇の置き場所以上に、仏壇の大きさです。
なぜならせっかく買った仏壇が床の間に入らなかったり、置いてみたら周囲のよりも数段大きくて違和感が生まれてしまったりするからです。
ですから仏壇を買う場合には、設置する場所の高さ、幅、奥行きのサイズを正確に測りましょう。
特に注意点は、仏壇の扉は両開きなので、押し入れの上段などに設置する場合、設置した押し入れの左右に余裕がないと扉が開かなくなってしまうことです。
そういう事態を防ぐには、扉が両開きする余裕も考えて仏壇の大きさを決めましょう。
さらにマンションなどの場合、意外に玄関や部屋の入口の幅が狭いことも多いです。
入口の幅よりも広い幅の仏壇を購入してしまうと、家や部屋に入れることができません。
それを防ぐには、仏壇を置く場所だけではなく、玄関と部屋の入口の幅のサイズもしっかり測りましょう。
■まとめ
本文で解説したように仏壇が自宅にあるとさまざまなメリットがあります。
ぜひ置くことをおすすめしますが、置く上ではいくつか注意点もあるのでよく考えましょう。
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