魂入れとは、仏壇を購入した時や、引っ越しなどで場所を移す場合に行われる法要です。
開眼供養やお性根入れなどとも言われ、宗派によって呼び方や儀式の内容、考え方が異なる場合があります。
仏壇ではなく、祀ってある位牌や本尊(仏像や掛け軸)に対して行われる儀式となります。
魂入れを行う事で本尊に魂を迎え入れる準備が整い、その時点で初めて本来の役割を果たすようになります。
今回はこの魂入れについてわかりやすく解説していきます。
仏壇とは
仏壇とは、自宅の中に簡易的に寺や礼拝施設を設置するための物です。
仏壇自体が特別な物ではなく、中に祀られている位牌や本尊の家と考えるとわかりやすいのではないでしょうか。
宗派や時代によって形や大きさも様々で、種類も豊富です。
以下の項目ではその仏壇について詳しく解説します。
仏壇の種類や用途の違い
仏壇は大きく分けて「金仏壇・モダン仏壇・唐木仏壇」の3種類があります。
浄土真宗では金仏壇を使用するのが一般的とされていますが、厳密に規定されているわけではなく、また用途の違いも無いためある程度自由に選択する事が出来ます。
金仏壇
内部に金箔や金粉で装飾を施し、豪華な作りの物が多い仏壇です。
モダン仏壇
現代の部屋に合わせて設計され、一見すると仏壇とわからないような他の家具と調和の取れたデザインの仏壇です。
唐木仏壇
黒を基調とした落ち着いた見た目で、昔ながらの仏壇です。
仏壇の種類で必要な儀式は変わるのか
前項でも解説しましたが、仏壇の種類で用途の違いはありません。
そのため仏壇の種類で必要な儀式が変わる事はありません。
サイズの都合で小さなモダン仏壇を購入したが、これには魂入れを行って貰えないのではないか?などの不安があるかと思いますが、その点も心配する必要はありません。
仏壇に飾るもの:位牌や仏具
仏壇とはその名の通り仏様を祀る物です、そのため本尊(仏像や掛け軸)を飾るのは共通していますが、位牌については宗派によって変わります。
浄土真宗には位牌その物が無く、仏壇に飾る事もありません。
飾りについては宗派や地域によって変わる部分が多く、専門店やご自身の菩提寺に相談される事をおすすめします。
仏壇の魂入れ(開眼供養・お性根入れ・仏壇開き)とは
仏壇の魂入れとは、祀ってある位牌や本尊に魂を入れるため、僧侶に読経してもらう儀式です。
魂入れを行った時点で初めて本来の役割を果たすようになると考えられており、一般的には仏壇を購入した時に行う物となっています。
以下の項目では魂入れについて詳しく解説します。
魂入れ・開眼供養・お性根入れ・仏壇開きの違い
呼び方は多様ですが違いはありません。
・魂を入れるから魂入れ、お性根入れ
・位牌や本尊の目を開く儀式なので開眼供養
仏壇開きと言われる事も有ります。
魂入れを行うつもりでいたのに専門店には開眼供養と言われた、もしかして手違い?などの心配をする必要はありません
仏壇の魂入れを行う時期
魂入れを行う時期は基本的に
- 仏壇を始めて購入した時
- 位牌を収める場合は故人の四十九日
- 引っ越しなどで仏壇の場所を移す時
となります。
これはあくまでも基本で、必ずしも守らなければならない物ではありません。
ですがタイミングを合わせたい場合は、仏壇購入の日程を調整すると良いでしょう。
魂入れは必須なのか
結論から言うと、必須ではありません。
それは何故かと言うと、宗派によっては魂の存在を認めていない場合もあるからです。
考え方は宗派やご自身で変わる物です。
ですが文化的意味合いも強いので、ご自身の宗派が行うようであれば仏壇の購入とセットで行う事をおすすめします。
浄土真宗には魂入れが無い?入仏法要とは
浄土真宗では魂入れを行いません。
その代わりに入仏法要・御移徒といった儀式を行います。
宗派の考え方として目的は変わりますが、基本的に行う内容は同じです。
引越しや処分の時の「魂抜き・閉眼供養」
魂抜き・閉眼供養とは、引っ越しや仏壇を処分する際に宿った魂を抜く儀式の事です。
魂を宿したまま移動や処分する事は良くないとされ、魂入れをした物であれば魂抜きをしてから移動を行うのが一般的です。
同じ室内での移動では必要無いとしている宗派から、掃除をするために少し仏壇をずらす場合でも儀式を行うとしている宗派もあります。
こちらも移動をする前にご自身の菩提寺に確認をする事をおすすめします。
宗派によっては本尊のみを郵送し、魂抜きを行って貰える場合もあるようです。
引っ越しの場合は引っ越し先でもう一度魂入れを行う事になります。
魂入れの準備や実際の流れ
魂入れは祝い事とされており、準備をするお供えも紅白をメインに縁起物とされています。
前項で仏壇は家だと例えましたが、魂入れは新築祝いだと思うとわかりやすいのではないでしょうか。
