葬式や通夜などでは、線香の火を絶やさないという言葉をよく耳にします。しかしどのような意味があるのか、分からな人も多いのではないでしょうか。
また線香に限らず、葬式で問われるお焼香のマナー。しっかりとした知識がなく、不安だという人もいますよね。そこでこの記事では、葬式で線香の火を絶やさない理由やお焼香のマナー、線香にまつわる知識についてご紹介します。
葬式で線香やろうそくの火を絶やさない理由
お葬式で線香の火を絶やさないよう気を付けるのは、お通夜の晩です。
線香の火が消えないよう、遺族が火の番をします。
このことを、「夜とぎ」あるいは「寝ずの番」と言います。
仏教で火を灯し続けるというのは、死者があの世に迷わず行けるよう導くためといわれています。そのため、道しるべの役割として火を絶やさないようにする風習があるのです。また、線香の香りも同様に道しるべの役割があります。その他にも、線香の香りにはご遺体の臭いを中和する役目も。そのような理由から、ろうそくと線香の火は絶やさないようにといわれているのです。
ただし、最近では、夜とぎはあまり行われなくなりました。
一晩寝ずにいることの体力的な負担の問題もありますが、 大きな要因としては、消防庁の指導により、深夜斎場で火気を使わないようになったためです。
したがって、もし夜とぎをする場面は、自宅で葬儀をする場合など限定的になります。
葬式での線香・ろうそくのあげ方と消し方
夜とぎをする場面はかなり限定的になったと言っても、通夜後もしばらく線香をつけておくことはあります。
ここでは、線香のあげ方と消し方について解説します。
あげ方
ろうそくのあげ方は、火付けようのろうそくを使うことが一般的です。用意されていない場合は、マッチを用いることが多くあります。
ライターは、火傷をする可能性が高くあまり使われていません。
マッチやろうそくを使用しない場合は、大きい手持ちの着火ライターを使用するようにしましょう。
線香のあげ方は、ろうそくで火をつけ余計な火を手で仰いで消す方法が一般的です。しかし、線香は火で大きく燃えてしまいます。手で仰いで消せない場合は、線香を縦に軽く振ることで風圧を使って消すことも可能です。
消し方
ろうそくの火は、手を使って消すことが一般的です。息を吹きかけ消すことは、仏教の風習上よろしくありません。また、マナー上息で吹き消すことは、他の人に不快感を与える可能性があるため注意しましょう。
線香の火は、自然に消えるまで待つため消すことはありません。自然となくなり消火されるまで待ちましょう。
焼香とは?焼香のやり方も
葬式では焼香を行いますが、焼香の意味やきちんとしたやり方を知っている人は少ないのでは何でしょうか。大まかなやり方だけ知っていても、いざという時不安で忘れる可能性もあるかと思います。そこでここでは、焼香の意味と正しいやり方についてご紹介します。
焼香の意味
焼香とはそもそも、故人に対して香を焚いて拝むことを指します。
葬儀や法事で抹香を手でつかみ、香炉の中に落とすことで心身の穢れを落とす意味合いがある行為です。心身を清め、清浄な身体で故人と向き合う行為を焼香といいます。
焼香の手順
お焼香には、葬式などで行われる「立礼焼香」、畳式など座って行う葬儀で行われる「座礼焼香」、自宅葬儀や法事などで行われる「回し焼香」の3つの種類があります。
基本的な手順は同じですが、細かな所作が異なってくるため注意が必要です。ここでは、種類ごとの手順とポイントについてまとめていきます。
立礼焼香(基本的な手順)
- 自分の順番に席を立ち、なったら焼香台の前まで移動する。
- 焼香台の前に立つ前に、遺族とお坊さんに一礼する。焼香台の前まで来たら、遺影に一礼する。
- 抹香を、右手の親指・人差し指・中指で少しだけつまむ。
- 抹香を香炉にくべる。(状況、宗派によって1~3回。回数に関しては、遺族に倣う)
- 遺影に合掌し、一礼する。
- 少し下がり、遺族に一礼し席に戻る。
座礼焼香
座って行われる畳敷きの葬儀場で行われる焼香の方法です。
基本的な手順は立礼焼香同様ですが、移動方法が違うため確認しておきましょう。
