葬儀やお葬式、お通夜や告別式など意味を混同して使われることも多く、少しわかりにくいですよね。その違いについて、よくわからない人も多いのではないでしょうか。
この記事では葬儀・お通夜・告別式について違いがわかるように詳しく説明し、さらに日取りやマナーについても述べていますので是非参考にしてみてください。
お葬式・お通夜・葬儀・告別式の意味や違いとは?
お葬式・お通夜・葬儀・告別式といまいちひとつひとつの意味がわかりにくいですよね。その違いや意味を解説いたします。
お葬式
お葬式とはお葬式とは人が亡くなってから埋葬までの全般のことを指します。
日本では仏教のお葬式が多く、宗派によって少し違いはありますがお通夜・葬儀・告別式・出棺・火葬・埋葬などの流れを通して故人を惜しみ、ご冥福を祈り葬るのが一般的です。
同じ仏式のお葬式でも昔から伝わるしきたりに、宗派や地域性などが加わって、進行や流れなどには違いがあります。
仏式お葬式の歴史は明治時代に故人を輿に乗せ斎場へ運ぶ儀礼が中心で、葬儀というのは出棺の時間を知らせるというものでした。
明治時代末期には宗教形式をとらない告別式が行われるようになり、昭和前半にはお通夜から葬儀までを自宅で行うようになりました。
仏式の他には神式、キリスト式、その他故人の信仰によって儀式が行われます。
お通夜
お通夜もお葬式の一部であり、身近な人のみが夜通し故人との別れを惜しむ儀式です。
故人を葬る葬儀・告別式の前に、遺族・親族・親しい知人が灯りを消さずに最後の夜を一緒に過ごします。
現在では半通夜が一般的となり、亡くなられた翌日の夕方18〜19時頃から約2〜3時間かけて行われる場合が多いです。
仕事を終えてからの参加が可能な時間帯なので告別式に参加できない人のために行う側面もあります。
僧侶の読経、お焼香、通夜ぶるまいを行い飲食をして閉式とすることが一般的ですが、地域の習慣によって異なります。
葬儀
葬儀とは死者を弔い、遺族や近親者が故人の魂をあの世に葬る儀式のことです。
お葬式と葬儀ということは同じ意味合いととられることも多いようですが、葬儀は搬送の儀礼のことを示し葬式の中の儀礼のことを示します。
お葬式は個人の冥福を祈り成仏を祈願する宗教的な意味合いの強い儀式です。
お通夜の翌日に仏教であれば僧侶による読経やお焼香といった儀式を行います。
現在では告別式を組み入れた葬儀の簡素化が浸透しました。葬儀と告別式は区別されにくく同じようにとらえられることも多くなりましたが、本来は違った意味を持っています。
告別式
告別式とは故人と関わりの会った人たちが故人と最後の別れを告げる式典です。
故人の死を公にして敬意を示す社会的な式典ですので、葬儀と違い宗教的な意味あいはありません。
本来は僧侶が退席した後に改めて告別式を行うものですが、現在では葬儀・告別式を続けて一緒に行われることが一般的です。
最近ではお通夜のみ参加される人も多くなってきていますが、告別式は故人を悼む気持ちのある友人や知人など誰でも参加できます。
お葬式やお通夜の日程はいつ行う?スケジュールは?
お葬式やお通夜などは、いつどのような流れで行うのか解説いたします。
お葬式の流れ
一般的仏式のお葬式は、危篤・ご臨終→遺体の安置→お葬式の準備→お通夜→葬儀→告別式→火葬→納骨→法要の流れで行われます。
お通夜の日程
お通夜は亡くなった日の夜に親族だけで行う仮通夜を行い、亡くなった翌日に一般の弔問客が参列する通夜を行われることが一般的です。しかし、亡くなった時間帯や葬儀場の状況、そのほかの理由により異なるケースもあります。現在では仮通夜をしない場合もあります。
お通夜の時間帯
現在では、半通夜として午後6時頃から斎場で行われることが一般的となっています。会場の関係などもあり午後10時ごろには終了することが多くなっています。仕事などの都合がつけやすく、できるだけ早く駆け付けたいという意味もあり葬儀・告別式よりも通夜に参加する人が増えています。そのため、現在では通夜でも香典を受け付けていることも多く返礼品もそこで返しています。
お通夜の流れ
お通夜の流れを順番にご説明いたします。
1.受付
親族にお悔やみの言葉を述べ、香典を渡し芳名帳に記入します。
2.一同着席
喪主・遺族・親族・関係者などは僧侶の入場の際には着席しておき、迎えるようにします。祭壇に向かって右側が遺族や親族、左側に葬儀委員長や職場関係者、親しい知人などが座ります。一般弔問客は先着順に前から詰めて座ります。
3.僧侶の入場・お通夜の開始
僧侶の入場の際は黙礼します。司会者がお通夜の開始を告げ、お通夜が始まります。
4.読経・お焼香
僧侶の読経が始まり、葬儀関係者及び僧侶の誘導によりお焼香が始まります。お焼香は喪主、遺族、親族、一般弔問客の順番に行います。
5.僧侶退場・通夜終了
お焼香の後に法話などを僧侶が行う場合もあります。遺族はその場で黙礼をしてお見送りします。僧侶の退場後に喪主が挨拶を行います。
6.通夜ぶるまい
通夜の後、故人への供養の気持ちと参列者への感謝の気持ちを伝えるために通夜ぶるまいが行われます。調理やお酒で参列者をもてなします。
7.見守る棺守り
関係者や参列者が退出し、遺族・親族が夜通し故人を見守ります。しかし、会場によっては一晩じゅう付き添うことができない場合もあります。