以下の項目では魂入れの依頼の仕方から、準備に必要な物、当日の流れまでを詳しく解説します。
魂入れの依頼方法
魂入れは菩提寺に依頼するのが一般的です。
菩提寺から遠方に住んでいるなど、菩提寺に依頼をするのが難しい場合は菩提寺に相談してみる事をおすすめします。
魂入れの儀式の内容は宗派によって異なるため、菩提寺に依頼するのが難しい場合は同じ宗派のお寺に依頼する事になります。
また近年ではインターネットで依頼をし、僧侶を派遣して貰えるサービスもあります。
お供えの準備:紅白餅や花の選び方
祝いの儀式なので一般的には縁起物を用意します。
紅白を基調に色どりを意識し、果物・海・山・里の食材と酒などを用意します。
以下に例を挙げておきますが、地域や菩提寺によって用意する物が変わる場合があるのでまずは菩提寺に相談する事をおすすめします。
お餅
一般的な白いお餅ではなく、紅白の重ね餅を用意する場合が多いです。
果物
季節の果物を用意します。
海の幸
昆布、ひじき、ワカメなど
里の幸
にんじん、ナス、ピーマンなど色どりを意識し用意します。
山の幸
高野豆腐、しいたけ、栗、サツマイモなど
その他
酒や赤飯、位牌を祀る場合は故人が好きだった物を用意します。
花の選び方
花は本数を奇数にし、3色か5色で揃えるのが一般的です。
花束を用意する場合は、仏壇の左右に同じ花束を置くため、1対になるよう同じ物を2個用意します。
祝い事であるため、華やかさを意識します。
トゲのあるバラ、毒のある彼岸花はふさわしくないとされているので気を付けましょう。
自分で用意する事が難しい場合は、仏壇を購入した専門店に相談すると専門業者を紹介してくれたり、専門店自体が全て用意してくれる場合もあります。
お布施やお返しについて金額やのし袋の書き方
魂入れのみの一般的なお布施の相場は2万円~5万円となります。
仏壇の購入金額の1割程度と考えると良いでしょう。
四十九日を同時に行う場合はその倍の額となるのが一般的です。
のし袋は紅白の物を用意し、浄土真宗の場合は「入佛慶讃御礼」それ以外の場合は「開眼供養御礼」と記入します。
また自宅に僧侶を呼んだ場合
- 御車代として5千円~1万円、移動距離で相場が変わります。
- 僧侶が魂入れ後の会食に参加しない場合は、御膳料として5千円~1万円。
これらを別に白い封筒に入れ、それぞれに御車代、御膳料と記入し用意する必要があります。
これらをそのまま渡す事はマナー違反とされるので、袱紗に包んだ状態で用意しておきましょう。
お返しは祝いの儀式という事で、お菓子やタオルなどを用意する事が一般的です。金額は3千円~5千円程度が相場です。
最近では、カタログギフトと呼ばれる好きな商品を金額分注文出来るカタログをお返しとして渡す事も多いです。
3.4魂入れに参列する際の服装やマナー
葬儀やお墓に対しての魂入れとは違い、お祝い事なので基本的には普段着で問題ありません。
黒のスーツなど派手すぎない服装を選ぶようにしましょう。
気を付けたいのは、喪服での参加はマナー違反となることです。
参列する場合は香典を用意する事になります。
金額は通常の法事と同じで、ご自身の立場に合わせて5千円~3万円ほど用意する事になります。
当日の流れ
当日の流れを順に解説します。
1.参列者をお迎え
参列者を自宅に招き入れます、ここでも祝い事だという事を意識し、くつろいで貰えるようにしましょう。
2.僧侶をお迎え
お茶を出し、少しの時間談笑する事が望ましいです。
僧侶は会食に参加しない場合も多いので、いきなり魂入れを行うのではなく、ここで時間を取るのが良いでしょう。
3.読経・焼香
僧侶に読経してもらい、参列者に焼香をしてもらいます。
4.会食
自宅で行う場合もありますが、場所や料理を用意する事が難しい場合は近所のレストランなどで行う場合もあります。
馴染みの無い儀式の場合かしこまってしまいがちですが、全体を通して祝いの場である事を意識し、和やかな雰囲気で過ごす事が重要となります。
まとめ
魂入れとは、仏壇を購入した時や、引っ越しなどで場所を移す場合に行われる法要です。
開眼供養やお性根入れなど呼び方は様々ですが、基本的に儀式の内容は同じです。
仏壇ではなく、祀ってある位牌や本尊(仏像や掛け軸)に対して行われる儀式となります。仏壇の種類によって儀式内容が変わる事はありません。
浄土真宗では魂入れを行いませんが、その代わりに入仏法要という儀式を行います。
引越しや仏壇を処分する時は魂抜きの儀式が必要になります。
用意する物や購入先で迷った場合、専門店や菩提寺に相談しましょう。
魂入れは祝い事です、葬儀などとは違い華やかで和やかな場になるようにしましょう。