お葬式の祭壇には様々な形式や飾り方があるのをご存知でしょうか?
さらにはお葬式が一通り済むと、多くの場合は遺骨が自宅に帰ってきますが、その際の飾り方にも宗教や宗派によって決まり
目次
■祭壇の種類
・白木祭壇
・花祭壇
・折衷祭壇
・棺を囲む祭壇
・キャンドル祭壇
■宗教・宗派別の祭壇の違い
・仏式祭壇
・日蓮正宗祭壇
・神式祭壇
・キリスト教祭壇
・創価学会祭壇
■後飾り祭壇の飾り方
・宗教別の後飾りのお供え物
└仏式の飾り方
└神式の飾り方
└キリスト教式の飾り方
・場所や方角には決まりがあるの?
・後飾り祭壇はいつまで飾る?
└仏式の場合
└神式の場合
└キリスト教式の場合
・供えるものはどこで販売している?
祭壇とは何か
祭壇とは、まさしくお葬式で棺や、場合によっては遺骨を飾る壇のことを言います。
ただし、お棺や遺骨だけを置くことはせず、たいていの場合は遺影やその他のお供え物も飾ります。
例えば仏式の葬儀の時には、祭壇の前には「経机」という僧侶が読経をする際に経典を載せる台が置かれます。
祭壇にはいくつかの形式や種類があり、宗教によっても変わってきます。
祭壇の種類
一口に祭壇と言っても様々な形式や種類があります。
ここでは、祭壇にはどんなものがあるのかを紹介します。
白木祭壇
「白木祭壇」は最も一般的な祭壇です。
白木祭壇は、白木の棚板をひな壇のように段にして組み、その上に写真台や位牌台を設置するものです。
また、棚板が三段のものと五段のものがあります。
一般的には五段の方が豪華に見えて、費用も高額です。
花祭壇
最近増えてきているのが「花祭壇」です。
これは生花で祭壇を埋め尽くし、その中に遺影写真や位牌を設置する祭壇です。
ただし、費用が安い花祭壇の場合は生花ではなく造花が用いられていた、という場合もあり、遺族は祭壇が設置されてからその事実を知らされることも多々あります。
遺族は葬儀社から葬式の見積もりを取る場合には、その内訳をしっかり確認しましょう。
見積書に「シルクフラワー」などど記載されていたら、造花が用いられます。
折衷祭壇
折衷祭壇とは白木と生花のどちらも取り入れた折衷式の祭壇です。
一般的な白木祭壇もすがすがしくてよいのですが、そこに生花が加わると一層華やかな雰囲気になるので、折衷式の祭壇を選ぶ遺族も増えています。
棺を囲む祭壇
祭壇とは別に、お棺を斎場の中央に安置し、その周囲を花で飾る形式もあります。
この形の場合、葬儀に参列した人がお焼香などの時に、故人の姿を見ることができて、故人を偲びながらお別れをすることができます。
キャンドル祭壇
白木の祭壇にキャンドルを飾る形式も、無宗教の葬儀では増えています。
幻想的な印象が演出でき、なおかつ焼香の代わりに祭壇に組み込まれたキャンドルに献灯するなど、新しい形の葬儀を作ることができます。
祭壇のお供え物
祭壇への供え物に何があるのでしょうか。
これは先ほど触れたように、一般的な祭壇の場合、中央に棺が祀られ、その上に遺影写真が飾られ、そしてそれを中心に左右対称に、供物と供花が置かれることになります。
供物は果物などのほかに、故人が好きだった食べ物などを飾ることが多いでようです。
ただし、何を供えるかは宗教や宗派によって異なります。
以下の、「宗教・宗派別の祭壇の違い」を参考にしてください。
宗教・宗派別の祭壇の違い
以上が葬儀における祭壇の基本の構造ですが、これがさらにその宗教や宗派によって多少変わってきます。
仏式祭壇
まず仏教の中の一般的な宗派の場合です。
基本は白木祭壇で、祭壇の中央に遺影を置き周囲を白い生花で飾ります。
その前に棺が、そしてそのさらに前に僧侶が読経するための経机が置かれます。
日蓮正宗祭壇
ただし仏教の中でも日蓮正宗は少し異なります。
日蓮正宗では、「花はいずれ散ってしまうもの」なので用いません。
その代わりに樒(しきみ、またはしきび)という緑の葉が青々とした枝を用います。
これは日蓮の書き遺した教典の、樒の香気は邪気を払い不浄を清める、という記述を踏まえてのものです。
神式祭壇
神道が自分の家の宗教の場合は、神式の祭壇になります。
素材は主に白木で、祭壇には三種の神器である「八咫鏡(やたのかがみ)」という鏡、「天叢雲剣(あまのむらくものつるぎ)」という剣、「八尺瓊勾玉(やさかにのまがたま)」という輝く石の球のレプリカを飾ります。
お供え物は神に供えるのと同じ、米、塩、海の食材、川の食材、山の食材と言った神饌物です。
飾り方は、祭壇上段の中央に鏡、両脇に剣と石の球を五色旗に吊るして置きます。
その一段下に遺影を置きます。
キリスト教祭壇
キリスト教式の場合は、基本は葬儀は教会で執り行われます。
基本的には大きな祭壇を作らずに、教会の祭壇に花などの飾り付けをします。
一般的には祭壇の両脇にろうそく、手前の中央に棺、その奥に遺影を飾り、周囲を白い生花で飾ります。