葬儀・告別式の流れ
葬儀・告別式の流れを順番にご説明いたします。
1.受付
お通夜と同様にお悔やみの言葉をを述べ、香典を渡し芳名帳を記入します。通夜で香典を渡している場合はそのことを伝え名前だけ記入しましょう。
2.一同着席
斎場での座る位置もお通夜と同様に祭壇に向かって右側が遺族や親族、左側に葬儀委員長や職場関係者、親しい知人などが座ります。数珠も持参しましょう。
3.僧侶の入場・葬儀・告別式の開式
葬儀社の担当者が僧侶を呼びこみ、僧侶の入場となります。一同黙礼をして迎え入れるようにします。司会者が開始の言葉を告げ葬儀・告別式が始まります。
4.読経・引導渡し
僧侶の読経が始まり、僧侶が故人の霊に引導を渡します。引導とは戒名をいただき故人をあの世に導くことをいいます。浄土真宗にはありません。
5.弔辞奉読・弔電紹介
司会者が弔辞者を紹介します。弔辞者は指定された立ち位置から弔辞を述べ祭壇に供えます。弔電は葬儀担当者が数通棒読しご紹介します。
6.読経・焼香
再び読経が始まり、僧侶からお焼香が開始します。続いて僧侶の誘導により喪主、遺族、一般参列者の順にお焼香を行います。
7.僧侶退場・閉式
一同僧侶に合掌・黙礼で僧侶をお見送りします。喪主の挨拶があり、司会が閉式の辞を伝えます。葬儀担当者の誘導により出棺が行われます。
お通夜・葬儀の気になるマナー
お通夜や葬儀は頻繁に参列する機会がある訳でがないので、マナーについて疑問に思うことも多いと思います。迷いやすいマナーについてご説明いたします。
お通夜・葬儀は友引を避けるべきか
友引は六曜という歴のひとつで、物事に勝負がつかない引き分けの日とされています。この日は昔から葬儀に対しては凶日とされており、友引に葬儀を行うと「故人と親しかったものも共に連れていかれてしまう」と言われています。
一般的に友引に縁起が悪いのは葬儀・告別式・火葬を行うことです。お通夜は本来、故人とお別れする意味ではなく「一晩じゅう故人を守るために火を灯し続ける」という意味があり葬儀のように友引を避けなくても良いとされています。
しかし、葬儀は多くの人が友引を避け、年配の参列者にも嫌がられる傾向があります。また、火葬場も友引の日を定休日としていることも多く気をつけなければなりません。
お通夜と葬儀・告別式どちらに参加すべき?
結論から述べるとお通夜と葬儀・告別式都合が合う方どちらに参列しても問題はなく、故人と親しい場合は両方参加するのが理想的です。
お通夜は本来、故人を葬る前に遺体を邪霊から守るものでした。親族や故人の親しい人たちがろうそくや線香の灯りを絶やさずに一夜を明かして見守っていました。
本来であればお通夜は故人の親族や親しい人たちが最後の別れを惜しむものであり、職場関係者や知人などの一般の弔問客は告別式に参加するものでした。
しかし現在では半通夜が一般的となり、夕方に始まり夜に解散する場合が多いので都合がつきやすいお通夜に参列すること増えています。
本来の意味から考えると故人と親しい場合はお通夜と葬儀・告別式に参加し、関わりが深くない場合は葬儀・告別式に参加するのがよいかもしれません。しかし、都合がつきにくい場合はお通夜に参加しても構いません。どちらかに参加し故人の冥福を祈りましょう。
お通夜と葬儀・告別式の服装は?違いがある?
基本的にお通夜でも葬儀・告別式でも喪服で参列するのがよいでしょう。コートも毛皮やアニマル柄などは避けアクセサリーも避けるのが好ましいです。
しかし、お通夜は本来駆けつけるものなので会社帰りにグレーや黒などのビジネススーツで参列することに問題はありません。冬場でダウンやファー付きのコートなどを着用している場合も、会場に入室前に預けたり目立たないように畳んで持っておけば良いでしょう。
昔であれば通夜に喪服で参列するのは事前に準備しているようで失礼だとされていましたが、現在はお通夜だけ参列する場合も多いのでそのような考えは減っています。準備できるのであれば喪服で参列することが一般的でしょう。
香典はいつ渡すべき?袱紗は使用すべき?
お通夜と葬儀・告別式どちら参加する場合、香典はいつ渡すべきなのか、あるいは両方渡すべきなのか迷われる人も多いと思います。
どちらも参加するする場合は、お通夜で香典を渡します。葬儀・告別式では芳名帳に名前だけ記入するのが正しいです。両方参列する場合でも香典は1回で構いません。2回渡してしまうと不幸が重なると言う意味で逆に失礼となってしまい、遺族も困惑されるので避けましょう。
香典袋の形が崩れたり、汚れたりするのを避けるために袱紗を使用するのがマナーです。袱紗がない場合は地味な色柄のハンカチで代用しましょう。
受付でお悔やみの言葉を述べて袱紗から香典袋を取り出し、手早く畳みましょう。相手側にむけて正面向きになるようにして両手で渡しましょう。
まとめ
この記事ではお葬式やお通夜について詳しくまとめてみましたが、時代によって形や捉え方マナーなども変わってきてしまいます。
本来の意味を知った上で時代や環境に合わせて振舞うことができればどの世代の人にも悪い印象を与えずに済むでしょう。
何より故人を惜しみ冥福を祈る気持ちを持つことが大切です。