座礼焼香の場合、自分の順番で焼香台まで移動します。
移動する方法は、「中腰の姿勢」です。直立に立ち上がることはマナー違反となるため注意しましょう。
回し焼香
回し焼香は葬儀を自宅で行う時によく用いられる焼香の方法です。お盆に乗せられた焼香台を順番に回すため、参列者が移動することはありません。
こちらも基本的な手順は立礼焼香と同様です。焼香台が回ってきたらお盆を前に置き焼香を行います。終了したら隣に回し、自分の順番は終了です。
焼香時のマナーと注意点
焼香時は手順以外にも、知っておきたいマナーと注意点があります。緊張してしまうことが多い焼香時。不適切な行動をとらないために、あらかじめ頭に入れておくと安心です。ここでは、焼香でのマナー、注意点をご紹介します。
決まった順番でお焼香する
お焼香は好きな順番に行っていいわけではありません。基本的には、故人と関係の深い人から行います。そのためまず最初にお焼香するのは、配偶者や親子、兄弟です。ほとんどの場合喪主から行います。
参列者のお焼香は、遺族の後です。多くの葬儀場では、葬儀場のスタッフから順番を伝えられるため安心です。遺族より早くお焼香してしまわないよう、焦らず席で待つようにしましょう。
あらかじめ宗派を確認しておく
仏教の宗派によって、焼香の回数やマナーが変わってくることも。そのため遺族や身近な人に、あらかじめ宗派を確認しておくと安心です。
もしあらかじめ確認できなかったとしても、遺族の所作を見て確認する方法もあります。何より不安や焦りで不適切な行動をとらないよう、落ち着いて参列することが重要です。
数珠を先に準備しておく
焼香を行うときは、数珠を持って行います。適切な数珠や持ち方も宗派によって異なるため、こちらも事前に確認しておきましょう。また焼香の順番が回ってきて焦らないよう、すぐに取り出せるような準備も必要です。
焼香の手順を忘れたときの対処
当日や参列する直前、焼香の手順やマナーを忘れてしまうこともあるかもしれません。緊張感のある葬式や通夜。忘れたからといって焦らず、落ち着いた行動をとるようにしましょう。
ここでは、手順を忘れてしまったときの対処についてまとめていきます。
家族や参列者に方法を確認する
手順を忘れてしまった場合の、最も手軽な確認方法です。直前でも家族や参列者など、聞きやすい人に確認することは難しくないと思います。その際に、宗派も一緒に確認しておくと手間が省けるためおすすめです。
動画サイトなどで確認する
当日ふと手順やマナーを忘れた場合、動画サイトなどで確認することもおすすめです。動画で実際の所作を確認したりブログサイトで手順を確認したりすることで、安心して参列することができます。確認する際は、信頼できる動画やサイトを利用しましょう。
当日いる葬儀会社のスタッフに確認する
葬儀場についてから確認したい場合は、プロであるスタッフに確認することがおすすめです。確実な情報で間違いが少ないため、正しい知識を得ることができます。また遺族の宗派も知っているため、それに沿ったアドバイスをもらうことが可能です。
弔問とは?弔問時のマナーも
弔問してお線香をあげる、とはよく聞きますが、弔問の正しい意味を知らない人もいますよね。また、弔問時のマナーに不安がある人も多いかと思います。
葬式や通夜とは異なり、弔問でお線香をあげる場合のマナーもあり、事前に確認しておきたいもの。そこでここでは、弔問の意味とマナー、注意点についてご紹介します。
亡くなった方の家に訪問するという意味
弔問とは、故人(あるいは遺族)の家を訪ねお悔やみを伝えることをいいます。葬儀に参列できなかったり後日訃報を知ったりした場合、時期を見計らって行くことが多いです。
しかし弔問のタイミングは、遺族・故人との関係や遺族の都合によって異なるもの。伺う場合は、必ずマナーを守って行くようにしましょう。
自宅にお線香をあげにいくときのマナー
服装
弔問時の服装は、平服でいいといわれています。訃報を受けてすぐにきちんとした喪服で伺うと、あらかじめ準備していたような印象を与えるため不適切です。
