お通夜や告別式といった葬式に喜んで参列する人ほとんどいません。
それは故人とのつらい別れの場であることも理由ですが、故人とそれほど深い関係はなかったにもかかわらず、社会的で儀礼的な付き合いによって参列しなければならない場合も思った以上に多いからです。
特に会社関係や遠い親戚関係の場合は行くべきか、どうするかかで悩むところです。
また遠方で行われる葬儀の場合は、行きたくても行けない場合もあるでしょう。
そこで今回の記事では、葬儀があった場合、どこまでの関係ならば参列するべきなのかという判断の基準をご紹介します。
目次
■【ケース別解説】お葬式にはどこまで参列すべき?(会社、親戚など)
・葬式の参列に迷ったら付き合いの深さで判断
└遺族から連絡があった場合
└葬儀の後も関係が続くことが予想される場合
・会社関係の場合はどこまで参列?
└上司、部下、同僚にとって故人はどういう関係か
└上司、部下、同僚が喪主の場合
・親戚関係の場合どこまで参列する?
└6親等以内の血族とは
└3親等以内の姻族とは
■お葬式に行けないときのマナー
・「弔事は慶事に優先する」のが基本原則
・欠席の場合にお悔やみの気持ちを伝える方法
└香典を送る
└供花や盛り籠を送る
└弔電を打つ
└お悔やみ状を送る
└代理を立てる
└後日弔問に伺う
【ケース別解説】お葬式にはどこまで参列すべき?(会社、親戚など)
まず会社や親戚との関係性などによる、ケース別の葬儀に参列すべきかどうかを解説します。
葬式の参列に迷ったら付き合いの深さで判断
基本は葬儀への参列はその故人への自分の思いの深さによって判断することが大原則です。
ですから会った回数は少なくても、その人のお世話になったり、忘れがたいと思う場合は参列すればよいのです。
しかしそのような個人的な思い入れがない場合は、参列の基準がよくわからなくなるでしょう。
そのような場合の一般的な基準は以下の通り、故人と自分、あるいは自分の所属する組織との相手との関係の深さで判断します。
遺族から連絡があった場合
まず、遺族が故人の葬儀の連絡があった場合こちらの意識はともかく、先方としては遺族と故人が親しい間柄だったと判断したり、葬儀の格式上こちらの存在が必要だと判断したりしている、ということになります。
したがってその場合は、家族葬で一般会葬を断っていない限り、明確な理由がなければ参列したほうがよいでしょう。
葬儀の後も関係が続くことが予想される場合
また故人とは関係なく、自分または自分の所属する組織が、先方の組織や会社と、葬儀の後も継続して関係が維持されるのであれば、今後の付き合いを考えて参列したほうがよいでしょう。
会社関係の場合はどこまで参列する?
ではこれが自分の会社内でのことの場合はどのように判断したらよいのでしょうか。
上司、部下、同僚にとって故人はどういう関係か
まず、故人が上司、部下、同僚にとっての家族や親族である場合は、故人とその会社関係者がどのような関係なのかによって判断しましょう。
具体的には以下の通りです。
・参列~配偶者、子供、親、配偶者の連れ子
・参列せず~祖父母、孫、叔父、叔母
・上司、部下、同僚と自分の関係が深い場合は参列~義父母
ただし以上は類型的な判断基準であって、これが「親がおらずに叔父、叔母が親代わりだった」というような場合は、親の葬儀と同様ですから参列した方がよいでしょう。
上司、部下、同僚が喪主の場合
また上司、部下、同僚が葬儀の主催者である喪主の場合は以下の基準で判断しましょう。
・参列~配偶者、子供、親、配偶者の連れ子、祖父母、孫、配偶者の連れ子、義父母
・参列せず~叔父、叔母
親戚関係の場合どこまで参列する?
次に親族関係の葬儀の場合の判断基準です。それはその「親族」が自分にとってどこまで近しいのか、ということで判断すればよいでしょう。
まず葬儀に参列するのは、世間一般的には以下のように言われています。
・血のつながっている「6親等以内の血族」
・直接は血のつながっていない「3親等以内の姻族」
6親等以内の血族とは
ここで「親等」という目新しい言葉が出てきたので解説します。
親等とは「しんとう」と読み、親族関係の遠近の度合いを表します。
自分の直接の血縁がある人を1親等とし、そこから次の血縁になるたびに1親等づつ加算されていきます。
ですから親子は1親等、祖父母、兄弟、孫は2親等、叔父、叔母は3親等になります。
したがって6親等以内の親族とは以下の人たちを指します。
・両親
・祖父母
・自分より上の世代6代
・伯叔高祖父母
・伯叔曾祖父母
・またいとこ
・めい
・めい孫
・従めい
・従めい孫
・曾めい孫
・玄めい孫
・伯叔従祖父母
・伯叔父母
・いとこ
3親等以内の姻族とは
次にもう1つ「姻族」という言葉が出てきました。
これは「いんぞく」と読み、結婚によって親族になった人との遠近を表す単位です。
したがって、結婚した妻の父母や兄弟が1親等の姻族にあたります。
ですので、3親等以内の姻族とは以下の人たちになります。
・配偶者の父母
・配偶者の祖父母
・配偶者の曾祖父母
・配偶者の伯叔父母
・配偶者の兄弟
・甥
・めい
遠方に住んでいる場合はどうする?