ただし、教会によって細かい決まりがあるので、祭壇を決める際には、カトリックの場合は神父、プロテスタントの場合は牧師に相談しましょう。
また葬儀場でキリスト教式の葬儀を行う場合は、祭壇中央に十字架を置きます。
創価学会祭壇
創価学会の場合は葬儀を「友人葬」といますが、その際の祭壇は祭壇は、樒もしくは白い生花で棺と遺影の周囲を飾る形になります。
後飾り祭壇の飾り方
葬儀が終わると、遺骨が自宅に帰ってきて、後飾りの祭壇を設けることになります。
後飾り祭壇とは、火葬を終えて遺骨になった故人が、自宅へ戻った来た時に安置する祭壇のことです。
自宅なのでどのように飾ってもよいような気もしますが、故人の冥福を祈る表現が後飾りなので、できる限り決まりに沿った方がよいでしょう。
また後飾りは葬儀後に弔問してくれる人にとって故人へお参りする祭壇になるので、その意味でも正しく飾った方がよいのです。
宗教別の後飾りのお供え物
ではその正しい後飾りとはどのような飾り方と供え物になるのかという点について、宗教別に解説します。
仏式の飾り方
仏式の後飾りは一般的には白木の棚板を2~3段で組んだものです。白木ではない場合は、檀に白布をかけます。
仏式の後飾りでは、遺影、位牌、遺骨、一輪挿し、香炉、鐘、蝋燭台、線香立て、お供え物などを飾ります。
飾り方自体には決まりはありませんが、一般的には上段に遺影、位牌、遺骨を、それ以外は下段に飾ります。
お供え物は、ご飯、水、お茶、焼き菓子、水菓子(果物)、お膳、生花などを供えます。
ご飯は炊きたてのものを家族に出す前に、一番最初にお供えし、毎日取り替えましょう。
花は生花を用い、枯れたら交換します。
生花はバラのようにとげのある花や匂いのきつい花、曼殊沙華のように毒をもった花は避けます。
ご飯、水、お茶は供えたままにせず、しばらくしたら下げましょう。
その他の供え物も、特に果物や生菓子などは傷まないようにして、頃合いを見て、家族でいただきます。
ご飯以外の食べ物は故人の好きなものでもよいですが、宗教的な意味からは、殺生につながる魚や肉を避けることが一般的です。
このほか蓮華、屏風、灯りなども飾ることもありますが必須のものではありません。
神式の飾り方
神式では白木で作られた八足の祭壇を使います。
ただし神式の場合は自宅に遺骨を安置する前に、帰家祭というものを行い、そのあとに八足を設けますので、それまでの仮霊舎も必要になります。
神式では、ここに、遺影、霊璽(れいじ)、洗米、水、酒、塩、榊、灯明などを飾ります。
キリスト教式の飾り方
キリスト教の場合は後飾りには決まりがありません。
ですから、小さなテーブルに白布をかけ、その上に遺影、十字架、花、燭台、お供え物、聖書などを飾ればよいでしょう。
場所や方角には決まりがあるの?
後飾りの祭壇を設ける場所は、仏式の場合だけ決まりがあり、神式やキリスト教式には特に決まりはありません。
仏式で家に仏壇がある場合は、仏壇の前に後飾りを設けます。
仏壇がない場合には、部屋の北、または西に設けます。
ただしこれらの点については地域の習俗によって細かい決まりがある場合もあるので、親戚の詳しい人や、葬儀社に確認しましょう。
後飾り祭壇はいつまで飾る?
後飾りを飾る期間は、宗教によって異なります。
ここでは、後飾り祭壇はいつまで出しておくべきかを解説します。
仏式の場合
仏式の場合は一般的に納骨が四十九日法要に合わせて行われますから、それまでの期間、後飾りを祀り続けます。
神式の場合
神式の場合は仏式の四十九日当たる法要が五十日祭です。
神式の場合は納骨の宗教上の決まりはありませんが、多くの場合は仏式に倣って、五十日祭に合わせて納骨を行います。
したがってそれまで後飾りを祀り続けるのです。
キリスト教式の場合
キリスト教でも神式と同様に、いつ納骨するという宗教上の決まりはありません。
しかし、亡くなってから7日目の追悼ミサ、1ヶ月後の昇天記念日まで後飾りを行い、そのタイミングで納骨することが多いようです。
供えるものはどこで販売している?
後飾りとそこへ飾る葬具は、一般的には葬儀社が葬儀の内容とセットで用意してくれます。
ただし葬儀社のプランによって、葬式プランに含まれている場合と、オプションになっている場合がありますから確認しましょう。
葬儀社に頼まない場合は、最近ではAmazonや楽天などの一般的なネット通販モールでも、葬具を手に入れることができます。
まとめ
葬儀は基本的には遺族や知人が故人を偲び、故人とお別れをする場面です。
ですから本来は形にとらわれる必要はありませんが、しかし何も形式がないと、どのように祭壇を飾ればよいのか戸惑うことも多いでしょう。
その場合には、以上で解説した祭壇の飾り方を参考にしてください。
また後飾りも同様に、絶対的に形式を守らなければならないということはありませんが、弔問客がお参りすることを考えるとある程度一般的な習俗に合わせた方が無難です。