派手な服装は避け、男女ともに一般的なスーツか襟の付いたシャツを身に着け伺うようにしましょう。カジュアルすぎたり派手になりすぎたりしなければ、あまり気を遣う必要はありません。
手土産
手土産については、必ず必要というわけではありません。供物を持参したい場合、日持ちする菓子や果物などが適切です。また、故人の好きであったものを持っていくのも良いでしょう。
香典は葬儀に参列する場合、葬儀で渡すようにします。しかし参加できない場合は、弔問時に一緒に持っていくようにしましょう。
遺族への声掛け・挨拶
弔問に伺った場合、遺族へお悔やみの言葉をかけることが一般的です。よく使われるお悔やみの言葉は以下の通りです。
- まことにご愁傷さまでございます。
- お悔やみ申し上げます。
- この度のご不幸、胸が張り裂ける思いです。
この他にも、一言、二言遺族を気遣う言葉を伝え挨拶を行いましょう。あまり深く話し込まず、手短に言葉を交わし遺族の負担にならに配慮が必要です。
お線香をあげに行く時期
弔問の時期というのは、多くの人が悩むと思います。弔問に際し、必ず適切な時期というのはありません。しかし訃報を受けた直後に伺うことは、とても親しい友人や親族でなければ避けた方が良いでしょう。
その他の人は、葬儀の後から四十九日の間までが一般的です。あまり直後すぎたり後になりすぎたりすると、遺族に負担がかかるため注意しましょう。伺う前には、必ず遺族に連絡するようにしてください。
香典の代わりに線香を送る場合
香典の代わりに線香を送ることは、マナーとして特に問題はありません。むしろ香典の名の通り、お香(線香)を故人にお供えするという点においてはむしろ正しい行いです。
香典は遺族に対するお気持ちが大きい反面、線香は故人へのお気持ちが大きいという面もあります。そんな線香を送る行いは、どのようなマナーがあるのでしょうか。香典の代わりに線香を送る際の注意点についてまとめました。
線香を送る時期
線香を香典の代わりに送る場合というのは、葬儀に参列できなかったときです。葬儀や通夜に参列できず、香典を渡すことができなかったとき線香を代わりに送ります。
線香を送るタイミングは、喪中見舞いと同時です。また、葬儀から少し時間が経った時期でも問題ありません。線香だけでなく手紙を添え、お気持ちとして送るようにしましょう。
線香につけるのし
線香につけるのしは、「弔事用」で「内のし」の表書きが「ご霊前」(あるいはご仏前)です。線香を選ぶ際は、進物用を選ぶ必要があります。その線香に、以上ののしを付けて送りましょう。「ご霊前」は四十九日前まで、「ご仏前」は四十九日以降で表書きを使い分けます。
線香を送る場合のマナー
のし以外のマナーとして、お供え物に送る線香のマナーがいくつかあります。マナーを確認し、失礼のないように注意しましょう。
- 進物用の線香を購入する。
- 2000円から5000円程度の線香を購入する。
- 故人を偲ぶお手紙を一緒に送る。
これらに注意して香典の代わりに送れば、遺族に不快感を与えることはありません。細かな注意点が多いため、間違いないよう気を付けてください。
線香をあげる時の本数は何本?
宗派によって、線香をあげる作法が異なります。どのような宗派の葬儀に参列してもいいよう、あらかじめ確認が必要です。ここでは、主な宗派の線香の本数とマナーについてご紹介します。
- 浄土宗
本数1本、線香を二つ折りにして立てる。 - 浄土真宗
本数規定なし、線香を寝かして置く。 - 天台宗、真言宗
本数3本、線香を立てる。 - 臨済宗、日蓮宗
本数1本もしくは2本、線香を立てる。
恥をかかないためにも最低限のマナーを押さえよう
葬儀などでは、線香一つに対してもマナーや手順があります。お焼香を行う際は、特に手順が多く忘れがちです。しかし葬儀の線香や焼香については、一般常識として求められることも。
そういった際に恥をかかないためにも、ある程度のマナーは押さえておく必要があります。ただマナーとして覚えるのではなく、意味合いを知ることで常識として定着させていくことが可能です。その際はぜひ、こちらの記事を参考にしてみてください。