以上のような判断基準で葬儀に参列したほうがよいという場合でも、遠方での葬儀のため行きたくても行けない、あるいは往復の交通費が用意できない場合もあるでしょう。
その場合は、2親等以上離れた親族の葬儀であれば欠席しても常識外れとは判断されません。
つまり、遠方の叔父や叔母の葬儀であれば欠席しても構わないのです。
これは姻族でも同様なので、妻の親の兄弟や子供、つまり妻の兄弟姉妹以上離れた関係であれば、欠席してても失礼に当たりません。
さらにこれが会社関係の取引関係や同僚の場合は、どのような相手でもあっても欠席しても大丈夫です。
お葬式に行けないときのマナー
ただし、葬儀に参列できなくても、自分の哀悼の意思を相手に伝えた方がよい場合も多々あります。それは以下の場合です。
「弔事は慶事に優先する」のが基本原則
まず大原則は「弔事は慶事に優先する」ということです。つまり仮に同じ日に結婚式があるので葬儀は欠席、ということはマナー違反なのです。
いくら前もって行くつもりであった結婚式でも、その日に葬儀の予定が入れば、結婚式を理由に欠席できないということです。
ただしその基準で判断する場合でもケースバイケースで考えましょう。
たとえば近所の人の葬儀と親族の結婚式であれば結婚式が優先になるはずです。
ただしその場合も、結婚式があるので欠席しますというのはNGです。
理由としては「どうしても都合がつかない」ということにしておきましょう。
欠席の場合にお悔やみの気持ちを伝える方法
それでも葬儀を欠席したい場合は、できるだこちらのお悔やみの気持ちを伝えた方がベターです。具体的には以下のようなことを行いましょう。
香典を送る
「香典」とは、ご存知のように故人の供養の気持ちを伝える金品です。
自分が葬儀に参列できない場合でも、参列する同僚や近隣の人、あるいは親戚に香典を預けるようにしましょう。
そのような人がいない場合は、後日現金書留で送りましょう。
香典は、こちらの年齢や立場、あるいは故人との関係性によって違い、3,000円から10万円くらいと幅があります。
またこの時の金額は4や9など縁起が悪い金額は避けましょう。
供花や盛り籠を送る
「供花」とは葬儀に花を送ることで、盛り籠とは果物などの盛ってある供物を送ることです。
盛り籠にはそれぞれ形式がありますから、自分で花屋などで選ばない方が無難です。
葬儀を取り仕切っている葬儀会社に連絡して、送る手配をした方がよいでしょう。
また個人で供花をしない場合でも、会社の有志でする場合もありますから、確認しましょう。
弔電を打つ
弔電、またはお悔やみ電報とは、訃報を受けて葬儀に参列できない場合に、喪主や遺族に送る電報です。
以前はNTTでしか扱っていませんでしたが、現在は郵便局やいろいろな通信系会社が、様々な意匠を凝らした弔電を用意しています。
弔電申し込み方法は、NTTを例にとると以下のような流れになります。
1つはインターネットでの申し込みです。
これはそのサイトにアクセスすれば、画面で台紙のデザインなどを見て、弔文も既定のものから選んで送れます。
電話の場合は局番なしの115になります。
オペレーターが電話口に出るので、オペレーターからの問いに答えればそれで弔電が送れます。
この弔電の費用は、メッセージ料金の文字数+台紙料金+オプション料金+消費税で、送料も込みになっています。
支払いは、毎月の電話料金と一緒に支払う、クレジットカードで払う、ドコモ携帯決済で支払うの3通りから選べます。
ただし携帯電話での申し込みの場合は、クレジットカード払いのみとなります。
お悔やみ状を送る
さらにお悔やみの気持ちを伝えたい場合はお悔やみ状を送りましょう。
ただし、これはルールではありませんが、常識としてはお悔やみ状だけ送るのはNGです。
送る場合は、香典を同封しましょう。
その場合でも、お札をそのまま現金書留の封筒に入れないようにしましょう。
香典袋を用意し、持参するのと同様に表書きを書いて同封するのがマナーです。
お悔やみ状にはお悔やみの言葉と、「遠方のため、お通夜ご葬儀に参列できず申し訳ございません」など、簡潔かつ丁寧に理由を記載しましょう。
代理を立てる
葬儀の連絡が突然の場合は、自分で行けないことも多いでしょう。
その場合は代理を立てるという方法もあります。
その際に代理人自身は故人と面識がなくても大丈夫です。
代理人が参列すれば、自分が参列した時と同様の体面が保てます。
代理人には、記帳時に本人の名前を書き、その下に「代理」と書いてもらいましょう。
後日弔問に伺う
どうしても霊前で故人にあいさつをしたい場合は、後日自宅まで弔問に伺いましょう。
ただし遺族は一連の葬儀で疲れていますので、即日ではなく四十九日の法要を終えた後などに様子を見ていくようにしましょう。
加えて、いきなり行くのではなく、あらかじめ電話で「弔問に伺いたいのでご都合のよい日を教えてください」ということを確認してください。
実際に伺った際も、長居をせずに、早めに退去しましょう。
それ以前に香典を現金書留で送っている場合でも、故人に供える菓子や花を持参することがマナーです。
まとめ
このように葬儀は故人への思いだけではその参列が決められないということが事実です。
しかし葬儀は依然として最大の社交行事ですから、マナーに反さずに対応したほうが、今後の付き合いの上から言っても最善です。
それでも参列できない、したくない場合は以上のルールに則って適切な対応をするようにしましょう。